年金だけで老人ホームを探す手順|補足給付の段階と施設種別ごとの月額目安

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収入が年金だけだと、老人ホームは自分には縁がない場所に見えます。

年金だけでも、費用に合う施設を探せる場合があります。特別養護老人ホームなどでは、所得や預貯金の条件を満たすと、食費と部屋代の負担を減らせます。

まず年金の振込額を1か月分に直し、制度の対象になるかを市町村に確認します。使える予算と入居条件をそろえてから、施設を比べましょう。

年金の手取りから施設に払える上限を決める方法

年金だけで老人ホームを探すとき、最初に決めるのは「毎月いくらまで施設に払えるか」です。

通帳の振込額を1か月分に直し、医療費など別に必要なお金を引きます。額面ではなく、実際に使える額を基準にしましょう。

手順見る書類出てくる額
1. 月の手取りを確かめる年金振込通知書通常の2か月分の控除後振込額を2で割る
2. 手元に残す費用を引く医療費・薬代・理美容など別払い費用の領収書(特養のおむつ代は介護費に含む)月ごとの合計
3. 施設に払える額を出す通帳月の手取り−別に残す月の費用

年金振込通知書の振込額を手取りとして使う

年金は、額面から保険料と税を引いた額が振り込まれます。

年金からは、条件に応じて介護保険料、医療保険料、税金が引かれます。天引きされる項目や額は人によって違うため、自分の通知書で確認します。

「年金振込通知書」には、支払額、控除額、振込額が載っています。通常は2か月分の振込額なので、2で割って月の手取りを出します。初回支給や過去分の支給がある場合は、何か月分かも確認します。

通知書がなければ、ねんきんネットや年金事務所などで再交付を相談できます。施設には「月に換算した振込額」を伝えると、予算を共有しやすくなります。

夫婦の一方が入居する場合は、自宅に残る人の生活費も確保します。二人の年金を全額施設費に回さず、それぞれの支出を並べて予算を決めましょう。

出典: 日本年金機構 年金振込通知書

出典: 厚生労働省 年金からの保険料の特別徴収について

施設の月額に含まれない費用を先に引く

料金表の月額に何が含まれるかは、施設ごとに違います。家賃・食費・管理費に加え、介護保険の自己負担まで入っているかを確認します。

医療費・薬代、日用品、理美容などは別料金になりやすい費用です。おむつ代も施設種別で異なり、特養などの介護保険施設では原則として介護サービス費に含まれます。

今の医療費や日用品費を領収書から合計し、入居後に増減するものを施設に聞きます。同じ費用を、表示月額と別料金の両方に重ねて計上しないようにします。

振込額から「手元に残す費用」を引いた残りが、施設に払える月額の上限です。この額を先に決めておくと、施設種別を絞るときにも、地域包括支援センターや施設に相談するときにも、同じ数字で話せます。

偶数月にまとめて振り込まれる年金を毎月の支払いに合わせる

年金は毎月ではなく、偶数月の15日に前の2か月分がまとめて振り込まれます。15日が土日祝のときは、その直前の平日に振り込まれます。

施設の利用料は毎月の請求と引き落としが多いので、振込のない月は前の振込分を残しておく形になります。

契約前に、引き落とし日と初月の請求方法を確認します。日割りや前払いの扱いは施設によって異なり、年金の振込前に支払いが必要な場合もあります。入居直後の費用を誰が用意するか決めておきましょう。

預貯金を月額に足す場合は、「何年で使い切るか」を先に決めます。預貯金を想定する年数で割り、さらに12で割った額を、年金の振込額に足します。年金だけで探す人は、この加算をゼロにしておき、預貯金は入院や葬儀の備えに残す考え方もあります。

