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親の入居を申し込んで断られ、「うちでは対応が難しくて」としか言われていない方に向けた記事です。
理由を教えてもらえないのは、伝え方が悪かったからではありません。断った理由を説明させる決まりが、いまの制度にありません。
次の面談では要望を控えようと考えているなら、その前に読んでください。
次に当てはまる方には、別の記事を用意しています。
この記事が扱うのは、入居する前に断られた場合です。
この記事が扱うのは、介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設の5種類です。
断った理由を説明させる決まりは、このどれにもありません。
断られたときに聞いたのが「うちでは対応が難しくて」の一言だけ、ということがあります。そのあとで理由をたずねても、詳しい説明は返ってきません。
有料老人ホーム設置運営標準指導指針には、入居を申し込んだ人を選ぶことや断ることを定めた項がありません。苦情処理の体制を定めた項はありますが、対象は入居者です。
これは介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームに掛かる指針です。
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
特別養護老人ホームと介護老人保健施設についても同じです。運営基準とは、介護保険のサービスを提供する事業者が守る決まりのことです。そのどちらの基準にも、断った理由を伝えることを定めた条が見当たりません。
出典: e-Gov法令検索 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 / e-Gov法令検索 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
サービス付き高齢者向け住宅の登録の基準にも、同じ定めはありません。基準を定めているのは、高齢者の居住の安定確保に関する法律です。
全国有料老人ホーム協会に苦情を持ち込む道も、断られた申込者には開かれていません。
全国有料老人ホーム協会の苦情対応規程は、苦情を申し立てることができる人を第3条第1号でこう定めています。
ホームを現に利用しているか又は過去に利用したことのある入居者及びその家族並びに代理人
これは協会に加わっているホームについての自主的な仕組みで、断られた申込者は申立人になれません。
断った理由を出させる仕組みが、そもそも用意されていません。求めても理由が出てこないのは、この仕組みが無いためです。
断った理由そのものは分かりません。ただ、施設が入居の前に家族の何を見ているかなら、公的な資料と施設自身の公表から分かります。
面談では、親の状態と家族のことの両方が見られています。
1つ目は施設が公表しているもの、2つ目は厚生労働省の資料に載っているものです。どちらも、面談で何を見られていたのかを振り返る手がかりになります。
入所を認めるかどうかの基準に、家族のことを書き出している施設があります。
老健センターながおと淀川老人保健施設けあきのもりは、入所判定基準の1つとして次を掲げています。
介護老人保健施設の役割と目的を理解し、家族も共に協力していただけること
出典: 老健センターながお 入所判定基準
家族と協力できるかどうかが、入所の可否を決める基準として文字になっています。
判定の進め方を公表している施設もあります。
徳洲会グループ介護部門は、入所判定会議が医師・看護師・介護支援専門員・リハビリ職員・介護福祉士・管理栄養士・支援相談員で構成されると書いています。利用申込書などの提出書類と、面接の結果から可否を決めるとのことです。
この法人では、面接の結果が提出書類と合わせて会議にかけられます。
ここに挙げたのは3つの法人が公表している例です。
すべての介護老人保健施設やほかの種類の施設に共通する基準ではありません。公表していない施設については、確かめているかどうかが分かりません。
サービスを始める前に関係者から情報を集めることは、厚生労働省も勧めています。
根拠になるのは、介護現場におけるハラスメント対策マニュアルです。これは施設を拘束する決まりではなく、厚生労働省が示した手引きです。扱っているのは、サービスを始める前の備えと、始まった後のトラブルへの対応の両方になります。
ここで引くのは、始める前の備えの部分です。
サービスの提供を開始する前に、過去に利用者が利用していた施設・事業所、ケアマネジャー、主治医(かかりつけ医)等の関係者から情報を収集します。
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
同じマニュアルは、家族の様子を観察することも勧めています。
