※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

老人ホームへの申し込みを断られ、その電話をまだ切っていない家族に向けた記事です。「なぜ駄目だったのですか」と聞いてもはっきりした答えが返ってこず、次に何を聞けばよいか決まらない場面を想定しています。
この記事を読むと、電話を切る前に聞く4つが分かります。あわせて、「断られた」を3種類に見分ける方法と、次の相談先へ何を渡すかまでが分かります。
断られた直後に確かめるのは4つあります。1つ目は断られた理由ではなく、申込みの状態です。理由から入ると、相手の説明を聞くだけで通話が終わり、いちばん取り返しのつかない部分が確かめられないまま切れてしまいます。2つ目から4つ目で、対応できない具体的な条件と、再検討の可能性と、次の相談先を押さえます。そのうえで、聞いた内容を控えるところまでを一続きの作業にします。
「断らないでください」と争っても、次の入居先は近づきません。受入れが難しい具体的な条件と、次に相談すべき先を確認するほうが、次の行動につながります。
理由を先に追わないのには、制度上の裏づけもあります。断った理由を書面にして渡すことを一律に義務づける規定は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。根拠と、確かめた範囲は「次の相談先へ渡す情報を準備する」で書きます。 なお、当サイトは介護施設を運営している事業者ではありません。
この4つは、どの施設に対しても聞いてかまいません。ただし、施設の側にそれへ応じる制度上の裏づけがあるかどうかは、施設の種類によって分かれます。もし余裕があれば、同じ通話の中で「介護保険上の正式なサービス種別は何ですか」も聞いておくと、あとの確認が速くなります。種類の確かめ方そのものは、この後の「施設の正式な種類を確認する」で扱います。
この節で聞くのは、1つ目の「申込みの状態」です。
特別養護老人ホーム(以下、特養)では、施設ごとに置かれた入所検討委員会という合議の場で入所を決めます。ここで今回の入所に至らなかった場合、それは受入れができないという判断ではなく、優先順位が今回は届かなかったという意味であることがあります。申込み自体は名簿に残っています。
この区別を確かめないまま「断られた」と受け取って別の施設へ動くと、残っている申込みを放置することになります。
「今回のご連絡で申込みは終了ですか。それとも名簿に残りますか」
申込みを名簿で管理し、順位を付ける仕組みを制度として持っているのは特養です。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で同じ言葉を聞いた場合は、「空室が出たら連絡する」という別の意味であることがあります。何を指しているのかを、その場で言い直してもらいます。
2つ目に聞くのは、断りの具体的な中身です。「うちでは無理です」のままでは、次の施設へ渡せません。
「対応できないのは、どの処置と時間帯ですか」
夜間の吸引なのか、見守りの頻度なのか、日中の付き添いなのか。具体の条件まで下りると、次に当たるべき先が変わることがあります。夜間の医療対応が理由なら、次に探すのは別の老人ホームではなく、看護職員の夜間配置がある施設や医療機関かもしれません。
ここで、もう一つ大事なことがあります。断りは、施設の体制でその人を支えられるかどうかの話であって、親本人の値打ちについての判定ではありません。
これには条文の裏づけもあります。あとの章で見る規定はいずれも「自ら適切な便宜を提供することが困難である場合」という形をとっており、主語は施設です。ただしこの条文が置かれているのは、特養・介護老人保健施設・グループホーム・介護付有料老人ホームの4種類にとどまります(住宅型有料老人ホームと、特定施設の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅では確認できていません)。
3つ目は、一時の見送りなのか、この施設ではもう進まないのかの切り分けです。その場で確かめておくと、後から問い合わせ直す手間が減ります。
「治療や服薬、医療処置、介護度、空室状況が変わった場合、再検討は可能ですか」
「再度確認する予定日はありますか」
この5つは、施設へ確認するための質問の例です。制度上の再判定の条件として定められているものではありません。「この5つが変われば再判定される」という一般的な決まりがあるわけではなく、何が変われば再検討できるかは施設ごとに違います。だから聞いて控えます。
グループホームと介護付有料老人ホームについては、何か月後に再判定するといった公的な仕組みを、今回は確認できませんでした。再検討の判断は施設側の裁量で行われます。特養の届出(後述)とは、確かさの度合いが違います。