出典: 日本年金機構 年金はいつ支払われますか。

補足給付で年金だけの人の食費と部屋代が下がる仕組み

年金だけの人は、収入が少ない分、特別養護老人ホームなどの食費と部屋代を下げる制度の対象に入りやすくなります。

制度名は「特定入所者介護サービス費」です。市町村で負担限度額認定を受けます。本人の収入・資産に加え、世帯と配偶者の課税状況なども確認されます。

段階前提年金収入と所得の合計預貯金(単身)
第1段階生活保護の受給者、または世帯全員が住民税非課税の老齢福祉年金の受給者老齢福祉年金受給者は1,000万円以下。生活保護受給者はこの資産基準なし
第2段階世帯全員が住民税非課税82万6,500円以下650万円以下
第3段階①世帯全員が住民税非課税82万6,500円超120万円以下550万円以下
第3段階②世帯全員が住民税非課税120万円超500万円以下

対象は特養と老健と介護医療院の食費と部屋代

主な対象は、特養・老健・介護医療院と、対象となるショートステイです。

軽減されるのは食費と居住費です。介護サービスの自己負担を軽減する「高額介護サービス費」とは別の制度なので、両方の対象になるか確認します。

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームは対象の外です。これらの施設の家賃と食費は、施設が決めた額をそのまま払います。

差は大きく開きます。特養の多床室では、第2段階の人が払う食費と部屋代の合計は1日820円、第3段階①なら1日1,110円です。対象から外れた人は施設の定めた額を払い、国が示す標準額(基準費用額)で計算すると1日2,460円になります。月に直すと2万4,600円、3万3,300円、7万3,800円で、年金だけの人が特養を先に見る理由はここにあります。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法(平成9年法律第123号)第51条の3

出典: 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1481(令和8年8月からの居住費の負担限度額の改正)

年金収入の額で第2段階か第3段階かが見当づく

段階を分けるのは、本人の公的年金等の収入金額と、その他の合計所得金額の合計です。

2026年8月からは、年金収入等が82万6,500円以下なら第2段階、これを超えて120万円以下なら第3段階①、120万円超なら第3段階②が目安です。世帯全員と、世帯が別の配偶者も住民税非課税であることなどが条件です。

基準額は年金額の改定などに合わせて見直されます。ただし、基礎年金だけなら必ず第2段階とは限りません。ほかの年金・所得、課税状況、資産も含めて判定します。

老齢年金だけでなく、遺族年金や障害年金も含めて前年の収入を確認します。支給が始まった年や過去分をまとめて受け取った年は、市町村に計算方法を確認しましょう。

出典: 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1532(利用者負担段階の基準額の見直し)

出典: 日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について

預貯金が段階ごとの上限を超えると対象から外れる

年金が少なくても、預貯金が多いと対象から外れます。

配偶者がいない場合、第2段階は650万円以下、第3段階①は550万円以下、第3段階②は500万円以下が上限です。配偶者がいる人は、それぞれの上限に1,000万円を足した額で、夫婦の分を合わせて判定します。老齢福祉年金の受給権がある人は1,000万円(配偶者がいれば2,000万円)以下です。

預金だけでなく、手元の現金、有価証券なども確認対象です。資産の範囲と必要な通帳の写しは、市町村の申請案内で確かめます。

年金が少なくても、退職金などの資産が上限を超えると対象外になる場合があります。資産が減ったときは、次の更新まで待つべきかも含めて市町村へ相談します。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の5

遺族年金と障害年金も収入に数える

遺族年金と障害年金は、住民税では非課税の扱いです。

そのため「非課税の年金だけだから、収入はゼロと見なされる」と考える人がいます。補足給付の段階判定では2016年(平成28年)8月から、これらの非課税年金も収入に数えます。

遺族年金がある人の段階の例

仮に老齢基礎年金が月6万円、遺族厚生年金が月7万円なら、年金収入は年156万円です。世帯・配偶者の非課税と資産の条件を満たす場合、第3段階②が目安になります。特養多床室の食費と居住費は日額1,950円で、30日なら5万8,500円です。介護費等は別に加わります。

判定に使う年金額は、市町村が日本年金機構へ照会して確かめます。申請書に書き漏らしても、記録の額で判定されます。最初から非課税年金を含めた額で段階の見当をつけておくと、施設の見積りとのずれを防げます。

出典: 厚生労働省 補足給付の現状について(令和8年5月27日)

