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いま入居している施設から移したほうがいいのではないか、と考え始めた家族に向けた記事です。まだ次を探していない段階を想定しています。先にするのは次の施設を探すことではなく、今の施設を出る順番を決めることです。この記事では、手元の書面だけで決められる3つの欄・二重に払う期間の縮め方・今の施設と本人へ伝える順番を、この順に置きます。相手に聞いて初めて決まる部分もあるので、どこまでが書面で決まってどこからが相手のある話かも、そのつど分けて書きます。
次に当てはまる方には、別の記事を用意しています。
変えるべきか決めかねている方は、この順番の話より先に、何に困っているのかを整理して住み替えが要るかどうかを見分ける段があります。退去を求められている方は、施設が挙げた理由と契約書の解除の条項を突き合わせる作業のほうが先になります。
決めかけた家族が先にすることは、次を探すことではありません。
次の施設を探すところから始めるのは自然なことです。今の場所に不安があるほど、別の選択肢が見えていないことのほうが不安になります。資料を取り寄せ、空いている部屋を聞き、見学の予約を入れます。
ただ、この順番で進めると、あとで日程を動かせなくなります。
理由は1つです。今の施設には、解約を伝えてから契約が終わるまでの期間があります。 次の施設が決まって入居日が先に固まると、その入居日から今の施設の契約が終わる日までの日数だけ、2つの施設へ同時に払うことになります。
この日数を動かせるのは、次の施設を押さえる前だけです。押さえた後は、次の施設の入居日を後ろへずらすか、今の施設の契約を早く終えるかしかありません。前者は部屋を確保しておく費用がかかり、後者は予告の期間があるので短くできません。
施設の側から見ると、この順番はもっとはっきりしています。退去が決まると、施設は居室の原状回復・次の入居者の受け入れ・記録の引き継ぎを日程に組みます。 どれも日付が決まらないと動かせない仕事です。だから施設は、次が決まってから急に言われるより、見当の段階で聞いておくほうが動きやすくなります。
家族の側も同じです。日付が決まっていない段階で伝えると、伝えた後に日程を組めます。決まってから伝えると、日程の中に伝える作業を差し込むことになります。先に伝えることは、施設に譲る話ではなく、日程を自分の手元に残す話です。
施設から施設へ移ること自体は、珍しいことではありません。厚生労働省の資料に、介護付き有料老人ホームを退去した人の行き先を集計したものがあります。分母は、その年に退去した人の全部です。 内訳は次のとおりです。
| 行き先 | 割合 |
|---|---|
| 介護保険の対象になる住まい(特定施設・認知症高齢者グループホーム) | 6.6% |
| 介護保険の対象にならない住まい(特定施設以外の有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・軽費老人ホーム・養護老人ホーム) | 1.7% |
| 特別養護老人ホーム | 5.5% |
| 介護老人保健施設 | 3.5% |
出典: 厚生労働省 特定施設入居者生活介護について②(退去人数割合)
別の入居先へ移った4つの区分を合計すると17.3%です。 このほかに自宅へ戻った人が6.8%います。残りは病院への移動と死亡が占めています。
読むときに2つ断りが要ります。1つは、この介護付き有料老人ホームの内訳の基礎になっているのが平成30年度の調査である点です。もう1つは、この17.3%が自主的な住み替えだけを数えた値ではないことです。状態が変わって移った人も含まれています。それでも、移ること自体が例外ではないことは読み取れます。
出る順番を決めているのは、手元の書面にある3つの欄です。
この3つは、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の書面にある欄です。 根拠が有料老人ホームの標準指導指針(厚生労働省が都道府県などへ出した通知)と老人福祉法施行規則の前払金の定めにあるためです。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などの介護保険施設には、前払金も敷金も同じ形では存在しません。介護保険施設に親がいる方は、この章を飛ばします。開くのは、契約書の解約の条項と退所するときの手続の条項だけです。
欄1は重要事項説明書、欄2と欄3は入居契約書にあることが多く、どちらにも書かれていることもあります。以下、1つずつ見ていきます。
解約を伝えてから契約が終わるまでの月数が、日程の全部を決めます。
