※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

次の入居先が決まらないまま待っている家族に向けた記事です。親が病院にいる場合、短期入所の日数が迫っている場合、自宅で見ていて夜に眠れない日が続いている場合を想定しています。次がいつ決まるか分からず、待つ以外にできることが見えない段階です。
この記事を読むと、次の判断日と、その日までに空欄にしない4つ(場所・担当者・代替策・実額)を1枚の表で決められます。いる場所が病院・短期入所・自宅のどれかによって、誰に何を聞けばその表が埋まるかまでが分かります。
まずシートを埋めます。やることは1枚の表を埋めることだけです。7つの行があり、空欄が残った行が、そのまま今日やることになります。
はじめに、次の判断日を1つ決めます。退院の予定日、契約が変わる日、家族が対応できる期限のどれかです。迷ったら、いちばん早く来る日を取ります。 その日までに、次の4つを埋めます。
次が決まらないこと自体は、家族の責任ではありません。ただし、保険給付や契約の境目を確認しないまま日を迎えると、選べる手が減り、思っていなかった自己負担が生じることがあります。先に決めるのは「いつまで待てるか」ではなく、次の判断日までに誰が何を確保するかです。
受け入れ先が見つかるまでの間、治療が終わった後も病院で身体拘束が続いたという記録があります(シニアカレンダー・2020年7月22日)。一例であり、こうしたことがどれくらいの頻度で起きるのか、そのときの拘束が要件を満たしていたのか、いまの制度でも同じことが起こるのかは、この記録からは分かりません。それでも、次の判断日と、その日までに誰が何をするのかを曖昧にしない理由にはなります。
※ 病院で言われる60日や90日、短期入所の連続30日、在宅サービスの月額の上限は、同じ種類の期限ではありません。同じ並びに置いても、次にどこへ何日いくらで移るかは決まらないので、この記事では期限を並べません。
※ 申し込み先そのものを変える話は、断られた理由を分解して申し込み先を選び直す記事にあります。決まった施設を受けてよいかの確かめ方は、契約前に重要事項説明書と入居契約書を確かめる記事にあります。自宅での生活を続ける設計は、この記事の範囲の外にあります。制度の内容は、2026年8月の時点で確認したものです。
7行のうち、上に挙げた4つに当たるのは「次の場所」「主担当」「代替策」「1日と1か月の総額」です。残る3行(いまいる場所・次の判断日・本人の安全の条件)は、その4つを埋めるための前提になります。
表に出てくる医療ソーシャルワーカーとは、病院の中で退院した後の生活や制度の相談に乗る職員のことです。誰に聞けば埋まるかは、いま親がいる場所によって変わるので、そのあとの3つの章で場所別に書きます。
| 項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| いまいる場所 | 病院/短期入所/自宅 |
| 次の判断日 | 退院の予定日・契約が変わる日・家族が対応できる期限 |
| 次の場所 | 確保済み/照会中/未着手 |
| 主担当 | 病院の医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー・市町村など |
| 確保できなかった場合の代替策 | 誰が いつまでに 何を探すか |
| 1日と1か月の総額 | 書面の見積もり |
| 本人の安全の条件 | 夜間の見守り・移乗・医療の対応・ひとりで外へ出てしまうことなど |
この表を埋めるのは家族だけの仕事ではありません。病院の退院支援の担当者、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、地域包括支援センター、市町村、介護の事業所、医師や訪問看護が関わります。
だから記事の役目は、家族に制度を覚えさせることではありません。どの行を誰が埋めるのかを見えるようにして、止まっている行を見つけることにあります。
一つだけ取り違えやすい行があります。「次の場所」です。入居先の候補として名前が挙がっている状態と、確保できている状態は違います。埋めるときは「確保済み」「照会中」「未着手」のどれかを書き、あいまいなら照会中として扱います。
「1日と1か月の総額」の行にも注意が要ります。合計の金額だけを聞くと、施設どうしを比べられません。施設の種類によって費用の組み立てが違うので、次の3つを、それぞれ書面でもらいます。
どの場所でも、この3つは共通して求められます。
どの行を誰に聞くかは、いる場所で変わります。次の3つの章の対応は次のとおりです。
| シートの行 | 病院にいる場合 | 短期入所にいる場合 | 自宅で待っている場合 |
|---|---|---|---|
| 次の判断日 | 入院診療計画書と退院支援の担当者 | 30日目から逆算して決めます | 家族が対応できる限界の日 |
