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「同居しているご家族がいるので、ヘルパーの家事支援は使えません」
窓口やケアマネジャーにそう言われて、そこで話を終わらせてしまった人が、本当に多いです。
でも、そのひと言でスッと引き下がるのは、はっきり言ってもったいない。
なぜなら実際のルールは、同居家族が「いるかどうか」ではなく、家事を担える人が「実際にいるかどうか」で判断されるからです。
事情を伝えれば使えるケースは、普通にあります。
生活援助が使える条件、判断が割れやすいケース、認められやすい相談の伝え方、そして断られたときに残っている道。この4つを知っておくと、窓口での相談の進め方が変わります。
「同居家族がいる=一律に利用禁止」というルールは、存在しません。
正しくは、「家族が家事をできない事情があれば、同居していても生活援助は利用できる」という仕組みです。
厚生労働省の事務連絡でも、同居家族がいることだけを理由に、一律に利用の可否を判断してはいけないと示されています。
つまり「家族がいるから無理」は、ルールそのものではない。
まずここを、頭に入れておいてください。
出典:厚生労働省「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」
なぜ同居家族の有無だけで結論が決まらないのか。
それは、次の3つを合わせて読むと分かります。
1つずつ確認してください。
生活援助とは、訪問介護のヘルパーさんが行う掃除・洗濯・調理・買い物などの家事支援のことです。
介護保険のルール上の目的は、「本人や家族が自分でできない家事を補うこと」。
裏を返せば、できない人がいるなら補う対象になる、という話です。
厚生労働省の通知では、次のような場合に利用できるとされています。
1.一人暮らしの場合
2.同居家族に障害や病気があり、家事ができない場合
3.その他、やむを得ない事情で家族が家事をできない場合
ポイントは3つ目です。
判断は「家族が同居しているかどうか」ではなく、「実際に家事を担える人がいるかどうか」で決まります。
逆に言えば、家事ができる元気な家族が同居していて、特別な事情もない場合は、対象外になるのが原則です。
これがいちばん誤解されているところです。
同居家族による制限があるのは、生活援助だけ。
入浴・排せつ・食事の介助といった身体介護は、同居家族がいても通常どおり使えます。
ここを混同して「うちは介護保険そのものが使えないんだ」と思い込んでいる人が、かなりいます。
まず、切り分けて覚えてください。
知っ得メモ① 料金は利用前に確認する
生活援助の自己負担は、訪問時間、地域区分、事業所の加算、本人の負担割合によって変わります。
「ヘルパーを頼む=高い」と決めつけず、ケアマネジャーに、希望する回数で月いくらになるかを見積もってもらってください。
実際の家庭は、「一人暮らし」か「元気な家族と同居」かの二択ではありません。
大半が、その中間にいます。
同居家族はいる。でも、家事を担える人がいるとは限らない。そういう状況です。
判断が割れやすいケースを、4つ挙げます。
自宅の状況に近いものから確認してください。
認められる可能性は、十分あります。
ただし「家族が働いているから」だけでは、正直、弱い。
「平日9時〜18時は不在で、その間の昼食の用意ができない」のように、不在の時間帯と、困っている家事が具体的であること。
そこまでセットで言えると、やむを得ない事情として判断されやすくなります。
なお、この扱いは自治体による差が大きい部分です。
多くの自治体では「同居」に近い扱いになります。
ただ、玄関や生活が完全に分かれているかどうかで、判断は変わります。
ここは個別に判断される部分なので、住まいの状況をそのまま伝えて確認するのがいちばん確実です。
家族が「物理的・時間的に家事を担えない」事情は、すべて相談する価値があります。
家族自身が高齢で体力的に難しい。別の家族の介護で手一杯。
こういうケースも同じです。黙っていると、ただの「同居家族あり」として処理されます。
厚生労働省が示しているルールは、同居家族がいることだけを理由に一律に判断しない、というものです。
ただし、具体的な事情の見方や確認方法は市区町村によって異なり、同じように見える状況でも結論が分かれることがあります。
「〇〇市 生活援助 同居家族」で検索すると、独自の基準を公開している自治体もあります。地域包括支援センターに電話で聞けば、教えてもらえます。
ネット上の体験談を10件読むより、自分の自治体の基準を1回確かめるほうが、早くて確実です。
利用できるかどうかは、ケアマネジャーが個別の事情を確認してケアプランに位置づけ、必要に応じて市区町村にも確認しながら判断します。
