医療対応が難しいと断られたとき、処置と時刻と実施者に分けて確かめる方法

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親に医療の処置が要る状態で、介護付有料老人ホームから「医療対応が難しい」と断られた家族に向けた記事です。何が難しいのかが分からないまま次の施設へ電話をかけて、また同じ一言が返ってくる段階を想定しています。

この記事を読むと、「医療対応が難しい」を処置・時刻・実施者の3つに分けて確かめる手順が分かります。断られたときに聞く4つ、施設の回答の読み分け方、そして親の処置名と時刻を入れてそのまま読み上げられる確認文までを渡します。

「医療対応可」だけでは判断できない

「医療対応可」は、対応できる処置の一覧でも、対応できる時間帯の説明でもありません。この言葉を、処置・時刻・実施者の3つに分けて考えるところから始めます。

急いでいる人は、次の4つだけ持って電話をかけてかまいません。

断られたときに聞く4つ

  1. 親に必要な処置を、必要な時刻と頻度で実施できるか
  2. 日中と夜間は、それぞれ誰が実施するのか
  3. その職員が不在のときの代替要員はいるか
  4. 夜間に状態が変わった場合、誰が判断し、誰が現場へ来るのか

この4つは、「医療対応できますか」という問いの中身をほどいたものです。ほどかないまま聞くと、どの施設も「相談させてください」としか答えられません。

この記事が扱うのは、介護付有料老人ホームです。介護保険の指定を受けて、その施設の職員が介護を行う形のもので、制度上は特定施設入居者生活介護と呼ばれます。以下、制度の話でも「介護付有料老人ホーム」と書きます。住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設は、この記事では扱いません。人員の決まりも、使う調査の対象も別だからです。

この記事は、施設の表示を疑えという記事ではありません。 「医療対応可」という表現や、加算を取っているという表示そのものが誤りだと言うつもりはありません。ただ、その表示からは、夜間に誰が建物にいて、親の処置を実施できるかまでは分かりません。だから表示を否定するのではなく、実際の配置と対応の手順を確認します。

上の4つを聞く必要がある理由は、施設の側の実態にあります。厚生労働省の老人保健健康増進等事業として令和5年度に行われた実態調査によると、調査対象の介護付有料老人ホームでは、夜間(深夜帯)に看護職員が0人の施設が80.0%、夜間に看護職員が1人以上配置されている施設は14.1%でした。

出典:令和5年度老人保健健康増進等事業「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究事業」報告書(PwCコンサルティング合同会社)p.48

この数字が示していることは一つです。調査対象の施設のなかでは、夜間に看護職員がいないことは例外ではありませんでした。 だから、申し込む施設について夜間の体制を自分で確かめないかぎり、どちらなのかは分かりません。

確かめずに選ぶと、入居してから食い違いが出ます。夜中に痰がからんで呼吸が苦しくなったとき、対応できる職員が建物にいません。翌朝まで待つか、救急車を呼ぶかになります。そういう場面で初めて「夜間はいません」と知ることになります。

この2つの数字については、読み方の断りが2つあります。

1つ目。この調査の集計をそのまま見ると、80.0%と14.1%を足しても100%になりません。 合わせて94.1%で、残りは別の区分に入ります。「0人が80.0%だから、1人以上は20.0%」という引き算はできません。

2つ目。これは「医療対応が難しい」と断った施設の割合ではありません。 調査対象の介護付有料老人ホーム全体についての数字です。断った施設だけを取り出して数えたものではないので、「断った施設の8割は看護職員がいない」とは読めません。

では、断られた理由は時間帯だけなのでしょうか。そうではありません。同じ調査には、受け入れられないことがある理由をたずねた設問があります。回答した1,165の介護付有料老人ホームのうち、「医療処置の内容によって対応できないものがある」を挙げたのは84.0%でした。

出典:同報告書 p.80

処置の中身は関係ない、とは言えません。 処置の中身も、必要な時間帯も、どちらも判断に関わっています。だからこの記事は「原因は夜間だ」とは書きません。処置と時刻と実施者に分けて、それぞれを確かめます。

処置ごとの差も出ています。同じ調査で、この「医療処置の内容によって対応できないものがある」と答えた施設に、受け入れが難しい医療処置の内容をたずねた結果では、レスピレータ(人工呼吸器)の管理が87.2%、胃ろう・腸ろうの管理が24.6%でした。