なお、この3つ目は答えが得られないこともあります。そのときも次の4つ目へ進んでかまいません。
4つ目は、次に当たるべき先です。断って終わりにさせない根拠は、施設の種類によっては制度の側にあります。
「この状態なら、次にどの種類の施設・医療機関へ相談すべきですか。次に当たる先や相談先を教えてください」
自ら適切な便宜を提供することが困難な場合に、他の施設や医療機関を紹介する等の適切な措置を速やかに講じることを定めた規定が、次の4つにあります。いずれも入所(入居)を申し込んだ人を明文で含んでいます。
| 施設の種類 | 規定 |
|---|---|
| 特養 | 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第4条の3 |
| グループホーム | 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第94条第3項 |
| 介護付有料老人ホーム | 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第179条第3項 |
| 介護老人保健施設 | 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第5条の3 |
条文が定めているのは「紹介する等の適切な措置」です。特定の施設名を挙げることまでを求めた規定ではありません。だから「では、どこなら受けられますか」とは聞きません。この聞き方だと、施設側が他の施設の空床や受入れを保証したかのように受け取られかねず、答えるほうも答えにくくなります。求めるのは、次に当たるべき種別と相談先です。
最後は、聞いた内容を残す作業です。後から「言った・言わない」にならないためであり、次の相談先へ渡すのもこのメモになるからです。
控えるのは、日時・担当者名・言われた言葉・申込みの状態・次回の確認日の5つです。ここに、聞けたなら正式なサービス種別も足しておきます。可能なら「この理解で合っていますか」と口頭で確認します。
実際の通話は、1つ目の答えによって続きが変わります。
家族「今回のご連絡で申込みは終了ですか。それとも名簿に残りますか」
施設「申込みは残ります。次回の検討は年度が変わってからになります」
家族「では、状態が変わったときの届出の方法と、次回の検討の時期を教えてください」
答えが逆だった場合は、こうなります。
家族「今回のご連絡で申込みは終了ですか。それとも名簿に残りますか」
施設「今回で終了になります」
家族「対応できないのは、どの処置と時間帯ですか。この状態なら次にどの種類の施設・医療機関へ相談すべきでしょうか」
ここまでが通話中の話です。次からは、電話を切った後の動き方に入ります。まず、自分が受けた「断られた」がどれに当たるかを見分けます。
同じ「断られました」でも、次にやることは3つに分かれます。申込みが終わったのか、名簿に残っているのか、条件つきで保留されているのか。どれに当たるかで、動く先も、動く速さも変わります。
以下では、それぞれについて、言われた言葉の目印と、その状態が生じる仕組みを持つ施設の種類と、次にやることを並べます。
なお、ケアマネジャーや紹介会社の段階で入居先の候補が出てこない場合と、入居した後に退去を求められた場合は、この記事では扱いません。使える制度も、必要な行動も違うためです。
1つ目は、この施設ではこれ以上進まない状態です。
言われる言葉は「うちでは無理です」「入居はお受けできません」「対応できません」あたりで、どの種類の施設でも起きます。
やることは、次の候補と相談先の確保です。通話中に聞く4つのうち、2つ目から4つ目(対応できない条件・再検討の可能性・次の相談先)が、そのまま次にやることになります。
2つ目は、申込みが名簿に残っている状態です。
言われる言葉は「判定会議で今回は入所になりませんでした」「否決されました」「順番が来ていません」です。
これが生じるのは、申込みを名簿で管理し、順位を付ける仕組みがある施設です。制度としてこの仕組みを持つのは特養ですが、他の種類の施設が独自に空室待ちの名簿を持っていることもあります。だから、自分が言われたのがどちらなのかは施設に確かめます。
申込みが名簿に残っている状態なら、動くべきは別の施設への申込みではなく、その申込みがまだ有効かどうかの確認です。
なお、「否決」という言葉は行政の処分を指すものではありません。東京都江東区は、入所検討委員会による入所優先順位の確定について「区からの結果通知は行いません」と案内しています(2026年8月6日確認)。これは1つの区の運用です。ただ、家族が受け取っている「否決されました」が、行政の決定ではなく施設からの口頭の連絡であることは、ありえます。言葉の重さに引きずられる必要はありません。
