※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

資料請求のあと、資料が届く前後に施設や相談員から電話がかかってきます。何を聞かれるか分からないまま出ると、答えに詰まります。
聞かれる項目は、施設が入居を受け入れるかどうかを判定する項目と重なります。答え方しだいで、電話の結果が変わります。
要介護度・医療処置・認知症・予算の答え方と、手元に置く書類、答えを書いた1枚を、制度の裏づけと一緒にたどります。
資料請求のあとの電話で聞かれる項目は、本人の状態、希望、家族の3つに分かれます。
この3つは、施設が入居を受け入れるかどうかを判定する項目と同じです。だから、答え方で電話の結果が変わります。
| 分類 | 聞かれる項目 | 施設が見ている欄(重要事項説明書) |
|---|---|---|
| 本人の状態 | 年齢・要介護度・認知症の症状・医療処置・現在の居場所 | 入居対象となる者・要介護度別の入居者数・協力医療機関・職員体制 |
| 希望 | エリア・月額の上限と一時金・部屋のタイプ・入居時期 | 利用料金・居室の種類・空室 |
| 家族 | 連絡の中心になる人・身元引受人の有無・見学に来られる日 | 契約時の身元引受人・緊急連絡先 |
電話が来る仕組みと止め方は、老人ホームの一括資料請求のデメリットは3つ、電話と個人情報を減らす順番に書いています。この記事は、電話に出たあとの「聞かれる側」の話です。
最初に聞かれるのは本人の状態です。年齢、要介護度、認知症の症状、医療処置(胃ろう・インスリン・たん吸引など)、今どこにいるか。施設はここで「受け入れられるか」を判断しています。
次が希望です。住みたいエリア、月額の上限、入居一時金を払えるか、部屋のタイプ、いつ入りたいか。施設は「空いている部屋と料金プランに合うか」を見ています。
最後が家族です。連絡の中心になる人、身元引受人になれる人、見学に来られる日。契約と入居後の連絡体制の確認です。順番は施設で前後しますが、質問はほぼこの3つに収まります。
電話で聞かれる項目は、施設の重要事項説明書の欄と重なります。国が定めた様式には、入居対象となる者(自立・要支援・要介護の別)、要介護度別の入居者数、協力医療機関、夜勤を行う看護職員と介護職員の人数、利用料金、契約解除の内容という欄があります。施設はこの欄の条件に、電話の答えを当てはめています。
つまり電話は、資料が届いたかの確認というより「入居の一次判定」です。答えが曖昧だと「まずは見学にお越しください」で保留になり、一部の答えだけで判定されると「今の体制では難しい」で終わります。どちらも、判定に要る情報が渡っていない結果です。
判定に要る情報を先に揃えて答えれば、電話の段階で受け入れの可能性が高い施設と難しい施設が分かれ、見学に行く数を減らせます。
電話の相手が紹介センターの相談員か、施設の入居相談員かで、同じ質問でも目的が違います。
紹介センターの相談員は、提携施設の中から候補を絞るために聞きます。ここでは、候補の幅が分かるように、上限と希望の両方を伝えます。
施設の入居相談員は、自分の施設で受け入れられるか、どの部屋に入れるかを決めるために聞きます。ここでは正確さが要ります。相談員に話した内容がそのまま施設に伝わるとは限らないので、施設から電話が来たら同じ内容をもう一度、正確に話します。
本人の状態は、要介護度、医療処置、認知症、現在の居場所の4つで聞かれます。
4つとも「事実を分けて答える」が基本です。悪く見せないために省くと、入居後に退去の要件に当たって戻ってきます。
要介護度は、数字に加えて、認定の有効期間と保険者(介護保険の市町村)まで聞かれることがあります。3つとも介護保険被保険者証に書いてあるので、手元に置けば1回で答えられます。
有効期間は、新規の認定で原則6か月、更新の認定で原則12か月です。更新の申請は満了日の60日前から満了日までの間に行うので、期限が近い人は入居の準備と更新が重なります。保険者を聞かれるのは、住所地特例に関わるからです。有料老人ホームは介護保険法の「特定施設」に当たり、入居して住所を移しても保険者は入居前の市町村のまま続きます。
認定をまだ受けていない場合は「申請中」か「未申請」と答えます。認定前は施設が介護の量を見積もれず、判定が保留になりやすい状態です。申請中なら認定調査の予定日を伝えます。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法第13条・e-Gov法令検索 介護保険法施行規則第38条・第39条・第41条
医療処置は、「胃ろうがあります」と処置名だけで答えると判定が粗くなります。夜間に看護師がいない施設は、処置名だけで「難しい」と答えることがあります。
答えるときは4つに分けます。処置の名前、1日の回数、行う時間帯、今は誰が行っているか。「インスリンは朝と夕の2回、本人が自分で打っています」なら日中の看護体制で対応できる施設が残り、「夜間のたん吸引が1〜2回」なら看護師の夜勤がある施設に絞られます。
