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親の施設の費用を年金と貯金で払っていて、あと何年払えるかを数えている家族に向けた記事です。まだ滞納していない段階の話になります。動き始める時期を決めるのは、貯金の残高ではありません。動くのにかかる月数です。移ると決めたなら、逆算に足すのは制度の申請・移り先の確保・退去の予告の3つに要る月数です。
扱うのは、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院の5つです。ただし使える制度は住まいの種類で分かれます。 どの種類の話かは章ごとに書きました。
次に当てはまる方には、別の記事を用意しています。
前払金(入居一時金)の精算と、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入っている場合の制度の当たり方は、この記事では扱いません。
施設へ払う月額のうち、制度が下げられるのは全部ではありません。下がる見込みがあるのは次の2つです。
家賃と管理費は、このどちらにも入りません。
介護保険法第51条は、介護サービス利用者負担額が著しく高額であるときに、高額介護サービス費を支給すると定めています。ひと月に払った介護保険の自己負担分が上限を超えたら、超えた分が戻る仕組みです。
上限額を決めているのは、世帯の課税の状況と本人の所得です。厚生労働省が示した令和7年8月1日からの額は、次のとおりです。
| 世帯の状況 | ひと月の上限額 |
|---|---|
| 生活保護を受けている | 個人15,000円 |
| 市町村民税世帯非課税で本人の年金収入等が80.9万円以下 | 世帯24,600円(個人15,000円) |
| 市町村民税世帯非課税 | 世帯24,600円 |
| 課税所得380万円未満の人がいる | 世帯44,400円 |
| 課税所得380万円以上690万円未満の人がいる | 世帯93,000円 |
| 課税所得690万円以上の人がいる | 世帯140,100円 |
出典: 厚生労働省「介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」の一部改正について(介護保険最新情報 Vol.1390)
「世帯」の欄は、同じ世帯の中で介護保険を使っている人の自己負担を合わせた上限です。「個人」の欄は本人だけの上限になります。夫婦が同じ世帯で介護保険を使っているなら、合わせた額で判定されます。
この上限に入るのは、介護保険の自己負担分だけです。 家賃・食費・日常生活費は、いくら払っても上限の計算に入りません。
上限に届くかどうかを分けるのは、その月に払った介護保険の自己負担分の額です。その額の動き方は、住まいの種類で3つに分かれます。
1つ目は、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院に入所している場合です。 自己負担分は施設サービス費の1割から3割で、要介護度ごとの単価から計算します。介護保険法第48条第2項が、要介護状態区分などを勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の百分の九十を保険から出すと定めているためです。外部のサービスを使う量では動きません。
2つ目は、特定施設入居者生活介護の指定を受けている住まいに入っている場合です。 介護付有料老人ホームがこれに当たります。こちらも要介護度ごとの単価で、外部のサービスを使う量では動きません。
3つ目は、指定を受けていない住まいに入っている場合です。 住宅型有料老人ホームと、指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅がこれに当たります。介護のサービスは外から呼ぶので、訪問介護や通所介護をどれだけ使ったかで自己負担分が変わります。
自分の住まいが2つ目か3つ目かは、入居のときに受け取った重要事項説明書で分かります。探すのは欄の名前ではなく、そこに「特定施設入居者生活介護」という言葉があるかどうかです。 見当たらなければ、厚生労働省の介護サービス情報公表システムで施設の名前を引いても確かめられます。
月額の内訳そのものは重度化と入院に備えて月額を四つに分ける記事で扱っています。
負担限度額認定を受けると、食費と居住費に上限が付きます。負担限度額を超えた分は、市町村が特定入所者介護サービス費として施設へ支払います。
対象になるサービスは、介護保険法第51条の3が6つ挙げています。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法
