老人ホームの見学同行サービス|無料の仕組みと頼める相手と頼み方

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シニアのあんしん相談室


※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

 

老人ホームの見学に、誰かに付いてきてほしいと感じる家族は多くいます。見学に同行するサービスは、紹介センターの相談員が無料で行っているものが中心です。

その同行者の報酬は、家族ではなく施設が払います。ここを知ると、同行者に頼むことと、家族が自分で聞くことの分け方が変わります。

同行を頼める相手は4つあり、費用も立場も違います。業界団体の調査と資料で当てた数字をもとに、頼み方と当日の役割分担まで整理します。

老人ホームの見学同行サービスの全体像

老人ホームの見学に付いてきてくれる「見学同行」は、主に紹介センターの相談員が無料で行うサービスです。業界団体の高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)が2024年11月15日から12月6日にかけて紹介事業者へ行った調査では、回答した213社のうち業態が「対面」の事業者は208件(97.7%)でした。その9割以上が、資料請求への対応、要望の聞き取り、対象ホームの絞り込み、見学の日程調整、見学の同行、入居の意思決定に関する連絡の6つすべてを実施していました。

対面型の紹介センターにとって、同行は標準のサービスです。ただし、無料である理由と、同行を受けた家族が実際にどれだけいるかを知ると、使い方が変わります。

紹介センターの見学同行が無料になる仕組み

家族が同行に払う費用はゼロです。同じ調査では、208社(97.7%)が紹介料の徴収方法として「成約した場合にホーム側から手数料として」を挙げています。1件あたりの紹介料は、直近1年(令和5年11月から令和6年10月)の平均が約21.5万円です。同行者の報酬は、家族ではなく施設が払います。

利用者と紹介事業者の間で契約を結んでいるかは、「無」が199件(94%)です。家族は同行者と契約を結ばないまま、同行者は施設との契約で動いています。

手数料の決まり方や、中立性が揺らぐ場面は、老人ホーム紹介センターが無料の理由、手数料の決まり方と中立性が揺らぐ場面に書いています。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 高齢者向け住まい紹介事業に関する実態把握調査の結果報告

同行を受けた家族は半数という調査の読み方

高齢者住まいの3団体に加盟するホームの入居者2,174件に、入居に至った経緯を聞いた調査もあります。本人・家族等が探した39.8%、紹介事業者に依頼して探した24.6%、ケアマネジャーに依頼して探した22.9%でした(複数回答)。紹介事業者を通さずに決めた家族の方が多い結果です。

紹介事業者に依頼して探した534件のうち、「見学する日程調整」を受けた人は84.6%、「見学するホームへの同行」まで受けた人は268件(50.2%)でした。

調査から分かること

同行は紹介センターの標準のサービスで、実際に同行まで受けた家族は50.2%

同行を受けなかった家族も、日程調整と資料で見学して自分で決めている

同行は「頼めば付く」サービスで、黙っていると日程調整と資料で終わります。何を頼むかを決めてから頼みます。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 高齢者向け住まい紹介事業に関する実態把握調査の結果報告

見学同行を頼める相手と費用

同行を頼める相手は4つあります。

相手費用誰と契約して動くか調査で分かる同行の状況
紹介センターの相談員無料(施設が払う手数料)施設成約件数に占める見学同行の割合は平均85.4%(2020年6月から7月の実績)
担当のケアマネジャー無料利用者(居宅介護支援の担当)直接施設を紹介した849件のうち30.0%で同行(2020年度調査)
病院の医療ソーシャルワーカー無料勤め先の病院(退院支援の担当)入居の経緯で「病院のMSWに依頼して探した」は21.3%(2024年調査)
自費の付き添いサービス有料(時間制)依頼した家族事業者ごとに違う

どの相手に頼むかで、同行者が誰の側に立つかが変わります。

紹介センターの相談員に頼む同行

対面型の紹介センターは、提携している施設への見学に相談員が同行します。高住連が厚生労働省の令和2年度の補助事業で行った調査(紹介事業者104社が回答)では、成約件数(入居が決まった件数)に占める見学同行件数の割合は平均85.4%でした。

