小規模多機能の費用は月いくら?使えなくなるサービスも解説

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通いも泊まりも訪問も、1つの事業所にまとめられます。小規模多機能型居宅介護(小規模多機能)を、そう説明されたでしょうか。

まとめる代わりに手放すものがあります。在宅で親を介護していて、いま来てもらっているヘルパーと、通っているデイサービスがあるなら、そのどちらも使えなくなります。

この記事では、月額定額がいくらになるのか、登録すると何が使えなくなって何が残るのかを、順に説明します。

1. 小規模多機能とはどんなサービス?

小規模多機能は、通いと泊まりと訪問を1つの事業所にまとめたサービスです。使える人数にも、使える地域にも決まりがあります。

1-1. 通いと泊まりと訪問を1つの事業所で使う

介護保険法は、小規模多機能を、本人の選択にもとづいて、自宅で介護を行い、サービスの拠点へ通わせ、短期間宿泊させるサービスと定めています。通い、泊まり、訪問の3つを、1つの事業所が担います。

これまでの形は、デイサービスとショートステイとヘルパーを、それぞれ別の事業所と契約して組み合わせるものでした。小規模多機能は、その3つを1か所に登録してまとめます。

日々の組み合わせを決めるのは、その事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)です。省令は、本人の心身の状況と希望と環境を踏まえて、通いと訪問と宿泊を組み合わせた介護を行うと定めています。

回数があらかじめ決まっているサービスではありません。今月は通いを増やし、来月は泊まりを増やす、という調整ができます。

出典: 介護保険法 第8条

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス基準 第62条・第77条

1-2. 登録は29人まで泊まりは1日9人まで

登録できる人数と、同じ日に使える人数は、別々に決まっています。

省令は、1つの事業所の登録定員を29人以下と定めています。そのうえで、通いの利用定員を登録定員の2分の1から最大18人まで、宿泊の利用定員を通いの利用定員の3分の1から最大9人までとしています。

29人が登録していても、同じ日に泊まれるのは最大で9人です。9人という数は泊まれる日数ではなく、その事業所が1日に受けられる人数です。登録すれば毎日泊まれる形ではありません。

介護サービス情報公表システムも、登録定員は29人以内、通いは1日18人以内、宿泊は1日9人以内と案内しています。泊まりを何日使えるかは、その日にほかの登録者が何人泊まるかで変わります。見学のときに、泊まりの空きがどれくらいあるかを聞いておきます。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス基準 第66条

出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム

1-3. 住んでいる市町村の事業所を使う

小規模多機能は地域密着型サービスです。事業所を指定するのは都道府県ではなく市町村長で、その指定は、指定した市町村の被保険者への給付について効力を持ちます。

住んでいる市町村の中にある事業所を使うのが原則です。隣の市の事業所を使いたいときは、こちらの市町村が必要と認めたうえで、事業所がある市町村長の同意を得て指定する手続きがあります。区域外指定と呼ばれます。

隣の市の事業所が候補に入るなら、見学の前に、自分の市町村の介護保険の窓口へ区域外の利用ができるかを聞きます。

出典: 厚生労働省 介護保険法 第42条の2・第78条の2

出典: 厚生労働省 地域密着型サービスの市町村域を超えた利用について

2. 月額定額の費用はいくらになる?

費用は、使った回数ではなく要介護度で決まります。ただし、1か月に払う額が基本の報酬だけで決まるわけではありません。食費などの実費と加算が別に乗り、支給限度額の枠も使います。

2-1. 要介護度で決まる1か月の単位数

基本の報酬は「1月につき」で決まっています。令和6年度の改定後の単位数は、次のとおりです。

要介護度事業所と別の建物に住んでいる場合事業所と同じ建物に住んでいる場合
要介護110,458単位9,423単位
要介護215,370単位13,849単位
要介護322,359単位20,144単位
要介護424,677単位22,233単位
要介護527,209単位24,516単位

1単位を10円で計算する地域なら、要介護3で1か月223,590円です。自己負担が1割の人は、このうち22,359円を払います。

出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

この額は、登録している期間について月ごとに算定されます。通いを月に20回使っても8回しか使わなくても、単位数は変わりません。使わない月ほど、1回あたりの金額は高くなります。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表

2-2. 月額定額に含まれない実費と加算

月額定額に入っていないものは、実費と加算の2つです。

省令は、食事の費用、宿泊の費用、おむつ代、通常の実施地域の外へ送迎するときの費用などを、基本の報酬とは別に利用者から受け取れると定めています。介護サービス情報公表システムも、食費や宿泊費やおむつ代は別途負担すると案内しています。