このマニュアルは施設の種類を限っていません。介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設のどれに申し込んだ場合も対象です。
ただし、この情報収集はハラスメントを防ぐ手順として書かれたもので、入所の可否を決める手順として書かれたものではありません。
面談での自分の言動が記録されていたのではないかと心配していても、ハラスメントのリスクを事前に検討する体制を持つ施設は、調査に答えた3種類のいずれでも多数派ではありません。
令和2年度の厚生労働省の調査は、ハラスメントの防止対策をたずねる設問に、次の選択肢を置いています。
利用者・家族等の様々な状況からハラスメントのリスクを事前に検討する体制がある(過去に攻撃的な態度やハラスメントがあったか否かを確認するなど)
この選択肢が尋ねているのは、リスクを事前に検討する体制があるかどうかです。入居の面談で家族の言動を確かめたかどうかまでは数えていません。
「ある」と答えた施設の割合は、種類ごとに次のとおりです。
| 施設の種類 | 回答した施設数 | 体制がある割合 |
|---|---|---|
| 介護付有料老人ホーム等(特定施設入居者生活介護) | 96 | 36.5% |
| 介護老人保健施設 | 143 | 35.0% |
| 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) | 180 | 23.9% |
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメントへの対応に関する調査研究事業 報告書
この割合は、施設を1件として数えています。職員を1人ずつ数えた値ではありません。自分が申し込んだ施設がこれに当たるかは分かりません。
表に載っているのは3種類です。住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅に申し込んだ方は、上の割合を自分に当てはめられません。
入所判定基準に家族のことを書き出している法人はあります。ただ、リスクを事前に検討する体制があると答えた施設は、いちばん多い種類でも3割台です。
面談での自分の言動だけに原因があったと考える必要はありません。
厚生労働省の資料が示す「ハラスメント」に、要望を伝えたこと自体は入っていません。
上の2つはいま出ている厚生労働省の資料で、3つ目は2026年10月から加わる決まりです。
介護現場におけるハラスメント対策マニュアルは、苦情の申立てを名指しで除いています。
ここで引くのは、そのマニュアルのうち始まった後のトラブルへの対応を扱った部分です。入居の前の審査を扱った部分は含みません。
「利用料金の滞納」や「苦情の申立て」も、「ハラスメント」ではなく、別の問題として対応する必要があります。
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
同じマニュアルは、苦情がサービスの改善に必要な情報でもあると書いています。
同じマニュアルが精神的暴力の例として挙げているものの多くは、何を求めたかではなく、どう求めたかを指しています。
定義と例は次のとおりです。
2)精神的暴力 個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為。 例:大声を発する/怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する
挙がっているのは、大声・怒鳴る・いやがらせ・理不尽な要求の4つで、このうち3つが求め方に当たります。
厚生労働省の介護現場におけるハラスメント事例集には、現場の振り返りとして次の一文があります。
介護サービスは、どこまで提供してしかるべきで、どこから先が過剰サービスに当たるのか明確な線引きが難しい。
どこまで応じるべきかの判断が難しいとされている以上、施設が申込者へ「あなたの要望が多すぎたからです」と説明するのも難しいと考えられます。
これから加わる指針も、正当な申入れを区別しています。
2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメントを防ぐ措置が事業主の義務になります。その内容を定めた指針は、苦情との違いを次のように示しています。
なお、顧客等からの苦情の全てが職場におけるカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上許容される範囲で行われたものは、いわば正当な申入れであり、職場におけるカスタマーハラスメントには当たらない。
出典: 厚生労働省 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針
