要支援・要介護1で介護ベッドを借りる条件と代替手段

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「要介護1だと、介護ベッドは対象外です」

そう説明されて、そこで話が終わってしまった。

そういう方が、たくさんいます。

でも、夜中に起き上がれない。寝返りが打てない。実際に困っているのは、こちらなんですよね。

要支援1・2と要介護1は、原則として対象外です。ただし本人の状態と、確認の手続き次第では、例外として借りられる場合があります。

この記事では、その例外の判断材料と確認の手順、ケアマネジャーに何を伝えればいいのか、そして対象外だったときの代わりの手を書きます。

そもそもなぜ軽度だと借りられないのか

介護保険では、福祉用具の種目ごとに「どの介護度から使えるか」が決まっています。

介護ベッドの位置づけは、「起き上がりや寝返りが自分でできない人を助ける道具」。

だから、比較的軽度とされる要支援〜要介護1の方は、原則として対象外になる。

厚生労働省も、軽度の方の状態からは必要性を想定しにくい福祉用具については、原則として保険給付の対象外としています。車いすや床ずれ防止用具なども同じで、介護度と種目に応じた制限があります。

ただ、全部がダメなわけではありません。

手すり・歩行器・歩行補助つえは、要支援の方でも保険で借りられます。

例外給付の判断材料を確認する

介護度が軽くても、起き上がりや寝返りが難しい方には、保険で介護ベッドを借りられる可能性が残っています。

そして、当てはまるかどうかは、家族でもある程度まで確かめられます。

  • 認められる状態
  • 認定調査の結果を確認する
  • 調査結果が「できる」でも認められることがある
  • 自治体ごとに異なる手続きを確認する
  • 状態の違いを想定例で比べる

判断の材料になるのは、要介護認定のときの調査結果と、主治医の意見。この2つです。

認められる状態

「介護度は軽いけれど、実際には起き上がりも寝返りも難しい」

そういう方のために、軽度者への例外給付という仕組みがあります。

介護ベッドで認められるのは、大きく次の3つです。

  • 日常的に起き上がりや寝返りが自分でできない
  • 状態が日や時間帯で大きく変動する
  • 短期間で急速に悪化する見込みがある

1つ目は、病気やケガの影響で、動作そのものが難しい場合。

2つ目は、パーキンソン病の薬の効き目の波のように、同じ日でも時間帯によって動けたり動けなかったりする場合です。

3つ目は、がんの終末期のように、短期間で状態が進むと見込まれる場合。

出典:厚生労働省「軽度者に対する福祉用具貸与の判断について」

認定調査の結果を確認する

判断材料の一つが、要介護認定のときの「認定調査票(基本調査)」の結果です。

見るのは、この2項目だけ。

  • 項目1-3「寝返り」が「できない」
  • 項目1-4「起き上がり」が「できない」

このどちらかに該当するかどうかが、市区町村の判断に使われます。

調査結果は市区町村に開示請求できますし、ケアマネジャーに「基本調査の寝返り・起き上がりの結果はどうなっていますか」と聞けば、確認してもらえます。

認定調査で夜間の状態を伝える

認定調査のときだけ普段と違う動作ができてしまったり、時間帯によって状態が変わったりすることがあります。

調査時の様子だけでは伝わらない状態があるなら、具体的な場面と頻度を説明してください。

家族が調査に立ち会って、夜間や調子の悪いときの様子を書いたメモを調査員に渡します。「夜中は柵がないと起き上がれない」「週に何回、起きられず失敗している」といった情報は、調査票の「特記事項」に書き込んでもらえます。

