※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

介護サービスに不満や気になることがあっても、どこへ言えばいいのかは分かりにくいものです。窓口が複数あることは知っていても、その違いまでは説明されません。
介護保険の制度には、事業者、市町村、国民健康保険団体連合会による苦情処理の仕組みがあります。窓口はひとつではなく、それぞれ持っている役割が違います。
だから、先に決めたいのは「どこに言うか」ではありません。「何をしてほしいか」です。求める解決が決まれば、相談先は選べます。あとは、伝える内容の準備と、相手に合わせた言い方です。
同じ出来事でも、求める解決によって、動いてもらう相手は変わります。
事実関係を説明してほしいのか。現場の対応を直してほしいのか。サービス全体の組み立てを見直してほしいのか。事業所とは別の窓口に相談したいのか。ここが決まると、最初に相談する先も、その次に頼る先も見えてきます。
介護保険制度には、事業者、市町村、国民健康保険団体連合会等による苦情処理の仕組みがあります。市町村と国保連は苦情を受け、必要な対応を行う役割を持っています。
なお、どの苦情も決まった順番を必ず踏まなければならない、というものではありません。何をしてほしいのか、事業所へ直接伝えられる状況なのか。その二つを整理して選んでかまいません。
窓口ごとに、できることの範囲が違います。
求めている解決に近い窓口が、最初の相談先になります。
事実関係の説明がほしいとき。担当者に確認してほしいとき。現場の対応そのものを直してほしいとき。
こうしたときは、サービスを実際に提供している事業所が候補になります。何があったかを確認できるのも、日々の対応を変えられるのも、現場だからです。
窓口の連絡先は、契約時に受け取った書類に記載がないか確認してみてください。
複数のサービスをまたぐ調整をしてほしいとき。事業所との間に入ってほしいとき。
ケアマネジャーは、利用者と事業所の間で調整する立場にあります。直接は言いにくいという事情も含めて、相談することができます。
サービスの組み立ての見直しや、事業所の変更についても、相談先はここです。
地域の介護保険の窓口として、相談や確認をしたいとき。
事業所へ直接伝えるのが難しいときや、伝えたけれど状況が変わらないときの相談先にもなります。市町村は苦情を受け、必要な対応を行う役割を持っています。
介護サービスの質について、事業所や市区町村とは別の立場からの苦情処理を求めるとき。
国民健康保険団体連合会は、都道府県ごとにあります。制度の中で苦情処理の役割が定められている機関です。
調整役であるケアマネジャー自身に不満がある場合は、本人に伝えるのが難しいこともあります。
このときは、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所の管理者などか、市区町村の介護保険担当窓口が相談先になります。
担当者の変更や事業所の変更についても、相談することができます。
相談先が決まったら、次は伝え方です。
手元にメモを置いて、相手に合わせた切り出し方を選ぶ。伝える内容が決まっていれば、電話口でも迷いません。
書き出すのは、次の4項目です。
詳しく書く必要はありません。
「◯月◯日 ◯◯ごろ/◯◯さん/◯◯ということがあった/◯◯で困った」
この程度で十分です。何度か続いているなら、複数の日付を並べて書いておきます。
「クレームというより相談なのですが、最近少し気になることがありまして。◯月◯日の訪問で△△ということがあり、母が困っておりました。今後どのようにお願いできるか、ご相談できますか?」
ポイントは、何をしてほしいのかを最後に添えることです。
説明がほしいのか、今後の対応を変えてほしいのか。そこがはっきりすると、相手も何を答えればいいかが分かります。
「◯◯(事業所名)さんのことでご相談です。最近△△ということが続いていて、本人も気にしています。直接は言いにくいので、ケアマネさんから様子を聞いていただくことはできますか?」
電話でもメールでもかまいません。
間に入ってほしい、と頼む形で大丈夫です。それが調整役の仕事の範囲だからです。
「介護サービスのことで相談したいのですが、担当の窓口をお願いします。◯◯というサービスを利用していて、事業所に伝えたのですが状況が変わらず困っています」
すでに事業所へ伝えているなら、その経過も一緒に話します。
どこまで話が進んでいるかが分かると、市区町村も次にできることを判断しやすくなります。
伝えた後どうなるのか。制度の上では、次の扱いが決まっています。
指定居宅介護支援事業者は、利用者等からの苦情へ適切に対応し、その内容を記録する必要があります。また、市町村や国保連の調査等へ協力し、指導・助言を受けた場合は改善を行うことが求められています。
つまり、伝えた内容は記録として残り、市町村や国保連が関わる場合の対応も、制度の中で決まっています。
ただし、伝えれば必ず調査が入る、必ず改善される、というものではありません。だからこそ、何をしてほしいのかは、伝えるときに一緒に言っておいてください。
知っ得メモ 「記録もお願いします」を添えてみる
苦情の内容を記録することは、事業者に求められている対応のひとつです。
なので、口頭で伝えるときに、こう添えてみてください。
「この件、苦情としての記録もお願いします」
強い言い方は必要ありません。伝えた事実が記録として残り、後から経過を確認しやすくなります。
出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」
伝える前に、いつ・誰が・何があったか・どう困ったかをメモにまとめておく。そして、何をしてほしいのかを一緒に伝える。
苦情という言葉は角が立ちますが、実際にはサービスをより良くするための相談です。制度にも、それを受け止める仕組みが用意されています。