老人ホームから退去を求められたときに、その場で同意せず確かめること

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シニアのあんしん相談室


※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

 

「そろそろ、当ホームでは難しくなってきまして」。そう言われても、その場で退去に同意する必要はありません

まず確認するのは、いま受けたものが口頭の相談なのか、契約解除の通知なのか。そして、施設がどの契約条項を根拠にしているのかです。

施設から退去を求められることを「退去勧告」と呼ぶことがあります。ただしこれは契約上の法定用語ではありません。だからこの言葉ひとつでは、口頭の打診なのか、正式な契約解除の通知なのかが区別できません。

同意しなくてよい理由は単純です。退去が決まるのは、契約の解除が有効に成立したときであって、施設がそう言ったときではありません。

ただし、同意しないことと、動かないことは別です。書面が届いている場合は期限が走っていることがあるので、まず受けたものの種類を見分けます。

その場で退去に同意しなくてよい

退去を求められた場で、返事を出す必要はありません。

面談の場で「いつまでに出ていただけますか」と聞かれても、日付を答えないでください。書類に署名を求められても、その場では署名しません。持ち帰って確認します、で足ります。

これは施設と対立するための構えではありません。退去を求める側が理由と根拠を示し、求められた側がそれを確かめます。契約を終わらせるというのは、本来そういう順序で進む話です。

この段階で言い切れることは三つあります。

  • その場で同意しなくてよい
  • 退去を求める理由と、根拠になる契約条項を、書面で確認してよい
  • 施設の判断だけで、直ちに退去が決まるわけではない

この三つは、住まいの種類にも契約の中身にもよりません。逆に、ここから先の「実際に解除が認められるかどうか」は、制度と契約によって変わります。だからこそ、確かめる前に返事をしません。

同意そのものにも意味があります。住まいによっては、理由が生じた後に入居者が同意したかどうかで、制度上の扱いが変わります。その場での「わかりました」が、後から響くことがあります。

そして、施設に返す言葉は「かわいそうだから置いてほしい」ではありません。「今回の理由は、契約書の解除条項のどこに当たると考えていますか」です。

前者は施設の善意に頼る話で、断られたら次がありません。後者は手続の話なので、記録が残り、行政に持ち込むときの材料にもなります。

では、その手続の話をどこから始めるか。まず、いま受けたものが何なのかを見分けます。

口頭の打診か契約解除の通知かを見分ける

退去を求められたと言っても、実際には段階があります。理由の話に入る前に、いま自分がどの段階にいるかを決めます。

受けたもの見分け方まずやること
口頭での相談・打診面談や電話で言われただけ。書面はありません理由と根拠になる契約条項を書面で求めます
退去を求める書面文書は届きましたが、契約を解除するとは書かれていません解除の通知なのかどうかを施設に確認します
契約解除の予告・通知解除する旨と、その日付・予告期間が書かれています日付と予告期間を先に見ます
解除後の明渡し請求契約は終了したものとして、退去の期限が示されています弁護士等の法律相談へ持ち込む段階

上に行くほど時間の余裕があり、下に行くほど期限が迫ります。書面が届いている場合は、理由よりも先に日付と予告期間を見ます

面談で言われただけで何も届いていない段階なら、契約はまだ何も動いていません。書面を求めるところから始められます。

明渡し請求まで来ている場合は、この記事の手順だけでは足りません。解除の有効性そのものが争点になっているので、弁護士等の法律相談へ持ち込みます。

サ高住の登録と特定施設の指定という二つの表示を確認する

次に確認するのは、親の住まいにどのルールがかかっているかです。ここで「サービス付き高齢者向け住宅か、介護付か、住宅型か」の三択で考えません

理由は、それらが排他的でないからです。サービス付き高齢者向け住宅でありながら有料老人ホームにも該当し、さらに特定施設入居者生活介護の指定も受けている、という住まいが実際にあります。三択で選ばせると、この重なりを取りこぼします。

見るのは名前ではなく、二つの表示があるかどうかです。

確認することどこで、何を探すかそれで指させる根拠
サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているか重要事項説明書と契約書で「登録」「登録番号」の記載を探します。サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムで住宅名から引くと、登録の有無と登録番号が出ます入院と心身の状況の変化を名指しした登録の要件があります
特定施設入居者生活介護の指定を受けているか重要事項説明書で「特定施設入居者生活介護」「事業所番号」の記載を探します。介護サービスの契約書が別に交わされていれば、その表題にも出ます入居者の権利を不当に狭める解除の条件を定めてはならないという省令の基準があります