3つ目は、断りなのか段階的な案内なのかが、はっきりしない状態です。
言われる言葉は「まずはデイサービスから」「もう少し様子を見てから」「今は難しい」です。これは、施設が自ら受入れの可否を判断する種類、たとえばグループホームや介護付有料老人ホームで生じます。
ある社会福祉法人が公表している苦情の解決結果に、こういう例があります。平成30年4月10日に受け付けた申出として、「若年性認知症の方でグループホームへの入所を断られたが、はっきりした理由がなかったと言われていたので経過説明をお願いします。」という言葉が記録されています。これに対し施設側は「まずはデイサービスからのご利用で」と伝えていたとし、7月1日からの入所予定であったと説明しています。
これは公表されている1件の事例です。こうした行き違いがどのくらいの割合で起きているかを示す資料ではありません。ただ、家族が「断られた」と受け取ったものが、施設側では段階的な利用の案内だった例が実在することは分かります。
断りなのか段階的な案内なのかは、家族の側からは見分けられません。だから通話中の1つ目の質問で確かめます。
3つのどれに当たるかが分かったら、次は、その施設が制度上どの種類なのかを確かめます。ここで言えることが変わります。
この章が渡すのは2つあります。施設の種類を確かめる順番と、種類によって言えることがどう変わるかです。
種類が決まらないと、前の章で見た規定のどれが使えるかも決まりません。ただし、電話中や面談の直後にウェブ検索を始めるのは現実的ではありません。だから最短の手段から順に置きます。
いちばん速いのは、その場で施設に聞くことです。
「介護保険上の正式なサービス種別は何ですか」
パンフレットや看板の呼び名だけで判断しないでください。「有料老人ホーム」という同じ言葉の中に、介護付と住宅型という制度上まったく違うものが入っているからです。
この2つを分けているのが特定施設の指定です。特定施設とは、介護保険法上の指定を受けて、その施設の職員が介護保険のサービスを提供する住まいのことをいいます。指定を受けている有料老人ホームが介護付、受けていないものが住宅型と呼ばれます。住宅型では、介護は外部の訪問介護などを別に契約して受けます。「介護付」と名乗っていても、この指定を受けているとは限りません。
電話を切った後に確かめるなら、厚生労働省の介護サービス情報公表システムを使います。
このサイトには入口が複数あります。都道府県版のトップに「介護事業所を検索する」があり、それとは別に「有料老人ホームを検索する」「住まい(サービス付き高齢者向け住宅)を検索する」が置かれています。どちらの入口で見つかったかと、検索結果に表示されるサービスの種類の両方を見ます。
見るのは施設名の一致だけではありません。介護保険の指定を受けているのは、検索結果の行に表示されているサービスの名前のほうです。住宅型有料老人ホームに訪問介護などの事業所が併設されていると、同じ名前で介護事業所の検索に出てくることがあります。施設本体が「特定施設(有料老人ホーム)」として出ているのか、併設の別のサービスが出ているのかを、表示されたサービスの種類で確かめます。
有料老人ホームについては、第三段階として重要事項説明書と都道府県の一覧があります。
重要事項説明書は、断られた家族なら求められます。有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、「入居相談があったときに交付するほか、求めに応じ交付すること」と定めています。すでに入居相談をした人は、交付を求められる立場にあります。
手にしたら、冒頭にある事業主体と施設の概要の部分を見ます。欄の名前は様式によって違いますが、探すのは「介護保険の指定を受けているか」と「どのサービスの指定か」の2点です。特定施設入居者生活介護の指定と、その事業所番号が書かれていれば介護付、その記載が無ければ住宅型と判断できます。
都道府県の一覧を使う場合も同じで、施設種別を示す列に何と書かれているかを見ます。東京都と神奈川県が施設種別ごとの一覧を公表しています(2026年8月6日確認)が、どの自治体でも同じものが見られるとは限りません。
施設の種類ごとに、確認できた規定を整理すると次のようになります。表の「確認できませんでした」は、いずれも今回調べた全国共通の省令と国の指針の範囲での話で、都道府県の条例や要綱まで網羅した結果ではありません。
| 施設の種類 | 正当な理由のない拒否を禁じる定め | 提供が困難なときの紹介等の措置 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | あります(省令第39号 第4条の2) | あります(同 第4条の3) |
| 介護老人保健施設 | あります(省令第40号 第5条の2) | あります(同 第5条の3) |
