有料老人ホームの費用は誰が払う?親の貯金の動かし方と分担、相続の扱い

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親の施設費用を、親の貯金から出すか、子が補うかで迷うことがあります。まず親の意思と年金・資産を確認し、不足する場合に家族の援助や使える制度を考えます。

順番より難しいのが手続きです。親の判断能力が落ちると、子が通帳とカードを預かっていても、金融機関が出金を止める場合があります。

誰が払うかの原則、親の口座を動かす権限、きょうだいの分担、贈与税と相続の扱い、揉める型と防ぎ方。入居の契約の日までに揃えたいのは、権限と合意と記録の3つです。

有料老人ホームの費用は誰が払うかの原則

まず本人の年金や資産でどこまで払えるかを確認し、不足分の補い方を相談します。子が援助する場合も、自分の家計を保てる範囲を考えます。

契約上の支払い責任と、家族としての援助は別です。誰が契約者や保証人になるかも、入居前に確認します。

払う人根拠確認すること
親本人本人が契約者となるのが基本。共同契約者等の有無も確認本人の意思と年金・資産を確認
配偶者夫婦は互いに同じ水準の生活を保つ義務(生活保持義務)配偶者自身の生活費も確保
直系血族の扶養義務。自分の生活を保った余力の範囲(生活扶助義務)本人の不足額と子の家計を踏まえ相談
費用の保証を引き受けた人保証条項による。個人根保証の極度額等を確認連帯保証では本人への請求より先に請求される場合もある

契約者・支払い口座・保証人の役割を分けて確認する

有料老人ホームは、施設と入居者との契約が基本です。ただし、共同契約者や支払いの保証人を置く場合もあり、家族の責任は契約内容で変わります。引き落とし口座の名義は施設に確認し、本人の口座を使えるなら支出を整理しやすくなります。

身元引受人は、連絡窓口だけなのか、費用の保証も担うのかを確認します。2020年4月以降の個人の根保証契約では、保証の上限である極度額の定めが必要です。ただし、過去の契約や更新の扱いは個別に確認します。身元引受人という名称だけで保証責任は決まりません。 関連:老人ホームの費用が払えないとどうなる?

本人のための費用を本人の口座から払うと、資金の流れを追いやすくなります。それでも、家族が手続きする権限と、請求書・振込記録は必要です。

出典: 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について厚生労働省 有料老人ホーム設置運営標準指導指針

親の収入と資産を確認し、不足分の補い方を考える

親の年金と毎月の費用を比べ、不足を貯金でどの程度補えるかを計算します。不動産の売却や保険の解約は、本人の意思、残る家族の暮らし、失う保障も考えて判断します。すべてを処分してからでなければ相談できないわけではありません。

厚生労働省の令和7年国民生活基礎調査・介護票の第55表では、介護を要する方10万人あたり、本人または配偶者の収入を充てた人が71,661人、貯蓄を充てた人が12,455人、本人・配偶者以外の収入や貯蓄を充てた人が6,453人でした。これは介護費用の出どころを示す調査で、誰が先に払うべきかや、老人ホーム入居者だけの負担を示すものではありません。

子が先に払う場合は、返してもらう立替か、援助かを明確にします。支払った分が相続時に自動で加算されるわけではなく、記録や合意がないと家族で認識が食い違うおそれがあります。

親の資産を把握する目的は、無理のない支払い計画を作ることです。親の意思を確かめ、家族の援助や公的制度も含めて考えます。

出典: e-Stat 政府統計の総合窓口 2025(令和7)年国民生活基礎調査 第55表

子が負う扶養義務は自分の生活を保った余力の範囲にとどまる

民法は、直系血族と兄弟姉妹に互いの扶養義務を定めています。ただし、子が親の施設費用を必ず全額払うという決まりではありません。

親への扶養は、一般に自分と家族の生活を維持したうえでの余力などを考えて判断されます。具体的な金額は、親の必要額や子の資力によって異なります。施設との保証契約による責任は別に確認します。

きょうだいでまとまらない場合は、家庭裁判所の扶養請求調停などで話し合う方法があります。裁判所は親の必要額、援助する側の資力、そのほかの事情を考慮します。

自分の家計から払える上限を先に出し、親の資産を1枚に書き出して何か月もつかを見る手順は、老人ホームの費用が払えないとどうなる?の「家族が差額を払うときの決め方」で扱っています。