出典:同報告書 p.80

この2つの設問について、読み方の断りが2つあります。

1つ目。84.0%と87.2%・24.6%は、分母が違います。 前者は受け入れられないことがある理由を答えた施設全体を分母にしており、後者はそのうち「医療処置の内容によって」と答えた施設だけを分母にしています。同じ条件の数字として並べないでください。

2つ目。これらの設問が複数回答かどうかは、資料から確認できません。 だから割合の合計や、項目どうしの差を細かく読みません。ここで言えるのは、処置の内容を理由に挙げた施設が相当数あることと、処置によって受け入れの難しさに差があることまでです。

この調査は、差が生まれた原因を分析していません。 処置の医学的な難しさ、必要な見守りの量、実施の頻度、法律上の実施者の範囲など、複数の要因が考えられます。どれが理由になっているかを、この数字から決めることはできません。

もう一つ、書面から分からないことがあります。介護付有料老人ホームの看護職員と介護職員の配置は、常勤換算という数え方で基準が置かれています。職員全員の勤務した延べ時間数を、常勤の職員1人分の勤務時間で割った頭数のことで、全部のシフトを合算して平均したものです。夜間について省令(法律の委任を受けて厚生労働省が定める決まり)が求めているのは「常に一以上の介護職員が確保されること」だけで、看護職員の夜間の配置を求める規定は置かれていません。

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第175条

かみ砕くと、夜勤の時間帯に看護職員がいるかどうかは、この配置の基準からは決まらないという意味です。常勤換算で置かれた基準上の人数は、平均して何人分の勤務があるかを表しているだけで、いつの時間帯にも常にその人数がいるという意味ではありません。これは最低限の決まりでもあります。

だから、聞くべきは配置の数字ではありません。次の章で、何を聞けばよいかを詰めます。

同じ処置でも時間帯と体制で対応が変わる

日中に看護職員がいることと、夜間に対応できることは、別のことです。同じ処置でも、必要な時刻がずれるだけで答えが変わります。

夜間について単独で確かめる必要があることを示す数字があります。同じ実態調査によると、夜間に喀痰吸引(たんの吸引)ができる人が「常にいない」施設が59.8%、「常にいる」が17.5%、「いない場合もある」が16.9%でした。いずれも調査対象の介護付有料老人ホームについての数字であり、3つを足しても100%にはなりません。 残りは別の区分に入るため、足して残りを計算する読み方はしません。

出典:同報告書 p.48

この調査は日中の値を示していないので、日中と夜間を比べた数字ではありません。 言えるのは、夜間について単独で確かめないと分からない、というところまでです。「たんの吸引に対応しています」という説明が本当であっても、それが夜間も含めての話なのかは別に聞きます。

ここで、人数を聞くだけでは足りない理由があります。「夜間は何人いますか」と聞いて数字が返ってきても、次の5つは分からないままです。

  • その職員が、親に必要な具体的な処置を実施できるのか
  • 必要な時刻と頻度をすべてカバーできるのか
  • その職員が休みや急病のとき、他の入居者の対応中のときに代われる人がいるのか
  • 施設と職員の登録や研修の範囲が、その処置に対応しているのか
  • 急変したときに誰へ連絡し、誰が現場へ来て、どの時点で搬送を判断するのか

このうち4つ目と5つ目は、制度の側に手がかりがあります。介護職員が喀痰吸引などを行うときの事業者の登録の基準は、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第26条の3に置かれています。そこで求められているのは、次のものです。

  • 医師の文書による指示
  • 医師又は看護職員による定期的な状態の確認と情報の共有
  • 計画書の作成
  • 報告書の医師への提出

そして、もう一項あります。

対象者の状態の急変等に備え、速やかに医師又は看護職員への連絡を行えるよう、緊急時の連絡方法をあらかじめ定めておくこと。

出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第26条の3

かみ砕くと、制度が求めているのは、人がそこにいることではなく、指示と連絡の体制が回ることです。 だから夜間について確かめるのは人数だけではありません。その時間帯に、医師の指示書があり、看護職員へ連絡がつき、必要なら現場へ来られる形になっているかどうかです。

この規定から「夜間に対応できない施設は体制を整えていない」とは言えません。 対応できない理由は、本人の状態や処置の方法、医療職の判断、人員の余裕など複数あり得ます。ここで言えるのは、確かめる項目が人数だけではないということまでです。