出典: e-Gov法令検索 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の5

認定の見込みは入居前に市町村で聞ける

負担限度額認定の申請先は、市町村の介護保険の窓口です。

入居先が決まる前でも、年金額と預貯金の額を伝えて、自分がどの段階になりそうかを相談できます。持っていくのは、年金額改定通知書か年金振込通知書、通帳の写し、本人と配偶者の課税状況が分かるものです。

認定証には有効期限があり、通常は毎年更新が必要です。申請月より前へは原則さかのぼれないため、入居日が決まったら提出時期を確認します。必要書類や受付日程は市町村によって異なります。

要介護度や部屋のタイプごとの月額の目安と、予算だけでは決まらない条件は、月々の予算で視野に入る老人ホームと、予算だけでは決まらない三つの関門で扱っています。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の6

出典: 厚生労働省 補足給付の現状について(令和8年5月27日)

年金だけで入れる施設種別と月額目安

年金だけで入れる施設は、年金の水準と、補足給付の対象になるかどうかで分かれます。

施設の費用だけでなく、要介護度や生活状況による入居条件も確認します。以下は要介護3・1割負担・30日・1単位10円、加算なしの計算例です。実際の見積もりとは異なります。

施設種別補足給付月額目安(要介護3・1割負担)年金だけで収まるか
特養(多床室)対象4万6千円〜9万6千円所得段階や加算により不足する場合もある
老健(多床室)対象5万2千円〜9万5千円費用と利用目的を確認
ケアハウス対象外(事務費が収入で下がる)7万〜13万円施設によって収まる
養護老人ホーム措置(費用徴収)徴収額は月2万〜5万円弱本人の収入等から徴収額を確認
地方の住宅型・サ高住対象外12万〜16万円本人の年金手取りと総額を比較
グループホーム・介護付き対象外15万円以上年金と預貯金で賄えるか確認

特養の多床室は所得段階によって負担が変わる

特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の人が入る公的な施設です。

多床室と従来型個室は補足給付の対象です。要介護3の多床室で、介護福祉施設サービス費は1日732単位なので、1単位10円・加算なし・30日で計算すると、介護費の自己負担は1割で月2万1,960円になります。これに段階ごとの食費と部屋代を足すと、次の月額になります。

段階食費と部屋代(1日)食費と部屋代(30日)介護費(1割・30日)月額の合計
第2段階820円2万4,600円2万1,960円4万6,560円
第3段階①1,110円3万3,300円2万1,960円5万5,260円
第3段階②1,950円5万8,500円2万1,960円8万460円
対象外(基準費用額)2,460円7万3,800円2万1,960円9万5,760円

実際には各種加算や医療費などが加わります。補足給付はユニット型個室も対象ですが、部屋代は多床室より高めです。希望する部屋ごとに見積もりを取り、空きと生活上の希望も合わせて選びます。

出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

出典: 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1481(令和8年8月からの居住費の負担限度額の改正)

ケアハウスは収入に応じて事務費の負担が変わる

ケアハウス(軽費老人ホーム)は、身体の機能が落ちて自立した生活に不安があり、家族の援助を受けることが難しい60歳以上の人が入る施設です。

基本料金は、職員の人件費などに当たる事務費、食費などの生活費、住まいにかかる管理費などに分かれます。収入で負担が変わる部分と、施設ごとに決まる部分があります。

事務費は、前年の収入から税・社会保険料・医療費などの必要経費を引いた「対象収入」で決まります。掲載の基準では150万円以下は月1万円です。適用される基準や夫婦入居の軽減は、施設に確認します。

生活費・居住費・介護費を含めた総額で比較します。一般型は外部の介護サービスを利用するため、必要な介護が増えたときの対応も確認します。介護型の入居条件や費用は施設に聞きましょう。

出典: e-Gov法令検索 軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20年厚生労働省令第107号)第13条・第16条

出典: 千葉県 軽費老人ホーム利用料等取扱基準(国の指針の別表)