4つ目の地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、入所定員が29人以下の特別養護老人ホームで受けるサービスです。同じ法律の第8条第22項が、定員でこの区分を分けています。
後ろの2つは短期の預かりなので、いま入居している親には当たりません。 この認定で食費と居住費が下がるのは、前の4つに入所している場合です。
6つに、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームは入っていません。 この3つの住まいに入っているなら、食費と家賃をこの認定で下げることはできません。
施設へ払う額を下げるために申請する制度は4つで、入口が2つに分かれます。市町村の介護保険の窓口が入口になるものが3つと、福祉事務所が入口になるものが1つです。この章で扱うのは、市町村の窓口が入口になる3つです。
どの制度も、申請しなければ動きません。 上から順に自分に当たるかを見ていくと、次に何を用意すればよいかが分かります。
生活保護は、この4つには数えていません。負担を下げる制度ではなく、収入のほうを補う仕組みだからです。
申請先は市町村の介護保険の窓口です。所得の段階は、毎年8月1日現在の世帯と所得の状況で判定し直されます。一度申請すれば以後は同じ口座へ支給する市町村が多いのですが、扱いは市町村で違うので、毎回の申請が要るかどうかを窓口で聞いてください。
この制度は、払った後に戻る形です。その月の請求額そのものは下がりません。上限を超えた分が口座へ入るまでの時間は市町村で違うので、いつ戻るかを申請のときに聞いてください。
過ぎた月の分も、まだ間に合うことがあります。介護保険法第200条第1項はこう定めています。
保険料、納付金その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法
高額介護サービス費も保険給付の1つなので、この2年の中に収まる分だけが残っています。まだ申請していない月があるなら、どこまで戻れるかを窓口で確かめてください。
前の章で挙げた6つのサービスに当たるかを先に見てください。当たらなければ、この節は飛ばせます。
要件は2つです。1つ目は課税の状況で、世帯主と世帯員の全員に加えて、本人の配偶者も市町村民税が非課税であることが要ります。2つ目は資産の状況で、本人及び配偶者の預貯金等が基準以下であることです。
配偶者は、住民票の世帯を分けても勘案の対象から外れません。 課税の状況も預貯金等も、別の世帯にいる配偶者の分を含めて見ます。
預貯金等の基準は、上の高額介護サービス費と同じ厚生労働省の通知にあります。段階は本人の年金収入等で分かれていて、令和7年8月1日からの額は次のとおりです。
| 本人の状況(配偶者がない場合) | 預貯金等の基準 |
|---|---|
| 老齢福祉年金を受けている | 1,000万円以下 |
| 年金収入等が80.9万円以下(第2段階) | 650万円以下 |
| 年金収入等が80.9万円超120万円以下(第3段階①) | 550万円以下 |
| 年金収入等が120万円超(第3段階②) | 500万円以下 |
この段階は、世帯全員と配偶者が市町村民税非課税であることを前提にした区分です。 世帯の中や別の世帯の配偶者に市町村民税を課税されている人がいれば、本人の年金収入等がいくらであっても第4段階になり、この認定は受けられません。
配偶者がある場合は、本人と配偶者の預貯金等を合計した額で見ます。基準は、上の表の額に1,000万円を足した額です。申請書には預貯金等の額を書き、金融機関へ照会することへの同意書を添えます。
遡り方にも決まりがあります。同じ通知は、負担限度額認定について、毎年8月以降の申請日の属する月の初日に遡って効力を有すると定めています。月の途中で申請しても、その月の1日から間に合うということになります。
課税されている世帯には、別の措置が残っています。市町村民税課税層に対する特例減額措置といいます。同じ通知が挙げる次の6つをすべて満たすと、第4段階の人が第3段階②の負担軽減を受けられます。
この6つの数字は、上の表と数える対象が違います。 上の表の500万円から1,000万円は本人(配偶者がいれば本人と配偶者)の預貯金等ですが、こちらの450万円は世帯全員と配偶者の預貯金等を合計した額です。80.9万円も同じで、上の表は本人の年金収入等だけを見ますが、こちらは世帯全員と配偶者の年金収入等から1年分の負担の見込みを引いた後の額を見ます。通帳の残高を同じ基準で両方に当てないでください。