では、これらをどう聞くのでしょうか。聞く前に、手元の材料を用意します。 時間帯と体制を聞くには、こちらの側も時間帯を出せなければなりません。まず、親に必要な処置を時刻と回数の形に直します。

書き出しの例

胃ろうからの経管栄養が1日3回(朝7時・昼12時・夕18時)。喀痰吸引が1日6回程度で、そのうち深夜1時ごろと明け方5時ごろの2回が夜勤帯。在宅酸素は24時間で、機器の確認が朝晩2回。

この形で伝えると、「深夜帯に喀痰吸引を2回」という具体の負担として渡したことになります。返ってくる答えが必ず変わるわけではありません。 判定に持ち帰られて「相談させてください」で終わることもあります。それでも、この形で渡しておく値打ちは残ります。断られたときに、何が足りなかったのかが手元に残るからです。次の施設には、その条件を先に伝えられます。

書き出したものを持って、冒頭の4つを聞きます。ここまでが、全員がやる作業です。

そして、その4つに「できません」と返ってきたとき、次に何をするかが変わります。ただしその前に、「できない」という言葉が制度の話なのか、その施設の話なのかを分けておきます。次の章はそこを扱います。

制度上できてもその施設でできるとは限らない

この章の話は一つだけです。制度上できることと、その施設でできることは別だということです。

「看護師がいないから吸引できない」という説明は、制度の話としては正確ではありません。一定の研修などを受けた介護職員が実施できる行為が、制度上あるからです。

社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条は、その行為を次の5つに限って列挙しています。

  • 口腔内の喀痰吸引
  • 鼻腔内の喀痰吸引
  • 気管カニューレ内部の喀痰吸引
  • 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
  • 経鼻経管栄養

出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第1条

限って列挙されている、という点が効きます。かみ砕くと、この5つの外にある処置は、研修を受けた介護職員では行えないということになります。在宅酸素の管理も、インスリン注射も、中心静脈栄養も、この5つには入っていません。

親の処置がこの5つの外にあるなら、実施するのは看護職員です。 この場合、確かめる先が変わります。介護職員の研修や登録を聞いても意味がなく、その処置が必要な時刻に、看護職員が建物にいるかを聞くことになります。日中だけで足りるなら、夜間の体制は決め手になりません。夜間にかかるなら、そこが分かれ目になります。

そのうえで、5つの中にあれば必ずできる、というわけでもありません。 要件が二重にかかっているからです。

一つは、行為をする職員本人の資格です。介護福祉士なら登録証への「喀痰吸引等」の付記が要り、それ以外の介護職員なら認定特定行為業務従事者の認定証が要ります。もう一つは、事業所としての登録です。登録喀痰吸引等事業者、または登録特定行為事業者として届け出ていなければなりません。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「喀痰吸引等」

かみ砕くと、要件は職員個人にかかるものと、施設にかかるものの二段構えです。前の2つ(登録証への付記・認定特定行為業務従事者の認定証)が職員個人にかかるもので、後ろの2つ(登録喀痰吸引等事業者・登録特定行為事業者)が施設にかかるものです。どちらか片方だけでは足りません。

ここでいう「事業所」は、申し込んでいるその介護付有料老人ホームのことです。この登録の仕組みは事業所ごとにかかるもので、訪問介護など他のサービスも同じ枠組みで登録します。だから「制度としてはできる」と「この施設ではできる」の間に、登録という条件がもう一つあります。

職員が研修を修了しているだけでは足りません。 施設として届け出ていなければ、その職員はその施設で実施できません。

ここまでで、制度の側の境目は見えました。次は、施設から返ってきた「できません」を、その境目に当てて読み分けます。

施設の回答を3つに読み分ける

「できません」と言われたとき、次に当たる先が変わるかどうかは、その「できません」の中身で決まります。

よくある分け方は「制度上できない」と「うちではやっていない」の2つですが、これでは足りません。真ん中が落ちるからです。少なくとも次の3つに分けます。

  1. 制度上、介護職員には実施できない
  2. 制度上は対象になり得るが、本人の状態や医療上の条件から実施できない
  3. 制度上は対象になり得るが、その施設の登録・職員・シフトでは実施できない

この3つは、この記事の整理であって、公的に定められた区分ではありません。 施設に「1ですか、3ですか」と聞いても通じません。聞くのは中身のほうです。

なぜ3つに分けるかというと、2と3を取り違えたときの損が、どちらの向きにも大きいからです。2は本人の側の条件なので、確かに2だと分かれば、条件が変わらないかぎり別の施設でも同じ答えになりやすくなります。逆に、実際は3なのに2だと受け取ると、まだ当たれる先が残っているのに探すのをやめてしまいます。