| グループホーム | あります(省令第34号 第108条が第3条の8を引用して適用) | あります(同 第94条第3項) |
| 介護付有料老人ホーム | 確認できませんでした | あります(省令第37号 第179条第3項) |
| 住宅型有料老人ホーム | 確認できませんでした | 確認できませんでした |
| 特定施設でないサービス付き高齢者向け住宅 | 確認できませんでした | 確認できませんでした |
介護付有料老人ホームの行について補います。省令第37号第179条第1項は「正当な理由なく入居者に対する指定特定施設入居者生活介護の提供を拒んではならない」と定めており、条文の言葉としては入居を申し込んだ段階の人を挙げていません。同じ条の第3項は、そこであらためて「入居申込者又は入居者」と書き分けています。この書き分けからは、第1項が対象にしているのは入居した後の人だと読めます。これは条文にそう書いてあるのではなく、条文の書き方から読み取ったことです。 他の条文を引用して適用する規定である第192条にも、提供拒否の禁止は入っていません。
住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の行は、別の行に分けてあります。有料老人ホーム設置運営標準指導指針(令和6年12月6日改正)の全文を検索したところ、「正当な理由」という語は現れず、入居申込みの拒否を禁じる項も、断ったときに紹介する義務を定めた項も置かれていませんでした。指針に無い、という事実です。
なお、「正当な理由」として何が想定されているかは、国の通知に例示があります。居宅サービスについての老企第25号は、事業所の現員では利用申込みに応じきれない場合、利用申込者の居住地が事業の実施地域外である場合、その他自ら適切なサービスを提供することが困難な場合の3つを挙げています。特養についての老企第43号は、入院治療の必要がある場合その他自ら適切なサービスを提供することが困難な場合としています。項の番号は、厚生労働省の法令等データベースから通知の階層を確定できなかったため書いていません。
この表は、施設と争うための材料ではありません。通話中に聞く4つは、どの種類の施設に対しても聞けます。表が示しているのは、施設の側に制度上の裏づけがあるかどうかであって、家族が聞いてよいかどうかではありません。裏づけの有無を知っておくと、返答が得られなかったときにそれ以上押すべきかどうかを判断できます。
種類が分かったら、次は、次の相談先へ何を持っていくかです。
次の相談先へ渡すものは、3つに分けて考えると取り違えません。前の施設の説明(家族のメモ)、本人の状態を示す資料、そしてそれを誰に頼むかです。
もう一つ、大事なことがあります。次の施設は、前の施設の結論をそのまま引き継ぐわけではありません。自分のところの体制で受け入れられるかを、自分で判断します。だから渡すべきなのは「断られました」という結果ではなく、断られた具体的な条件と、本人のいまの状態です。
この章の作業は、次の相談先が決まってから始めてかまいません。電話を切った当日に全部を用意する必要はありません。
1つ目は、前の施設が何と言ったかです。
ケアプランやアセスメント票は、本人の状態を伝える資料です。前の施設がなぜ断ったかを記録した書類ではありません。ここを取り違えると、施設に無いものを求めて時間を失います。
だから、前の施設の判断を残す方法は、家族が聞いてメモすることになります。可能なら「この理解で合っていますか」と読み上げて確認しておくと、次の施設へ伝えるときに揺れません。
冒頭に書いた「書面にして渡す義務が見つからなかった」の根拠は次のとおりです。確かめたのは2つです。1つは、特養について記録の整備を定めた指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第37条で、保存の対象として挙がっているのは施設サービス計画・提供したサービスの記録・身体的拘束の記録・市町村への通知・苦情・事故の6つでした。断った申込者の理由書は入っていません。もう1つは、介護付有料老人ホームについて記録の保存を定めた東京都の指定居宅サービス等の条例第236条で、保存の起算点が「契約終了の日から2年」であり、契約に至らなかった人には起算しません。
確かめたのはこの2つだけです。 他の施設の種類や、他の都道府県の条例まで見た結果ではありません。そして、義務づける規定が見つからなかったことは、記録がどこにも残っていないことを意味しません。施設が申込書や面談の記録、判定会議の資料を任意に残している可能性は残ります。
したがって、書面での説明を求めてはいけない、ということではありません。任意に応じる施設はありえます。ただし出てこない前提で段取りを組んでおきます。書面を待って動きを止めるのがいちばん損です。
