※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

ケアマネに「施設を探したい」と伝えたのに、返ってきたのはパンフレット1枚と、「ご家族で探していただく形になります」の一言でした。
これは担当者のやる気より前に、特養など介護保険施設の紹介はケアマネの業務で、有料老人ホームの紹介は業務の外という制度の線引きから起きています。
この線を知ると、ケアマネに頼めることと、別の窓口へ持っていくことが分かれ、止まっていた施設探しが動き出します。
ケアマネが施設探しに動きにくい背景には、国の基準の書き方、居宅ケアマネの持ち場、報酬の出方、中立を守る義務、本人の意思を優先する原則、担当件数の多さがあります。理由は次の6つです。
どれも、ケアマネ個人のやる気とは別のところにあります。
ケアマネの仕事の範囲は、厚生労働省令の「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」で決まっています。その第13条第17号に、施設について書かれた一文があります。
介護支援専門員は、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが総合的かつ効率的に提供された場合においても、利用者がその居宅において日常生活を営むことが困難となったと認める場合又は利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うものとする。
ここでいう介護保険施設は、介護保険法が特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院の3つと定めています。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームは、この3つの外にあります。
つまり、特養の紹介はケアマネの業務に入っていて、有料老人ホームの紹介は業務の外にあります。「施設探しはケアマネの仕事の外」とひとまとめに語られがちですが、正確には施設の種類で線が引かれています。この線が、この記事の一番大事な事実です。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第17号
同じ基準の第1条の2第1項には、居宅介護支援の目的が書かれています。要介護になっても「可能な限りその居宅において」自立した日常生活を営めるよう配慮して行う、という一文です。
在宅で暮らす人を担当するケアマネは「居宅ケアマネ」と呼ばれ、この目的に沿って、訪問介護やデイサービスを組み合わせたケアプランを作ります。基準の最初に「できるだけ家で」と書かれているため、施設へ移る方向へ自分から動くのは、持ち場の外へ出る行動になります。
家族から見ると「なぜ動いてくれないのか」と感じます。ケアマネの側から見ると、「家で暮らし続ける支援」が本来の仕事で、施設入居はその先にある別の段階です。この前提を知っておくと、頼み方が変わります。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第1条の2第1項
ケアマネの事業所には、居宅介護支援費という介護報酬が入ります。介護保険法は居宅介護支援を「居宅要介護者」への支援と定めていて、この報酬は在宅で暮らす利用者について算定されます。利用者が特養や有料老人ホームに入った時点で、居宅ケアマネとの契約は終わります。施設に入った後は、その施設に所属するケアマネが施設サービス計画を作る仕組みだからです。
言い換えると、居宅ケアマネにとって施設探しは、自分の担当を1人減らす仕事です。時間をかけて施設を探しても、その時間に対する報酬はゼロです。
ケアマネの人柄とは別のところで、報酬の仕組みがそう作られています。だからこそ、「なぜ探してくれないのか」と責めるより、ケアマネに頼める範囲を知って、範囲の外は別の窓口を使うほうが早く進みます。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法 第8条第24項・第26項
基準の第1条の2第3項には、こう書かれています。
指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援の提供に当たっては、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って、利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の種類又は特定の指定居宅サービス事業者等に不当に偏することのないよう、公正中立に行われなければならない。
第25条では、特定の事業者のサービスを利用させる見返りに金品を受け取ることも禁じられています。この義務があるため、ケアマネは「ここがいいですよ」と特定の施設を名指しで勧めることに慎重になります。同じ法人が有料老人ホームを運営している場合はなおさらで、自分の法人の施設を勧めれば誘導と受け取られる恐れがあります。
家族には「紹介を避けている」ように見えても、ケアマネの側は中立を守ろうとしている場合があります。名指しの紹介の代わりに、地域にある施設の一覧や相談先を教えてもらう形なら、この義務と両立します。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第1条の2第3項・第25条