同じ指針の別の箇所は、判断のしかたを要求の内容と、その手段や態様の2つで示しています。
この指針が義務づけたのは職員を守る措置であって、入居を断ってよい基準を新しく作ったものではありません。
この指針が効き始めるのは2026年10月からで、それより前に断られた場合には当てはまりません。
ここまでは家族の言動についての話です。要因はほかにもあります。
厚生労働省の資料も、調査に答えた管理者も、要因を家族だけに置いていません。
3つとも、すでに入居している人や利用している人との間で起きたトラブルの要因を扱った資料です。
説明が足りなかったことと、要望への対応が不適切だったことが、サービス提供側の要因として並んでいます。
介護現場におけるハラスメント対策マニュアルは、リスク要因を「環境面」「利用者」「利用者の家族等」「サービス提供側」の4つに分けています。4つ目にあるのは7つの項目です。
家族に関係が深いのは、次の2つです。
重要事項説明書の説明等によって、利用者や家族等から、提供するサービスの目的、範囲及び方法に関して十分な理解を得ていない。提供するサービスに関して誤った期待を生じさせている。
利用者や家族等から意見・要望・苦情等があった際の対応(態度や姿勢、やりとり)が十分ではなかった、不適切だった。
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
平成30年度の調査は、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム等)の管理者72人に、トラブルが起きる原因をたずねています。45.8%が選んだのは、「職員による不適切な苦情対応により、利用者・家族等の言動をエスカレートさせることがあるから」です。
同じ72人のうち44.4%は、「職員による不適切なケアにより、利用者・家族等の言動をエスカレートさせることがあるから」を選んでいます。
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業 報告書
これは管理者の認識をたずねた設問で、実際に何件起きたかを数えた値ではありません。
それでも、施設に原因がある場合があると、管理者自身が答えています。
介護現場におけるハラスメント事例集の目次には、事故の後の対応から家族の責任追及が高まった事例と、事業所のミスから暴言に発展した事例が並んでいます。
ある事例では、施設が「ハラスメントの疑いを含む言動」として記録した場面について、家族は「そこまで強く言った覚えはない」と述べています。この家族が当の職員へ謝罪したのは、数か月後のことです。
同じ場面でも、記録する施設と家族とで受け取り方が違うことがあります。
残るのは、制度が家族の態度を断ってよい理由として認めているかどうかです。
断ってよい理由を厚生労働省が示した文書は2つあります。家族の言動を断ってよい理由として挙げた文書は、そのどちらにもありません。
2つは場面が違い、通知は入居を断る場面を、対策マニュアルは入居した後に退去を求める場面を扱っています。
解釈通知は、運営基準の条文をどう読むかを厚生労働省が示した文書です。この通知は「正当な理由がある場合」として次を挙げています。
| 通知 | 対象 | 「正当な理由がある場合」として挙げているもの |
|---|---|---|
| 老企第43号 | 特別養護老人ホーム | 入院治療の必要がある場合/自ら適切なサービスを提供することが困難な場合 |
| 老企第44号 | 介護老人保健施設 | ベッドが空いていない場合/入院治療の必要がある場合/自ら適切なサービスを提供することが困難な場合 |
出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(老企第43号) / 厚生労働省 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について(老企第44号)
挙がっているのは本人の病状で、介護老人保健施設ではベッドの空きも加わる形です。家族に関する記述はどちらにもありません。
最後の「自ら適切なサービスを提供することが困難な場合」は幅のある書き方です。それでも、判断の対象になっているのは、あくまで本人へのサービスに限られます。
家族の態度を理由に断った件数を集計した公的な統計は、見当たりません。近い数字を代わりに当てはめるのは誤りです。
介護現場におけるハラスメント対策マニュアルは、施設からの契約解除に「正当な理由」が必要だとしています。
考慮する要素として挙がっているのは、結果の重大性・再発の可能性・契約解除以外の防止方法の有無です。
そのうえで、「正当な理由」が否定される例を次のように書いています。