2つ目は、本人のいまの状態を示す資料です。渡せるのは次の4つになります。
このうち診療情報提供書には、費用がかかる場合があります。宛先や書類の種類によって扱いが変わるため、金額は主治医のいる医療機関へ確認します。
主治医意見書と認定調査票は、自治体によって扱いが割れています。名古屋市と北海道幕別町は本人・親族による申請を明示で認めていますが、大阪府東大阪市は「本人、家族、代理人は申請できません」と案内しています(いずれも2026年8月6日確認)。住んでいる市区町村へ確認します。
「ケアプランは必ず手元にある」「家族なら取れる」とは限りません。 本人の同意、代理権、自治体ごとの扱いを先に確かめます。
3つ目は、誰に頼むかです。同じ「資料を用意する」でも、連絡先は状況で違います。
在宅で暮らしていて担当のケアマネジャーがいる家族なら、ケアプランは既に交付されています。手元に無ければケアマネジャーへ言えば済みます。
一方、親が入院していて、居宅介護支援をまだ利用していない家族には、ケアマネジャーがいません。この場合に中心になるのは、病院の医療ソーシャルワーカー、退院支援の部門、そして主治医です。断られた事実と、断られた具体的な条件を、この人たちへ同日中に共有します。
ここまでが、どの種類の施設でも共通の動きです。次の章は特養に限った話になります。
家族にとっていちばん自然で穏当な返答が、待ち順そのものを失わせることがあります。「今回は都合が悪いので次にします」「保留でお願いします」がそれにあたります。
ただしこれは、特養から入所の打診を受けたときと、順位の管理に関わる場面に限った注意です。 他の種類の施設で、求められている確認や期限への回答まで止めてしまうと、かえって選択肢を失います。
辞退・取下げ・保留として処理されるのかを確認する前に、「今回は辞退します」「保留でお願いします」と確定的に答えないでください。
東京都江東区は、区内の施設の入所を辞退した場合に、入所申込が全て「取下げ」になると案内しています(区外の施設の辞退は取下げになりません)。東京都板橋区は令和7年4月より、施設からの入所連絡時に保留を申し出た場合、その施設の申込が自動的に取下げの扱いになるとしています。いずれも2026年8月6日に各区の案内で確認したもので、全国共通の運用ではありません。
出典:江東区 特別養護老人ホームの入所申込 /板橋区 特別養護老人ホーム
だから、答える前に「その返事は取下げの扱いになりますか」と聞きます。これだけで、待ち順を失う事故は避けられます。
申込みの有効期間は、6か月とする自治体、1年とする自治体、受付日の翌年末までとする自治体、申込みを行った年度の3月31日までとする自治体があります(2026年8月6日確認)。起算の日の決め方も同じではありません。
「おおむね6か月から1年程度」と一つの相場にまとめられる性質のものではありませんので、申込先の期限をその都度確認します。
京都市は、入所申込後に要介護度等の状況に変化があった場合の届出の様式を案内しています。東京都中央区は、年3回の調整会議のたびに入所調整基準による順位の見直しを行うとしています(いずれも2026年8月6日確認)。
つまり、特養では申込みを名簿に残し、状態の変化を届け出て順位を見直す仕組みを置いている自治体があります。ただし、どの自治体でも同じ届出で再判定される決まりがあるわけではありません。自分の申込先がどうなっているかを確かめます。
理由の説明も、次の相談先も得られなかった場合、苦情や相談の窓口はあります。ただし、入居前の家族からの相談を扱う範囲は、地域と施設の種類によって異なります。
まず当たるのは、施設の重要事項説明書に書かれた苦情窓口で足ります。 書類が手元にあり、その施設に直接つながるからです。そこで進まなければ、その施設の指定・届出を担当する自治体の窓口へ、入居前の家族が対象になるかを電話で確かめます。
そのうえで大事なのは、苦情の申立てと、次の入居先を探す行動は目的が違うということです。前者は起きたことについての説明や改善を求めるもので、今日や明日の入居先を確保する手段ではありません。両方やるなら、別の作業として並行させます。
ここまでの内容を、今日動かせる形にまとめます。
電話中に済ませる3つ
この3つが、この記事の中心です。どの種類の施設に対しても聞けます。通話中に聞く4つのうち残る1つ、「何が変われば再検討できるか」は、答えが得られなくても次へ進んでよいため、ここには入れていません。
今日中にもう1つ
次の相談先が決まってからでよいこと
断られた直後にすべきなのは、理由を問い詰めることではありません。申込みの状態と、対応できない条件と、次の相談先を確定することです。この3つは、相手の善意に頼らずに動けます。