出典: e-Gov法令検索 民法(明治29年法律第89号)

親の貯金を施設の費用に使うときの動かし方

親の貯金を使うには、残高だけでなく、本人の意思確認と、手続きする人の権限が必要です。

本人が判断できるうちに銀行へ相談しておくと、将来の支払い方法を準備できます。ただし、代理人の届け出だけですべての取引が続けられるとは限りません。

本人の状態動かす手段手続き先
本人が判断できる本人名義の引き落とし・任意代理人の届出・家族信託金融機関・信託は専門家
判断が不安定届出済みの任意代理人・銀行の相談窓口金融機関
意思確認ができない成年後見・銀行の相談窓口(使途の確認)家庭裁判所・金融機関

通帳・保険・不動産を調べ、必要に応じて照会制度を使う

親の同意や適切な権限のもと、資産を一覧にします。調べられる範囲を先に確認し、家族だからという理由だけで自由に照会できるとは考えません。

預貯金は、本人と一緒に各金融機関で残高証明を取るか、通帳を確かめます。相続が始まる前に家族が全ての口座をまとめて調べられる公的な仕組みは見当たらないため、通帳やキャッシュカード、郵便物から口座のある金融機関を探す形になります。

生命保険協会の契約照会制度では、死亡や認知判断能力の低下など所定の条件を満たす場合、加盟会社の保険契約の有無を調べられます。診断書などの必要書類と申請できる人を確認します。2026年9月11日の確認時点ではWebシステム停止の告知があり、書面申請は継続中です。書面の利用料は対象者1名7,000円。受付状況は申請前に公式ページで再確認します。

不動産は納税通知書や市町村の名寄帳で確認します。非課税の土地を含むかなど、掲載範囲は窓口で聞きます。2026年2月開始の所有不動産記録証明制度では、所有者本人などから法務局へ請求して、登記上の不動産を一覧で確認できます。氏名・住所の検索条件によって漏れる可能性もあるため、ほかの書類と併用します。 出典:法務省:所有不動産記録証明制度

年金は、すでに受け取っている親なら、毎年6月に届く「年金振込通知書」で2か月ごとの振込額と控除の内訳が、「年金額改定通知書」で年額が分かります。手元に通知書が見当たらないときは、本人がねんきんネットにログインすると同じ内容を画面で確認できます。

出典: 生命保険協会 生命保険契約照会制度e-Gov法令検索 地方税法(昭和25年法律第226号)第387条

出典: 日本年金機構 年金振込通知書

本人が判断できるうちに、口座と代理手続きの準備をする

本人が判断できるうちにしておく手続きは2つです。

本人名義の口座から施設へ払えるかを確認します。年金口座を使う場合は、2か月ごとの入金と毎月の引き落としが合うよう、残高を管理します。

2つ目は、金融機関に代理人の届出をすることです。全国銀行協会の考え方は、本人から親族等への有効な代理権の付与が行われ、銀行が代理権を付与する任意代理人の届出を受けている場合は、その任意代理人と取引を行うことも可能としています。届出の名前も、本人の判断能力が低下した後の扱いも銀行ごとに違うため、取引のある銀行の窓口で先に確かめておきましょう。

家族信託は、本人が判断できるうちに、契約で定めた財産の管理を家族などに託す方法です。施設費用の支払いに使う設計もできますが、対象財産や権限、費用は契約次第です。成年後見との違いも含め、専門家に相談します。

出典: 全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方

出典: 法務省 信託制度を知って活用しよう

本人の意思確認ができなくなったら成年後見か銀行の相談窓口で動かす

銀行は本人の財産を守るため、出金時に意思や権限を確認します。認知症などで意思確認が難しい場合、通帳やカードを持つ家族でも出金を断られることがあります。本人になり代わって無断で手続きを進めず、銀行へ相談します。

全国銀行協会は、本人の医療・介護費など、本人の利益になることが明らかな支払いについて、親族の依頼に応じる場合も考えられるとしています。ただし、各銀行に一律の対応を求めるものではありません。施設の請求書と必要書類を用意し、取引銀行に方法を確認します。

