特養と介護付き有料、先に申し込むべきはどっち?申し込んだ後の動き方とお金の分岐点まで

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※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

 

親の介護が、そろそろ現実になりそうだ。

そう思って調べ始めると、出てくるのは同じ説明ばかりです。

「特養は安いけど、待ちが長い」

「介護付き有料は高いけど、すぐ入れる」

で、結局どっちに先に申し込めばいいの?と。

そこで止まっている人、めちゃくちゃ多いと思います。

しかも、本当に怖いのはその先です。

申し込んだのに、何年も順番が来なかったら。

逆に、まだ在宅で頑張れるうちに、順番が来てしまったら。

つなぎで有料ホームに入るとして、いくら用意しておけばいいのか。

順番が早まる申込書の書き方。待っている間にやるべき2つのこと。順番が来たときの、上手な断り方。そして、補足給付と入居金プランで変わる、お金の分岐点。

動き出すのに必要なのは、この4つだけです。

【結論】特養に、今すぐ申し込む

先に申し込むべきは、特養です。

理由は、3つに尽きます。

  • 待ち時間の差
  • 申し込みが無料で、複数施設に同時に出せること
  • 順番が来ても、断っていいこと

特養は数か月〜数年待ちが普通です(全国の待機者は約27万人と言われます)。一方、介護付き有料は空きさえあれば数週間〜2か月で入れる。

この差が、すべてです。

しかも申し込みにお金はかからないし、3〜5か所に並んでおくのが一般的。つまり、早く申し込んで損をする要素が、ひとつもない。

順番が来ても「まだ在宅で頑張れます」と辞退できますし、ペナルティもありません。

申し込みは「入居の予約」ではなく、「選択肢の確保」です。

だからこの2つは、「どちらかを選ぶ」関係じゃない。

特養が本命。介護付き有料は、つなぎの保険。

本命の行列に早く並んでおいて、限界が来たら有料でつなぐ。この2段構えで動きます。

3つの質問で、自分の状況を確認する

動き出す前に、順番に答えてください。

【質問1】要介護認定を受けていますか?

まだなら、すべてはここからです。市区町村の窓口か、地域包括支援センターで申請しましょう。結果が出るまで、約1か月かかります。

【質問2】要介護3以上ですか?

特養は原則「要介護3以上」が申込条件です。

ただ、要介護1〜2でも、認知症で在宅生活が困難などの事情があれば、特例入所を申し込める場合があります。勝手に諦めず、窓口で相談を。

条件を満たさない間は、介護付き有料やその他の施設が現実的な選択肢になります。

【質問3】在宅介護は、あと1年続けられそうですか?

続けられそうなら、「特養に申し込んで待つ」だけでOKです。

すでに限界が近いなら、特養に申し込むのと同時に、つなぎの介護付き有料を並行して見学し始めてください。

特養に、上手に並ぶための手順

ここ、意外と知られていません。

特養の入居順は、先着順ではありません。困っている度合い(緊急度)の点数で決まります。

つまり、申し込み方と、申し込んだ後の動きで差がつく。具体的には、この3つの場面です。

  • 申込書の「特記事項」に何を書くか
  • 申し込んだ後にやること2つ
  • 順番が来たけど、まだ入りたくないとき

点数は、提出した書類だけで決まるわけじゃない。待っている間に伝えた状況も、ちゃんと反映されます。

申込書の「特記事項」に何を書くか

多くの自治体・施設の入所指針では、本人の介護度に加えて、介護する側の事情が点数化されます。

なので特記事項や備考欄には、こういう事実を具体的に書いてください。

  • 主な介護者が働いている・遠方に住んでいる・高齢である(老老介護)
  • 介護者自身に持病や通院がある
  • 夜間の徘徊、昼夜逆転など、認知症の症状で目が離せない状況
  • 住まいの事情(階段しかない、日中独居になる等)

