退院に老人ホームの入居が間に合わない。入居日を寄せる方法とつなぎ先

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入る老人ホームは決まりかけている。ところが、入居できる日は退院日より後になりそうだ。この状況で焦る家族は多いのですが、原因は施設の審査の厳しさとは別のところにあります。

病院の書類、面談の日程、居室と契約の準備。この3つの待ち時間が順番に並ぶことで、入居日は後ろへずれていきます。並んでいる待ちを同時に進めれば、入居日は前へ動きます。

面談を病院で受け、健康診断書を待たずに審査を進め、退院日と入居日を同じ日にする。ここまでやっても間に合わないときのつなぎ先と、そこから老人ホームへ移る日の注意点までをまとめます。

退院日までに老人ホームの入居が間に合わなくなる原因

間に合わなくなる原因は、施設の審査が厳しいことよりも、病院の書類・面談の日程・居室と契約の準備という3つの待ち時間が、順番に並んでいることにあります。

段階施設がすること待ちが生まれる理由
申込入居申込書を受け取る家族が書けばすぐ終わる
書類健康診断書・診療情報提供書を確認する主治医が書くので発行に日数がかかる
面談相談員や看護師が本人に会う病院へ来る日程の調整
判定判定会議で受け入れを決める会議の曜日が決まっている施設が多い
契約重要事項説明・契約書・前払金身元引受人の署名と振込の日程
入居居室を用意する前の入居者の退去後の清掃

この表の「待ち」をどれだけ同時に進められるかで、入居日が決まります。

入居審査は書類と面談と判定が順番に進む

有料老人ホームの入居審査は、申込、書類、面談、判定、契約、入居の順で進みます。1つ終わってから次に進むので、どこかで数日止まると、そのまま入居日が後ろへずれます。

「即日入居可」と書いてある施設でも、これは「空室がある」という意味です。審査と書類はそのまま残ります。1〜2日で入れるのは、空室があって、病院からの医療情報がその日のうちに出る場合に限られます。

面談は、施設の相談員や看護師が本人に会って、心身の状態と医療処置を確かめます。入院中なら病院へ来てもらう形になり、その日程を合わせるだけで数日消えます。

判定会議は週に1回など決まった曜日に開く施設が多く、結果が出るのは面談の後の最初の会議の日になります。この順番と曜日を最初に聞いておくと、逆算ができます。

健康診断書と診療情報提供書の発行に日数がかかる

施設が求める書類のうち、最も時間がかかるのが健康診断書と診療情報提供書です。

どちらも主治医が書くので、頼んでから受け取るまでに日数がかかります。健康診断書は施設指定の様式に主治医が記入し、病院の事務を通して発行される流れが多く、病院によっては1週間ほど見ておく必要があります。診療情報提供書(紹介状)は、退院先の施設や医療機関に向けて主治医が書くもので、こちらも退院日の1週間前には頼んでおきます。

要介護認定の結果が出ていない場合、結果を待ってから契約する施設と、申請中でも入居できる施設があります。有料老人ホームは申請中でも入れることが多く、その間の介護保険サービスは暫定の扱いになります。要介護認定は申請のあった日にさかのぼって効力を生じると介護保険法に定められているため、認定が出た後に申請日までさかのぼって給付を受けられます。申請に対する処分は、原則として申請から30日以内に行われます。

書類を頼む順番は、診療情報提供書と看護サマリーを先に、健康診断書を後にします。そうすると、健康診断書を待たずに審査を進めてもらう形が取れます。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

居室の準備と契約の手続きにも日数がかかる

書類と面談が終わっても、居室と契約で日数がかかることがあります。

居室は、前の入居者が退去した後に清掃や修繕をしてから引き渡されます。「空きあり」と聞いても、実際に入れる日は1〜2週間先ということがあります。空室を確かめるときは「いつから入れますか」まで聞いておきましょう。

契約では、次の3つが要ります。

  • 重要事項説明を受ける
  • 契約書に本人と身元引受人が署名する
  • 前払金(入居一時金)がある施設では振込を済ませる

身元引受人が遠方に住んでいると、書類の郵送だけで数日かかります。振込は金融機関の営業日に左右されるので、契約日と振込日を先に決めておくと安全です。前払金0円のプランがある施設なら、振込の待ちが消えます。