継続した財産管理が必要なら、成年後見制度も相談します。家庭裁判所が本人に合った後見人等を選ぶため、希望した家族が選ばれるとは限りません。令和7年の裁判所資料では、終局した42,674件の約71.1%が2か月以内、約93.8%が4か月以内でした。本人の手続きにかかる期間の保証ではなく、申立ての準備や報酬も確認が必要です。親族以外が選ばれる場合も想定して相談します。

出典: 全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方

出典: 最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況(令和7年1月~12月)

入居一時金は支払う人と返金先を事前に決める

本人の口座から払う場合も、家族が立て替える場合も、誰のお金かを記録します。

本人の資金なら、その意思や代理権を確認して手続きします。子の資金なら、援助なのか、親から返してもらう立替なのかを先に合意します。振込名義だけでは、お金の性質は決まりません。

前払金には、解約や死亡時の返還ルールがあります。返還を受ける権利が誰にあり、どの口座へ返す契約かを確認します。本人の権利なら死亡後は相続の対象になるため、「自分が払ったから自分に返る」と決めつけないようにします。

高額の振り込みに必要な書類と日数を銀行に確認します。入居直前に資金を動かせないと慌てるため、契約日程が決まったら早めに準備します。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条e-Gov法令検索 老人福祉法施行規則(昭和38年厚生省令第28号)第21条

きょうだいで分担するときの決め方

きょうだいで分担するときは、金額だけでなく、開始時期と見直しの時期も決めます。

「親の貯金が○万円を切ったら、その月から3人で月○万円ずつ」の形です。

合意の5項目の例

誰が: 長男・長女・次男の3人

いつから: 親の預貯金が300万円を切った月から

月いくら: 不足額の月4万円を、長男2万円・長女1万円・次男1万円

いつまで: 半年後に収支を見直し、それ以前でも親の貯金が200万円を下回る見込みになれば再相談する

記録: 長女が通帳と施設の請求書の写しを毎月共有する

介護そのもの(連絡役・ケアマネジャーとのやりとり・面会)の分担の決め方は親の介護をきょうだいで分担するにはで扱っています。

親の資産で何か月もつかを出してから子が払い始める時期を決める

分担を決める順番は、親の資産の月数、毎月の不足額、子が払い始める時期、そして誰がいくら、です。

年金の月額と、別途費用を含む施設の総額との差を出します。予備費を除いた貯金を不足額で割ると、補える月数の目安になります。不動産や保険は現金化できる時期と手取り額が分かってから加えます。

この月数が出ると、子が払い始める時期が「いつか分からない」から「○か月後」に変わります。きょうだいの会議で決めやすくなり、その間に制度の申請や部屋替えを進める時間も生まれます。

予備費としていくら残すかは、本人の暮らしと家族の負担を踏まえて決めます。子が払った分の扱いは、貯金を残すかどうかとは別に合意しておきます。

分担の型は均等と収入比と介護を担う人の軽減の3つから選ぶ

きょうだいの誰がいくら払うかを定めた法律の条文は無く、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所が順序と程度を定めます。まず家族で選ぶ型は3つです。

均等割りは分かりやすい一方、家計に差があると負担が偏ります。収入に応じる場合も、扶養家族や療養費などを考慮します。付き添いや連絡を多く担う人の金銭負担を減らす方法もあり、お金と時間の両方で分担を考えます。

どの型でも、決めた後に事情が変わります。子の失業や病気、親の要介護度の変化で、月額も払える額も動きます。年に1回は見直す日を決めておきましょう。

出典: e-Gov法令検索 民法(明治29年法律第89号)

誰がいつから月いくらをいつまで払うかを書面にする

合意した内容は、後から全員が確認できる書面やメールなどに残します。金額が大きい場合や立替の返済を約束する場合は、専門家にも形式を相談します。

誰が、いつから、月いくら、いつ見直すか、誰が記録するかを明記します。援助か立替か、予定外の費用をどう決めるかも合わせて確認します。

記録担当は請求書と支払いを対応させ、親の同意やプライバシーにも配慮して必要な範囲を家族で共有します。親のお金と担当者自身のお金は分けて管理します。

施設との連絡、費用の援助、口座の手続きを別の人が担う方法もあります。ただし、通帳を預かることと銀行で取引できる権限は別なので、役割だけでなく正式な手続きも確認します。