イ)「正当な理由」が否定される可能性のある場合:職員の不適切な言動に立腹した家族が暴言を口にし、以下のような必要な措置を講じることなく、直ちに契約を解除した場合。/その家族との話し合いにより信頼関係の回復に努めて再発防止を図る/担当職員を変更する/後任の施設・事業所の紹介 等
出典: 厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル
家族の言動がきっかけとなった場合でも、話し合い・担当職員の変更・後任の施設や事業所の紹介をしなければ、解除の理由は否定されうるとされています。
ここで書かれているのは、既に入居している人との契約を解除する場面です。入居の前の審査には当てはまりません。
入居の申し込みを断ることに制限があるかどうかは、施設の種類で3つに分かれます。
サービス付き高齢者向け住宅だけは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているかどうかで、当てはまるところが変わります。
自分が申し込んだ施設がどれに当たるかで、断ることへの制限がどこまで及ぶかが変わります。
住宅型有料老人ホームと、介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅には、入居の申し込みを断るのに正当な理由を求める規定がありません。
住宅型有料老人ホームは、この指定を受けられません。サービス付き高齢者向け住宅は、指定を受けているものと受けていないものに分かれる形です。
運営基準は、介護保険のサービスを提供する事業者が守る決まりを厚生労働省令で定めたものです。この基準が対象にしているのは、指定を受けた事業者に限られます。
サービス付き高齢者向け住宅にも登録の基準はあります。ただし高齢者の居住の安定確保に関する法律 第7条が定めているのは、入院や心身の状況の変化を理由に同意なく契約を解除しないという、入居した後の保護です。
老人福祉法 第29条は有料老人ホームの届出について定めた条で、入居の申し込みを断ることを制限する項がありません。
出典: e-Gov法令検索 高齢者の居住の安定確保に関する法律 / e-Gov法令検索 老人福祉法
この2種類に断られた場合、制度上、施設へ何かを求める明確な根拠はありません。
介護付有料老人ホームと、特定施設の指定を受けているサービス付き高齢者向け住宅には、正当な理由がなければ提供を拒めないという規定があります。ただし対象は入居者です。
指定居宅サービス等の基準 第179条第1項は、次のように定めています。
指定特定施設入居者生活介護事業者は、正当な理由なく入居者に対する指定特定施設入居者生活介護の提供を拒んではならない。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
同じ条の第3項は、対象を「入居申込者又は入居者」と書き分けています。拒否の禁止は入居者が対象で、提供が困難なときの紹介の義務は申込者も含む形です。
条文が書き分けている以上、拒否の禁止の対象は入居者までだというのが当サイトの考えです。介護付有料老人ホームに入居の前に断られた場合、この規定を根拠に断りを覆すことは難しくなります。
自分の施設が指定を受けているかどうかは、相談員に「介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けていますか」と聞けば分かります。指定を受けていれば、介護付有料老人ホームか、介護型のサービス付き高齢者向け住宅です。
介護老人保健施設と特別養護老人ホームには、正当な理由がなければ提供を拒めないという規定があります。どちらも対象は入居者に限られていません。「特養」「老健」と略して名乗る施設もありますが、指しているのはこの2つです。
断った理由を説明させる決まりが無い点は5種類に共通しますが、断ること自体の制限はこの2種類だけ重くなります。
特別養護老人ホームの基準 第4条の2について、解釈通知(老企第43号)は「原則として、入所申込に対して応じなければならないことを規定したもの」としています。申し込みにも及ぶことが言葉になっているのは、5種類のうちこの種類だけです。
介護老人保健施設の基準 第5条の2も、対象を限定していません。ただし解釈通知(老企第44号)が挙げる例のうち、自らサービスを提供することが困難な場合は入所者を基準にした書き方です。
条文の文言だけからは入所申込にも及びますが、そう説明した厚生労働省の文書は見当たりません。
特別養護老人ホームでは、家族の状況も申し込みの順位を決める材料になります。基準 第7条第2項が定めているのは、定員を超える申し込みがあるときに「介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し」て必要性が高い人を優先することです。家族が支えられないことは、ここで不利な条件になりません。申し込みの順位づけの仕組みのうえでは、自分の態度と結びつける理由はないはずです。