なお、有料老人ホームが受け取れるのは、家賃、敷金、そして介護等その他の日常生活上必要な便宜の対価として受け取る費用に限られます。権利金その他の金品を受け取ることは、老人福祉法で禁じられています。契約を急ぐ場面ほど、費用の名目を1つずつ確かめておきましょう。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法

退院日と入居日を合わせる方法

表で見た「待ち」を、順番ではなく同時に進める。これがこの章の答えです。

  • 面談は病院で受ける
  • 書類は診断書を待たない
  • 判定会議の曜日から逆算する
  • 退院日と入居日を同じ日にして、病院から直行する

入居前の面談は病院で受ける

施設の相談員や看護師は、入院中の本人に会うために病院へ来る訪問面談に慣れています。家族が「病院へ来て面談してもらえますか」と頼めば、施設側の予定の中で最も早い日を出してもらえます。

面談の日程は、病院の看護師にも伝えておきます。施設の看護師が病棟で本人の状態を見たり、担当看護師から話を聞いたりできると、面談が1回で済みます。

施設への頼み方の例

「父は今の病院に入院中で、退院日が〇日です。面談を病院で受けさせていただけますか。病棟の看護師にも伝えておきますので、当日は担当看護師から状態を聞いていただけます。面談の後、判定会議はいつになりますか。それまでに何を揃えればよいか教えてください」

病院の退院支援の担当者(医療ソーシャルワーカー)にも「〇日に施設の面談が入ります」と伝えると、病棟側の準備をしてもらえます。

面談の後は、判定会議の曜日を聞きましょう。「次の判定会議はいつですか。それに間に合わせるには、何日までに何が要りますか」と聞くと、施設側が逆算して答えてくれます。

健康診断書を待たずに診療情報提供書で審査を進めてもらう

健康診断書の発行を待っていると、それだけで審査が止まります。

先に診療情報提供書と看護サマリーを出して審査を進めてもらい、健康診断書は入居後の提出を認めてもらえるかを施設に聞いてみましょう。緊急の入居では、最低限の医療情報(病名・医療処置・服用薬)を先に受け取って審査し、診断書は後日提出でよいとする施設があります。

病院側には、退院支援の担当者を通して「施設宛の診療情報提供書と看護サマリーを、〇日までに出してほしい」と日付を切って頼みます。診療情報提供書は主治医が書くので、頼んだ日から数日かかります。面談の日程を決めるのと同時に頼むのが目安です。

薬の情報は、お薬手帳と退院時処方の予定を看護師から聞けば、診断書より早く揃います。施設が最初に知りたいのは医療処置と薬なので、この2つが揃えば審査は動きます。

退院日と入居日を同じ日にして病院から直行する

審査が通ったら、退院日と入居日を同じ日にします。午前中に退院して、昼に施設へ着く段取りが定番です。

病院から自宅へ一度戻る形にすると、家での介護が1日でも発生し、移動も2回になります。直行なら、移動は1回で済みます。

移動には介護タクシーを使います。介護保険の訪問介護にある「通院等乗降介助」について、厚生労働省の通知は次のように定めています。

利用目的について、「通院等のため」とは、「身体介護中心型」としての通院・外出介助と同じものである。なお、この場合の「通院等」には、入院と退院も含まれる。

つまり、退院日の移動にも介護保険を使えます。ただしケアプランに載せることが前提なので、ケアマネジャーがまだ決まっていない場合は、保険外の介護タクシーや福祉タクシーを予約します。

退院当日に持ち出すものを表にします。

持ち出すもの確かめること
退院時処方(薬)とお薬手帳何日分出るか
診療情報提供書(施設宛)宛先が施設名になっているか
看護サマリー施設へ渡す分があるか
介護保険証・健康保険証原本を持っているか
施設が指定した持ち物衣類・洗面用具・上履きなど

薬は「次の受診先が決まるまでの日数」を主治医に伝えて、その分を出してもらいます。

出典: 厚生労働省 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について

入居日が決まっていれば退院日を寄せてもらえる

入居日が退院日より2〜3日後になる場合、退院日を入居日へ寄せる交渉ができます。

病院が困るのは、行き先が決まらないまま入院が続くことです。「〇日に有料老人ホームへの入居が決まっています。退院日をその日にしてほしい」という頼み方なら、数日の調整に応じてもらいやすくなります。

