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ケアマネに「老人ホームを探してほしい」と頼んだところ、返ってきたのは「ご家族で探してみてください」の一言でした。
有料老人ホームを探すのは家族の側で、探す前にケアマネから4つを引き出しておくと、施設の審査が早く進み、電話と見学の回数が減ります。
手順は7段階あり、順番どおりに進めると無駄足が減ります。
ケアマネが動きにくい背景には、国の基準が定める業務の範囲、居宅ケアマネの契約と報酬の出方、本人の意思を優先する原則があります。理由は次の3つです。
どれも、ケアマネ個人のやる気とは別のところにあります。ここでは要点だけを押さえ、詳しい理由と役割分担、相談窓口、ケアマネを変える基準は姉妹記事に譲ります。
ケアマネの仕事の範囲は、厚生労働省令の「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」で決まっています。第13条第17号は、利用者が介護保険施設への入所を希望する場合に「介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行う」と定めています。
ここでいう介護保険施設は、介護保険法が特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院の3つと定めています。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームは、この3つの外にあります。
つまり、特養の紹介はケアマネの業務で、有料老人ホームの紹介は業務の外です。「老人ホームを探してほしい」と頼んだ相手が有料老人ホームだったなら、断られたのは基準どおりの対応にあたります。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第17号
在宅で暮らす人を担当するケアマネ(居宅ケアマネ)の事業所には、居宅介護支援費という介護報酬が入ります。介護保険法は居宅介護支援を「居宅要介護者」への支援と定めていて、この報酬は在宅で暮らす利用者について算定されます。利用者が施設に入った時点で契約は終わり、施設に所属するケアマネが施設サービス計画を作る形に切り替わります。
居宅ケアマネにとって、老人ホームを探す時間は報酬の対象から外れる時間です。しかも、探した先で入居が決まれば、担当していた利用者が一人減ります。
ケアマネの人柄とは別で、報酬の仕組みがそうなっているという事実です。だからこそ、探す作業は家族が引き受け、ケアマネにはケアマネにしかできない作業を頼む、という分担が現実的です。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法 第8条第24項・第26項
運営基準の第1条の2は、居宅介護支援の基本方針を定めています。第1項は「可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮して行われる」、第3項は「利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って」と書いています。ケアマネが最優先するのは本人の意向で、家族の希望はその次です。
本人が「家にいたい」と言っているあいだは、家族が「施設を探して」と頼んでも、ケアマネは本人の意向を優先して待つ側に回ります。動いてしまえば、本人の意思に反して施設へ送る形になるからです。
家族と本人のあいだで「施設も考える」という合意を先に作ると、ケアマネは本人の意向に沿った支援として動けるようになります。理由の全体、頼み方、相談窓口、ケアマネを変える基準は、次の記事で詳しく書いています。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第1条の2第1項・第3項
探すのは家族です。ただし、探す前にケアマネの本業の範囲で4つを頼んでおくと、施設の審査が早く進み、電話や見学の回数が減ります。4つとも、ケアマネにとって引き受けやすい頼みです。
探す前にケアマネへ頼む4つ(言い方の例)
4つとも「探して」の代わりに、見通し・記録・医療との連携・ケアプランの変更という、ケアマネの本業に言い換えた頼みです。
最初に聞くのは、施設の名前より先に、在宅があとどれくらい続けられるかです。「あと半年、今の体制で在宅がもつと思われますか」「どの状態になったら施設を考えるべきですか」と聞くと、毎月本人を見ているケアマネの専門の範囲なので答えやすくなります。