コツは、感情を書かないことです。

「大変です」ではなく、評価項目に対応する事実を、淡々と書く。

知っ得メモ① 医療的ケアの受け入れ可否は「申し込む前」に確認する

たん吸引、胃ろう、インスリン注射、在宅酸素など、日常的に医療的ケアが必要な方の場合、特養によっては受け入れられないことがあります。特養の医師は非常勤が多く、夜間に看護師がいない施設も珍しくないためです。

怖いのは、数年待って順番が来たときに「その状態では受け入れられません」と断られるケース。並んだ時間が、まるごと無駄になってしまいます。

申し込みの電話をする際に、本人の医療的ケアの内容を伝えて「この状態でも入所できますか」と必ず確認してください。介護付き有料を選ぶときも、同じ確認が必要です。

申し込んだ後にやること2つ

1つ目は、状況が変わったら施設に連絡することです。

介護度が上がった。入院した。介護者が体調を崩した。

こうした変化は、緊急度の再評価につながります。

連絡先は、各施設の生活相談員。「〇〇の申込をしている家族ですが、状況が変わったのでお伝えしたく」と電話すれば、それで大丈夫です。

2つ目は、待機順位を聞いてみること。

「現在どのくらいの順番でしょうか」と聞けば、目安を教えてくれる施設が多いです。

おおよその見通しが分かれば、つなぎの有料ホームが必要かどうかを判断できます。

順番が来たけど、まだ入りたくないとき

「辞退したら、二度と声がかからないのでは」

心配する方が本当に多いのですが、その心配は要りません。

「ありがたいのですが、今はまだ在宅で頑張れそうです。引き続き待機の継続をお願いできますか

これで伝わります。待機リストには残してもらえます。

ただし、辞退が続くと優先度の判断に影響する場合もあります。なので「どういう状態になったら入居したいか」を相談員に伝えておくと、その後の声のかかり方がスムーズになります。

【お金の分岐点】「特養は安い」の落とし穴と、有料の選び方

特養も介護付き有料も、月額は制度の要件と、契約プランの選び方で変わります。

見るべき場所は、3つ。

  • 特養の費用は「補足給付」で大きく変わる
  • 介護付き有料は「入居金0円か、前払いか」
  • 「つなぎ入居」はいくらかかる? ざっくり試算

特養の月額は、制度の要件を満たすかどうかで決まる。介護付き有料の総額は、選んだプランと入居期間で決まる。

特養の費用は「補足給付」で大きく変わる

特養の費用を大きく左右するのが、負担限度額認定(補足給付)という制度です。

住民税非課税世帯などの要件を満たすと、食費・居住費が軽減されて、月額はおおむね6〜10万円程度に収まります。

ただし、注意点がひとつ。

この制度には預貯金の要件(単身でおおむね500〜650万円以下。所得段階により異なります)があって、対象外になると、ユニット型個室で月13〜15万円程度かかることもあります。

つまり「特養=安い」は、全員に当てはまる話じゃない。

思い込む前に、まず自分の親が補足給付の対象になりそうかを、市区町村で確認してください。対象かどうかで、月額の見込みがまるごと変わります。

介護付き有料は「入居金0円か、前払いか」

介護付き有料の料金プランは、大きく2つです。

入居金0円プラン(月額が高め)と、前払いプラン(入居金数十万〜数百万円+月額が安め)。

損益の分かれ目は、施設が定める償却期間(多くは5年前後)です。長く住むほど前払いが有利で、短期なら0円プランが有利になります。

で、つなぎ利用が前提なら、答えはほぼ決まっています。

入居金0円プランを選ぶ。

特養の順番が来たら、数か月〜1年程度で退去する可能性が高いからです。

あわせて、短期解約時の返還ルール(クーリングオフ的な90日ルール)も、契約前に確認を。

知っ得メモ② 老人ホーム紹介センターは「中立の相談窓口」ではない

有料ホーム探しでよく使われる無料の紹介センターやポータルサイトは、入居が決まると施設側から紹介手数料を受け取るビジネスモデルで運営されています。

無料で使えるのはこの仕組みのおかげですが、裏を返せば、提携していない施設は紹介されず、手数料の高い施設が優先的に勧められる可能性もあるということです。

使うこと自体は問題ありません。ただし「紹介されたリストがすべてではない」と知っておき、複数の紹介元を使う、地域包括支援センターやケアマネジャーにも施設名を挙げて意見を聞く、という一手間をかけてください。