話す相手は、退院支援の担当者(医療ソーシャルワーカーや退院支援看護師)です。伝えるのは次の4つです。

  • 施設名
  • 入居日
  • 審査の結果
  • 当日の移動手段

この4つが揃っていれば、病院側は「退院先が確定した患者」として扱えます。

交渉の相手の見つけ方や、延ばせないときに病棟を移る道は、退院の期限までに施設が見つからない。延ばす交渉とつなぎ先の記事に書いています。

退院日までに入居できないときの一時的な受け入れ先

それでも入居日が退院日に間に合わないときは、その間を過ごす場所を決めます。選び方の答えは、決めた老人ホームとの距離が近い順です。同じ施設で先に入る、介護保険のショートステイを緊急で使う、老健で待つ、の順に移動と書類の回数が増えます。

つなぎ先移動の回数書類と面談費用の区分使える条件
決めた老人ホームのショートステイ・体験入居1回本入居と共通保険外(日額)施設がショートステイか体験入居を受けている
介護保険のショートステイ(緊急)2回つなぎ先の分が別に要る介護保険+食費・滞在費ケアマネジャーが緊急と認める
老健2回つなぎ先の分が別に要る介護保険+食費・居住費要介護認定を受けている

決めた老人ホームのショートステイか体験入居で先に入る

最も手間が少ないのは、入居を決めた老人ホームに、ショートステイか体験入居の形で先に入ることです。

移動は1回で済み、面談と書類も本入居と共通です。施設側から見ても「入居予定の人」なので、受け入れの判断が早くなります。

審査は通っているが居室の準備が〇日までかかる、という場合は「準備が終わるまで別の居室で体験入居できますか」と聞いてみましょう。体験入居の居室が空いていれば、退院日にそのまま入れることがあります。

費用は保険外の日額です。日額と、含まれるもの(食事・介護・洗濯など)を書面でもらいます。本入居の前払金や月額と、この期間の費用がどう扱われるかも同時に聞いておきます。

介護保険のショートステイを緊急で使う

決めた老人ホームで先に入れない場合は、介護保険のショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)を緊急で使います。

ケアマネジャーが緊急に必要と認めれば、居宅サービス計画に載っていない短期入所でも受けられます。このとき事業所には緊急短期入所受入加算が付き、算定できる期間は短期入所生活介護で原則7日以内、家族の疾病などやむを得ない事情で7日以内に次の方策が立てられない場合は14日までです。短期入所療養介護では7日が限度になります。この日数は事業所が受け入れの手間を評価される期間であり、8日目以降も短期入所を続けられることが厚生労働省の通知に書かれています。ここを知っておくと、「7日しか使えない」と誤解せずに相談できます。

要介護認定の申請中でも、暫定のケアプランで使えます。ケアマネジャーがまだ決まっていない場合は、地域包括支援センターに「退院日が〇日で、入居日が〇日。その間のショートステイを探している」と伝えます。

ショートステイの空きは施設と同じくらい取りにくいので、退院日が決まった時点で動きます。「〇日から〇日まで」と期間が決まっている依頼は、事業所側も判断しやすくなります。

出典: 厚生労働省 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

入居日が2週間以上先なら老健で待つ

入居日が2週間以上先で、ショートステイでは足りない場合は、介護老人保健施設(老健)で待つ道があります。老健は自宅へ戻るためのリハビリを目的にした施設なので、要介護認定を受けていることが条件です。

老健では、退所した人のうち在宅で介護を受けることになった人の割合(在宅復帰率)が、基本報酬の区分を決める指標の1つになっています。そのため、次の行き先が老人ホームで決まっている短期間の受け入れをどう扱うかは、施設によって答えが分かれます。最初から「〇日に有料老人ホームへ入居が決まっていて、それまでの間」と伝えて、受け入れられるかを相談しましょう。入居日が決まっている依頼のほうが、老健側も判断しやすくなります。