同じ第1条の2第3項に「利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って」という言葉があります。ケアマネが最優先するのは利用者本人の意向で、家族の希望はその次に置かれます。
家族が「もう家では難しいので施設を」と思っていても、本人が「家にいたい」と言っているあいだは、ケアマネは本人の意向を尊重して待つ側に回ります。動いてしまえば、本人の意思に反して施設へ送る形になるからです。
親に施設の話を切り出しにくい家族は多く、ケアマネに先に言ってもらいたくなります。ただ、本人の意向が固まる前にケアマネへ頼んだ場合、話はそこで止まります。家族と本人のあいだで「施設も考える」という合意を先に作ることが、ケアマネを動かす一番の近道です。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第1条の2第3項
ケアマネ1人が担当できる件数には目安があります。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で、居宅介護支援費が減額されずに担当できる件数は45件未満になりました。改定前は40件未満でしたので、5件分ゆるみました。ケアプランデータ連携システムを使い、事務職員を置いている事業所は50件未満です。人員の基準でも、利用者44人ごとに常勤のケアマネ1人(同じ条件を満たす事業所は49人ごとに1人)と定められています。
その1件ごとに、月1回の自宅訪問、ケアプランの作成と見直し、サービス事業者との連絡が発生します。施設の空き状況や費用は施設ごとに違い、しかも日々変わります。これだけの人数を担当しながら、1人のために複数の施設へ問い合わせて回るのは、時間の面で難しくなります。
ケアマネが把握しているのは、自分が過去に関わった施設や、近くの数施設までです。「知っている範囲の情報はもらえます。探し回るのは別の窓口です」と考えておくと、期待とのずれが減ります。
出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について
施設探しの分担は、施設の種類で変わります。特養などの介護保険施設はケアマネに頼めます。有料老人ホームは家族が探し、ケアマネには状況の見通しと施設へ渡す情報の整理を頼みます。入居できるかどうかを決めるのは施設です。
| 施設の種類 | 探す・申し込む | ケアマネに頼める範囲 | 入居の可否を決める |
|---|---|---|---|
| 特養・老健・介護医療院 | 家族(施設や自治体へ直接) | 紹介・申込への協力・つなぎの調整 | 施設 |
| 有料老人ホーム・サ高住・グループホーム | 家族 | 在宅の限界の見通し・施設へ渡す情報の整理・つなぎの調整 | 施設 |
表のとおり、どちらの種類でも「探す」は家族の側にあります。違うのは、ケアマネに「紹介」まで頼めるかどうかです。
前の章で見たとおり、運営基準の第13条第17号は、利用者が介護保険施設への入所を希望する場合にケアマネが「紹介その他の便宜の提供」を行うと定めています。特養・老健・介護医療院については、紹介を頼んでよい範囲に入ります。
「特養に申し込みたいので、この地域で申し込める施設と、申込に必要なものを教えてください」と伝えれば、ケアマネは対応する立場にあります。断られたときは、基準に書かれた業務であることを穏やかに伝えてかまいません。
特養の申込そのものは、本人や家族が施設へ直接行います(自治体によっては窓口で一括して受け付けています)。ケアマネの許可は不要です。申込書にケアマネの記入欄がある自治体では、その部分の記入を頼みます。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第17号
有料老人ホームは介護保険施設の外にあるため、紹介はケアマネの業務の外です。入居先の候補を集める、費用と受け入れ条件を比べる、見学を予約する、申し込む、という作業は家族が担います。
負担に感じますが、家族が探すことには利点もあります。ケアマネが知っている施設は自分の担当地域の数施設までで、家族は本人の予算、通いやすさ、部屋の好みまで踏まえて選べます。施設側も、家族から直接連絡が来るほうが、状況を細かく聞き取れます。
有料老人ホームの相談を受ける公的な窓口と、施設側が手数料を負担する紹介センターの使い分けは、後の章で説明します。
有料老人ホームを探す場合でも、ケアマネに頼めることは2つあります。
1つは在宅の限界の見通しです。今の介護体制であと何か月続けられそうか、どの段階になったら施設を考えるべきかは、毎月本人を見ているケアマネが一番よく分かっています。
もう1つは、施設側へ渡す情報の整理です。施設は入居前に、本人の要介護度、病気、服薬、認知症の状態、今使っているサービスを確認します。ケアマネはこれらを記録として持っているので、施設からの問い合わせに答えたり、必要な情報をまとめたりできます。
「探してほしい」の代わりに「見通しを聞きたい」「施設に渡す情報をまとめてほしい」と頼めば、ケアマネの持ち場の中で協力してもらえます。