この特記事項は、例外給付の判断でも、認定のやり直しを求める区分変更申請でも判断材料になります。次回の認定更新でも、普段の状態を具体的に伝えてください。

調査結果が「できる」でも認められることがある

「調査のときはたまたまできたけれど、普段は柵につかまらないと起きられない」

このケース、珍しくありません。

その場合でも、方法はあります。

医師の医学的な意見を得たうえで、サービス担当者会議での検討と、市区町村の確認を経て認められるルートです。

状態の変動や悪化の見込みがある場合は、もともとこのルートで判断されます。

医師の意見を確認する方法

医学的な所見の確認方法は、自治体によって違います。

主治医意見書、診断書、医師への照会。どの方法が必要かを、ケアマネジャーまたは市区町村へ確認してください。

受診のときには、主治医へ「夜間は起き上がれない状態です。介護ベッドの例外給付を検討しています」と伝え、日常の状態を共有しておきます。

自治体ごとに異なる手続きを確認する

手続きの運用も、市区町村によって違います。

事前の申請が必須の自治体もあれば、届出だけでよい自治体もある。

だから、必要な手続きと着手の時期は、ケアマネジャーに確認してください。

利用開始までに、医師への確認や担当者会議が必要になることもあります。

急ぐ事情があるなら、開始時期を確認したうえで、その間の自費レンタルもあわせて相談します。

がんの終末期は早めに相談する

末期がんなどで状態が急速に悪化し、短期間のうちに起き上がりや寝返りが難しくなると確実に見込まれる場合。

このときは、軽度者でも市区町村の判断で例外給付の対象になることがあります。

判断には、医師の医学的な所見と、サービス担当者会議等を通じたケアマネジメントが必要です。

状態の悪化が見込まれるなら、ケアマネジャーと主治医へ早めに相談し、市区町村へ確認する手続きを進めてください。

出典:厚生労働省「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について」

状態の違いを想定例で比べる

以下は、判断材料の違いを説明するための想定例です。

対象になる想定例

要介護1のAさん(80代)。パーキンソン病で、薬が切れる夜間〜早朝は、寝返りも起き上がりもほぼできない。

日中の認定調査では「できる」だった。それでも、主治医が状態の変動を示し、担当者会議を経て、例外給付の対象になった。

対象にならない想定例

要介護1のBさん(70代)。起き上がりは自力ででき、「ベッドのほうが立ち上がりやすくて便利だから」という理由で希望。

「便利」だけでは要件に当たらず、対象外になった。

ただ、Bさんの話には続きがあります。布団からベッドへの変更と、据え置き手すりの保険レンタル。この組み合わせで、立ち上がりの困りごと自体は解決しました。

そしてこの2例の違いは、そのままケアマネジャーへの伝え方の違いでもあります。

相談時に伝える情報を整理する

例外給付の相談先は、ケアマネジャー。要支援の方なら、地域包括支援センターです。

このとき、何を伝えるかで検討の進み方が変わります

  • 判断材料になる伝え方
  • 判断材料が不足する伝え方

分かれ目は、たった一つ。

できない場面を具体的に説明しているか、希望だけを伝えているか。それだけです。

判断材料になる伝え方

できない場面を、頻度つきで具体的に

これが基本です。

「夜中にトイレに起きるとき、何かにつかまらないと起き上がれないことが週に4〜5回あります。一度、起き上がれずに朝まで動けなかったこともありました。例外給付の対象にならないか検討してもらえますか」

それから、「例外給付」という言葉を出すこと自体にも、意味があります。

制度を知ったうえで相談していると伝わるので、検討が具体的に始まりやすくなる。

判断材料が不足する伝え方

逆に、こう伝えると話が進みません。

「あったら便利そうなので」「本人が欲しがっているので」

例外給付は「困難な状態を補う」ための仕組みです。

だから、「便利」や「希望」だけでは要件に当たらない。

「何が・どのくらいの頻度で・できないのか」。ここを伝えてください。

対象外だったときの代替手段

例外給付が認められなかった。

それでも、終わりではありません。費用を抑えて介護ベッドや代わりの用具を使う方法は、まだあります。

  • 自費レンタルは「つなぎ」としても使える
  • 購入前に状態の変化を考える
  • そもそもベッドでなくてもよいケース
  • 認定結果そのものに疑問があるなら

費用の目安と特徴は、次のとおりです。

方法費用の目安特徴
保険レンタル(例外給付)貸与価格の自己負担分状態確認と市区町村の判断が必要
自費レンタル事業者・機種で異なる保険給付の対象外でも利用できる
購入(新品・中古)製品・機能で異なる状態が変わったときは買い替えが必要になる場合がある
据え置き手すりで代替貸与価格の自己負担分要支援でも保険対象。起き上がり・立ち上がりを補助できる場合がある