老健の役割や特養との違いは、退院後すぐ家に戻れない親、特養と老健どっちに入るの?の記事で詳しく書いています。

退院日から入居日まで3〜4日なら、自宅で訪問介護と訪問看護を緊急のケアプランで入れて待つ選択もあります。夜間に対応できる家族がいるかどうかで決めます。

出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)資料2 介護老人保健施設

一時的な受け入れ先から老人ホームへ移るときの注意点

つなぎ先が決まったら、老人ホームへ移る日に困らないように、3つを先に決めておきます。

  • 二重になる費用
  • 薬の切れ目
  • 書類の宛先

月額の起算日を確かめて費用の重なりを減らす

老人ホームの月額(家賃・管理費)がいつから発生するかは、施設によって「契約日から」と「入居日から」に分かれます。

契約だけ先に済ませて入居が後になる場合、契約日からの施設では、入居していない期間の家賃が発生します。重要事項説明のときに「月額の起算日はいつですか」と聞き、書面で確かめておきましょう。

つなぎ先の費用も区分が違います。

つなぎ先介護サービス費食費・滞在費
介護保険のショートステイ・老健1〜3割負担保険の対象外(負担限度額認定で下がる場合あり)
老人ホームのショートステイ・体験入居全額自費全額自費

前払金がある老人ホームにつなぎで入り、入居から3か月以内に契約を終える場合は、前払金から日割りの家賃等を差し引いた額を返す契約を結ぶことが、老人福祉法で設置者に義務づけられています。差し引かれる額は、家賃等の月額を30で割った額に、入居の日から契約が終わった日までの日数を掛けて計算します。契約前に、この短期解約の扱いが契約書に書かれているかを見ておきます。契約書の読み方は、受け入れますと言われた有料老人ホームを契約前に確かめる手順の記事に書いています。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法施行規則

薬と診療情報提供書は老人ホーム宛にも用意する

退院時に出る薬(退院時処方)は、日数に限りがあります。つなぎ先にいる間に薬が切れると、つなぎ先の医師か、外来受診で処方を受ける必要が出ます。

退院前に「入居日まで+数日分」を主治医に頼み、老人ホームの協力医療機関か訪問診療への引き継ぎを入居日に間に合わせます。

診療情報提供書は、宛先が1つです。つなぎ先(老健やショートステイ)宛に書かれたものは、老人ホームでそのまま使えないことがあります。退院前に、老人ホーム宛とつなぎ先宛の2通を頼んでおくと、移る日に書類がそのまま使えます。看護サマリーも同じで、施設ごとに渡す分を用意します。

つなぎ先で転倒や発熱があると、老人ホームの審査結果が「再面談」に戻ることがあります。つなぎ先の相談員に「〇日に老人ホームへ移るので、状態が変わったらすぐ知らせてほしい」と伝えておきます。

ショートステイの30日上限までに入居日を収める

介護保険のショートステイ(短期入所生活介護)は、連続して30日を超えて利用した場合、30日を超える日以降のサービスについて介護報酬を算定できない決まりです。つまり31日目からは介護保険の対象から外れ、その日の費用は全額自費になります。

つなぎの期間が長引きそうなときは、入居日が30日以内に収まるかを最初に数えます。30日は、入所した日と退所した日の両方を数えます。事業所を変えても日数は引き継がれるので、複数のショートステイを渡り歩いても上限はそのままです。詳しくは、ショートステイの連続利用は何日まで?の記事に書いています。

入居日が30日を超えそうなら、その時点で老健への切り替えか、決めた老人ホームの体験入居への切り替えを検討します。つなぎ先の相談員とケアマネジャーに入居日を伝え、「30日目はいつか」を共有しておくと、切り替えの判断が遅れずに済みます。

出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第180回)資料4 短期入所生活介護

まとめ:退院日と入居日は同じ日に寄せられます

入居が退院に間に合わない原因は、施設の審査の厳しさよりも、病院の書類・面談・居室と契約の待ちが順番に並ぶことにあります。並んだ待ちを同時に進めれば、入居日は前へ動きます。面談は病院で受け、健康診断書を待たずに診療情報提供書と看護サマリーで審査を進めてもらう。この2つで数日が縮みます。

今日のうちに施設へ電話して、「面談を病院で受けられますか」「次の判定会議はいつですか」「それに間に合わせるには何日までに何が要りますか」の3つを聞きましょう。ここを飛ばすと、健康診断書の発行を待つだけで数日が消え、退院日に親の行き先が決まらないまま当日を迎えます。

そのうえで、決めた老人ホームでショートステイや体験入居ができるか、介護保険のショートステイに空きがあるかを、同じ日のうちに確かめましょう。介護のあんしんでは、退院日に入居が間に合わないときの入居日の寄せ方とつなぎ先も含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。