| 次の場所 | 退院支援の担当者 | ケアマネジャー | ケアマネジャー |
| 主担当 | 退院支援の担当者や医療ソーシャルワーカー | ケアマネジャーと事業所の相談員 | ケアマネジャー |
| 代替策 | 退院支援の担当者と決めます | ケアマネジャーと決めます | ケアマネジャーと決めます |
| 1日と1か月の総額 | 病院の窓口 | 事業所の見積書 | ケアプランの利用予定額と自費の分 |
| 本人の安全の条件 | 退院後に必要な見守りを担当者と書き出します | 一時帰宅が可能かをケアマネジャーと確認します | 家族が対応できない時間帯を書き出します |
今日はこの1つ。シートの「次の判断日」の行を、担当者に聞いて埋めます。
いま親が病院にいるなら、この章で埋めます。
病院は、家族が自由に組み合わせられるものではありません。入院を続けるかどうかには、医学的な必要性と医師の判断が関わります。だから確認するのは「あと何日いられるか」ではなく、病院がすでに書面に書いている推定の期間と、次の判断日と、行き先が決まらなかったときに誰が何を調整するかです。
そのうえで、よく耳にする60日や90日という数字の意味を、後半で分けて説明します。
入院診療計画書とは、入院したときに病院から渡される、病名・治療の予定・入院の見込みの期間が書かれた書面のことです。この書面には推定される入院期間の記載があり、入院した日から起算して7日以内に交付して説明することが求められています(医療法第6条の4第1項と同法施行規則。千葉市の案内による)。
様式は病院ごとに違うので、欄の名前ではなく中身で探します。 「推定される入院期間」と書かれているとは限りません。いつまでの見込みが書かれているかを探せば足ります。
つまり病院が想定している期間は、すでに受け取った書面に書かれています。探すのは日数ではなく、その紙です。
見当たらないときは、看護師長か病院の相談窓口へ「入院のときにいただいた計画の書面をもう一度いただけますか」と頼みます。交付が求められている書面なので、探してもらえます。
紙が手元に来たら、あわせて次を聞きます。
医療法第1条の4第4項は、患者が適切な環境の下で療養を継続できるよう連携を図り「配慮しなければならない」と定めています。確認した範囲では、病院に退院先そのものを確保させる定めは見当たりませんでした。
だからといって、家族が全部を背負うという話ではありません。誰が何を調整するのかを、担当者との間で確認して書き留めます。 調整が進まないときは、地域包括支援センターや市町村の介護保険の担当へ、いまの状況を伝えて相談先を増やせます。
病棟によっては、診療報酬の上で算定の期間の区切りがあります。地域包括ケア病棟の60日、一般病棟の90日がそれにあたります(令和8年度の医科診療報酬点数表 A308-3・A100)。
どちらも報酬の算定方法が変わる境目であって、個人の退院の期限ではありません。診療報酬の計算のしかたが入院の日数によって切り替わる区切りのことであり、入院を続けること自体を止める決まりではありません。
ただしこの2つは効き方が違います。60日は、その入院料をその患者について算定できる期間の上限です。90日は、超えたときに算定のしかたが別の入院料の例へ切り替わるものです。だからまず病棟の種類を確かめます。 種類が分からないまま日数だけを数えても、意味は取れません。
個別の退院の判断には、これ以外の事情も同時に関わります。医学的な必要性、病棟の機能、リハビリテーションの目的と進み方、在宅や施設での療養の見通し、病床の運用、本人と家族の事情、地域の受け皿です。
だからやることは日数を数えることではありません。その日程の根拠を、退院支援の担当者に聞くことです。
「退院の目安として言われた日は、報酬の区切りによるものですか。それとも別の理由がありますか。」
こう聞けば、自分で数える必要がなくなります。
今日はこの1つ。入院診療計画書を出してきて、推定される入院期間の欄を読みます。
短期入所でつないでいるなら、次の章の日数の数え方が先に要ります。
短期入所(ショートステイ)とは、自宅で暮らす人が短い期間だけ施設に泊まって介護を受けるサービスです。
この章が扱うのは短期入所生活介護に限ります。介護老人保健施設や介護医療院で受ける短期入所療養介護は、根拠になる告示が別なのでここでは扱いません。
どちらかは、ケアプランか利用票のサービスの名前で分かります。分からなければケアマネジャーへ「うちが使っているのは短期入所生活介護ですか、短期入所療養介護ですか」と聞けば済みます。
確認するのは日数の数え方ではなく、30日目と31日目がいつで、31日目以降の1日の総額がいくらかです。あわせて、よく言われる「1日戻せばリセットされる」がどこまで正しいかを、後半で分けて書きます。
介護報酬の告示は、連続して30日を超えて受けた短期入所生活介護について、短期入所生活介護費を算定しないと定めています(平成12年厚生省告示第19号の注)。自治体も「連続30日を超える利用日は保険給付の対象とならず、全額が利用者負担となります」と案内しています(福生市)。