出典: e-Gov法令検索 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
断った理由を説明する義務も、書面で出す義務もありません。代わりにあるのが、提供が困難だと認めたときの紹介の義務です。
この義務は、入居申込者を明文で対象に含んでいます。ただし、施設は対象になるものと対象外のものに分かれる形です。
条番号は、特別養護老人ホームが第4条の3・介護老人保健施設が第5条の3・介護付有料老人ホームが第179条第3項です。
対象になる3種類でも、この義務には限りが2つあります。
1つは紹介先です。条文が挙げているのは「適切な病院又は診療所」で、特別養護老人ホームだけが介護老人保健施設と介護医療院(長期の療養と介護を行う施設)まで含みます。別のホームを紹介せよという定めではありません。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
もう1つは、この義務が動く場面です。老企第44号は、この措置を「その病状が重篤なために介護老人保健施設での対応が困難であり、病院又は診療所での入院治療が必要であると認められる場合」と説明しています。
出典: 厚生労働省 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について(老企第44号)
想定されているのは本人の病状です。家族の言動を理由に断った場面でこの義務が動くと説明した厚生労働省の文書は、見当たりません。
制度が施設に求めているのは、ここまでです。
それでも、家族のことを見たうえで断るなら、その理由と次に当たる先を示すところまでが筋だと当サイトは考えています。
関係が壊れた場面ですら次に当たる先を示すよう求めているのが、対策マニュアルの考え方です。
家族のことが入居の前に見られるのは、厚生労働省が提供の前の情報収集を勧めている構図の中でのことです。見られたこと自体を、責められる理由はありません。責められるのは、見たうえで断りながら、その理由も次の相談先も示さないことのほうです。
断られた後に次の相談先をどう求めるかは、たった今断られた方に向けた記事で扱っています。
次の面談で変えるのは、要望の量ではありません。原因が自分にあったと決めてから取り組むものでもありません。
3つとも、次の面談で家族ができることです。
家族の中で主な連絡窓口を1人決めます。ほかの家族が面談に出るときも、誰が中心になって施設と調整するのかを伝えておくことです。
きょうだいの意見が分かれている場合や、遠方に住む家族がいる場合は、誰を窓口にするかで話がまとまらないこともあります。決められないときは、施設の面談に毎回出られる人を窓口にしてください。
家族の中で結論が出ていない論点があるなら、その論点だけを「まだ決まっていない」と伝えます。人を替えて話すと、まとまっていない論点が人ごとに違う形で伝わります。
窓口を1人にするのは、要望の理由を正確に伝えやすくするためです。
要望は引っ込めず、なぜそれが必要かを添えた形に変えてください。
たとえば「毎日入浴させてほしい」だけを伝えるのではなく、「皮膚の状態が悪く、医師から毎日洗うように言われている」を先に置きます。
理由の付いた要望は、施設が対応できるかどうかを検討する材料になります。
要望を伝える前に、その施設の体制でそれができるのかを先に聞いてください。
具体的には、夜間に対応できる職員がその時間帯に何人いるかを確かめます。通院の付き添いをどこまで頼めるかも、要望を出す前に聞く項目です。
できない対応を期待したまま入居すると、入居した後に食い違いが表に出ます。
希望する対応がその施設の体制では難しいと分かった場合は、交渉を続けずに、条件の合う別の施設を探すほうへ切り替えてください。
この3つがどこまで当てはまるかは、申し込んだ施設の種類で違うところです。
提出書類と面接の結果を会議にかけて可否を決めると公表している介護老人保健施設では、3つとも当てはまります。介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅では、面談での伝わり方が変わります。特別養護老人ホームは申し込みの順位づけの仕組みがあるため、動く幅がいちばん小さくなります。
面談で家族のことが見られていたとしても、それ自体を悔やむ必要はありません。
断られた理由は、おそらく最後まで教えてもらえません。それでも責められるべきなのは、見たうえで断りながら、その理由も次の相談先も渡さなかった施設のほうです。
次の面談では、誰が中心になって施設と調整するのかを先に伝えてください。
ここを飛ばすと、要望の理由が伝わる前に、話す人ごとに違う話が施設へ届きます。理由が分からないままでも、変えられるのはここです。