厚生労働省が示している重要事項説明書の別紙様式には「契約の解除の内容」という欄があり、その中に入居者からの解約予告期間を月数で記入する場所があります。
重要事項説明書は自治体ごとに様式が違うので、この名前の欄が見当たらないこともあります。そのときは、入居者の側から解約するときの月数が書かれている箇所を探します。名前ではなく、月数が入っている場所で見つけます。
伝えたその日に契約が終わるのではありません。ここに書かれた月数の分だけ、今の施設の費用は続きます。1か月と書いてあれば1か月、3か月と書いてあれば3か月です。何か月が普通か、という目安は制度の側で定められていません。 契約ごとに違うので、比べる相手は他の施設ではなく、自分の契約に書かれた月数です。
この予告期間には、標準指導指針が1つ歯止めを置いています。予告期間などを設けることによって、老人福祉法施行規則が定める前払金の返還債務の期間を事実上短くしてはならない、という定めです。施設が前払金を返す義務を負っている期間を、予告期間を長く取ることで短く見せてはいけない、という趣旨です。 入居者の利益を不当に害してはならない、とも書かれています。
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
予告期間が極端に長い契約を見つけたときは、この定めを手がかりに説明を求められます。
欄が空いていたり、月数ではなく「契約書による」と書かれていたりすることもあります。そのときは入居契約書の解約の条項を開きます。重要事項説明書は契約の中身を要約した書面なので、細かい条件は契約書のほうにしか書かれていないことがあります。
見るのは月数だけではありません。いつから数え始めるのかも見ます。伝えた日から数えるのか・書面を出した日から数えるのか・その月の末日から数えるのかの3通りがあります。1か月と書いてあっても、起算の日が違えば終わる日は2週間ほど動きます。
戻る額と戻る時期は、契約書に先に書いてあります。
標準指導指針には、前払金の返還についての定めがあります。前払金を受領する場合には全部または一部を返還する旨の契約を締結することになっているので、その返還額を入居契約書等に明示することとされています。あわせて、契約のときに十分に説明し、返還を確実に行うことも求められています。
つまり、いくら戻るかを後から交渉するのではなく、契約書に書いてある計算どおりに戻ります。
計算の枠組みは老人福祉法施行規則の第21条にあります。2つの場合に分けて、前払金から差し引く額の計算のしかたが定められています。
どちらも、まだ使っていない期間の分を日で数える、という考え方です。 入居して時間が経っている場合に当たるのは、2つ目のほうです。
実際にいくらになるかを決めているのは、契約書に書かれた算定の方式です。自分で計算しにくいときは、施設へ「いま解約したら返還金はいくらになりますか」と聞けます。金額を出してもらうのは、解約を申し出る前でもできます。
前払金がどう保全されているかは、この記事では扱いません。入居する前に確かめる話になるためです。ここで要るのは、戻る額と、それがいつ振り込まれるかの2つだけです。
振り込まれる時期は、契約書に書かれていないことがあります。そのときは施設へ聞きます。退去してから何日で振り込まれるのかが分かると、次の施設へ払う費用をどこから出すのかを決められます。
ここは日程に直接はね返ります。返還が退去の2か月後になる契約で、次の施設に入居のときのまとまった費用がかかるなら、その2か月分を別に用意しておくことになります。戻ってくるお金を当てにして日程を組むと、途中で止まります。
敷金は退去のときに戻りますが、原状回復の費用は差し引かれます。
同じ指針は、敷金を受領する場合にはその額を6か月分を超えないこととし、退去時に居室の原状回復費用を除き全額返還することとしています。原状回復の費用負担については、国土交通省が出している資料を参考にすることとされています。
指針は「6か月分」とだけ書いていて、何の6か月分かは示していません。 この定めは家賃について述べた項の次にあるので、家賃の6か月分と読むのが自然です。手元の敷金が何を基準に決められているかは、契約書の敷金の条項で確かめます。
戻る額を数えるときに、敷金を満額で数えないでください。 原状回復の分がいくらになるかは、部屋の状態を見てから施設が計算します。
差し引かれる中身にも決まった考え方があります。その考え方は、国土交通省のガイドラインが定義しています。賃貸住宅の借主と貸主の間のもので、借主を「賃借人」と呼んでいます。
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
出典: 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