答えが「あと3か月は厳しい」なら、探すペースは急ぎです。特養と有料老人ホームを同時に動かします。「まだ在宅で工夫できる」なら、有料老人ホームをじっくり比べる時間があります。
この見通しが、探す順番と速さを決めます。在宅の限界を見極める基準は、次の記事が詳しく扱っています。
施設に電話をすると、最初に本人の状態を聞かれます。聞かれる項目はどの施設もほぼ同じです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要介護度と認定の有効期間 | 介護保険被保険者証に記載 |
| 主治医と病名・通院先 | かかりつけ医と持病 |
| 服薬 | 薬の種類と回数 |
| 既往歴と医療処置 | 入院歴・たんの吸引・経管栄養・インスリンなど |
| 認知症の状態と行動 | 診断の有無・夜間の様子・外へ出て行く行動の有無 |
| 今使っているサービスと回数 | 訪問介護・デイサービス・ショートステイ |
| 日常動作 | 歩行・食事・排せつ・入浴にどこまで介助が要るか |
この表の内容は、ケアマネのアセスメント(本人の状態の記録)とケアプランに全部あります。家族が調べ直す作業は不要で、「施設に渡す本人情報を1枚にまとめてもらえますか」と頼めば、ケアマネは記録から書き出せます。
この1枚があると、施設への電話が1回で済み、受け入れの可否をその場で答えてもらえるようになります。
有料老人ホームに申し込むと、健康診断書や診療情報提供書といった医療の書類を求められます。健康診断書は施設が指定する様式で、主治医か検査のできる医療機関で作ります。様式と有効期限は施設ごとに違うので、申込先に確認します。
診療情報提供書は、主治医が病名・服薬・既往歴・手術歴などを書いて渡す書類です。診療報酬の「診療情報提供料(Ⅰ)」は250点で、算定できる宛先は、別の保険医療機関、市町村、指定居宅介護支援事業者、介護老人保健施設、介護医療院などに限られています。有料老人ホームあての書類がどの扱いになるかは宛先の書き方で変わるため、費用は主治医のいる医療機関に確かめておきます。
主治医に頼む段取りは、ケアマネが日常的に医療機関とやり取りしているので、橋渡しを頼むと早く進みます。申込先が決まる前でも、診断書の様式を先に取り寄せておくと、決まってからの待ち時間が減ります。
出典: 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表(別表第一)B009 診療情報提供料(Ⅰ)
探している期間、在宅の介護をどう持たせるかは、ケアマネの本業そのものです。ショートステイ(短期入所)の日数を増やす、訪問介護の回数を増やす、通いと泊まりを組み合わせられる小規模多機能型居宅介護に切り替える、といった調整はケアプランの変更として頼めます。
有料老人ホームは空室の有無で待つ期間が変わり、特養は申込者が定員の空きを上回る地域では順番を待つことになります。「施設が決まるまでのあいだ、今の体制を見直したい」と伝えれば、ケアマネは動きます。
探すのは家族、つなぐのはケアマネ、という分担です。探すのに疲れて在宅が崩れる前に、つなぎを先に頼んでおきます。
自分で探す手順は7段階です。順番を守ると、見学の無駄足が減ります。一つずつ前へ進めるのがコツです。
特養も入居先の候補に入るなら、1から3の段階で市区町村の窓口へ申し込んでおき、有料老人ホームの検討と並行させます。
最初に決めるのは、施設の名前より先に、月にいくら払えるかと、どんな医療処置に対応してもらう必要があるかです。この2つが決まると、施設の候補の大半が自動で外れます。
予算は「本人の年金の月額」に「取り崩せる資産を想定する年数で割った額」を足して考えます。入居一時金がある施設は、その分を資産から引いてから月額を計算します。家族が補てんする場合は、その額と続けられる年数も決めておきます。
医療の条件は、前の章でケアマネにまとめてもらった本人情報の1枚から拾います。必要な医療処置と夜間の見守りの有無で、受け入れられる施設が変わります。この2つを紙に書いてから、次へ進みます。
予算と医療の条件が決まったら、施設の種類を絞ります。種類ごとに費用と受け入れの幅が違います。
| 種類 | 費用の傾向 | 家族が使う場面 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 低い | 要介護3以上が原則。申込者が多い地域では順番を待つ |
| 介護老人保健施設 | 低い | 在宅復帰が前提。入所期間に区切りがある |
| 介護付有料老人ホーム | 高い | 施設の職員が介護する。医療対応は施設ごと |