書類の様式は自治体ごとに違うので、欄の名前を一つに覚えて探さないでください。探すのは名前ではなく、上に挙げた語が書かれているかどうかです。

両方に当てはまることも、片方だけのことも、どちらでもないこともあります。当てはまった数だけ、施設に返せる根拠が増えます

一つ付け加えると、介護サービスが手厚いかどうかと、状態の変化を理由とする解約をどれだけ直接的に制限しているかは、別々に決まっています。二つの表示は、それぞれ独立に効きます。

サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているか

高齢者の居住の安定確保に関する法律と、その施行規則は、登録の要件として次を定めています。入居者の病院への入院、または心身の状況の変化を理由として、居住部分を変更し、または契約を解約することができないこと。ただし、当該理由が生じた後に入居者と登録事業者が合意した場合は、この限りでない。

この規定の特徴は、入院と心身の状況の変化を名指ししていることにあります。今回まさにその理由で退去を求められているなら、規定がそのまま今回の場面を扱っています。

そして、後半の但し書きが重要です。理由が生じた後に入居者が合意すれば、この要件は外れます。面談の場で「わかりました」と答えることが、まさにその合意にあたる可能性があります。最初に「その場で同意しない」と書いたのは、ここが理由です。

登録を受けている住まいなら、言えることが二つあります。一つは、状態の変化だけを理由に一方的な解約を可能にする契約は、登録の基準に反すること。もう一つは、それをサービス付き高齢者向け住宅の登録を担当する自治体の窓口へ相談できることです。

ここから先へは進みません。その条項が民事上ただちに無効になるとは書けません。登録の基準に反することと、裁判で契約条項が無効と判断されることは、別の話です。

特定施設入居者生活介護の指定を受けているか

特定施設入居者生活介護とは、介護保険の給付を受けて、施設の職員が介護サービスを提供する形のことをいいます。この指定を受けた有料老人ホームが、広告や重要事項説明書で「介護付」と表示できます。親の住まいが介護付なら、この指定を受けています。

介護保険の指定居宅サービス等基準は、この指定を受けた事業者に対して、「入居者の権利を不当に狭めるような契約解除の条件を定めてはならない」と定めています。施設の職員ではなく外部の事業者が介護を担う形(外部サービス利用型)や、定員が少ない地域密着型にも、同じ文言があります。

ここでいう基準は省令で、国が定めた決まりです。一方、後で出てくる標準指導指針は、国が自治体へ示した技術的な助言にあたります。同じ「国の基準」でも、省令のほうが強いものです。

そのうえで、状態の変化だけを理由に事業者が解除できる条項は、住み続けられるかどうかを事業者の判断だけに委ねる形になります。だから「権利を不当に狭める」に触れうる、という読み方ができます。そして、その話は介護保険の指定・指導を担当する自治体の窓口が受けます。

同じ基準は、施設の中で介護居室または一時介護室へ移して介護を行うこととしている場合について、利用者が移る際の意思の確認等の適切な手続を、あらかじめ契約に係る文書に明記しなければならないとも定めています。つまり、施設の中で住み替える手続は、契約の文書に書かれているはずだ、ということになります。

もう一つ効くのが、サービスの提供が困難な場合の定めです。入院治療を要する等により自ら必要なサービスを提供することが困難であると認めた場合は、適切な病院または診療所の紹介その他の適切な措置を速やかに講じなければならないとされています。

ここは慎重に読みます。これは「次の施設を手配する義務」ではありません。面談での「当ホームでは難しい」という言葉が、そのままこの定めの要件に当たるとも限りません。だから断定せずに聞きます。「サービスの提供が困難だという判断であれば、紹介その他の措置はどうなりますか」という形にすれば、要件に当たるかどうかを施設に確かめられます。

登録も指定も無い有料老人ホームの場合

どちらの表示も無かったときに、はじめて介護付・住宅型・健康型という種類を見ます。

このうち健康型有料老人ホームだけは扱いが違います。国の標準指導指針の別表に、表示すべき事項として「介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければなりません。」と最初から書かれている種類だからです。