どの施設でも、入居できるかどうかを最終的に決めるのは施設です。特養は要介護3以上が原則で、申込者が定員の空きを上回るときは、介護の必要の程度や家族の状況を勘案して必要性が高いと認められる人から入所させるよう、運営の基準が定めています。有料老人ホームは施設ごとに受け入れ条件が違い、医療的な処置が要る人や、認知症の症状によっては断られることがあります。
空き状況も、分かるのは施設だけです。ケアマネや紹介センターが「空いているはず」と言っても、電話してみたら埋まっていた、という展開はよく起こります。
だから、ケアマネが紹介してくれた場合でも、入居が決まるかどうかは施設の判断で決まります。逆に、ケアマネの紹介を通さずに施設の入居相談員へ直接連絡すれば、空き、費用、受け入れ条件はその場で確認できます。
出典: e-Gov法令検索 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第7条第2項
施設が決まるまでの期間、在宅の介護をどう持たせるかは、ケアマネの本業そのものです。ショートステイ(短期入所)の日数を増やす、訪問介護の回数を増やす、通いと泊まりを組み合わせられる小規模多機能型居宅介護に切り替える、といった調整はケアプランの変更として頼めます。
特養の待機が長引く場合や、有料老人ホームの空き待ちのあいだに、家族の負担が限界に来ることがあります。「施設が決まるまでのあいだ、今の体制を見直したい」と伝えれば、ケアマネは動きます。
施設探しを断られた場合でも、ケアマネに頼めることは残っています。むしろ、つなぎの期間の支えを作れるのはケアマネだけです。
頼み方のコツは、「探してほしい」の代わりに、ケアマネにしかできない仕事に言い換えて頼むことです。運営基準では、地域のサービスの内容や利用料を利用者に情報提供することもケアマネの業務とされています。名指しの紹介を避ける場面でも、情報提供と見通しは頼めます。
頼み方は次の5つです。
どれも、ケアマネの持ち場の中に収まる頼み方です。
言い方の例(断られやすい → 通りやすい)
左は「探す仕事」の依頼で、右は「見通し・情報提供・書類」の依頼です。右の形なら、ケアマネの業務の中で受けてもらえます。
まず聞くとよいのは、施設の名前より先に、在宅があとどれくらい続けられるかです。「あと半年、今の体制で在宅がもつと思われますか」「どの状態になったら施設を考えるべきですか」と聞くと、ケアマネの専門の範囲なので答えやすくなります。
答えが「あと3か月は厳しいと思います」なら、施設探しを急ぐ根拠になります。「まだ在宅で工夫できます」なら、ショートステイの増量などで時間を作れます。
見通しを先に聞くと、家族の中で「まだ早い」「もう限界」と意見が割れたときの判断材料にもなります。紹介を頼んで断られるより、見通しを聞いて動くほうが、ケアマネとの関係も保てます。
次に頼めるのは、施設の種類を絞る相談です。特養は費用を抑えられる代わりに待機が長く、老健は在宅復帰を前提に入所期間の区切りがあり、有料老人ホームは費用が高い代わりに入りやすく、サービス付き高齢者向け住宅は自立度が高い人向け、グループホームは認知症の人向けで原則として同じ市区町村の住民が対象、という違いがあります。
「母の状態だと、どの種類が現実的ですか」と聞けば、ケアマネは本人の要介護度や医療の必要度をもとに答えられます。特定の施設を勧める話と別なので、中立の義務とも両立します。
種類が絞れれば、家族が探す範囲が一気に狭まります。有料老人ホームだけを見ればよいのか、特養にも申し込むべきかが決まると、次の行動が具体的になります。
ケアマネは少なくとも月に1回、利用者に面接します(モニタリング)。ケアプランを見直すときにはサービス担当者会議を開き、本人・家族・サービス事業者が集まります。施設の相談は、この場で正式に持ち出すのが有効です。
理由は、記録に残るからです。玄関先の立ち話で「施設を考えていて」と言うと、ケアマネの記録から漏れて、流れてしまうことがあります。会議の場で「在宅が難しくなってきたので、施設入居も含めて今後を相談したい」と言えば、議事録に残り、次の訪問で進み具合を確認できます。
「次の担当者会議で、施設入居の話を議題にしてほしい」と事前に伝えれば、ケアマネも準備して臨めます。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第14号
前の章で見たとおり、ケアマネは本人の意思を最優先します。本人が「家にいたい」と言っている状態でケアマネに施設を頼んだ場合、話はそこで止まります。
だから、ケアマネに伝える前に、本人と家族のあいだで話をします。
ある家族の進め方
父(要介護2)は「施設は嫌だ」の一点張りでした。娘はまず「体験入居だけしてみない?」と持ちかけ、次にデイサービスの延長でお泊まり(ショートステイ)を月2回に増やしました。3か月ほどで父の口から「あそこなら、まあ」と出たところで、娘はモニタリング訪問のときにケアマネへ「本人も施設を含めて考えると言っています」と伝えました。ケアマネはその場で特養の申込先と、施設へ渡す情報の整理を引き受けました。
本人が「施設も考えてみる」と言えるようになったら、ケアマネには「本人も施設を含めて考えると言っています」と伝えます。この一言で、ケアマネは本人の意向に沿った支援として動けるようになります。本人の意向が変わったことをケアマネに正式に伝える場が、モニタリング訪問です。