| 住宅型有料老人ホーム | 中〜高 | 外部の訪問介護を使う。自立度が高めの人向け |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 中 | 見守りと生活相談。介護は外部サービス |
| グループホーム | 中 | 認知症の診断がある人。原則として同じ市区町村の住民が対象 |
費用の欄は傾向で、実額は施設ごとに大きく違います。特養は要介護3以上が原則で、要介護1・2の人は特例入所の対象にあたる場合に申し込めます。特養と有料老人ホームは同時に申し込めるので、順番を待つあいだに有料老人ホームを探す形が一般的です。
出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について(平成26年12月12日・老健局高齢者支援課長通知)
種類が決まったら、入居先の候補を集めます。最初に見るのは、民間の検索サイトより先に、都道府県(政令市・中核市)が公表している有料老人ホームの一覧です。届出のある施設が全部載っていて、民間サイトの一覧から漏れる施設も見つかります。
一覧から、住所(家族が通える範囲)と種類で絞り、10か所前後を入居先の候補にします。この段階では費用の細かい比較を後回しにして、通える範囲にある施設を漏れなく拾うことを優先します。
特養は市区町村の介護保険窓口で申込先と待機状況を確認します。自治体によっては窓口で一括して申し込めます。情報源の詳しい使い方は次の章で説明します。
入居先の候補が10か所前後になったら、見学の前に重要事項説明書を読みます。有料老人ホームの重要事項説明書は都道府県が公表していて、施設のホームページより先に、職員体制、入居者の要介護度の分布、退去の要件、費用の内訳が分かります。
見る箇所は3つです。
この3つで入居先の候補を半分に絞れるので、見学は残った施設だけで足ります。
重要事項説明書の読み方は、次の2本の記事が詳しく扱っています。
介護付有料老人ホームの重要事項説明書で、見学の前に比べる三か所
介護付有料老人ホームの見学前に読む職員体制の数字と、当日に聞く四つのこと
入居先の候補が5か所前後になったら、施設の入居相談員に電話します。聞く順番は、空き、受け入れが難しい条件、費用の総額、見学の日程です。
電話の言い方の例
「母は要介護3で、たんの吸引が1日2回必要です。夜間に起きて歩くことがあります。そちらで受け入れが難しい点はありますか」と聞くと、受け入れの難しい施設はこの段階で入居先の候補から外れます。
「今の空き状況と、空き待ちの登録ができるかを教えてください」
「月額のほかに、入居一時金、介護保険の自己負担、医療費、おむつ代を含めた総額を教えてください」
「見学は、平日の昼食の前後と、夕方の2回でお願いできますか」
本人情報の1枚から、医療処置と認知症の状態を先に伝えるのがコツです。費用は月額より総額で比べます。見学は、次の段階のとおり2回の時間帯を家族の側から頼みます。
見学は、平日の昼食の前後と、夕方から夜にかけての2回行きます。昼は食事の介助と職員の人数、夕方は職員が減る時間帯の様子と入居者の落ち着き方が見えます。施設が用意した見学の時間帯だけでは、いちばん職員が多い場面しか見えずに終わります。
見学でのチェック項目は、次の記事が詳しく扱っています。
親の安心を守る質問リスト!有料老人ホーム見学で必ず確認したいこと
本人を連れて行くかどうかは、本人の体調と気持ち次第です。契約の前に本人と一緒にもう一度見る進め方は、次の記事にあります。
見学で残った施設が2〜3か所になったら、体験入居を頼みます。実際に泊まって、食事、夜間の様子、職員との相性を本人が確かめます。費用と期間は施設ごとに決められていて、有料の場合と無料の場合があります。
体験入居で本人が「ここなら」と言えたら、申し込みます。申込の後に施設側の審査があり、健康診断書と診療情報提供書を出します。前の章でケアマネに橋渡しを頼んでおいた書類が、ここで生きます。
審査を通れば契約です。契約書と重要事項説明書の内容を、見学で聞いた話と突き合わせてから署名します。体験入居を挟んでおくと、入居後に「話が違う」となる場面が減ります。
情報源は、公的な一覧で全体を見てから、民間のサイトで比べる、の順で使います。民間の検索サイトや紹介センターに載るのは提携している施設だけなので、先に公的な一覧で全体を見ておくと、見落としが減ります。
| 情報源 | 分かること | この情報源の外にあること |
|---|---|---|
| 都道府県の有料老人ホーム一覧と重要事項説明書 | 届出のある全施設・職員体制・要介護度の分布・退去要件・費用 | 空き状況 |
| 介護サービス情報公表システム | 全国の有料老人ホームと介護事業所の基本情報 | 空き状況・雰囲気 |