借りたときの状態へ戻すことではない、という定義です。 年数が経ったことによる変化や、普通に暮らしていて生じた傷みの修繕にかかる費用は、家賃に含まれるものとされています。
有料老人ホームの入居契約は賃貸住宅の契約そのものではないので、このガイドラインが直接当たるわけではありません。ただし標準指導指針がこのガイドラインを参考にするよう示しているので、考え方として使えます。
居室で暮らしていれば、壁のクロスは日に焼けますし、床にも跡が付きます。その分まで敷金から引く形になっていたら、この定義を手がかりに内訳を聞けます。
日程にも関わります。どこまでを原状回復とするかは退去の直前に決まることが多いので、退去日を決めるときに、部屋の立ち会いの日も一緒に決めておきます。 立ち会いが後ろへずれると、敷金が戻る時期もずれます。
二重に払う期間は、日付の置き方だけで変わります。
二重に払う期間がどこからどこまでかを、先に決めておきます。
| 期間 | 今の施設の費用 | 次の施設の費用 |
|---|---|---|
| 解約を申し出た日から、次の施設の入居日の前日まで | かかる | かからない |
| 次の施設の入居日から、今の施設の契約が終わる日まで | かかる | かかる |
| 今の施設の契約が終わった日の翌日から | かからない | かかる |
表の行は期間です。真ん中の行が、二重に払う期間になります。
長さを決めているのは、予告期間の長さと、次の施設をいつから使い始めるかの2つです。掛け算に使うのは予告期間の月数ではなく、真ん中の行の月数です。 今の施設の月額に、真ん中の行の月数を掛けると、余分に出ていく額が出ます。
条件を置いて数えてみます。次の金額は実際の相場ではなく、計算のしかたを示すために置いた仮の数字です。 予告期間が3か月で、今の施設の月額が20万円だとします。
予告期間の全部が重なるのは、後者のように、解約を申し出た日と次の施設の入居日がほぼ同じになったときだけです。 先に申し出ておけば、申し出た日から次の入居日までの分は重なりません。この差が、順番を入れ替えるだけで生まれます。
次の施設の側にも事情があります。入居の日を決めてからでないと部屋を確保しないところもあれば、契約した日から家賃が発生するところもあります。確保してもらう期間の費用が別にかかる場合があるので、そこも聞きます。
聞くことは3つです。いつまで部屋を待ってもらえるのか・待ってもらう間に費用がかかるのか・入居の日を後ろへずらせるのかを確かめます。どれも、申し込む前に聞ける質問です。
この3つを聞いておくと、二重に払う期間の見積りが先に立ちます。逆に聞かずに申し込むと、部屋を押さえた時点で日付が固まり、そこから今の施設の予告期間を数えることになります。
金額にも重なりが出ます。次の施設に前払金や入居のときのまとまった費用があると、今の施設の前払金が戻る前に払うことになります。 戻る時期を欄2で確かめておくのは、この重なりを見るためです。
手元の現金で足りない場合は、次の施設へ入居の日を少し後ろへずらしてもらいます。今の施設の解約を先に申し出て返還の時期を早める形は勧めません。 契約が終わる日が次の入居日より前に来ると、その間の居場所を自分で用意することになるためです。ずらしてもらえないときは、次の施設の候補を変えるほうが、居場所の空く危険は小さくなります。
決める日付は3つです。今の施設に伝える日・今の施設の契約が終わる日・次の施設の入居日を決めます。
この3つは、決める順番と確定させる順番が違います。 1つ目は決めたその日に実行できます。2つ目は先に仮の日付を置き、3つ目の目処が立ってから確定させます。3つ目は相手のある話なので、最後まで動きます。
仮に置いてから確定させるまでの間は、日付を何度でも動かせます。動かせなくなるのは、解約を申し出た瞬間です。この違いは、最後の章でもう一度扱います。
次の施設を探すときには、「いつからなら入れるか」を条件として出せます。この条件を出すと、選べる先は狭くなります。 空いた部屋から順に埋まる先では待ってもらえないので、日程を優先すると入れる先が減ります。
それでも先に日付を決めるほうを勧めます。理由は、費用の重なりが読めない状態で契約を2つ抱えるほうが、後で動かせなくなるからです。入れる先が減ることは分かったうえで選べますが、重なった費用は後から減らせません。
次の施設をどう探すか、どう選ぶかは、この記事では扱いません。ここで扱っているのは日付の条件までです。
今の施設へ伝えるのは、次が決まってからではありません。
最初に伝える相手は、生活相談員か施設長です。介護の計画を作っている担当者にも同席してもらうと、そのあとの引き継ぎが早くなります。生活相談員は特定施設の指定を受けた施設に配置が義務づけられている職種で、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にはいないことがあります。その場合は施設長か、日ごろ連絡を受けている担当者に伝えます。