この実費の金額は事業所ごとに違います。全国で決まった額はありません。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス基準 第71条

出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム

ここまでの実費とは別に、加算も基本の報酬に乗ります。こちらは実費ではなく、介護報酬の側の話です。登録から30日以内は初期加算が1日30単位、認知症加算は1か月460単位から920単位、看護職員配置加算は1か月480単位から900単位です。要件を満たす事業所と利用者に限られるので、全部が必ず付くものではありません。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表

2-3. 月額定額も支給限度額の枠を使う

区分支給限度基準額は、1か月に介護保険から使えるサービスの上限です。介護保険法は、居宅サービスと地域密着型サービスを合わせて、この上限を超えて給付しないと定めています。小規模多機能は地域密着型サービスなので、この枠の中に入ります。

上限は要介護度ごとに告示で決まっています。要介護1が16,765単位、要介護2が19,705単位、要介護3が27,048単位、要介護4が30,938単位、要介護5が36,217単位です。この単位数は地域の単価に関わらず同じで、円に直すときは、2-1と同じように地域の1単位あたりの単価を掛けます。

要介護3で見ると、上限の27,048単位に対して、小規模多機能の基本の報酬が22,359単位です。差は4,689単位です。

この差を自由に使えるという意味ではありません。加算にも限度額の対象になるものがあり、そもそも同時に使えるサービス自体が限られています。

出典: 介護保険法 第43条

出典: 厚生労働省 居宅介護サービス費等区分支給限度基準額

3. 登録すると他のサービスはどうなる?

ここが、小規模多機能を決めるときのいちばん大きな分かれ目です。登録すると、いま使っているサービスは3つに分かれます。介護保険では使えなくなるもの、同時には使えないもの、そのまま残るものです。

3-1. 訪問介護と通所介護は使えなくなる

訪問介護(ヘルパー)と通所介護(デイサービス)は、小規模多機能を受けている間、介護報酬を算定しません。

告示は、利用者が小規模多機能を受けている間は訪問介護費を算定しないと定めています。同じ定めが、訪問入浴介護費、通所介護費、通所リハビリテーション費にもあります。

地域密着型のサービスも同じです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護も、小規模多機能を受けている間は算定しません。

いまお願いしているヘルパーの事業所やデイサービスとの契約が、法律で自動的に切れるという話ではありません。そのサービスの費用が介護保険から出なくなるという話です。続けるなら全額が自己負担になります。

出典: 厚生労働省 指定居宅サービス介護給付費単位数表

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表

3-2. ショートステイは同時には使えない

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)は、少し形が違います。

告示は、登録者がショートステイを受けている間は、小規模多機能の費用のほうを算定しないと定めています。止まるのはショートステイではなく、その間の小規模多機能です。

どちらか一方になるので、いま使っているショートステイをそのまま足す形にはなりません。泊まりが必要なら、小規模多機能の泊まりを使います。その事業所が1日に受けられる泊まりは9人までです。いま使っているショートステイを単発で繋いでいる場合の連続して使える日数の数え方は、別の記事にまとめています。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス介護給付費単位数表

3-3. 訪問看護と福祉用具はそのまま使える

そのまま続けられるものもあります。厚生労働省の社会保障審議会に出された資料は、小規模多機能と同時に使える介護サービスを、次のように整理しています。

小規模多機能型居宅介護は、「通い」、「訪問」、「泊まり」を一体的に提供するため、小規模多機能型居宅介護と同時に利用する介護サービスは、福祉用具貸与のほか、居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハビリテーションの医療系サービスに限られる。

出典: 厚生労働省 社会保障審議会 小規模多機能型居宅介護利用者における他サービスの利用状況

介護ベッドや車いすの貸与は続けられます。医師や薬剤師の訪問も、訪問看護も続きます。残るのは医療と福祉用具です。生活を支える通いと訪問と泊まりは、小規模多機能の1か所にまとまります。

登録した後にどうなるかを、サービスごとに並べます。

いま使っているサービス小規模多機能に登録した後
訪問介護(ヘルパー)介護保険では使えない
訪問入浴介護介護保険では使えない
通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護(デイサービス)介護保険では使えない
通所リハビリテーション介護保険では使えない
定期巡回・随時対応型訪問介護看護介護保険では使えない
夜間対応型訪問介護介護保険では使えない
短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)同時には使えない
訪問看護そのまま使える
訪問リハビリテーションそのまま使える
居宅療養管理指導そのまま使える
福祉用具貸与そのまま使える

4. ケアプランを作る人は誰になる?