この数字のもとは2020年6月から7月の2か月の実績です。コロナ禍の調査で、見学の調整や説明を行って建物内に立ち入れなかった場合も同行の件数に数えています。平常時の実施率ではなく、対面型の紹介センターが同行を前提に動いている目安として見る数字です。

同行できる地域は、相談拠点から相談員が動ける範囲が中心です。全国対応をうたう紹介センターでも、拠点が東京の1か所なら、遠い地域は電話と資料が中心になります。届出一覧で拠点の場所を見てから頼む方法は、老人ホーム紹介センターの比較は順位より軸5つ、届出一覧で選ぶ方法に書いています。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 「高齢者向け住まい等の紹介の在り方に関する調査研究」報告書

担当のケアマネジャーと病院の相談員に頼む同行

在宅で介護保険を使っているなら、担当のケアマネジャーに頼めます。令和2年度の同じ調査では、居宅介護支援事業所が答えた1,863件の相談のうち、ケアマネジャーが直接施設を紹介したのは849件(45.6%)で、そのうち30.0%で施設見学に同行していました。

居宅介護支援の運営基準(平成11年厚生省令第38号)の第13条が定めているのは、「介護保険施設への紹介その他の便宜の提供」までです。有料老人ホームの見学への同行は、この条文の外にあります。同行するかはケアマネジャーの判断です。

病院に入院中なら、医療ソーシャルワーカーが退院支援の中で候補を出します。ケアマネジャーも医療ソーシャルワーカーも、施設から手数料を受け取らない立場です。施設側の利害から離れた目で見てもらえます。4つの窓口の違いは、老人ホーム探しは誰に相談する?4つの窓口の違いと最初に行く先に書いています。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 「高齢者向け住まい等の紹介の在り方に関する調査研究」報告書

出典: e-Gov法令検索 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準

自費の付き添いサービスに頼む同行と費用

民間の高齢者向け付き添いサービスに、時間制の料金で頼む選択肢もあります。全国チェーンの「家事処」が公式サイトに載せている通院付き添いの料金表(2026年9月12日に確認)では、自立から要介護3までの人で、短時間プラン(2時間半まで)12,100円、半日プラン(4時間半まで)18,700円、1日プラン(8時間まで)38,500円です。交通費は別に請求されます。この料金表は通院の付き添いのもので、施設見学に対応するかは事業者ごとに違います。

有料で頼む意味は、「家族側に立つ同行者」を頼める点です。施設から手数料を受け取らない立場なので、入居を勧める動機がなく、家族が見たいところを一緒に見てくれます。

遠方の親の施設を探すときは、家族の代わりに見学して報告する「見学代行」を掲げる民間サービスもあります。対応できる地域は事業者ごとに違います。

出典: 家事処 病院・通院付き添いサービス

施設の見学送迎とオンライン見学の扱い

施設側が用意する「見学の送迎」は、同行とは別のものです。施設の職員が駅や自宅まで迎えに来るもので、施設の営業の一部です。送迎の職員は施設の側に立つ人なので、車内で聞いた説明も、施設の説明の一部として受け取ります。

オンライン見学は、画面越しに館内を案内してもらう形です。候補を落とす道具としては使えますが、食堂のにおい、廊下の音、職員の声の掛け方は画面から伝わりにくくなります。見学そのものの予約と質問の組み立ては、「老人ホーム見学の予約と質問リスト」の記事で扱います。

見学同行のメリット

同行のメリットは、見学前・当日・見学後の3つの段階に分かれます。

見学前の候補の絞り込みと書類の取り寄せ

見学前に同行者がするのは、候補の絞り込みと日程調整です。2024年の調査では、紹介事業者に依頼した利用者534件のうち、見学する住まいの絞り込みのサポートを受けた人は55.1%でした。家族が施設に1件ずつ電話する手間が消えます。