市町村が低所得と認めた人と、生活保護を受けている人が対象です。軽減の程度は、利用者負担の4分の1が原則です。老齢福祉年金を受けている人は2分の1が原則で、免除は行わないことになっています。実際にどれだけ軽減するかは、収入や世帯の状況を勘案して市町村が個別に決め、確認証に書きます。
生活保護を受けている人だけは扱いが違います。軽減の対象になるのは個室の居住費で、その分は利用者負担の全額です。
出典: 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.954(別添2 社会福祉法人等による生計困難者等に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度事業実施要綱)
低所得と認められるのは、市町村民税世帯非課税で次の5つをすべて満たす人のうち、収入や世帯の状況を市町村が総合的に勘案して生計困難と認めた人です。
軽減の対象になる費用は、同じ要綱が列挙しています。この記事に関わるのは4つです。特別養護老人ホームの施設サービスと、そこでの食費・居住費、それに外から呼ぶ訪問介護・通所介護・短期入所生活介護です。
この列挙に、特定施設入居者生活介護は入っていません。 介護付有料老人ホームで受けている介護のサービスは、この制度では下がりません。介護老人保健施設と介護医療院の施設サービスも、同じく列挙の外です。
住宅型有料老人ホームと、特定施設の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅であれば、外から呼んでいる訪問介護と通所介護が対象になります。 ただし対象になるのは、その訪問介護や通所介護を行っている事業者が軽減の申し出をしている場合だけです。住まいの運営法人ではなく、サービスを提供している事業者のほうを確かめてください。
特別養護老人ホームでは、確かめる先は入所している施設です。施設を運営している法人が申し出ていなければ、本人が要件を満たしていても受けられません。市町村の窓口より先に、そちらを確かめます。
申し出ていれば、市町村へ申請して確認証の交付を受け、その確認証を施設か事業者へ出す流れになります。
4つ目の制度の入口が福祉事務所です。
境界層措置といいます。本来適用されるべき基準等を適用すれば生活保護を必要とするが、より負担の低い基準等を適用すれば生活保護を必要としない状態となる人について、その低い基準等を適用する措置です。
出典: 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1390(別添5)
いまのままなら生活保護が要るけれども、介護保険の負担を下げれば生活保護なしでやっていける人が対象です。
同じ資料は、下げる順番まで定めています。上から順に当てて、それでもなお生活保護を必要とするときに次へ進みます。
このうち2番目と3番目が当たるのは、介護保険施設に入所している場合です。1番目・4番目・5番目は、住まいの種類を問いません。5番目は施設へ払う月額ではなく介護保険料ですが、家計から出ていく額は同じように減ります。
その1番目の「給付額減額等の記載」は、介護保険料を納める期限から2年が過ぎて、市町村が保険料を徴収できなくなった期間がある人の被保険者証に付く印です。介護保険法第69条第1項がこの記載を定めていて、記載が付くと、市町村が定める期間について介護給付の割合が下がります。自己負担が1割の人であれば、給付は9割から7割になります。
それだけではありません。同じ期間について、高額介護サービス費と特定入所者介護サービス費が支給されなくなります。
この措置は、生活保護の申請をしないと動きません。 同じ資料が定めているのは、次の流れです。福祉事務所長は、生活保護の申請者について境界層措置を講ずれば生活保護を必要としないと認めた場合に、どの措置が講じられるべきかを示す証明書等を交付して保護申請を却下します。市町村は、その証明書を添えた申請を受けて実際の措置を講じます。
却下されたからといって動くとは限りません。 動くのは、福祉事務所長がこの措置で保護が要らなくなると認めて証明書を出した場合だけです。収入や資産が基準を超えていて却下されたときには、証明書が出ないので動きません。
だから、生活保護を受けるかどうかを決める前に福祉事務所へ行く意味があります。証明書が出れば、保護の却下に係る申請が行われた月の初日まで遡って措置が適用されます。
下がるのは介護保険の負担と保険料だけで、有料老人ホームの家賃と管理費は下がりません。それでも、下がった分だけ貯金が尽きるまでの月数は延びます。