やっかいなのは、現場ではどれも「対応が難しくて」という同じ言葉で返ってくることです。言い回しから区分を当てようとしないでください。聞き返して、本人のどの状態を問題にしているのか施設側の何が足りないのかの、どちらの話なのかを確かめます。

返答が1(制度上できない)のとき

「その処置は看護師でないと行えないので」という言い方になります。ここで終わりにしないでください。読み分けたら、夜間も含めて看護職員が実施できる体制があるかどうかを聞き返します。この施設で無理でも、看護職員が実施できる体制の施設なら受けられる余地があります。 だから1は「探さなくてよい」ではなく、条件を明示して当たり直す話です。次の施設には最初から「夜間も看護職員が実施できる体制が必要」と伝えます。

返答が2(本人の状態や医療上の条件)のとき

「今の状態では、主治医の先生とも相談が必要な内容で」「傷の状態がこうなので、この方法では難しい」という言い方になります。本人の状態や処置の方法そのものが問題にされているなら、2です。読み分けたら、どの状態がどう変われば検討できるのかを聞き返します。2だと確かめられた場合に限り、探す先を変える前に、処置の方法や頻度を医療の側と相談します。

返答が3(その施設の登録・職員・シフト)のとき

「うちは喀痰吸引の登録をしていないので」「できる職員が日勤だけなので」という言い方になります。施設側の体制が問題にされているなら、3です。読み分けたら、同じ処置に対応している介護付有料老人ホームが近くにあるかをケアマネジャーや病院の相談員に聞きます。3なら、別の施設で受けられる見込みがあります。

まとめると、2だけが「探す先を変えても答えが変わりにくい」側であり、1と3は条件を明示して当たり直す話です。この違いが、次の1本の電話の宛先を変えます。

なお、ここで言う「別の施設」は、この記事が扱っている介護付有料老人ホームのことです。相談の場では住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅なども入居先の候補として出てきますが、それらは人員の決まりも契約の形も違うため、ここで書いた3区分や登録の決まりをそのまま当てはめないでください。 この記事では扱いません。

感染症を理由と言われたときの聞き分け

ここまでは「誰が、いつ、その処置を実施できるか」の話でした。感染症を理由と言われた場合は、確かめることが変わります。

確かめる境目は一つです。感染症の名前がついていることと、いま人にうつす状態であることは別だという境目です。この見分けができれば、待つべき話なのか、そもそも待つ必要のない話なのかが分かれます。

この境目には、国の文書に手がかりがあります。ただし、その文書がどこまで効くのかには限りがあります。厚生労働省の「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」改訂版は、同じ文書の注記で、次のように述べています。

本マニュアルは、主として、介護老人福祉施設、介護老人保健施設での活用を想定して作成していますが、その他の高齢者に関わる社会福祉施設や居住系サービス事業所、通所サービス事業所等においてもご活用いただけます。

出典:厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」改訂版(2019年3月)注1

つまり、この文書が主として想定しているのは介護老人福祉施設と介護老人保健施設であり、介護付有料老人ホームを名指しで縛る規範ではありません。 「居住系サービス事業所等においても活用できる」とされているだけです。本文で使われる「入所」という語も、介護保険施設の言い方であって、有料老人ホームの「入居」とは書き方が違います。

そのうえで、このマニュアルには次の一文があります。規範としてではなく、考え方の根拠として引きます。

ただし、入所予定者に対して、結核の既往や薬剤耐性菌の保菌等を理由に入所を断ってはいけません。

出典:厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」改訂版(2019年3月)

この一文は、先ほどの境目を国の文書の側から支えています。既往や保菌は、それだけを理由に断る材料にはならない、という考え方です。

「感染症なら待てば入れる」とは書きません。 保菌や既往は、陰性になるのを待つ話ではありません。菌を持っているだけの状態や、過去にかかったという記録に対して待つ期間はなく、待っても状況は変わりません。一方で、いま発症していて人にうつす状態なら、治療の期間があります。この2つを混ぜると、待たなくてよい人が待つことになります。

確かめるのは3つです。

  • 現在、人にうつす状態だという判断なのか
  • 保菌や既往だけなのか
  • 施設が問題にしているのは感染症そのものか、それとも個室や隔離の設備か

言葉にすると、こうなります。「いま人にうつす状態だという判断ですか。それとも菌を持っているだけという記録に対しての判断ですか」。この一問で、待つ話なのかどうかが分かれます。