費用は、機種や事業者、利用者の負担割合で変わります。

保険レンタルには状態を確認する手続きがあるので、「いつから使いたいか」も含めて選んでください。

自費レンタルは「つなぎ」としても使える

福祉用具事業者によっては、軽度者向けの自費プランを用意しています。

確認したいのは、3つ。

例外給付の確認中にも使えるか。あとから保険レンタルへ切り替えられるか。同じ機種を継続できるか。

事業者へ聞いてみてください。

同じベッドでもレンタル料は事業者で異なる

福祉用具のレンタル料は公定価格ではありません。事業者が設定しています。

(高すぎないよう、国が機種ごとに上限を定め、全国平均貸与価格を公表しています)

だから、同じ機種でも事業者によって月額が違います

自費プランはさらに差が大きく、同条件で月1,000円以上違うこともあります。

調べる方法もあります。福祉用具にはTAISコードという型式番号があり、厚生労働省が公表する資料や「福祉用具情報システム(TAIS)」で、機種ごとの全国平均価格が分かります。

見積もりに機種名とコードが載っていたら、平均と見比べてみてください。2〜3社から見積もりを取ると、事業者ごとの月額を比較できます。

事業者を変えたいときは、ケアマネジャーへ相談できます。

出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

購入前に状態の変化を考える

購入を考えるなら、その先も想像しておいてください。

状態が変われば、より機能の高いベッドが必要になることがあります。そうなると、追加の費用が生じる場合がある。

レンタルなら機種を変更できる場合があります。

購入とレンタル、それぞれの条件を福祉用具事業者へ確認してください。

そもそもベッドでなくてもよいケース

困りごとが「布団からの起き上がり・立ち上がり」なら、据え置き型手すり(要支援でも保険レンタル可)と普通のベッドの組み合わせで解決することも多い。

ベッドありきで考えない。

「何に困っているか」から道具を選ぶ。そのほうが、費用も抑えられます。

認定結果そのものに疑問があるなら

「実際の状態より、軽く認定されている気がする」

そう感じているなら、区分変更申請(認定のやり直しの申請)という手があります。

転倒が増えた、病状が進んだ。そういう状態の変化があるなら、申請できるかどうかをケアマネジャーへ相談してください。

難病の方は障害福祉制度も確認する

介護保険だけが窓口ではありません。

難病患者等は、障害福祉の「日常生活用具給付等事業」で、特殊寝台の給付対象になる場合があります。

対象者や用具は市区町村が定めていて、介護保険法など他の施策の対象にならないことが要件に含まれます。

窓口は、市区町村の障害福祉課(または難病担当)。

対象品目や条件は自治体ごとに異なるので、難病をお持ちの方は「日常生活用具で特殊寝台は対象になりますか」と問い合わせてみてください。

出典:厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」

まとめ

やることは、3つだけです。

1.認定調査票の「寝返り」「起き上がり」の結果を確認する

ケアマネジャーに聞けば分かります。まずはここから。

2.「できない場面」を頻度つきで具体的に伝える

ケアマネジャーか地域包括支援センターへ。そのうえで、例外給付の検討を依頼します。

3.手続き中や対象外だった場合は、代わりの手を使う

自費レンタル、据え置き手すり。この2つが現実的です。

必要に応じて、認定調査で普段の状態を伝えるメモ、医師への事前説明、末期がんの迅速な取り扱い、レンタル料の比較、難病の方が利用できる障害福祉制度も確認してください。

要介護1では、介護保険による貸与は原則として対象外です。

それでも、本人の状態と確認の手続き次第で、例外給付の対象になることがある。対象外なら、自費レンタルや手すりという代わりの手がある。

「対象外です」は、話の終わりではありません。

まだ、確認していないだけかもしれないのです。

*本記事の例外給付の仕組みは、厚生労働省の告示および解釈通知(軽度者に対する福祉用具貸与の取り扱い)に基づいています。手続きの詳細や日常生活用具給付の対象品目は市区町村により異なるため、最新の運用はお住まいの自治体・担当ケアマネジャーにご確認ください。(最終更新:2026年8月)*