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面会は月に1回で15分だけ、人数は2人までと言われています。外出も外泊も断られたままです。いつまで続くのかを聞いても、はっきりした答えが返ってきません。そういう家族に向けた記事です。
面会や外出の回数と時間を決めているのは、法令ではありません。その施設です。確かめる順は、まず親の入居先にどの決まりがかかるかを知り、次にその制限が書面に書かれたものか書面の外の運用かを分けるところから始まります。
次に当てはまる方には、別の記事を用意しています。
面会と外出について何が定められているかは、親の入居先にどの決まりがかかるかで変わります。かかる決まりは2種類あり、その組み合わせで3つに分かれます。
介護保険の運営基準は厚生労働省令で、法令です。かかるのは、その住まい自体が介護保険の介護サービスを提供する種類です。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護付有料老人ホーム・グループホームの4つが当たります。
有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、老人福祉法にもとづいて国が示した指針で、法令ではありません。かかるのは有料老人ホームです。介護付も住宅型もここに入ります。サービス付き高齢者向け住宅も、食事の提供や介護などを行っていて有料老人ホームに当たるものはこの対象です。
つまり、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホームにかかるのは運営基準だけです。 介護付有料老人ホームには運営基準と指導指針の両方がかかり、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅には指導指針がかかります。
自分の親がどれかは、重要事項説明書で確かめられます。国の指導指針が示している様式では、住まいの概要のところに「類型」という欄があり、「介護付」「住宅型」「健康型」から選んで書くことになっています。介護付であれば介護保険事業者番号も入るので、番号の有無が介護保険の指定を受けているかどうかの目印になります。特別養護老人ホームと介護老人保健施設は施設の名称で、グループホームは契約書の「認知症対応型共同生活介護」の記載で分かります。
介護保険の運営基準にも国の指導指針にも、面会の回数や時間や人数を定めた条文はありません。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護付有料老人ホーム・グループホームの運営基準を通しても、「面会」という言葉が出てくる条文は1つもありません。運営基準と指導指針と国の手引きが書いているのは、次の3つです。
3つは効力が違います。1つ目だけが法令で、あとの2つは国が示した指針と技術的な資料です。
運営基準が定めているのは、制限ではなく逆向きの努力義務です。
特別養護老人ホームの運営基準は「常に入所者の家族との連携を図るとともに、入所者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならない」と定めています(指定介護老人福祉施設の基準 第16条第3項)。同じ内容の条文は、ほかの3つにもあります。介護老人保健施設は第21条第2項、介護付有料老人ホームは指定居宅サービス等基準 第188条、グループホームは指定地域密着型サービス基準 第100条第3項です。
外出は、種類で条文の有無が分かれます。特別養護老人ホームには「入所者の外出の機会を確保するよう努めなければならない」という条文があります(同基準 第16条第4項)。ユニット型と、小規模の地域密着型の特別養護老人ホームにも同じ条文があります。介護老人保健施設・介護付有料老人ホーム・グループホームの運営基準には、外出について定めた条文がありません。
出典: e-Gov法令検索 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
「努めなければならない」は努力義務と呼ばれます。守らなければ直ちに罰がある定めではありません。それでも、この条文があることで、面会や外出の機会を減らす向きの運用は基準の向きとは逆になります。
条文の有無で変わるのは、決めている相手ではなく、家族が持ち出せる材料のほうです。外出の条文がある特別養護老人ホームでも、実際に何回出られるかを決めているのは施設です。条文の無い種類でも、やはり施設が決めています。違うのは、外出の機会を確保するよう努める定めを家族が示せるかどうかだけです。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅には、介護保険の運営基準がかかりません。この2つに当たるのは、次の指導指針です。
有料老人ホームには、老人福祉法にもとづく国の標準指導指針があります。法令ではなく、都道府県などが指導に使う指針です。
指導指針は、家族との交流と外出を1つの項にまとめて書いています。「常に入居者の家族との連携を図り、入居者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めるとともに、入居者の外出の機会を確保するよう努めること」です(有料老人ホーム設置運営標準指導指針 9の1の十)。