最後に、ケアマネにしか頼めない具体の作業を、名指しで頼みます。
どれも日常の業務の延長で、ケアマネにとって引き受けやすい頼みです。「特養の申込書のケアマネ欄を書いてください」「施設に渡す情報を整理してもらえますか」「主治医に意見書の相談をしてもらえますか」と、作業を1つずつ具体的に言うのがコツです。
「施設を探して」という大きな頼みが断られた場合でも、小さな具体の頼みは通ります。家族が探し、ケアマネが書類と連携を担う、という分担が現実的な形です。
ケアマネの業務の外にある部分は、別の窓口を使います。順番は、公的で中立な窓口(地域包括支援センター・市区町村・病院の相談員)が先です。営利の窓口(紹介センター)は、その仕組みを知ったうえで使います。
| 窓口 | 家族が使う場面 | 知っておく点 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 進め方と申込先を知りたい | 要介護でも相談できる。案内を受ける場所として使う |
| 市区町村の介護保険窓口 | 特養の申込・待機状況・特例入所 | 自治体によって一括受付や待機人数の公表がある |
| 病院の医療ソーシャルワーカー | 本人が入院中 | 退院の期限があるため動きが早い |
| 施設の入居相談員 | 入居先の候補が見えてきた | 空き・費用・受け入れ条件はここで分かる |
| 老人ホーム紹介センター | 急いで入居先の候補を集めたい | 施設側が手数料を負担する。提携先が対象 |
表の上から順に当たると、公的な情報を先に得たうえで営利の窓口を使えます。
地域包括支援センターは、市区町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。介護保険法は、被保険者の実情の把握、関連する制度の総合的な情報提供、関係機関との連絡調整を行う事業(総合相談支援)を市町村の地域支援事業として定めていて、対象は被保険者全体です。要介護の人やその家族も相談できます。
「要支援の人の窓口だから、要介護の親のことは相談しづらい」と思っている家族が多いですが、要介護でも正面から相談できる窓口です。施設の種類の説明、地域の特養の申込先、有料老人ホームの相談先の案内を受けられます。
ただし、地域包括支援センターが案内できる施設の数には地域によって差があります。「入居先の候補を出してもらう場所」より「進め方と申込先を教えてもらう場所」として使うと、期待とのずれが減ります。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法 第115条の45第2項第1号・第115条の46
特養は自治体ごとに入所の優先順位を決める指針を作っていて、市区町村の介護保険担当の窓口で申込方法や待機の状況を確認できます。自治体によっては、地域内の特養の申込を窓口で一括して受け付けていたり、各施設の待機人数を公表していたりします。
特養は要介護3以上が原則です。要介護1・2の人も、認知症で日常生活に支障を来す症状や意思疎通の困難さが頻繁に見られる、知的障害や精神障害を伴って同じ状態にある、家族などによる深刻な虐待が疑われる、単身世帯や同居家族が高齢で家族の支援を期待しにくく地域の介護サービスも足りない、という4つの事情のどれかに当たれば「特例入所」として申し込めます。厚生労働省の指針が、この4つを挙げています。この扱いも自治体の窓口で確認できます。
有料老人ホームについても、都道府県や市区町村が届出のある施設の一覧を公表しています。指導や改善命令を受けた施設の情報が載っていることもあり、入居先を絞る前に一度見ておく価値があります。
出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について(平成26年12月12日 老高発1212第1号)
本人が入院中なら、病院の医療ソーシャルワーカー(地域連携室、退院支援室などの名前の部署にいます)が、最も早く動いてくれる相談先です。退院の期限があるため、病院側にも施設を見つける動機があります。
医療ソーシャルワーカーは、本人の病状と必要な医療処置を把握したうえで、受け入れられる施設を探します。医療的な条件が絡む場合は、受け入れの可否をより正確に見極められます。
退院後に施設へ移る場合は、居宅ケアマネはいったん役割を終えることが多く、病院と施設が直接やり取りします。「退院後は施設を考えている」と、入院の早い段階で医療ソーシャルワーカーに伝えるのがコツです。
入居先の候補が見えてきたら、施設の入居相談員に直接電話します。空き状況、費用、受け入れの条件(医療処置・認知症の程度・要介護度)を握っているのは施設で、ケアマネや紹介センターを通すより直接聞くほうが正確で早いです。
見学の申込も直接できます。有料老人ホームは、入居相談員が施設を案内し、その場で費用の内訳や退去の条件を説明してくれます。特養も見学を受け付けています。
「ケアマネから紹介されていないと相談できないのでは」と心配する家族がいますが、施設は家族からの直接の相談を日常的に受けています。むしろ、家族が直接動いている施設のほうが、状況を細かく聞き取れると歓迎されることが多いです。