現場の職員に先に伝えるのは避けます。伝えた話が正式な申し出として扱われないまま、噂の形で広がることがあるためです。 面会のときに立ち話で言うのではなく、時間を取ってもらいます。
伝えることは施設の仕事の外にある頼みごとではありません。標準指導指針は、有料老人ホームが提供するサービスの1つとして、入居後は入居者の各種の相談に応ずるとともに適切な助言等を行うことを挙げています。相談に応じることが、施設の側の役割として書かれています。
伝える中身は3つです。住み替えを考えていること・その理由・時期の見当を伝えます。
理由を全部話す必要はありません。ただし、ケアのしかたで解けそうな理由であれば、先に言うほうが早く進みます。施設の側から代案が出ることがあるためです。夜間の見守りを増やす・担当を替える・部屋を移すといった案です。これで解けるなら、住み替えの費用も本人の負担もかかりません。
伝えると、施設が動き始めます。退去に向けた援助と、記録や情報の引き継ぎの準備です。
施設の種類によって、退去のときの援助がどこまで義務として書かれているかが違います。 3つに分かれます。
| 施設の種類 | 退去のときの援助 | 根拠 |
|---|---|---|
| 認知症のグループホーム | 利用者と家族の希望を踏まえたうえで、退居後の生活環境や介護の継続性に配慮して退居に必要な援助を行わなければならない | 指定地域密着型サービス基準 第94条第5項 |
| 特別養護老人ホーム | 退所に際して居宅サービス計画の作成等の援助に資するための情報の提供に努めるほか、保健医療サービスまたは福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めること | 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 |
| 介護付有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅 | 同じ形の義務を定めた省令の条文が無い | — |
出典: e-Gov法令検索 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準/e-Gov法令検索 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準
表の3行目には、介護付有料老人ホームも入ります。特定施設の指定を受けていても、退去のときの援助を義務づける条文はありません。 3行目に当たる方が頼めるのは、記録の写しと、次の施設へ渡す情報の整理までです。義務ではないので、頼む中身を絞って伝えます。
伝えたら関係が悪くなるのではないか、という不安が残る方もいます。伝えた後も契約は続いていて、日々のケアはその契約に基づいて続きます。 気持ちの上でやりにくくなることはあっても、提供されるものが減ってよい理由はどこにもありません。
それでも心配が消えないなら、伝える場に施設の担当者に複数出てもらうか、話した内容を記録に残してもらいます。記録に残っていれば、後から別の職員へ引き継がれます。
本人へ伝える段は、家族の中で3つを決めてから始めます。
3つとも、次の施設が決まる前に決められます。
まず、本人の名前で契約しているのか家族が代理で結んでいるのかを確かめます。標準指導指針は、入居契約書に契約当事者の追加を明示することを求めています。契約当事者の追加とは、契約を結んだ後に、本人以外の人を契約の当事者として加える扱いのことです。 家族が当事者に加わっているかどうかで、解約の申し出を誰の名前で出すのかが変わります。
そのうえで、本人の意思を確かめる場をどこに置くかを決めます。本人が納得していない住み替えを、家族だけで決めないでください。 移る先で暮らすのは本人です。
ただし、本人が自分で決められない状態のときにどうするかまでは、この記事では扱いません。判断が難しくなっている場合の手続は、住み替えとは別の話になります。
伝える時期には、2つの考え方があります。早いうちに相談として伝えるか、日付が決まってから伝えるかです。どちらかに決めます。
決めないまま話が進むと、本人はほかのところから知ることになります。職員どうしの会話・家族が荷物を整理する様子・面会の回数の変化のどれかです。自分のことなのに自分だけが知らされていない、という形になるのがいちばん避けたいところです。
ここは資料から答えの出る話ではないので、当サイトの考えを書きます。当サイトは、住み替えの日付を本人へ伝えるのは日付が決まってからのほうがよいと考えています。 決まる前に日付の話をすると、決まらない期間の不安が長く続くためです。