これは利用そのものの禁止ではなく、保険給付の扱いが変わる境目です。31日目に追い出されるわけではありません。
日付の数え方を、例で見ておきます。8月10日から連続して利用しているなら、30日目は9月8日、31日目は9月9日にあたります。
この2つは給付の扱いが変わる境目であって、シートの「次の判断日」そのものではありません。判断日は、この境目から逆算して1つ決めます。書面の見積もりが出るまでに数日かかることを見込んで、境目の1週間ほど前に置くのが現実的です。
そのうえで確認するのは日数ではなく金額になります。31日目以降は利用できないと言われることもあるので、その場合はいつまで利用できるのかを先に確かめ、判断日をそこへ合わせます。渡す質問はこれです。
「31日目以降も利用できる場合、介護サービス費・食費・滞在費・その他の費用を含む1日の総額はいくらになりますか。書面で見積もりをいただけますか。」
食費と滞在費は、介護保険の基本のサービス費とは別にかかります。実際の額は事業所の料金表と契約書で確認します。
もう一つ、負担限度額の認定という仕組みがあります。所得や資産が一定より少ない人について、施設での食費と居住費の負担に上限を設けるもので、市町村へ申請して受けます。この認定を受けている人は、負担の上限が異なります(介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」)。
もう一つ、高額介護サービス費という仕組みもあります。1か月の介護の自己負担が一定額を超えたときに、超えた分が戻るものです。ただしこの対象にならない費用があります(同上)。だから上限の制度だけを見て自己負担額を判断しないでください。
「1日だけ自宅へ戻せばリセットされる」という説明を聞くことがあります。これは半分だけ正しい説明です。 リセットされるものが2つあり、それぞれ動き方が違うからです。
保険の請求は、請求しない日を1日挟めばその翌日から再開します(介護保険最新情報Vol.952 問68)。
一方、長期利用減算のカウントは1日では切れません。長期利用減算とは、長く続けて利用している人について、事業所が受け取る介護報酬が引き下げられる仕組みのことです。「1日だけ自宅や自費で過ごした場合には、報酬請求が30日を超えた日以降、減算の対象となる」とされています(Vol.454 問76)。
つまりこの2つは、保険が使えるかどうかという話と、事業所の報酬が下がるかどうかという別々の話です。
そして何日居宅へ戻れば連続が切れるのかを定めた規定は、確認した国の資料には見当たりませんでした。 だから一時帰宅を考える前に、本人の安全を確認したうえで、保険者と事業所の扱いを文書で確認します。保険者とは、介護保険を運営している市町村のことです。連絡先は、介護保険証に書かれている市区町村の介護保険の担当になります。
聞き方は、相手との関係を悪くしない形にしておきます。
「ショートステイの利用について、30日を超えた日の保険給付と契約額、一時帰宅を挟んだ場合の給付の再開、長期利用減算のカウントの3つを、事業所と市町村へ確認して、書面で共有していただけますか。あわせて、自宅へ戻すことが本人の状態と家族の介護力から安全に可能かも確認したいです。」
もう一つ、短期入所を続けられるかどうかに効くルールがあります。指定居宅介護支援等基準第13条第21号は、ケアマネジャーが居宅サービス計画に短期入所を位置づける場合について、利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければならないと定めています。
この決まりが掛かるのはケアマネジャーであって、家族でも事業所でもありません。だからあなたにとっては、自分が知らないところで日数の上限が別に掛かっているということになります。30日のルールとは別のもので、こちらは月をまたいでも通算されます。
聞くのは1つで足ります。「認定の有効期間のおおむね半数という決まりから見て、あと何日使えますか」。この答えが短いなら、短期入所でつなぐ期間そのものを見直すことになります。
今日はこの1つ。30日目の日付を確定して、31日目以降の1日の総額を書面で依頼します。
いま親が自宅にいるなら、この章で埋めます。
自宅で待つときに先に確かめるのは、金額でも単位でもありません。家族が対応できない時間帯を、誰が埋めるのかです。
訪問の予定が取れても、訪問と訪問の間を誰が見るかは別に決まります。順序を逆にしないための手順を、2つに分けて置きます。
夜間、2人での介助、医療への対応が実際に確保できるかを、ケアマネジャーや医療職と先に確認します。ここが成り立たないなら、単位を計算しても意味がありません。
在宅のサービスには、要介護度ごとに月単位の保険給付の上限があります。区分支給限度基準額と呼ばれるもので、要介護度ごとに1か月に介護保険で使えるサービスの量の上限を定めています。超えた分は保険給付の対象外になります(介護保険法第43条第1項、平成12年厚生省告示第33号)。