養護老人ホームは市町村の措置で年金額に応じた徴収額になる

養護老人ホームは、65歳以上で、環境上の理由と経済的理由の両方から自宅で暮らせない人を、市町村が「措置」として入所させる施設です。

契約ではなく行政の決定で入るので、申込先は施設ではなく、本人が住む市町村の高齢者福祉の窓口です。

費用は収入などに応じて市町村が決めます。前年収入から税・社会保険料・医療費などを引いた額が判定の基礎です。扶養義務者の負担を確認される場合もあるので、本人と家族それぞれの負担を窓口で聞きます。

住まいがない、家族から虐待を受けているなど、生活環境の問題も判断材料です。年金が少ないだけで入所が決まる制度ではありません。自宅で暮らせない事情を地域包括支援センターや市町村に伝えます。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第11条・第28条

出典: 厚生労働省 老人保護措置費の国庫負担について(費用徴収基準)

老健は補足給付の条件と在宅復帰に向けた利用目的を確認する

介護老人保健施設(老健)は、心身の機能の維持回復を図り、自宅での生活に戻れるようにする支援が必要な人のための施設です。

補足給付の対象なので、食費と部屋代は特養と同じ段階で下がります。介護費は特養より高く、多床室の基本型で要介護3なら1日908単位です。特養と同じ条件(1単位10円・加算なし・30日・1割負担)で計算すると介護費は月2万7,240円で、食費と部屋代を足した月額は第2段階で5万1,840円、第3段階①で6万540円になります。

老健では、自宅へ戻れるかを定期的に検討します。特養を待つ間の利用を相談する場合も、入所の必要性と退所の見通しを施設に確認します。待機中なら必ず利用できるわけではありません。

入所のときに「特養を待つ間の利用」であることを伝え、退所の見通しと特養の申込状況を相談員と共有しておくと、検討のたびに不安にならずに済みます。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第28項

出典: e-Gov法令検索 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第8条

地方の住宅型有料老人ホームとサ高住は本人の年金手取りと総額を比較

住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、補足給付の対象外なので、家賃と食費は施設が決めた額をそのまま払います。

地方や郊外で家賃を抑えられる施設もあります。ただし、表示月額には介護費や医療費が含まれないことがあるため、総額の見積もりを取りましょう。

住宅型やサ高住では、外部の介護サービスを使った分などが加わります。必要なサービスと自己負担割合で金額が変わるので、要介護度だけで月額を決めないようにします。

家賃の低い施設は自宅から離れていることが多く、家族の面会の交通費が毎月かかります。月額を比べるときに、この交通費も家族の負担として足しておくと、遠い施設の安さが本当に安いかを判断できます。入居一時金がある施設と月払いだけの施設で総額がどれだけ変わるかは、入居一時金と月払い、総額はいくら変わる?実額シミュレーションでわかる後悔しない選び方で比べています。

グループホームと介護付きは年金と預貯金で総額を確認する

認知症のグループホームと介護付き有料老人ホームも、補足給付の対象外です。

必要な総額は地域や施設で違います。年金の手取りと、介護費・医療費まで含めた見積もりを比べます。

不足がある場合は、預貯金や家族の補填などを検討します。家族に頼むなら、毎月の上限と見直す時期を決め、補填を続けられなくなった場合も話しておきます。

介護付き有料老人ホームでも、地方の施設や築年数の古い施設では月15万円台のところがあります。年金だけで探す人は、施設種別で最初から外すより、地域包括支援センターや施設に「年金の振込額」を伝えて、その額に合う施設があるかを聞く形にします。

年金だけで探す手順と相談先

年金だけで探す人の順番は、施設を見に行く前に「自分の段階」と「払える月額」を決めるところから始まります。

予算と入居条件をそろえると、相談先と候補を絞りやすくなります。空きがあるか、必要な介護を受けられるかも別に確認します。

  1. 市町村の介護保険の窓口で、負担限度額認定の段階の見込みを聞く
  2. 地域包括支援センターに、年金の振込額と段階を伝えて施設種別を絞る
  3. 特養は複数の施設へ直接申し込む。ケアハウスは施設へ、養護老人ホームは市町村へ
  4. 待機中の支援は、在宅サービスや老健・ショートステイの利用条件も踏まえて相談する