施設が見ているのは処置の名前より、その処置を「誰が、何時に」行えるかです。難しいと言われたときの分け方は、医療対応が難しいと断られたとき、処置と時刻と実施者に分けて確かめる方法に書いています。
認知症は、「認知症があります」だけで答えると重度と受け取られやすくなります。施設が知りたいのは診断名より、どんな症状が、どのくらいの頻度で、どの時間帯に出るかです。
答えるときは、診断名に加えて、症状(物忘れ・夜間の徘徊・暴言・介護への抵抗)、頻度(毎晩・週に1〜2回)、時間帯(夕方・夜間)、きっかけ、服薬を伝えます。「夜間の徘徊が週に1回、声をかけると戻る」と「毎晩、外に出ようとする」では、判定が変わります。
暴言や暴力がある場合の伝え方は、認知症の暴言・暴力があっても受け入れる施設はどこかに、断られたときの理由の具体化は、認知症対応可の施設に断られたとき、次を探す前に理由を具体化する方法に書いています。
「今はどちらにいらっしゃいますか」は必ず聞かれます。自宅か、入院中(病院名と退院予定日)か、別の施設かで、施設の動き方が変わります。
入院中なら、施設は病院の相談員との連絡や、病院が施設へ渡す診療情報提供書の取り寄せを段取りし、退院予定日までに判定と契約を終える逆算になります。自宅なら、体験入居を提案されることがあります。
「いつ入りたいか」の答えは、この居場所から決まります。「退院が来月15日なのでそれまでに」「特養の順番が来るまでの間」のように、期限と理由を一緒に伝えると、施設は空室との当てはめを具体的にできます。
費用は「月額の上限」と「一時金を払えるか」の2つで答えれば足ります。
介護費は介護保険の負担割合で変わるので、負担割合証を手元に置きます。希望エリアは、本人の今の住所より、通う家族の距離で答えます。
| 質問 | 答え方 | 電話の段階では答えなくてよい範囲 |
|---|---|---|
| ご予算は | 月額の上限と、できれば希望の額の2段 | 年金の額・預貯金の額 |
| 入居一時金は | 払える/難しい/額による | 資産の内訳 |
| 介護保険の負担割合は | 負担割合証の割合(1〜3割) | 所得の額 |
| ご希望のエリアは | 通う家族の住所からの距離 | 家族の勤務先 |
月額は、家賃・管理費・食費に、介護費・医療費・日用品を足した総額で考えます。施設の料金表の「月額」は家賃・管理費・食費だけの場合があるので、「全部込みで月◯万円まで」と総額で伝えます。
答え方は2段です。「上限は月20万円、できれば17万円くらい」のように、上限と希望を分けます。低めだけ言うと候補が減り、高めだけ言うと高いプランを勧められます。
入居一時金は「払える」「難しい」「額による」のどれかで足ります。年金の額や預貯金の額は、電話の段階で答える必要は薄く、申込書に欄がある施設でも書面の段階で足ります。
介護付き有料老人ホームの介護費は、要介護度ごとに1日あたりの額が決まっていて、そこに本人の負担割合(1割・2割・3割)を掛けた額が自己負担です。同じ要介護3でも、1割の人と3割の人では月の介護費が3倍の差になります。
負担割合は、介護保険負担割合証に書いてあります。この証書には有効期限があり、期限が来ると新しいものが交付されます。電話の前に手元に置き、「1割です」と答えられるようにします。
住宅型有料老人ホームやサ高住では、介護費は外部の訪問介護やデイサービスの利用量で決まるので、施設は「今使っているサービスと回数」を聞きます。ケアマネジャーが作るケアプランの1枚目に、種類と回数が書いてあります。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法第49条の2・e-Gov法令検索 介護保険法施行規則第28条の2
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム 特定施設入居者生活介護
施設が聞いているのは、「通える家族がいるか」です。緊急時に駆けつけられる人、面会に来られる人が近くにいるかは、入居後の連絡体制に関わります。
答えるときは、「通うのは長女で、◯◯市から車で30分以内」のように、通う人と距離で伝えます。本人が長年住んだ地域を離れたくない希望も一緒に伝えますが、通う家族の距離は必ず聞かれます。
部屋のタイプと入居時期も、この流れで聞かれます。部屋は「個室でトイレ付き」のように条件を1つか2つ、時期は退院予定日など期限と理由を伝えます。
準備するのは、手元に置く書類3点と、電話用の1枚です。
反対に、電話の段階では出さなくてよい情報も5つあります。
電話の前に手元に置く書類は3点です。介護保険被保険者証(要介護度・有効期間・保険者)、介護保険負担割合証(負担割合)、お薬手帳(服薬と主治医)。この3点で、本人の状態についての質問の大半に答えられます。
あれば加えたいのは、主治医から聞いた病名と医療処置の一覧、入院中なら退院サマリーの写し、ケアマネジャーがいるならケアプランの1枚目です。処置の回数と時間帯、サービスの種類と回数がここに書いてあります。