子が払うときの贈与税と相続の扱い

税や相続の扱いは、送金の向きだけでなく、目的・合意・実際の使い道で変わります。

通常必要な生活費の援助には贈与税がかからない場合がありますが、施設費用ならすべて非課税とは限りません。返してもらう立替と、返済不要の援助も区別します。

払い方税の扱い相続での扱い
子が施設に直接払う(贈与のつもり)通常必要な生活費をその都度負担する場合は非課税となる戻らない
子が施設に直接払う(立替のつもり)実際の立替・返済合意を確認。名称だけでは決まらない記録と親の合意があれば債権として清算
子が親の口座に振り込む通常必要な生活費にその都度使うかなどで判断。使い切るだけでは決まらない残った分は親の財産
親の口座から子の口座へ移す立替返済・預かり・贈与など目的と実態で判断返済や預かりの記録を残す。贈与等の扱いは個別に確認

子が払う施設費用は扶養義務の範囲なら贈与税の対象の外にある

扶養義務者の間で、通常必要な生活費や教育費のために行う贈与は、一定の条件で贈与税の対象になりません。親の施設利用料や医療費も、通常必要な生活費に当たるかを、内容や金額などから判断します。

国税庁は、必要な都度、直接その費用に使うものを対象としています。生活費名目でも、受け取ったお金を貯金や投資に回すと扱いが変わります。援助する側の資力や受ける側の必要性も考慮されます。

毎月の請求に合わせて払うと、使い道を示しやすくなります。ただし、一時金など高額の支払いまで自動的に非課税になるわけではありません。迷う場合は税務署や税理士へ確認し、請求書と支払い記録を残します。

出典: e-Gov法令検索 相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の3国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

出典: 国税庁 相続税法基本通達 第21条の3関係

親のお金を子の口座で扱うなら、資金の流れを明確にする

親の資金を一時的に子の口座で預かると、お金の区別が難しくなります。可能なら親の口座から施設へ直接払い、代理手続きの権限も整えます。

親の支払いのために預かっただけなら、送金したことだけで贈与になるわけではありません。預かった額と施設への支払いを対応させ、子の生活費に混ぜないようにします。実際に子へ贈与する場合は、暦年課税ではその年の贈与全体に対する基礎控除110万円などを確認します。

相続時にも、出金の目的が分からなければ家族間の争いになり得ます。親の同意や委任内容、請求書、振込明細を残し、誰のために使ったかを説明できるようにします。

親の口座から直接払えば資金の流れは整理しやすくなりますが、記録が不要になるわけではありません。現金払いも、出金額と領収書を対応させます。

出典: 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)e-Gov法令検索 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第70条の2の4

出典: e-Gov法令検索 民法(明治29年法律第89号)

立替の返済や相続での調整は、合意と記録を準備する

施設費用を払った子の相続分が、自動的に増えるわけではありません。返済を受ける約束と、相続分の調整を分けて考えます。

立替なら、親との返済の合意と支払い記録を残します。親が判断できない状態では家族だけで返済義務を作ったことにせず、後見人や専門家に相談します。相続開始後の返済・精算も、債権の内容や相続人の合意などの確認が必要です。

遺言で相続分を調整する方法もありますが、親自身の意思で作るものです。公正証書にしても争いが完全になくなるわけではなく、遺留分などにも配慮が必要です。公証人や専門家に相談します。

寄与分は、相続人が特別な貢献によって親の財産を維持・増加させた場合に、相続分を調整する制度です。通常の援助がすべて該当するわけではありません。相続人以外の親族の特別寄与料は、無償の療養看護などの労務が対象で、単にお金を出した場合とは異なります。

出典: e-Gov法令検索 民法(明治29年法律第89号)裁判所 寄与分を定める処分調停

費用を巡るトラブルの型と防ぎ方

費用のトラブルを防ぐには、記録、役割、相談先を整理しておきます。

入居前にすべてが決まらない場合も、未決の点と確認する人を明確にして進めます。

原因防ぐ手
通帳を管理する子が使い込みを疑われる記録が無い出金と使途の記録を月ごとに共有
一人が払い続けて相続で揉める合意が無い5項目の合意と立替の記録
身元引受人になった子が一人で払わされる合意が無い身元引受人と支払者を分ける。極度額を確かめる
親の資産が分からず子が先に払い始める記録が無い照会の制度で資産の全体を先に出す
親が認知症で口座が動かせず一時金が払えない権限が無い任意代理人の届出・家族信託・成年後見