重要事項説明書と料金表を見学前に取り寄せることも頼めます。書類で分かる項目(職員数・夜勤の人数・費用の内訳)を先に読んでおけば、当日の質問は書類で分からない項目に絞れます。

条件を1枚にまとめて渡すと、絞り込みの精度が上がります。作り方は親の介護の初回相談へ持っていく一枚のつくり方に書いています。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 高齢者向け住まい紹介事業に関する実態把握調査の結果報告

当日の説明漏れの指摘と聞きにくい質問の代弁

当日、同行者がするのは3つです。1つ目は、施設の説明で漏れた項目の指摘です。何十件も見学している相談員は、施設が言わなかった項目に気づきます。2つ目は、家族が聞きにくい質問の代弁です。「退去を求められる条件は」「直近1年の退去理由は」と、同行者が業界の言葉で聞きます。

3つ目は、本人を連れて行く見学での役割分担です。同行者が本人と一緒に館内を歩いている間に、家族は職員と費用や医療の話を詰められます。

紹介センターは施設にとって入居者を連れてくる相手なので、施設は同行者の前で説明を丁寧にします。

見学後の比較と費用や時期の橋渡し

見学後に同行者がするのは、複数の施設を同じ項目で並べる比較と、施設との橋渡しです。費用の相談、入居時期の調整、仮申込から契約までの段取りを、施設との間に立って進めます。

同行者が提携施設の内情を知っている場合もあります。今の空き状況、職員の入れ替わり、最近の退去の理由などは、資料に載らない情報です。

このメリットを引き出すには、見学後に「他の候補と比べて劣る点はどこですか」と同行者に聞きます。

見学同行の限界と同行者の利害

同行者は、施設が払う手数料で動く立場です。高住連の紹介事業者届出公表制度は、届出をする紹介事業者が同意する遵守項目(2025年1月からの届出分)の1つ目に、次の説明を挙げています。

私たちは、入居検討者に、原則各々の紹介事業者が個別に提携している、高齢者向け住まいを紹介していること(すべての高齢者向け住まいから紹介しているわけではないこと)を説明します。

この前提を知ると、同行の限界が見えます。

同行先が提携施設に限られる仕組み

同行者が連れて行くのは、その紹介センターと提携している施設です。契約の外にある施設は、条件に合っていても候補に上がりにくくなります。

同行を頼む前に、公的な一覧でその地域の施設名を見ておきます。一覧にあって候補に出てこない施設があれば、「紹介の対象に入っていない施設はどこですか」と聞きます。公的な一覧の見方は、老人ホームの紹介会社に連絡する前に、公的な一覧で地域の施設名を見ておくことに書いています。

厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、ホームが紹介事業者と委託契約を結ぶ場合に、高住連の届出公表制度に届出をしている事業者を選定することが望ましいとしています。

提携の外にある施設は、家族が直接連絡して見学します。同行は付かないものの、施設側も手数料を払わずに済みます。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 紹介事業者届出公表制度

出典: 厚生労働省 有料老人ホーム設置運営標準指導指針

同行者の前で本音を言いにくくなる場面

同行者は、入居が決まると成果になる立場です。見学のあとに「どうでしたか」と聞かれたとき、家族が「断りたい」と言いにくくなる場面があります。

見学が終わったら同行者と別れ、家族だけで話す時間を取ってから返事をします。「持ち帰って家族で決めます」と言えば済みます。

同行者の力量を測るには、「この施設の弱点はどこですか」と聞きます。具体的に答えられる同行者は施設の中を知っていて、「どこも良い施設です」と返す同行者は資料の説明で止まっています。相談員の測り方は、いい介護の評判と相談員の実力|届出で分かる対面相談と見学同行の範囲に書いています。

同行者の範囲の外にある判断と契約の確認

同行者の範囲の外にあるのは、入居するかどうかの判断、医療の判断、契約書の内容の保証の3つです。この3つは家族が持ちます。

契約の確認では、施設が口頭で答えた内容と重要事項説明書の欄を突き合わせます。重要事項説明書は、指導指針で入居しようとする者へ書面で交付するものとされている資料です。「夜間は3人います」と言われたら、夜勤の人数の欄を見ます。合わなければ、施設に理由を聞きます。