用語の意味は次のとおりです。保菌は、菌を持っているだけで症状が無い状態です。既往は、過去にかかったことがあるという記録です。どちらも、いま人にうつすことを意味しません。

3つ目の「設備か」を確かめる理由は次のとおりです。感染症そのものを理由とする断りと、個室や隔離の設備が無いことを理由とする断りは、次にやることが違います。前者なら医師の判断を確かめることになり、後者なら設備のある施設を探すことになります。ただし、この2つを明示的に区別して論じた公的な文書には行き着いていません。 ここは公的な線引きがあるという話ではなく、聞き分けるための2つとして示しています。

治療の期間について、もう一点。医師が示す治療の期間と、その施設が受け入れを再開する日は、同じではありません。期間の目安を聞いても、それが入居できる日にはなりません。再判定の条件と時期は、施設に別途確かめます。

ここまでで、聞くことは決まりました。最後に、それを電話でそのまま読み上げられる形にします。

電話や見学でそのまま使う確認文

この章は、ここまでの確認を、自分の親の処置名と時刻を入れた形にするための章です。冒頭の4つを、そのまま読み上げられる文にします。

角かっこの中を、自分の親の情報に置き換えてください。

そのまま使える確認文

母(父)は、[胃ろうからの経管栄養が1日3回、朝7時・昼12時・夕18時]と、[喀痰吸引が1日6回程度、うち深夜1時ごろと明け方5時ごろの2回]が必要です。この処置を、この時刻と回数で実施していただけますか。日中と夜間は、それぞれどの職種の方が実施されますか。その方がお休みや急病のとき、代われる方はいらっしゃいますか。夜間に状態が変わった場合、誰が判断して、誰が現場へ来られますか。

「難しい」と言われたときの聞き返しも、あわせて用意しておきます。

「難しい」と言われたときの聞き返し

それは、制度上その処置を介護職員が行えないということでしょうか。それとも、母(父)の今の状態や医療上の条件から難しいということでしょうか。あるいは、貴施設の登録や職員の体制で難しいということでしょうか。

断りの理由が感染症だったときの聞き返し

いま人にうつす状態だという判断ですか。それとも菌を持っているだけという記録に対しての判断ですか。ご心配なのは感染症そのものでしょうか、それとも個室や隔離の設備のほうでしょうか。

電話で聞いた内容は、入居の判定の段階でもう一度確かめます。 電話に出た人と、判定に関わる人は違うことがあります。口頭の回答だけで進めず、申込みの資料や面談の場で同じ内容を確認します。

条件が合わなかったときは、同じ抽象的な条件のまま次を探さないでください。何が足りなかったのかを、次の介護付有料老人ホームへ先に伝えます。 「深夜帯の喀痰吸引に対応できる方がいないと言われました」と最初に言えば、対応できない施設は最初の電話で分かります。

全員がやることは、次の3つです。

  1. 処置名・必要な時刻・1日の回数・夜間の有無を書き出す
  2. その紙を持って4つを聞く
  3. 「できない」と言われたら3つのどれかを確かめる

そのうえで、返ってきた答えによって進む先が分かれます。

断りの理由が感染症だったとき。 感染症の章で挙げた聞き分け(いま人にうつす状態か/保菌や既往だけか/設備の話か)を使います。

「本人の状態や医療上の条件から難しい」だったとき。 探す先を変える前に、処置の方法や頻度を医療の側と相談します。

「制度上、介護職員には実施できない」だったとき。 夜間も看護職員が実施できる体制が必要だと明示して、次の施設に当たり直します。

「その施設の登録・職員・シフトで難しい」だったとき。 何が足りなかったかを、次の介護付有料老人ホームへ先に伝えます。

まとめ

「医療対応が難しい」は、処置名だけでは翻訳できません。処置の中身も、必要な時間帯も、実施できる人がいるかどうかも、すべてが混ざった一言だからです。

だから、抽象的な断り文句のまま次の電話をかけないでください。 処置名・必要な時刻・頻度・実施者・代替要員・急変時の対応まで分けて聞きます。分けて聞けば、断られたときにも何が足りなかったのかが残ります。それが次の1本の電話を短くします。

当サイトは介護施設を運営している事業者ではありません。

参考にした資料

この記事で使った資料は次のとおりです。