ただしこの記事では、要介護度ごとの数字の一覧は載せません。自分で計算する場面ではないからです。渡すのはこの依頼だけで足ります。
「現在のケアプランで、利用予定の単位、残りの単位、上限を超えたときの自己負担を試算してください。」
もう一つ。2人の訪問介護員による訪問は、その訪問分の単位の消費が2倍になります(平成12年厚生省告示第19号 訪問介護費 注8)。同じ1回の訪問でも、2人で入ると回数が2回分減るということです。ただしその人の全部のサービスが2倍になるわけではありません。
だから移乗などで2人での介助が要るなら、いまの計画のままで次の判断日まで足りるのかをケアマネジャーへ確認します。
2人で来てもらうかどうかは、家族の希望だけでは決まりません。本人の身体の状況などの要件に加えて、本人または家族の同意も要件に入っています(平成27年厚生労働省告示第94号 第三号)。つまり同意の部分は家族が関わりますが、要件に当たるかどうかの判断は関わりません。 その境目を知ったうえでケアマネジャーへ相談します。
何時から何時までが空くのかを、曜日ごとに書き出します。
書き方を見せるために、例を1つ挙げます。実在する誰かの記録ではなく、埋め方を示すために作った例です。
これを事業所が提供できる時間と突き合わせます。埋まらない時間帯が残ったら、そこが在宅で待てるかどうかの分かれ目になります。
在宅が安全に成立しないと分かった場合に備えて、緊急の再調整先を先に決めておきます。ケアマネジャー、地域包括支援センター、市町村です。
自宅での生活を続ける設計そのものは、この記事の範囲の外にあります。ここで扱うのは「待つ場所」としての自宅までです。
今日はこの1つ。空く時間帯を曜日ごとに書き出して、ケアマネジャーへ渡します。
次の判断日に行き先が決まっていなかったときの手を、先に決めます。やることは2つに分かれます。判断日の前に決めておくことと、決まらなかった時点で動かすことです。
判断日の前に決めておくのは2つ。
ここまでを、判断日が来る前にシートへ書き込みます。
決まらなかった時点で動かすのは3つ。
この5つを先に決めておくと、判断日を迎えてから相談先を探し始めずに済みます。
ここでもう一つだけ、代替策と並べて確認しておくことがあります。待っている間に本人の状態が悪くなる道を止めておくことです。行き先が決まらない間に身体拘束が続いている場合は、空白期間の設計とは別に、必要性、代替の手段、一時性、解除の見直し、記録を確認します。
ここで書くのは短期入所にいる場合です。短期入所生活介護では、身体的拘束等は緊急やむを得ない場合を除いて行ってはならないとされています(指定居宅サービス等基準第128条第4項)。
緊急やむを得ない場合の要件は、切迫性・非代替性・一時性の3つです(厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」)。切迫性とは生命や身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと、非代替性とはほかに方法がないこと、一時性とは一時的であることをいいます。
根拠になる条文は施設の種類ごとに別に置かれています。 特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームにいるなら、同じ趣旨の規定が別の条にあります。条番号を持ち出す前に、まず施設の種類を確かめます。
病院にいる場合は決まりの仕組みそのものが別です。 それでも、退院支援の担当者や病院の相談窓口へ、拘束の必要性と解除の見直しについて説明を求めることはできます。拘束が続いているときに家族が何を確認し、どこへ相談できるかは、身体拘束を主題にした別の記事で扱います。
今日はこの1つ。再調整する担当者の名前を、シートの「主担当」の行に書き込みます。
書き込む相手が決まったら、最後に何を聞くかを決めます。
聞く相手は3つに分かれます。同じことを全員へ聞くのではなく、その人が答えられることだけを聞くほうが早く進みます。以下はそのまま読み上げてかまいません。
「次の退院の判断日はいつですか。その日までに行き先が決まらなかった場合、誰が何を調整しますか。」
「30日目と31日目はいつですか。31日目以降も利用できる場合、保険の適用と1日の総額はどうなりますか。書面でいただけますか。」
「家族が対応できない時間帯を含めて、次の判断日までを安全に支えられるサービスが実際に確保できますか。足りない場合の代替案は何ですか。」
聞いた答えは、冒頭のシートの行へ書き込みます。空欄が残った行が、明日に持ち越す作業です。
申し込み先そのものを変える必要が出てきたら、断られた理由を分解して申し込み先を選び直す記事へ移ります。決まった施設を受けてよいかを確かめる段階になったら、契約前に重要事項説明書と入居契約書を確かめる記事へ移ります。