自分の住まいがこれに当たった場合でも、この記事の手順が全部使えなくなるわけではありません。契約書に書かれた手続が踏まれているか、移転先の確保に協力してもらえるか、相談先はどこかという部分は、そのまま使えます。

そのうえで、どの種類であっても効く基準が一つあります。同じ指針は、「入居契約書に定める設置者の契約解除の条件は、信頼関係を著しく害する場合に限るなど入居者の権利を不当に狭めるものとなっていないこと」と定めています。

指針は自治体への技術的な助言であって、法律ではありません。だから「違法です」とは書けません。書けるのは、これが行政の指導の基準になっているということです。施設所在地の有料老人ホーム所管課へ持ち込むときは、この基準に照らして話をすることになります。

施設が挙げた理由を契約書の解除条項と照合する

やることは一つで、施設が挙げた理由が契約書の解除条項のどこに該当すると施設が考えているのかを確かめます。

ただ、自分の契約書だけを開いても、そこに書かれた条項が広すぎるのかどうかは判断できません。そこで先に、公開されている契約書の様式を見比べる基準として用意します。そのうえで、状態の変化を理由とする条項が実際に置かれていた場合に何を見るかへ進みます。

公開されている契約書の様式を基準にする

さいたま市が公開している有料老人ホームの入居契約書の様式では、事業者から解除できる場合として、不正な入居、利用料の滞納、禁止または制限される行為への違反、他の入居者や職員の生命への切迫した危害などが挙げられています。

しかも、そこには「本契約を将来にわたって維持することが社会通念上著しく困難と認められる場合に」という限定が付いています。事由に当たれば自動的に解除できる、という作りにはなっていません。

国土交通省が示すサービス付き高齢者向け住宅の参考契約書も、賃貸人から解除できる場合を限って挙げており、健康の悪化や入院を理由とする解除事由は置かれていません。

ここで見たのは、自治体が公開する様式と国が示す参考例の二つだけです。だから契約書一般がこうなっている、とは言えません。言えるのは、自分の契約書を読むときの基準として使える、ということです。

その基準に照らすと、要介護度が上がったという一言だけで解除できる形は、どちらの様式にも用意されていません

そこで、照らし合わせる相手の側を並べておきます。施設から実際に言われる言葉には、次のような型があります。

  • 医療的なケアが必要になった
  • 要介護度が上がった
  • 入院が長引いている
  • 夜間に対応しきれない
  • 他の入居者とのトラブルが続いている
  • 利用料の支払いが滞っている

このどれを言われたとしても、聞くことは同じです。「その理由は、契約書の解除条項のどれに当たると考えていますか」。

一往復だけ、通してみます。「医療的なケアが必要になった」と言われ、施設が「当ホームで介護を継続することが困難となった場合」という条項を指したとします。

次に見るのは二つ。その条項に「社会通念上著しく困難と認められる場合に」のような限定が付いているかどうか、そして条項の前後に医師の意見や観察期間といった手続が書かれているかどうかです。

限定も手続も書かれていれば、それが今回踏まれたかを聞く番になります。書かれていなければ、その条項の広さそのものが確認の対象になります。

契約の形が違うと、探す条項の名前も変わります。賃貸借の形で契約している場合、「解除条項」という見出しは無いことがあります。その場合は「契約の解約」「契約の終了」「更新をしない場合」といった条項を探します。聞く言葉は同じで、その理由がどの条項に当たると考えているかです。

住まいで確認した二つの表示は、ここで役に立ちます。登録を受けているなら、入院と心身の状況の変化を名指しした要件が照合の材料になります。指定を受けているなら、解除の条件の広さそのものが指定の基準に載ります。

状態の変化を理由とする条項が置かれていた場合

契約書を開くと、状態の変化を理由に解除できる条項が実際に置かれていることがあります。ここで諦めないでください。見るのは条項の有無ではなく、解除の条件の広さと、踏まれた手続の二つです。

国の標準指導指針は、三つの契約の形を並べて挙げています。一般居室から介護居室または提携ホームへ住み替える契約、一定の要介護状態になったことを理由として契約を解除する契約、心身の状況に著しい変化があり介護居室を変更する契約の三つです。