ただしこれは日付の伝え方であって、意思を確かめないという意味ではありません。 決めること1で置いた「本人の意思を確かめる場」は、日付が決まる前に持ちます。いまの暮らしで困っていることと、移ることをどう思うかを聞く場です。日付が決まってから伝えるのは、いつ移るかという具体のほうになります。本人が判断そのものに加わりたいと言っている場合は、決まる前から日付の相談も含めます。
移った先の職員が本人を知るまでには、時間がかかります。引き継がれるのは書類だけです。
書類に載らないことを、家族が1枚にまとめます。起きる時間と寝る時間・食事のときの介助のしかた・声のかけ方・落ち着かなくなる場面・好きな話題を書き出します。この1枚が埋めるのは、引き継がれる書類に載らない部分です。
今の施設から受け取るものもあります。介護の記録の写し・健康の記録・服薬の情報の3つです。退去の日までに頼みます。退去した後に頼むと、担当者が代わっていて時間がかかります。
移った直後の面会も、先に決めておきます。新しい場所に慣れるまでは、家族が顔を見せる回数を増やすほうが本人は落ち着きます。 施設によっては、入居の直後に面会を控えるよう頼まれることがあるので、そのときは理由と期間を聞きます。
ここまでの6つを1本に並べると、次の順番になります。
| 段 | すること | どこを見るか | 後戻り |
|---|---|---|---|
| 1 | 解約予告期間・前払金の返還・敷金の3つを読む | 重要事項説明書と入居契約書 | できる |
| 2 | 伝える日と契約が終わる日を仮に置く | 予告期間の月数 | できる |
| 3 | 今の施設へ相談として伝える | 生活相談員か施設長 | できる |
| 4 | 次の施設を探して入居日の見込みを立てる | 次の施設 | できる |
| 5 | 解約を申し出て契約が終わる日を確定させる | 施設との話し合い | できない |
| 6 | 次の施設の入居日を確定させる | 次の施設 | 相手による |
| 7 | 本人へ日付を伝えて記録を受け取る | 今の施設の担当者 | — |
段3と段5は別のものです。 段3は考えていることを伝えるだけで、契約には何も起きません。段5が、契約を終わらせる申し出です。予告期間が数え始まるのも、後戻りできなくなるのも、段5からです。
この区別を落とすと、居場所が空きます。次の施設が1つも決まっていない段階で段5を済ませてしまうと、契約が終わる日に居室を明け渡すことになり、次が見つかっていなければその間の居場所を自分で用意することになります。 予告期間が3か月ある契約でも、その3か月で次が見つかる保証はありません。
だから段5は、段4で次の施設の入居日の見込みが立ってから出します。見込みとは、その施設に空きがあり、入居日をいつごろにできるかの返事をもらっている状態です。契約まで済んでいる必要はありません。見込みが立つ前に段5を出す理由は、この記事の中にはありません。
予告期間が長い契約では、段5を出す時点で次の入居日が確定していないことがあります。そのときに使えるのが、二重に払う期間の章で聞いておいた3つです。次の施設に入居日を後ろへずらせるかを確かめてあれば、段5から段6までの間に余裕を作れます。あわせて、今の施設に申し出を出した後に取り消せるかを聞いておきます。取り消せる契約であれば、段5の重さは下がります。
段3までは、次の施設が1つも決まっていなくても進められます。手元の書面を読むことも日付を仮に置くことも、次が決まっていることを前提にしていません。今の施設へ相談として伝えることも同じです。 決めかけた段階でできるのが、この7つのうち3つです。
段1から段3までにかかる時間は、書面の量と施設の対応で変わります。書面を読むのは、3つの欄を見つけて周りだけを読む作業です。施設へ伝えるのは面談の1回分で、日程は施設の都合に合わせることになります。作業そのものが重いわけではありません。動き出すのが重いのは、伝えると後戻りできなくなるように感じるからです。
段3で伝えても、後戻りはできます。 後戻りできなくなるのは段5からです。
決めかけた後にすることは、次を探すことではありません。今の施設を出る順番を決めることです。
次にすることは、手元の書面を開いて、伝える日を仮に置くことです。これを飛ばすと、次の施設が決まってから今の施設へ伝えることになります。そうなると、二重に払う期間とそこで出ていく費用のどちらも自分では動かせません。順番を入れ替えるだけで、動かせる部分が残ります。
住み替えは、いま暮らしている場所を離れる決断です。その決断の重さは変わりませんが、日付の主導権をどちらが持つかは、動き出す順番だけで変わります。