「つなぎ入居」はいくらかかる? ざっくり試算

月額22万円の有料ホームに、入居金0円で入る。そして特養の順番を、12か月待つ。

  • 有料ホームの費用:22万円 × 12か月 = 約264万円
  • 在宅介護を続けた場合(介護サービス+諸費用 月8万円と仮定):約96万円

差額は、およそ170万円です。

この170万円を、「介護者の心身と仕事を守るための費用」として出せるかどうか。

ここで、つなぎ入居に踏み切るかどうかが決まります。

逆に言えば、施設に確認した待機順位から待機期間の見通しが立てば、必要な予算も計算できます。

知っ得メモ③ つなぎは有料ホームだけじゃない。「ロングショート」という選択肢

特養待ちのつなぎには、ショートステイ(短期入所)を連続利用する、通称「ロングショート」という方法もあります。介護保険が使えるため、有料ホームより費用をぐっと抑えられるケースが多いのです。

保険で使える日数には上限があり(連続30日まで等のルールあり)、プランの組み立てはケアマネジャーの調整次第。まずは「ロングショートは組めますか」と相談してみてください。

もうひとつの利点は、申し込んだ特養に併設されたショートステイを使うと、施設側が本人の状態をよく知ってくれること。受け入れ準備がしやすくなるため、実際に入所への近道になることがあります。

待ち時間は、地域で大違い

「特養は数年待ち」というのは、主に都市部の話です。

地方では、空きがある施設も珍しくありません。

なので一般論を集めるより、自分の地域の実態を調べるほうが、ずっと役に立ちます。

調べ先は、3つ。

  • 市区町村の公式サイト
  • 厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」
  • 地域包括支援センターか、ケアマネジャー

公式サイトは、「(自治体名)特養 入所指針」「(自治体名)特養 待機者数」で検索します。入所の優先度基準や待機状況を公表している自治体は、かなり多いです。

介護サービス情報公表システムでは、各施設の定員・体制・空き情報が確認できます。

そして一番早いのは、地域包括支援センターかケアマネジャーに、直接聞くこと。

「この辺りの特養、実際どのくらい待ちますか」

この一言でいい。この人たちは、地域の肌感覚を持っています。

そのまま使える、申込管理シート

複数施設に申し込むと、どこに何を出したか、必ず分からなくなります。

なので、次の表をメモアプリか紙に書き写して使ってください。

施設名申込日待機順位(確認日)最終連絡日メモ(相談員名・伝えた内容)
例:〇〇苑9/1015番目(9/10)9/10相談員△△さん。母の入院を報告済み

半年に1回、この表を見ながら各施設に近況連絡を入れる。

これだけで、「並びっぱなしで忘れられる」が防げます。

【まとめ】今週やること

今週やることは、5つだけです。

  1. 要介護認定を確認する
  2. 地域包括支援センターに相談する
  3. 補足給付の対象になりそうか確認する
  4. 特養3〜5か所に申し込む
  5. 介護付き有料は2〜3か所、資料請求だけしておく

未申請なら、要介護認定の申請がスタート地点。出し先は市区町村です。

地域包括支援センターには、「特養に申し込みたい。この地域の待ち時間の実感も教えてほしい」と伝える。これで、申込先と待ち時間の見当が同時につきます。

補足給付の対象になりそうかが分かれば、つなぎに回せる予算も決まる。

申込書の特記事項には、介護者側の事情を具体的に。医療的ケアがあるなら、受け入れ可否も電話で確認。

介護付き有料の資料請求で見るのは、入居金0円プランがあるかどうか。それだけです。

施設選びで一番もったいないのは、「まだ大丈夫だから」と、行列に並ぶのを先延ばしにすることです。

申し込みは無料。複数OK。断っても大丈夫。

今日並んでおいた1枚の申込書が、1年後の家族の選択肢を、確実に広げてくれます。