| 市区町村の介護保険窓口 | 特養の申込先・待機状況・入所指針 | 有料老人ホームの空き |
| 施設の公式サイト | 受け入れ条件・費用・空き | 職員の定着や事故の記録 |
| 検索サイト・紹介センター | 提携施設の比較・写真 | 提携していない施設 |
有料老人ホームの設置者は、老人福祉法第29条第11項により、供与する介護等の内容や運営状況に関する情報を都道府県知事に報告する義務があります。同条第12項は、こう定めています。
都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により報告された事項を公表しなければならない。
この報告と公表の中身が、重要事項説明書です。そのため、都道府県(政令市・中核市を含む)のホームページには、有料老人ホームの一覧と、施設ごとの重要事項説明書が載っています。東京都は「東京都有料老人ホーム重要事項説明書一覧」、宮城県は「有料老人ホーム重要事項説明書」という名前のページで公表しています。
見学の前にこの書類を読むと、施設が口頭で言いにくい退去の要件や、入居者の要介護度の分布が分かります。指導や改善命令を受けた施設の情報を載せている自治体もあります。
出典: e-Gov法令検索 老人福祉法 第29条第11項・第12項
出典: 東京都福祉局 東京都有料老人ホーム重要事項説明書一覧
厚生労働省が運営する「介護サービス情報公表システム」は、全国の介護事業所を検索できる仕組みです。2021年6月、生活関連情報の一つとして有料老人ホームの情報を掲載・検索できる機能が加わりました。
介護付有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の事業所としても登録されているため、職員数、利用者数、運営の状況が分かります。都道府県をまたいで探すときや、一覧のページが見つけにくい自治体では、この仕組みが入り口になります。
空き状況と雰囲気は、この仕組みの外にあります。ここで入居先の候補の基本情報を集め、空きは施設に電話で確かめます。
出典: 厚生労働省老健局高齢者支援課 事務連絡(令和3年6月23日)介護サービス情報公表システム(生活関連情報)への有料老人ホームの情報公表・検索機能追加等について(埼玉県ウェブサイト掲載)
特養は、市区町村の介護保険担当の窓口が申込先と待機状況を持っています。自治体ごとに入所の優先順位を決める指針があり、要介護度、介護者の状況、在宅サービスの利用状況で点数をつけて順番を決める仕組みが一般的です。
自治体によっては、地域内の特養の申込を窓口で一括して受け付けていたり、施設ごとの待機人数を公表していたりします。要介護1・2の人は、厚生労働省の指針が挙げる4つの事情のどれかに当てはまる場合に、特例入所として申し込めます。
要介護1・2で特例入所の対象になる4つの事情
出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について(平成26年12月12日・老健局高齢者支援課長通知)
特養の申込と、申し込んだ後にすることは、次の2本の記事が詳しく扱っています。
施設の公式サイトには、「入居条件」「ご入居までの流れ」「よくある質問」のページに受け入れの条件が書かれています。要介護度の範囲、認知症の受け入れ、医療処置への対応、看護師の勤務時間帯が分かります。
「医療対応可」と書かれていても、どの処置に、どの時間帯に、誰が対応するかは施設ごとに違います。公式サイトで大まかに当たりをつけ、電話で処置の名前と時間帯を具体的に聞きます。
公式サイトの費用は「月額◯万円〜」の形が多く、実際の総額は本人の要介護度と部屋のタイプで変わります。重要事項説明書の費用の欄と突き合わせると、総額の見当がつきます。
民間の老人ホーム検索サイトと紹介センターは、写真や比較表が見やすく、入居先の候補を並べて比べるときに便利です。ただし、載っているのは運営会社と提携している施設だけで、地域の施設全体とは別です。
紹介センターは家族の相談が無料で、入居が決まると施設側が紹介センターへ手数料を払う仕組みです。厚生労働省の標準指導指針も、有料老人ホームが紹介の事業者と委託契約を結ぶ場合の留意事項として、手数料の有無と金額をあらかじめ把握することが望ましいと書いています。提携先の中から紹介される点と、施設ごとに手数料の額が違う点を知ったうえで使います。
公的な一覧で全体を見てから民間サイトで比べる、という順番にすると、提携の有無に関わらず地域の候補を拾えます。紹介センターの仕組みと、地域包括支援センターなど人に相談する窓口の使い分けは、姉妹記事で詳しく書いています。