そのうえで指針は、これらの契約について、医師の意見を聴くこと、本人または身元引受人等の同意を得ること、一定の観察期間を設けることを含む一連の手続を、入居契約書または管理規程の上で明らかにしておくことを求めています。

ここは正確に読む必要があります。指針は、心身の状態が変わったことだけで自由に解除してよいとはしていません。一方で、一定の要介護状態を理由に解除する契約そのものを、まったく想定していないわけでもありません

そういう契約を置くのであれば、解除の条件が入居者の権利を不当に狭めないことに加えて、医師の意見・本人等の同意・観察期間を含む手続を、契約書や管理規程に明記することが求められています。手続は、住み替えのときだけのものではありません。

だから、条項があった場合に確かめるのは次の二つになります。その条項が信頼関係を著しく害する場合に限られているか、そして契約書や管理規程に書かれた手続が、今回実際に踏まれているかです。

手続の側の目安も、契約書に書かれていることがあります。さいたま市の様式では、解除にあたって書面で90日の勧告期間を置くこと、これに先立って弁明の機会を設けること、予告期間中に移転先の有無を確認し、無い場合は協議して移転先の確保に協力することが定められています。他の入居者への危害を理由とする解除には、さらに医師の意見と一定の観察期間が上乗せされます。

ただしこれは契約書の水準であって、法令の要件ではありません。90日という予告期間が法律で決まっているわけではありません。まず自分の契約書に同じ手続が書かれているかを見て、書かれていれば契約上の義務として求められる、という順序になります。

条項そのものへの評価にも、一つだけ触れておきます。消費者契約法は、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とすると定めています。それでも「その条項は無効です」「裁判で覆ります」とは書けません。有料老人ホームで状態の変化を理由とする解除条項の効力が正面から判断された裁判例に、まだ到達できていないからです。

言えるのは、行政が指導のよりどころにしている基準に照らして疑わしい条項である、というところまでになります。そして、条項がそこにあること自体が、退去の義務をその場で生むわけではありません。契約が終わるのは、解除が有効に成立したときです。

理由が滞納や重大な危害だった場合も、線の引き方は変わりません。施設側の解除が認められる可能性は高まりますが、直ちに自動的に有効になるわけではありません。この場合に確かめるのは、次の四つになります。

  • 契約書の解除条項に、その行為がどう書かれているか
  • 支払いや行為の改善を求める催告が、書面であったか
  • 改善のための期間や機会が、実際に与えられたか
  • 施設側に、いつ何があったかの記録が残っているか

滞納なら、いつからいくら滞っているかを施設と突き合わせ、支払いの相談が先にあったかを確かめます。危害を理由とする場合は、さいたま市の様式が医師の意見と観察期間を上乗せしていたように、契約書に追加の手続が書かれていることがあります。

※ 2026年6月に、有料老人ホームの一部に登録制度を導入する改正法が公布されています。ただし関係する部分はまだ施行されておらず、事業者が守るべき具体的な事項も今後の省令で定まります。この記事は、現在施行されている制度を前提にしています。

契約書と重要事項説明書と管理規程のどこを見るか

書類を開きます。見るのは三か所だけで、全部を読む必要はありません。

契約書が手元にあるなら、その三か所を順に見ていきます。手元に無い場合は、施設へ写しを求めるところから始めることになります。

契約書が手元にある場合に見る三か所

一つ目が解除条項。事業者から解除できる場合が、どう書かれているか。二つ目が住み替え・介護が難しくなった場合の定め。施設の中で居室を移る選択肢と、その手続がどうなっているか。三つ目が予告期間です。

予告期間は、日数そのものより読み方が大事になります。見るのは、いつから起算されるのかと、その期間に施設が何をすることになっているのかの二つです。移転先の確保への協力が書かれていれば、それは予告期間中の施設の義務になります。