つまり、事情がきちんと伝わるかどうかで、結果が変わる。
相談前に伝える内容を整理しておきましょう。
「家族も忙しくて、大変で…」
この伝え方では、判断材料になりません。感想だからです。
伝えるべきは、次の3点をセットにした事実です。
誰が・いつ家事をできないのか
その結果、どの家事が滞るのか
本人だけでは、何が危ないのか
たとえば、こう。
長男は平日8時〜19時勤務で不在。そのため昼食の用意と平日の買い物ができない。本人だけでは火の管理が不安で、調理を任せられない。
これで、ようやくケアマネジャーが判断できる材料になります。
そして事情が認められると、その内容がケアプラン(介護の計画書)に明記され、それが利用の根拠になります。
具体的な事実を伝えることが大切なのは、そういう理由です。
相談の前に、次をメモしておくとスムーズです。
家事の頻度は、「週何回の買い物が必要か」という形で数えておくと、そのまま伝わります。
相談先は、担当のケアマネジャー。まだ介護保険を使っていないなら、地域包括支援センターです。
知っ得メモ② 即答で断られたときの、切り札
もし事情を聞かれることもなく、「ご家族がいるので使えません」と一律に断られたら。
それは、ルールの誤った運用の可能性があります。
そのときは、このひと言を伝えてみてください。
「厚生労働省の事務連絡(平成21年12月25日付)で、同居家族がいることだけを理由に一律に制限してはいけないとされていると聞きました。個別の事情で判断していただけますか」
厚生労働省が事務連絡で「機械的な一律の判断はしてはいけない」と示している。その事実を知っているだけで、話は個別の事情の確認へ進みやすくなります。
それでも平行線なら、市区町村の介護保険課に直接確認する。あるいはケアマネジャーを変更する。
ケアマネの変更は、利用者の権利として、いつでもできます。「ケアマネさんに悪いから」と我慢する必要は、ありません。
事情を伝えても、対象外と判断されることはあります。
でも、そこで終わりではない。
まだ、道が3つ残っています。
もう1つは、ヘルパーと一緒に家事を行う形です。
知っ得メモ③ 「一緒にやる」なら、身体介護で頼める
これは、意外と知られていない話です。
国の基準(老計第10号)には「自立支援のための見守り的援助」という区分があります。
そして、ヘルパーが本人と一緒に手助けしながら行う調理・掃除・洗濯は、生活援助ではなく「身体介護」として扱われます。
身体介護には、同居家族がいることによる制限がない。
つまり、「代わりにやってもらう家事(生活援助)」が認められなくても、「本人ができることを増やすために、ヘルパーと一緒に行う家事(身体介護)」という形なら、利用できる可能性があります。
しかもこれ、本人のリハビリにもなります。
ケアマネジャーに「見守り的援助の形で組めませんか」と相談してみる価値は、十分あります。
出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
状況は変わります。
家族の転職。体調の変化。本人の状態の悪化。
事情が変わったタイミングで、再度アセスメント(状況の評価)を依頼できます。
一度の「ノー」が、永久に続くわけではありません。
介護保険にこだわらなければ、家事を頼む方法は他にもあります。
自費のヘルパーサービスは、内容の制限がありません。家族の分の家事も頼めます。目安は1時間2,500〜4,000円程度。
市区町村の総合事業・独自サービスには、自治体によって安価な家事支援があります。
シルバー人材センターなら、掃除や買い物代行を比較的安く依頼できます。
調理が問題なら、配食サービスの宅配で片がつくことも多いです。
ちなみに、介護保険の生活援助が認められた場合でも、頼めるのは本人の分の家事だけです。
家族の分の調理や、家族の部屋の掃除は対象外。
そこを補う目的で、保険外サービスを組み合わせている家庭もあります。
1.同居家族がいても、家事をできない事情があれば、生活援助は使える。
2.判断は市区町村とケアマネジャーによる個別判断。自治体差がある。
3.相談時は「大変です」ではなく、誰が・いつ・どの家事をできないかという事実を伝える。
4.一律に断られたら、国の事務連絡を根拠に、個別判断をお願いできる。
5.それでもダメなら、「一緒に家事をする」身体介護の形、再相談、保険外サービスという道がある。
いちばんもったいないのは、「うちは家族がいるから無理かも」と、自己判断で諦めることです。
断られたわけでもないのに、諦めている家庭が本当に多い。
まずはチェックリストをメモして、ケアマネジャーか地域包括支援センターに、事情をそのまま話してみてください。
話してみないと、判断すら始まりません。