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(老発1206第2号・令和6年12月6日改正)
入居できるかどうかを決めるのは施設です。ケアマネの紹介があっても、審査の結果は同じです。この章は、断られる3つの理由と、電話で先に外す進め方でできています。
3つの理由は、どれも探す前に潰しておけます。
はじめに確かめられるのは、本人に必要な医療処置に施設の体制が届くかどうかです。たんの吸引、経管栄養(胃ろう)、インスリン注射、在宅酸素、床ずれの処置などは、看護師の勤務時間帯と人数で受け入れの可否が決まります。
介護付有料老人ホーム(指定特定施設)の看護職員は、利用者が30人までなら常勤換算で1人以上、30人を超える場合は50人ごとに1人を加えた数以上と定められています。これは事業所として置く人数の最低の基準で、夜間に看護師が勤務しているかどうかは施設ごとに違います。「医療対応可」の表示が示すのは日中の体制までで、夜間の処置に対応できるかは別に確かめる必要があります。
本人情報の1枚に医療処置の名前と時間帯を書き入れ、電話の段階で「この処置を、この時間帯に、誰が行いますか」と聞きます。見学の前に答えが出ます。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第175条第1項
認知症そのものより、認知症に伴う行動が理由で断られることがあります。夜間に大声を出す、外へ出て行こうとする、他の入居者や職員に手が出る、といった行動があると、集団生活の場で対応が難しいと判断されます。
施設からは理由を伏せたまま「今回はご縁がなかった」とだけ伝えられることがあります。断られた理由を具体化する方法と、認知症対応可の施設に断られたときの次の探し方は、次の記事が扱っています。
認知症対応可の施設に断られたとき、次を探す前に理由を具体化する方法
探す前に、本人の行動を主治医とケアマネの記録から具体的に書き出し、そのまま伝えることが、結果として早道です。
医療と認知症の条件を通っても、身元保証人(身元引受人)の確保と、月額費用を払い続けられる見込みの2つが示せて初めて審査を通ります。どちらかが欠けると断られます。施設は、支払いの保証、入院時の対応、亡くなったときの引き取りを保証人に求めます。
保証人を立てにくい場合は、保証会社、成年後見制度、自治体の身元保証の仕組みなど、機能ごとに代わりを立てる方法があります。
親の入居を断られた家族が機能ごとに保証人の代わりを立てる手順
支払い能力は、年金の額と資産、家族の補てんの有無で見られます。最初の段階で決めた予算の根拠を、申込のときに説明できるようにしておきます。
断られる理由は、どれも電話の段階で確かめられます。見学に行ってから断られると、本人にも家族にも負担が残るので、電話で先に外します。
ある家族の進め方
父(要介護4・胃ろう・夜間に大声)の施設を探した長男は、都道府県の一覧から通える範囲の介護付有料老人ホームを12か所拾い、重要事項説明書で退去要件に「経管栄養」が入る施設を外して6か所に絞りました。電話で「胃ろうと夜間の大声があります。受け入れが難しい点はありますか」と先に伝えたところ、3か所が「夜間の看護師がいないため難しい」と答えました。残った3か所だけを見学し、2か所目で体験入居に進みました。見学まで行って断られた施設はゼロでした。
聞き方は「受け入れが難しい点を先に教えてください」です。本人情報の1枚から医療処置、認知症の行動、保証人の3点を先に伝えます。答えが「問題ありません」の施設だけを見学すると、見学の数が減り、断られる場面も減ります。
いちばん重い答えは単純で、有料老人ホームを探すのは家族の側です。運営基準は、利用者が介護保険施設への入所を希望する場合にケアマネが紹介を行うと定めていて、ここに入る特養・老健・介護医療院は頼めます。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームはこの外にあり、家族が探す部分になります。
次の一歩は、ケアマネに「施設に渡す本人情報を、1枚にまとめてもらえますか」と頼むことです。この1枚を飛ばして施設に電話をすると、要介護度や医療処置を聞かれるたびに答えが止まり、受け入れの可否が出るまでに何度も電話をかけ直す形になります。
1枚を受け取ったら、次に確かめるのは都道府県が公表する重要事項説明書です。住んでいる都道府県のページを開き、通える範囲の施設の職員体制と退去要件を読んでみてください。介護のあんしんでは、ケアマネから引き出す情報と書類も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。