書類が無いまま電話に出ると、「たぶん要介護2だったと思います」という曖昧な答えが施設のメモに残ります。折り返しにして、書類を揃えてからかけ直す方が早く進みます。
書類を見ながら答えるより、1枚にまとめておく方が、どの施設にも同じ内容を答えられます。
電話用の1枚に書く8項目
地域包括支援センターへの初回相談に持っていく一枚は、親の介護の初回相談へ持っていく一枚のつくり方に書いています。あちらは困りごとを伝える紙、こちらは施設の判定項目に合わせた紙です。
電話で答えた内容は施設のメモに残り、申込書と食い違うと確かめ直しになります。1枚を作って同じ内容を答えておくと、食い違いを防げます。
電話の段階では答えなくてよい情報が5つあります。年金の額、預貯金の額、本人の生年月日(年齢で足ります)、病名や検査値の詳細、マイナンバーです。病名や検査値は、申込みの段階で、病院が施設へ渡す診療情報提供書や健康診断書という書面になります。
聞かれたときは、「申込みの段階で書面でお出しします」と答えます。多くの施設は、申込書と個人情報の使用同意書、健康診断書、診療情報提供書という書面で、必要な情報を受け取る手順を持っています。
紹介センターの相談員から聞かれた場合も同じです。相談員が施設に伝えるのは条件であって、資産の額は条件の外にあります。個人情報を渡す前に確かめる順番は、老人ホームの紹介会社に連絡する前に、公的な一覧で地域の施設名を見ておくことに書いています。
電話は判定される場であると同時に、判定の基準を聞き出す場です。
聞き返すのは、判定に足りない情報、部屋のタイプと入居までの手順、難しいと言われたときの理由の3つです。空室・待機の人数・受け入れ可否・見学できる日程の4つは、資料請求のデメリットの記事で扱っています。
本人の状態を伝え終えたら、「今お伝えした状態で、受け入れの判定に足りない情報はありますか」と聞きます。「夜間の処置の回数を確かめたい」「主治医の意見が要る」と返ってくれば、判定に何が要るかが分かり、見学の前に補えます。
この質問をしないと、施設は情報が足りないまま「まずは見学に」と言うか、「難しい」と判定します。
答えが「大丈夫です、見学でお話ししましょう」なら、電話の段階では受け入れの可能性が高いと受け取れます。「◯◯の点を確認させてください」なら、その点が判定の分かれ目です。
次に聞くのは、「空いている部屋のタイプ(個室・広さ・トイレの有無)は」「申込みから入居までの手順と、だいたいの日数は」の2つです。
手順は、見学、申込み、面談、健康診断書や診療情報提供書の提出、判定、契約、入居という流れが一般的で、施設によって順番と日数が違います。退院予定日が決まっているなら、この日数が間に合うかで候補が変わります。
あわせて、「体験入居はありますか」「入居後に状態が変わったとき、退去になる条件は何ですか」も聞きます。国の指針は契約の前に体験入居の機会を確保するよう施設に求めていて、退去の条件は重要事項説明書の「契約解除の内容」の欄にあります。
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(老発1206第2号)・厚生労働省 別紙様式 重要事項説明書
「今の体制では難しい」と言われたら、そこで切らずに理由を分けて確かめます。難しいのはどの処置か、どの時間帯か、認知症のどの症状か。「夜間のたん吸引が難しい」なら、夜間の処置が無くなれば受けられる可能性が残ります。
電話を切る前に確かめる4つ(申込みの状態・対応できない条件・再検討の可能性・次の相談先)は、老人ホームに断られた直後、電話を切る前に確認する4つに書いています。断られた理由の種類と条件の変え方は、老人ホームに断られた理由は6種類。次に探す条件の変え方にあります。
1件目の電話で判定の基準が分かれば、2件目からは「夜間の処置は無い」「徘徊は週1回で声かけで戻る」と最初から分けて伝えられます。電話の段階で候補が絞れ、見学に行く施設が減ります。
いちばん重いのは、電話で聞かれる項目が、施設の重要事項説明書の欄とほぼ同じだという点です。入居対象となる者、要介護度別の入居者数、協力医療機関、夜勤の職員数、利用料金、契約解除の内容という欄に、電話の答えが当てはめられています。だから、要介護度も医療処置も認知症も、事実を分けて答えるほど、受け入れの可能性が高い施設と難しい施設が電話の段階で分かれます。
次の一歩は、電話に出る前に介護保険被保険者証・介護保険負担割合証・お薬手帳の3点を手元に置き、8項目の1枚を作ることです。被保険者証には要介護度と有効期間と保険者が並び、保険者は住所地特例に関わるので必ず聞かれます。ここを飛ばすと「たぶん要介護2だったと思います」という曖昧な答えが施設のメモに残り、あとで申込書と食い違って確かめ直しになります。
次に確かめるのは、1件目の電話で「受け入れの判定に足りない情報はありますか」と聞き返した答えです。そこで返ってきた項目が、2件目からの伝え方をそのまま決めます。介護のあんしんでは、資料請求後の電話で聞かれる項目と答え方も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。