市町村の介護保険課で負担限度額認定の見込みを先に聞く

最初に行くのは、市町村の介護保険の窓口です。

年金額改定通知書か年金振込通知書、通帳の写しを持って行き、「特養に入る場合、負担限度額認定はどの段階になりますか」と聞きます。窓口は年金と預貯金の額から、段階の見込みを答えてくれます。

同じ窓口で、高額介護サービス費の上限も確かめておきます。世帯全員が住民税非課税なら世帯で月2万4,600円、そのうち公的年金等の収入金額とその他の合計所得金額の合計が82万6,500円以下の人は、個人で月1万5,000円が上限です。この基準額も毎年8月に見直されます。第2段階の人が特養の多床室に入ると介護費の自己負担は月2万1,960円ほどになりますが、上限を超えた分は申請すると後から戻るので、月額の見積りに入れられます。

必要書類がなければ、年金機構の再交付窓口を利用します。入居の相談でも使うため、控えを残しておくと便利です。

出典: 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1532(高額介護サービス費の負担上限額)

出典: 日本年金機構 年金証書・年金額改定通知書・年金振込通知書の再交付

地域包括支援センターに年金の手取りを伝えて施設種別を絞る

段階の見込みが分かったら、地域包括支援センターに相談します。

伝えるのは「年金の振込額」「補足給付の段階の見込み」「要介護度」「家族が補填できる額」の4つです。この4つがそろうと、特養・ケアハウス・養護老人ホーム・老健の中から、年金の範囲で入れる種別を絞ってもらえます。

特養の申込先や、ケアハウス・養護老人ホームなどを相談できる窓口を聞きます。空き状況は変わるため、候補が出たら施設側にも確認します。

担当のケアマネジャーがいる場合も、同じ予算と希望を伝えます。「公的な施設も含めて比べたい」と具体的に相談すると、検討漏れを減らせます。

特養は複数の施設へ直接申し込みケアハウスと養護は窓口が分かれる

特養は、施設ごとに申込書を出します。

複数施設への申込みも検討できます。入所は先着順だけで決まらず、介護の必要性や家族の支援状況などが重視されます。申込書には、現在困っていることと介護者の状況を具体的に書きます。

ケアハウスは施設へ直接相談します。空きと入居条件、必要な収入証明を確認しましょう。介護が必要な場合は、どこまで対応できるかも聞きます。

養護老人ホームは、施設ではなく市町村の高齢者福祉の窓口に申し込みます。市町村が本人の生活環境と収入を調べ、措置の要否を決める流れです。3つの窓口が分かれるので、どこに何を出したかを一覧にしておきます。

出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第11条

紹介センターは特養とケアハウスを紹介しにくい

老人ホームの紹介センターは、入居が決まったときに施設から紹介手数料を受け取る成功報酬の仕組みで動いています。

厚生労働省の補助事業として行われた調査では、紹介手数料の平均は約22万円、中央値は20万円でした。同じ調査で、成約した入居先の内訳は介護付きホームが46.0%、住宅型有料老人ホームが24.0%、サ高住が21.9%で、特別養護老人ホームは0件でした。手数料を払うのが有料老人ホームとサ高住である以上、公的な施設は紹介の対象になりにくい構造です。

紹介センターを使うときは、月の手取りと総予算を伝えます。紹介対象に公的施設が含まれるかも聞き、対象外なら市町村や施設への相談を並行します。

紹介先が提携施設に限られるか、なぜその施設を勧めるのかも確認します。手数料の有無だけで良し悪しを決めず、予算と必要な介護に合うかを見ましょう。

出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について

出典: 厚生労働省補助事業 高齢者向け住まい等の紹介の在り方に関する調査研究報告書(令和2年3月)

年金だけで探すときの注意点

年金だけで施設に入る人がつまずくのは、入居してからの年金の管理と、将来に年金が減る場面です。

契約の前に確かめておく点は4つあります。

  • 年金の通帳と年金証書を誰が持つか
  • 入居審査で何を見られるか
  • 配偶者が亡くなった後の年金額で払えるか
  • 足りなくなったときに何で補うか

年金の通帳や証書を預ける場合は管理方法を確かめる

年金が振り込まれる通帳と年金証書は、本人か家族が持ちます。

通帳やカードを預けるよう求められたら、理由と管理方法を確認します。自分で管理が難しい場合も、誰が何を管理し、残高をどう確認できるかを決めてから依頼します。

有料老人ホームの指導指針は、金銭は本人が管理することを原則としています。施設に依頼する場合は書面で確認し、管理方法と定期報告を定めます。契約前に管理規程を見せてもらいましょう。