2年が過ぎる前に納めれば、給付額減額等の記載は付きません。 通帳を数える前に、介護保険料の納付書が溜まっていないかを見てください。溜まったままにしておくと、いざ費用が苦しくなったときに、前の章の制度1と制度2が同時に止まります。
生活保護は、最低生活費と収入を比べ、収入が最低生活費に満たない場合にその差額を保護費として支給する仕組みです。
出典: 厚生労働省「生活保護制度」
保護の種類は生活保護法第11条が8つ挙げていて、施設の費用に関わるのは生活扶助・住宅扶助・介護扶助の3つです。どの費目がどの扶助から出るかは、住まいの種類と契約の形で変わります。 有料老人ホームの家賃と、介護保険施設の居住費で当たる扶助は同じではありません。
これを決めるのは福祉事務所です。 申請のときに施設の請求書と入居契約書を持っていけば、費目ごとにどの扶助が当たるかを見てもらえます。その場で答えが返るとは限らず、決まるのは保護の決定のときです。
申請できるのは本人だけではありません。生活保護法第7条は、保護は要保護者・その扶養義務者・その他の同居の親族の申請に基いて開始すると定めています。親が施設にいて動けない場合でも、扶養義務者である子が申請の主体になれます。
申請してから決まるまでの日数は、同法第24条第5項が定めています。
第三項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。
出典: e-Gov法令検索 生活保護法
原則は14日以内で、調査に日時を要する場合などは30日まで延びます。この日数が、後で数える月数の1つになります。
全国有料老人ホーム協会の苦情対応委員会は、利用料の滞納についての相談にこう答えています。
利用料の不払いは、債務不履行として解除(退去)の事由となります
ただし、1回払えなければ退去、という形にはなっていません。同じページが挙げている協会の標準入居契約書の例では、月払いの利用料その他の支払いを正当な理由なく3か月以上遅滞したときが解除の事由です。
そのうえで契約解除の通告には90日の予告期間を置き、入居者及び身元引受人等に弁明の機会を設けることになっています。移転先がない場合には、移転先の確保に協力することも定められています。
これは協会の標準の契約書の例であって、全国のすべての施設に一律に当てはまる日数ではありません。 実際に結んだ契約書の解除について書いた条を見てください。
協会の標準の例で数えると、3か月遅れてから90日を足しても半年に届きません。次の住まいを探し、決めて、移るには短い期間です。実際の契約書の日数がこれより短いこともあります。
退去を求められた後にすることは、導入で挙げた2本目の記事にあります。
費用を理由に移るとき、決めてから入れるまでに時間がかかります。その決まり方は移り先で違います。
費用が理由なら、まず特別養護老人ホームに申し込めるかを確かめてください。 2つの移り先を比べると、食費と居住費に負担限度額が付き、施設サービスにも社会福祉法人による軽減が当たるのは特別養護老人ホームのほうです。ただし待つ月数が読めないので、民間の住まいを同時に探すことになります。
入所の対象は、原則として要介護3以上です。要介護1・2の人は、居宅において日常生活を営むことが困難かどうかの判定を経ます。特例入所といいます。
指針が挙げているやむを得ない事由は4つです。逐語で引きます。
① 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること
② 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
③ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
④ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
出典: 厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」
費用が払えないという事情は、この4つに挙がっていません。 当たるかどうかは1件ずつ判定されるので、要介護1・2で移りたいなら、まず市町村へ特例入所に当たるかを確かめるところから始まります。
入所の順番は、申込みの順ではありません。 決めているのは、施設が行う優先度の判定です。同じ指針が考慮事項として挙げているのは、介護の必要の程度と家族の状況と居宅サービスの利用状況になります。この中にも、費用が払えないという事情は挙がっていません。
そのため、家族が待つ月数を見込むことはできません。「◯か月待ち」という全国の平均を持ってきたところで、自分が申し込んだ施設の待ち時間とは別の数です。