老人ホーム紹介センターは、家族の希望を聞いて有料老人ホームを紹介する民間の事業者です。相談も紹介も無料で、入居が決まったときに施設が紹介センターへ手数料を払う仕組みになっています。
この仕組みには、家族が知っておくとよい点が2つあります。
厚生労働省は2024年12月に有料老人ホームの設置運営標準指導指針を改正し、有料老人ホームが紹介事業者と委託契約を結ぶ場合について、入居希望者の介護度や医療の必要度に応じた手数料の設定を控えるよう求めました。あわせて、高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)が運営する「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」に届け出て行動指針を守っている事業者を選ぶことが望ましい、とも書いています。届出の有無は高住連のサイトで確認できます。
急ぎで入居先の候補を集めたいときには役立つ窓口です。使うなら、自分でも地域の施設を調べたうえで、紹介された施設について「なぜその施設なのか」を聞く姿勢を持つと、提携先の都合に流されずに済みます。
出典: SOMPOインスティチュート・プラス 有料老人ホームの紹介事業とは~「紹介センター」を利用する際に知っておくべきこと~
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(老発第0718003号・最終改正 老発1206第2号)
出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 紹介事業者届出公表制度
ケアマネを変える基準は、「情報提供と中立を保てているか」です。「施設を探してくれない」は、この基準の外に置きます。有料老人ホーム探しを断られただけなら、それは基準どおりの対応で、変える理由と別の話です。
判断の順番は次の4つです。
上から順に当てはめると、変えるべきかどうかが決まります。
ここまで見てきたとおり、有料老人ホームの紹介はケアマネの業務の外にあり、報酬もゼロです。「ご家族で探していただく形になります」と言われた場合、それ自体は基準に沿った対応です。担当を変えても、次のケアマネも同じ答えをする可能性が高いです。
ケアマネの変更には失うものもあります。新しいケアマネは本人の状態を一から把握し直す(アセスメント)必要があり、これまでの経過や本人の性格を知っている強みが失われます。引き継ぎに1か月以上かかることもあります。
施設探しを断られたら、まずは前の章の頼み方(見通しを聞く、種類を絞る、具体の作業を頼む)を試してからでも間に合います。
一方で、変更を考えてよい状況もあります。
どれか1つでも続いているなら、変更の対象です。判断に迷うときは、地域包括支援センターに「担当ケアマネの対応について相談したい」と伝えれば、中立の立場で助言してくれます。
ケアマネの変更は無料です。利用者は自由に事業所を選べます。運営基準の第4条第2項でも、利用者は複数の事業者の紹介を求めることができると、契約の開始時に説明を受けることになっています。
変更には2段階あります。
本人が直接言いにくい場合は、地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口を通すと穏やかに進みます。変更後もサービス事業者との契約はそのまま使え、利用中のデイサービスや訪問介護は続きます。
出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第4条第2項
施設入所が1〜2か月以内に見えているなら、今の担当のまま進むという判断も合理的です。入所した時点で居宅ケアマネとの契約は終わり、施設のケアマネに引き継がれます。変更の手続きと引き継ぎに時間をかけるより、施設探しに時間を使ったほうが早く片づきます。
その場合、ケアマネには入所までのつなぎ(ショートステイの増量など)と、施設へ渡す情報の整理だけを頼み、施設探しは家族と地域包括支援センター、施設の入居相談員で進めます。
ケアマネへの不満があっても、入所までの短い期間なら割り切れます。逆に、入所の見通しが遠く、在宅が半年以上続きそうなら、情報提供を欠くケアマネのままでは家族の負担が増えるので、早めに変更したほうが結果として楽になります。
いちばん重い事実は、施設の種類で線が引かれていることです。運営基準は、利用者が介護保険施設への入所を希望する場合にケアマネが紹介を行うと定めていて、ここに入る特養・老健・介護医療院は頼めます。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームはこの外にあり、家族が探す部分になります。
次の一歩は、次のモニタリング訪問で「あと半年、今の体制で在宅がもつと思われますか」と見通しを聞くことです。この一歩を飛ばして「探してほしい」だけを繰り返すと、断られたまま数か月が過ぎ、在宅が限界に来てから慌てて入居先を探す形になります。
見通しを聞いたら、次に確かめるのは施設の種類ごとの費用と入居の条件です。地域包括支援センターと施設の入居相談員に当たって、自分の地域の実際の数字を集めてください。介護のあんしんでは、ケアマネに頼める範囲と施設探しの窓口も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。