使い込み疑惑は出金と使途の記録を月ごとに共有して防ぐ

親のお金を管理する人は、出金の目的を説明できる記録を残します。家族の不安を減らすだけでなく、管理者自身が確認しやすくなります。

防ぐ手は、出金と使途の記録を月ごとにきょうだいに共有することです。施設の請求書、通帳の該当ページの写し、日用品などの領収書を、月に1回まとめて送ります。金額が合っていることを、他のきょうだいが自分で確かめられる形にします。

送る先は、LINEのグループでも共有のフォルダでも足ります。「見ていない」と言われないよう、送った記録が残る方法を選びましょう。

この記録は、相続のときに「親のお金を親のために使った」ことを示す証拠にもなります。管理する子を守るための仕組みです。

身元引受人と支払者と口座の管理者を分けて一人に集めない

連絡、支払い、口座管理が一人に集中すると、負担が大きくなります。家族の事情に合わせて分担できる部分を探します。

役割は3つに分けられます。身元引受人は施設との連絡と緊急時の対応を担います。支払者は、親の貯金で足りない分を自分の口座から出す人です。口座の管理者は、親の通帳と引き落としを管理し、記録を共有する人です。

役割を分けても、施設との保証契約は別に効力を持ちます。きょうだいの内部の分担合意だけで、施設に対する保証責任が減るわけではありません。保証人を変更したい場合は施設の承諾と手続きを確認します。

分担できる家族がいなければ、一人で管理することもあります。その場合も支出記録を残し、負担が重ければ地域包括支援センターなどへ相談します。

出典: e-Gov法令検索 民法(明治29年法律第89号)

揉めたら家庭裁判所の調停と市町村の権利擁護の窓口に持ち込む

家族の話し合いで決まらないときの相談先は3つです。

扶養の分担は家庭裁判所の扶養請求調停を相談できます。相続時の立替金は、遺産分割の話し合いだけで解決できるとは限らず、債権の争いとして別の手続きが必要な場合もあります。まず弁護士などに、問題に合う手続きを確認します。

市町村や社会福祉協議会では、権利擁護や成年後見の相談先を案内してもらえます。日常生活自立支援事業は、契約内容を理解できる程度の判断能力がある方などを対象に、福祉サービスの利用や日常的な金銭管理を支援します。大きな財産の処分など、対応できない手続きもあります。

3つ目は弁護士です。使い込みの疑いや、遺産分割の争いになった段階では、早めに相談します。法テラスの無料法律相談は、収入と資産が一定の基準以下の方が対象で、同じ問題について1回30分、3回まで利用できます。

役割や支払い方法を変えるときは、施設にも早めに相談します。家族だけで変更を決めず、必要な契約変更や届け出を確認します。

出典: 裁判所 扶養請求調停裁判所 遺産分割調停

出典: 厚生労働省 日常生活自立支援事業法テラス 無料の法律相談を受けたい

まとめ:親の口座から親の名前で払い、権限と合意と記録を契約の日に揃える

有料老人ホームの費用は、まず親の意思と収入・資産を確認し、不足分をどう補うか考えます。本人の口座から払うと記録を整理しやすくなりますが、家族が手続きする権限や税・相続の確認が不要になるわけではありません。契約上の責任と家族内の分担を分けて決めましょう。

次の一歩は、本人が判断できるうちに、施設と銀行へ支払い方法や代理手続きを相談することです。すでに意思確認が難しい場合も、請求書を持って銀行や権利擁護の窓口へ相談できます。必要な準備と日数を確認して進めましょう。

口座の準備ができたら、親の資産で何か月もつかを1枚に書き出し、子が払い始める時期と月額と期限をきょうだいで書面にしましょう。介護のあんしんでは、有料老人ホームの費用を誰がどう払うかも含めて、老人ホーム探しで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。