書類のどの欄に何が書いてあり、それをどう読むのかは、別の記事で扱っています。

関連記事:重要事項説明書のどこを読むか

手元に無い場合は写しを求める

契約書が見つからなければ、施設へ求めます。求めること自体が、記録になります

ここで大事なのは、頼み方です。口頭で「契約書を見せてください」と言うだけだと、記録が残らないまま話が流れます。求めるものを名指しして、後から残る形で頼みます。

  • 入居契約書、重要事項説明書、管理規程の写し
  • 退去を求める理由を書いた書面
  • その理由が、契約書のどの条項に当たると考えているかを書いたもの

これをメールや書面など、後から確認できる形で、いつまでにほしいかを添えて依頼します。ここまでが返事をする前にやることです。

書類の名前は住まいによって違います。管理規程は有料老人ホームの言葉なので、サービス付き高齢者向け住宅なら、賃貸借契約書と、付随する規約やサービスの契約書を求めます。名前が違っても、探すものは同じ三か所です。

次の面談で何を聞くか

ここからは、次の面談までに用意しておくものになります。今日やる作業ではありません。

そのまま口に出せる形で五つ挙げます。

  1. 今回の理由は、契約書の解除条項のどこに当たると考えていますか
  2. 医師の意見は聴いていただけましたか。観察期間はどれくらいを考えていますか
  3. 同じ施設の中で居室を住み替える選択肢は、検討されましたか
  4. 移転先の確保に協力いただけますか
  5. サービスの提供が困難だという判断であれば、紹介その他の措置はどうなりますか

五つ目は、特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合の質問になります。二つ目の医師の意見と観察期間は、施設の中での住み替えのときだけの質問ではありません。状態の変化を理由に契約を解除する場合にも、指針が求めている手続です。

どの質問も、感情ではなく手続を聞いています。答えてもらえれば前に進みますし、答えがなければ、そのこと自体が記録として残ります。

どこへ相談するか

施設が動かないときは、外へ持ち込みます。何を相談したいかで、入口が変わります

相談したいこと主な入口
サービス付き高齢者向け住宅の登録の基準に反する可能性登録を担当する自治体の窓口
有料老人ホームの運営・契約の条件・指針との不整合施設所在地の有料老人ホーム所管課
特定施設の介護サービスや指定の基準介護保険の指定・指導を担当する自治体の窓口。介護保険サービスへの苦情を受け付ける国民健康保険団体連合会もある
契約の条項、返金、原状回復の費用消費生活センター(消費者ホットライン188)
解除の有効性や明渡しを法的に争う段階弁護士等の法律相談

窓口の名前は自治体ごとに違います。迷ったら、施設所在地の自治体に、施設名と「有料老人ホームまたはサービス付き高齢者向け住宅の退去要求について相談したい」と伝えて、担当課につないでもらうのが早く済みます。

消費生活センターは、契約の条項や返金だけの窓口ではありません。交渉のしかたの助言、あっせん、適切な専門機関への橋渡しにも使えます。

お金は別に確認する

前払金を支払っている場合は、契約が終わったときに返還される額と、その計算方法を確認します。法令は、入居後3か月を境に返還の方法を分けています。ここは契約書の水準ではなく法令が定めている点で、前に出てきた90日の予告期間とは性質が違います。

有料老人ホームの前払金と、賃貸借の形での家賃の前払は、別のものとして扱われます。ただし確認することはどちらも同じで、返還される額と計算方法です。詳しい読み方は上の関連記事に譲ります。

なお、国の標準指導指針は、解約の予告期間を設定することで、前払金の返還の債務が義務づけられる期間を事実上短縮してはならないと明記しています。予告期間が長いことを理由に返還が減る、という説明を受けたら、ここを指せます。

※ 退去することになった場合の原状回復について。国民生活センターは、年月の経過による損耗や、普通の使い方をしていても発生する汚れやキズなどの修繕費用については、入居者が費用を負担する必要はないと考えられるとしています(契約書に明確な特約がある場合を除く)。

いま取る三つの行動

やることは三つだけです。

  1. その場で、退去日にも解約にも同意しない
  2. 受けたものが口頭の打診か正式な契約解除の通知かを確認し、退去を求める理由と、根拠になる契約条項を書面で求める
  3. 契約書・重要事項説明書・管理規程を用意し三か所を見る

三つ目の書類が手元に無ければ、施設へ写しを求めます。ここまでが、返事をする前にやることです。

参考にした資料

契約書の様式と、そのほかの資料は次のとおりです。

本文で挙げた制度の記述は、いずれもこれらの資料に当たって確認したものです。個別の契約の有効性は、契約書の中身と個々の事情によって変わります。