登録すると、居宅サービス計画(ケアプラン)を作る担当も変わります。

省令は、小規模多機能の事業者に対して、登録者のケアプランを作ることに専ら従事するケアマネジャーを置くよう求めています。ケアプランは、その事業所のケアマネジャーが作ります。

介護報酬の定めも同じです。告示は、利用者が月を通じて小規模多機能を受けている場合、その月については居宅介護支援費を算定しないと定めています。いまお願いしている居宅介護支援事業所が、ケアプランを作る担当として残る形ではありません。

出典: 厚生労働省 指定地域密着型サービス基準 第63条

出典: 厚生労働省 指定居宅介護支援介護給付費単位数表

いまのケアマネジャーと話せなくなるという意味ではありません。変わるのは、ケアプランを作って居宅介護支援費を算定する担当です。長く見てもらっているケアマネジャーがいるなら、登録すると担当が替わることを、決める前に本人へ伝えておきます。

5. 看護小規模多機能との違いは?

医療の必要が大きいときには、看護小規模多機能型居宅介護(看護小規模多機能)という別の形があります。違いは訪問看護を一体で組むことで、基本の報酬もその分だけ高くなります。

5-1. 訪問看護が一体になっている

介護保険法は、複合型サービスの1つとして、訪問看護と小規模多機能を一体で提供する形を定めています。日常生活の世話と機能訓練に加えて、療養上の世話や診療の補助まで行います。これが看護小規模多機能です。

小規模多機能でも、訪問看護は同時に使えます。違いは、訪問看護を別の事業所から入れるか、同じ事業所が一体で組むかです。

介護保険法が定めているのはこの形までで、病名や医療の処置で「この状態なら看護小規模多機能」と決まる線引きは、定義の中には示されていません。訪問看護を一体で組む必要があるかどうかを、主治医とケアマネジャーと事業所に、必要な看護の中身で相談します。

出典: 介護保険法 第8条

5-2. 単位数は小規模多機能より高い

看護小規模多機能の基本の報酬は、どの要介護度でも小規模多機能より高くなっています。事業所と別の建物に住んでいる場合の、令和6年度の改定後の1か月の単位数です。

要介護度小規模多機能看護小規模多機能
要介護110,458単位12,447単位
要介護215,370単位17,415単位
要介護322,359単位24,481単位
要介護424,677単位27,766単位
要介護527,209単位31,408単位

要介護5では、看護小規模多機能の31,408単位が、支給限度額の36,217単位の大部分を占めます。

出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

6. 登録する前に確かめること

確かめることは3つです。

  • 自分の市町村に事業所があるか
  • いま使っているもののうち何を手放すことになるか
  • 実費まで入れた1か月の金額

全国の事業所数は、2024年10月1日現在で、小規模多機能が5,478か所、看護小規模多機能が1,074か所です。これは全国の合計であって、自分の市にあるかどうかは分かりません。介護サービス情報公表システムで市町村を指定して探し、市町村の介護保険の窓口でも聞きます。探しても見つからず、区域外の利用もできないときは、通いと訪問と泊まりを別々の事業所で組む形に戻ります。その組み方は別の記事で扱います。夜と早朝を訪問で埋める形なら、定期巡回・随時対応型を使える条件から確かめられます。

出典: 厚生労働省 令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況

2つ目は、紙に書き出します。いま使っているサービスと、担当している事業所の名前を並べて、使えなくなるものと、そのまま残るものに分けます。ケアプランを作るケアマネジャーも、替わるほうへ書きます。

3つ目は、事業所に出してもらいます。「通いを週に3回、泊まりを月に4回使った場合、1か月にいくらになりますか」と、食費と宿泊費とおむつ代まで入れた金額で聞きます。基本の報酬だけの見積りでは、実際に払う額より少なく出ます。

まとめ

小規模多機能は、安くなる仕組みではありません。要介護度で決まる月額定額を払って、通いと泊まりと訪問を1つの事業所にまとめる仕組みです。まとめる代わりに、いまのヘルパーとデイサービスは介護保険では使えなくなります。ショートステイは、小規模多機能と同時には使えません。ケアプランを作る担当も替わります。訪問看護と福祉用具貸与は、そのまま残ります。

得か損かを決めるのは、月額の金額よりも、いま使っている事業所を手放せるかどうかです。長く通っているデイサービスがあるなら、そこを離れられるかが決め手になります。

次にすることは1つです。いま使っているサービスと、担当している事業所の名前を紙に並べて、使えなくなるものと残るものに分けてください。

その紙を持って、ケアマネジャーに相談します。月額がいくらかを聞く前に、何を手放すことになるかが分かっていれば、登録するかどうかを自分で決められます。

介護のあんしんでは、小規模多機能のように使い先を1か所にまとめる仕組みも含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。