代わりに聞ける材料が2つあります。申し込んでいる施設の申込者の数と、直近1年でその施設に入所した人の数です。前者を後者で割ると、いま申し込んでいる人が全員入るまでにおおよそ何年かかるかが出ます。優先度の判定がある以上、これは自分の順番の予測にはなりません。 それでも、数か月の話なのか数年の話なのかは見当がつくはずです。
この2つは施設ごとの実数です。答えられないと言われたら、その施設については見込みが立たないという材料になります。
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・介護付有料老人ホームのうち、月額の低いところへ移る場合です。指定の有無は、移り先の重要事項説明書で確かめられます。
こちらは優先度の判定がありません。待つ月数を決めるのは、空室が出るかどうかと、入居前の面談と審査です。空室があるかどうかは、施設に聞けば当日分かります。
月額を並べて比べる前に、その月額に何が入っているかを確かめてください。特定施設入居者生活介護の指定を受けた住まいの月額には、介護保険の自己負担分が要介護度ごとの定額で入っています。指定を受けていない住まいの月額には、これが入っていません。外から呼ぶ訪問介護や通所介護の自己負担分が、月額とは別に乗るためです。この違いを見ないまま月額の安いほうへ移ると、総額が逆転することがあります。
現金の話も挟まります。移り先が入居一時金を取る住まいだと、動くときにまとまった額が要ります。月額と一時金は別建ての条件なので、両方を確かめないと総額が出ません。
どちらへ移る場合も、いまの契約の退去の予告期間が加わります。
予告について定めた条は、契約書ごとに見出しが違います。「契約の解除」「契約の終了」「退去」「明渡し」など、名前で探すと見つからないことがあります。探すのは見出しではなく中身です。 何日前に、誰に、どういう形で申し出るかが書かれている条を探してください。
残高を見て決めないでください。残高は、いま何ができるかを教えてくれません。制度の申請にも住み替えにも月数がかかり、その月数の分だけ、残高がある間に動き出さないと選べる先が減っていくからです。
足すのは次の3つの月数です。
この3つを足した月数だけ手前が、動き始める時期になります。
3つを足すのは、順番に進める場合の数です。制度の結果が出てから移り先を探し、移り先が決まってから予告を出す、という順です。この順で進めると月数はいちばん長くなり、次が決まってから予告を出す分だけ、予告期間は2か所へ払うことになります。
並行させれば月数は縮みます。ただし、次が決まる前に予告を出すことになるので、決まらなかったときに行き先を失います。縮めるなら現金ではなく居場所のほうを賭けることになります。
制度だけで足りるなら、2番目と3番目は要りません。移らずに今の施設で続けられる見込みが立つなら、数えるのは1番目だけです。移ると決めた場合に3つを足します。
1番目のうち、法律で決まっている日数は前の章までに出しました。生活保護の決定は申請の日から14日以内が原則で、特別な理由があるときは30日まで延びます。負担限度額認定は申請した月の初日まで遡るので、待つ月数には数えません。
高額介護サービス費だけは、払った後に戻る形です。決定までの日数ではなく、口座に入るまでの月数を数えます。この月数は市町村によって違うので、窓口で聞かないと決まりません。
足し方は単純です。仮に契約書へ「3か月前までに申し出る」と書いてあり、移り先に空室があって面談から入居まで1か月だとすると、3番目が3か月で2番目が1か月になります。制度を使わずに移るだけなら、この2つを足した4か月が動き始める時期です。制度の申請も要るのであれば1番目が加わるので、そのぶん手前になります。
この4か月は、いま置いた仮の数から出したものです。 特別養護老人ホームへ移るつもりなら2番目が読めないので、その分だけさらに手前へ寄せることになります。要介護1・2なら、そもそも特例入所に当たるかの判定から数え始めます。
「◯か月前から動けばよい」という数字を、この記事では作りません。3つのうち2つが、住んでいる市町村と申し込む施設で変わるためです。決まらない2つは、次のところで聞けます。
当サイトは、残高の減り方より先に、この3つの月数を数えることを勧めます。
動き始める時期を決めるのは、残高ではなく月数の逆算です。移らずに今の施設で続けるなら数えるのは制度の申請の月数だけで、移ると決めたなら3つを足します。
今日できることは1つです。 契約書を開いて、退去の予告に要る期間を確かめてください。市町村にも施設にも聞かずに今日決まるのは、これだけです。
介護のあんしんは、介護施設を運営している事業者ではありません。だから、いまの施設で続ける前提の話も、出る前提の話も同じ重さで書けます。