判断力に不安があるものの利用契約の内容を理解できる人は、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を相談できます。日常の支払いなどを支援する制度で、内容や利用料は地域の社協へ確認します。

出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について

出典: 厚生労働省 日常生活自立支援事業

有料老人ホームの入居審査では年金額と支払いの見通しを示す

有料老人ホームとサ高住には入居審査があり、毎月の利用料を払い続けられるかを見ます。

年金通知書や通帳など、求められる書類を施設に確認します。年金で費用を払えても、健康状態や必要な介護などの条件があるため、収入の証明だけで入居が決まるわけではありません。

年金だけで足りない場合は、預貯金や家族の支援などをどう使うか説明します。身元引受人等に求める役割と書類も、施設ごとに確認します。

審査の前に「年金の振込額でこの施設の月額を払えますか」と施設に聞くと、施設側が月額に含まれない費用も含めて答えてくれます。

出典: 日本年金機構 年金振込通知書

配偶者が亡くなった後の年金額で払えるかを先に見る

夫婦のどちらかが亡くなると、残った人の年金は二人分の合計より減ります。

遺族厚生年金は、亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分を基に計算します。受給資格や本人の年金との調整があるため、全員が同じ額を引き継ぐわけではありません。

夫の厚生年金で払っていた場合

夫が老齢基礎年金7万円と老齢厚生年金(報酬比例部分)8万円の合わせて15万円、妻が老齢基礎年金6万円で、二人分は月21万円。妻は月13万円の施設に入っていた。夫の死後、妻の年金は自分の老齢基礎年金6万円と遺族厚生年金6万円(8万円の4分の3)で月12万円になり、施設の月額に1万円足りなくなる。

上は妻に自分の老齢厚生年金がない場合などを置いた単純例です。本人の年金との調整や加算で変わるため、年金事務所に見込み額を確認します。

年金額と施設の利用料は、それぞれ改定されます。利用料が上がった場合にも払える余裕があるか、契約書の改定条件と合わせて確認します。

出典: 日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)

出典: 日本年金機構 マクロ経済スライド

年金だけで足りないときの補い方を入居前に決める

年金の振込額で施設の月額が払えないときの補い方は、預貯金の取り崩し、家族の補填、制度の利用の3つです。

どれを使うかを入居前に決めておくと、足りなくなってから慌てて施設を替える事態を避けられます。

預貯金を取り崩す場合は「何年もつか」を計算します。家族が補填する場合は、補填する人の収入と、続けられる年数を家族の間で決めます。制度は、社会福祉法人の軽減や市町村の助成など、申請すると下がるものがいくつかあり、老人ホームの費用が払えない?負担を下げる制度と確かめ方を解説にまとめています。

年金と預貯金を合わせても足りない人は、生活保護の境界層の措置や、生活保護を受けて入れる施設の探し方が生活保護だから無理と老人ホームに断られた家族が選び直す行き先にあります。年金だけで探し始めた人が、途中でこの道に切り替えるのは、よくある流れです。

まとめ:年金だけでも、段階を先に見当づければ公的な施設から探せます

年金だけで探すときは、1か月分の手取りと、利用できる軽減制度を確認します。補足給付は年金額だけで決まらず、世帯・配偶者の課税状況や資産も条件です。計算例に加算や医療費を足した実際の総額を確かめましょう。

年金通知書と通帳を用意し、市町村で認定の見込みを聞くことから始められます。予算と要介護度を伝え、公的施設と民間施設の両方から条件に合う候補を探しましょう。

自分の年金がどの段階に当たるか、預貯金が上限に収まるかを、今日のうちに書き出してみましょう。介護のあんしんでは、年金だけで探す人の月額の決め方や施設種別ごとの費用も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。