同行を断っても、紹介サービスは続きます。「今回は家族だけで行きます」と伝えれば、候補出しと日程調整だけを頼めます。

出典: 厚生労働省 有料老人ホーム設置運営標準指導指針

見学同行の頼み方

頼み方は具体的に伝え、当日は役割を分け、同行できない地域では電話で代わりを頼みます。

最初の電話で同行を頼む言い方と地域の確かめ方

最初の電話で、同行できる地域かを先に聞きます。そのうえで、日付と役割を添えて頼みます。

電話での頼み方

「私の市区町村の施設に、見学の同行はできますか」

「○月○日の見学に同行をお願いします。当日は施設の説明のあとに私が3つ質問するので、抜けがあれば補ってもらえますか」

紹介センターを2社使う場合でも、同じ施設の見学に2社の同行を頼むことは避けます。高住連の遵守項目は、紹介事業者が施設と結ぶ斡旋契約(紹介についての契約)で決める項目の1つに、紹介が重複したときの取扱いを挙げています。重複すると、手数料をどちらに払うかで行き違いのもとになります。同行を頼むのは1社に絞ります。

日付と役割を先に伝えておくと、当日の同行者は「何を補えばよいか」が分かった状態で来ます。

出典: 高齢者住まい事業者団体連合会 紹介事業者届出公表制度

当日の役割分担と家族が自分で聞く項目

当日は、同行者に頼む項目と、家族が自分で聞く項目を分けます。同行者に頼むのは、説明漏れの指摘、複数施設の比較表、費用と時期の橋渡しの3つです。

家族が自分で聞くのは、退去を求められる条件、夜間の介護と看護の人数、月額に含まれない追加費用、直近1年の退去理由の4つです。この4つは、施設の答えを家族が直接聞いて、重要事項説明書と突き合わせる項目です。

質問の順番や、見学で見る場所は、「老人ホーム見学の予約と質問リスト」の記事で扱います。

同行できない地域での代わりの頼み方

同行できない地域では、同行の代わりに「見学前の電話で、この施設で聞く項目を一緒に整理してもらえますか」と頼みます。相談員はその施設の資料を持っているので、書類で分かる項目と当日に聞く項目を分けてくれます。見学のあとに電話で感想を伝えれば、次の候補も出してもらえます。

遠方の親の施設を探す場合は、見学代行やオンライン見学で候補を2件まで落とし、現地見学を1回に絞ります。現地の1回は、地域に拠点を持つ別の紹介センターに同行を頼む方法もあります。

同行が付かない見学でも、書類を先に読み、聞く項目を4つに絞れば、判断に必要な情報は集まります。

まとめ:見学同行は頼んで初めて付き、同行者の報酬は施設が払う

いちばん重い答えは、同行が「頼めば付くサービス」だという点です。対面型の紹介センターの9割以上が見学の同行まで実施している一方で、紹介事業者に依頼した534件のうち同行まで受けた人は50.2%でした。そして同行者が受け取る対価は施設からの紹介料で、平均は1件21.5万円です。同行者は家族と契約を結ばないまま動いているので、入居するかどうかの判断は家族が持ちます。

次の一歩は、最初の電話で「私の市区町村の施設に、見学の同行はできますか」と地域を確かめ、日付と当日の役割を添えて頼むことです。ここを飛ばすと、日程調整だけを受けて当日を迎え、施設の説明を家族だけで受け止める形になります。同じ施設の見学に2社の同行を頼むことも避けます。重複したときの手数料の取扱いは、施設と紹介事業者の間の取り決めに沿って処理される話になります。

そのうえで、家族が自分で聞く4つを見学の前に書き出しておきます。退去を求められる条件、夜間の介護と看護の人数、月額に含まれない追加費用、直近1年の退去理由です。同行者が付いても、この4つは家族が直接聞いて、重要事項説明書と突き合わせます。介護のあんしんでは、見学同行の頼み方や同行者の立場も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。