交流と外出が1つの項に入っているので、介護付でも住宅型でも外出の求めが届きます。 運営基準に外出の条文が無い介護付有料老人ホームは、この項で埋まります。介護老人保健施設とグループホームには有料老人ホームの指導指針がかからないので、外出について定めた国の文書がありません。
サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているものにも、この項はかかります。指導指針が「登録を受けているものには適用しない」と名指ししているのは3・4・5・6・10の規定で、9はそこに入っていません(同 2の10)。
面会をどう実施するかを判断する人は、国の手引きに書かれています。手引きは法令でも指針でもなく、感染対策の進め方を示した技術的な資料です。
厚生労働省老健局の「介護現場における感染対策の手引き 第3版」(令和5年9月)は、施設系サービスの留意点として次のように書いています。
地域における発生状況や都道府県等が示す対策の方針等も踏まえるとともに、入所者及び面会者の体調やワクチン接種歴、検査結果等も考慮して、管理者が、面会時間や回数、場所を含めた面会の実施方法を判断することとします。
出典: 厚生労働省 介護現場における感染対策の手引き 第3版
感染対策として面会をどう実施するかを判断しているのは、その施設の管理者です。 手引きが言う施設系サービスには、介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・介護付有料老人ホーム・グループホームが入ります。さらに「その他居住の機能を有する施設・事業所」も入るので、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅もここに含まれます。外出についても、生活や健康の維持のために必要なものは基本的な感染対策を徹底したうえで実施するよう書いています。
ただし、この手引きが扱っているのは感染対策としての面会です。 人手や過去のできごとを理由にした制限は、この手引きの外にあります。その場合に誰が決めているのかは、次の章で書面から確かめます。
もう1つが事務連絡です。厚生労働省は令和5年1月31日の事務連絡で、面会の機会が減ることによる心身の健康への影響が懸念されるとして、都道府県などへ「面会の再開・推進にかかる働きかけや支援」を求めました。同じ事務連絡は、決まり1で見た運営基準の努力義務を引いて、利用者と家族との面会の機会の確保に努めていただく必要があるとも書いています。
出典: 厚生労働省 高齢者施設における面会の実施に関する取り組みについて
決めているのが施設だと分かれば、次に見るのは施設の書面です。
確かめる順番は3つです。契約のときに渡された書類・施設が掲示している重要事項・書かれていなかったときに聞くことの順に進みます。
面会や持ち込みの扱いが書かれる場所は、運営基準がかかる種類では運営規程です。
運営基準は、運営規程に定める事項として「施設の利用に当たっての留意事項」を挙げています(特別養護老人ホーム 第23条第5号・介護老人保健施設 第25条第5号・介護付有料老人ホーム 第189条第6号)。グループホームでは「入居に当たっての留意事項」という名前になっています(第102条第5号)。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅には運営規程がなく、管理規程があります。指導指針は、入居者の定員・利用料・サービスの内容とその費用負担・介護を行う場合の基準・医療を要する場合の対応などを明示した管理規程を設けるよう求めています(同 8の1)。同じ内容を含む資料であれば、呼び名は問わないとも書かれています。介護付有料老人ホームは、運営規程と管理規程の両方を持ちます。
運営規程も管理規程も、欄に区切られた書式ではなく条を並べた文書です。「留意事項の欄」を探すのではなく、面会・外出・持ち込みの扱いが書かれた条を探します。重要事項説明書に同じ内容が載っていることもあります。
契約書の一式が見当たらなくても、確かめる道が残っています。
運営基準は、施設の見やすい場所に運営規程の概要などを掲示しなければならないと定めています(特別養護老人ホーム 第29条第1項・介護老人保健施設 第31条)。書面を備え付けて、いつでも関係者に自由に閲覧させることで掲示に代えてもよいことになっています(同第2項)。さらに、原則としてウェブサイトに掲載することも定められています(同第3項)。介護付有料老人ホームには第192条で準用する第32条が、グループホームには第108条で準用する第3条の32が、それぞれ同じ内容を定めています。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では、指導指針が情報の開示を求めています。重要事項説明書を書面で交付し、パンフレット・重要事項説明書・入居契約書・管理規程などを公開して、求めに応じて交付することになっています(同 13の1)。
置き方は施設が選べるので、掲示・備え付け・ウェブサイトの順に当たります。ただし掲示されるのは運営規程の概要なので、面会の扱いまで載っているとは限りません。載っていなければ、運営規程や管理規程そのものの写しを求めます。
書面のどこにも書かれていなければ、それは書面の外で決めた運用です。
そのときに聞くのは次の3つです。
感染対策としての面会の実施方法を判断するのは管理者だと、国の手引きが書いています。それ以外の理由による制限を誰が決めているかは、国の文書に書かれていません。この3つを聞くのは、そのためです。
「決まりだから」で止まっていた話が、ここで「この施設が決めたこと」に変わります。相手が決まれば、次は求め方です。
制限そのものより先に家族を止めているのは、いつまで続くのかが分からないことです。次の面会がいつ元に戻るのかが決まらないと、遠方から通う予定も、本人へ伝える言葉も決められません。
施設にも事情があります。職員の人数や、面会に付き添える時間の余裕、過去に感染が広がったときの経験などです。どれも家族からは見えにくく、その施設から見れば筋の通った理由です。制限があること自体を責めても、この事情は動きません。
そのうえで、期限も見直しの予定も示されないまま制限が続く状態は、ここまで見た国の文書の向きとは逆です。運営基準と指導指針が求めているのは、交流と外出の機会を確保するよう努めることです。厚生労働省は令和5年1月31日の事務連絡で、都道府県などへ面会の再開・推進の働きかけを求めています。当サイトは、期限と見直しの予定を家族が聞いてよいと考えています。
聞くことで本人が施設で気まずくならないかは、多くの家族が先に考えることです。ここで求めるのは制限をやめさせることではなく、解除の基準と見直しの時期です。判断しているのが管理者であれば、答えられる問いになります。
求めるのは制限をやめさせることではなく、解除の基準と時期です。
3つとも、判断する側が答えを出せる形です。迷ったら求め方1から出します。 基準と時期が返ってくれば、そのうえで求め方2と求め方3を足せます。
何がどうなったら緩めるのか、いつ見直すのかを聞きます。
「面会を増やしてください」は、その場で断るか受けるかの二択です。「どうなったら人数を戻せますか」「次に見直すのはいつですか」であれば、判断する側は基準と時期を答えられます。答えが返ってくれば、家族は待つ期間の見当がつきます。
会わせたい相手・時期・理由のうち、いちばん動かせないものを1つ選んで具体で言います。
たとえば次のような形です。3つとも言うのではなく、自分の事情に当たるものを1つ選びます。
管理者が判断するのは実施方法なので、判断の材料になるのは一般論ではなく個別の事情です。
家族の側から案を出します。
出せる案には次のようなものがあります。
判断するのは管理者なので、選べる案が増えるほど、管理者がその場で決められる幅が広がります。
持ち込みそのものを定めた条文はありません。運営規程や管理規程に書かれている運用なので、根拠を確かめる順番も求め方も、面会や外出と同じです。
現金だけは扱いが違います。ただし、根拠があるのは有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅だけです。指導指針は、入居者の金銭・預金等の管理は入居者自身が行うことを原則としています(同 9の1の九のイ)。施設が管理してよいのは、本人が特に依頼した場合です。もう1つは、本人が認知症などにより十分な判断能力を有せず金銭等の適切な管理が行えないと認められる場合であって、身元引受人等の承諾を得たときです。依頼または承諾は書面で確認し、具体的な管理方法や定期的な報告を管理規程等で定めることになっています(同 9の1の九のロ)。
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホームの運営基準には、金銭の管理を定めた条文がありません。この3つでは、預かる形になっているかどうかを運営規程と契約書で確かめます。
現金の持ち込みを断られたときは、施設が預かる形になっているのか、それとも持ち込み自体を断っているのかを分けて聞きます。預かる形であれば、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅では書面での確認と報告の取り決めがあるはずです。
なお、面会や持ち込みの制限そのものは、運営基準が身体的拘束等として挙げている行為とは別のものです。ただし、居室や施設から出られないようにする形の制限は、入居者の行動を制限する行為として別の記事が扱う領域に入ります。
面会も外出も、回数と時間を決めているのは法令ではなく、その施設です。運営基準と指導指針が書いているのは機会を確保するよう努めることまでで、国の手引きが書いているのは感染対策としての実施方法を管理者が判断することまでです。
いま始められるのは、契約のときに渡された書面を出して、面会と外出の扱いが書かれた条を探すことです。書かれていれば、書面に沿って求められます。書かれていなければ書面の外の運用なので、いつから誰が何を見て決めたのかを聞きます。この分かれ目を先に付けておかないと、家族と施設は別の話をしたまま向き合うことになります。
介護のあんしんでは、面会や外出の制限のように、決めている相手が見えにくい場面の判断を扱っています。