介護で仕事を辞めるとどうなる?辞める前に確認したい制度を解説

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上司にどう切り出すかを考えているうちに、また親から電話が鳴ります。決めきれないまま、月だけが過ぎていきます。

介護のために仕事を辞めた人に、辞めた後どうなったかを尋ねた国の委託調査があります。精神面でも肉体面でも経済面でも、「負担が増した」と答えた人のほうが多くなっています。この記事では、その調査の結果と、辞める前に勤務先へ申し出られる制度、そして辞めると年金や働き方がどう変わるかを、順に説明します。

在宅で介護を続けるか施設に入ってもらうかを、毎月の費用で比べている段階の方は、在宅介護と施設入居の毎月の差額を、全国平均ではなく自分の家計で出す方法をお読みください。

1. 介護のために仕事を辞めた人はその後どうなった?

この章で見るのは、介護のために仕事を辞めた人が、辞めた後に何と答えたかです。厚生労働省の委託調査が、精神面・肉体面・経済面の3つに分けて尋ねています。辞めれば楽になるかどうかは、想像ではなく、この調査の回答から確かめられます。

1-1. 経済面の変化

厚生労働省の委託調査「令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」が、介護のために離職した945人に、辞めたことで経済面がどう変わったかを尋ねています。

回答(n=945)は、「非常に負担が増した」が29.4%、「負担が増した」が38.2%です。合わせて67.6%が、経済面の負担が増したと答えています。

「負担が減った」は1.5%、「かなり負担が減った」は1.2%で、合わせて2.7%です(n=945)。

収入が無くなるのだから当たり前だと思われるかもしれません。ただ、同じ調査で辞めた理由に「自分の希望(仕事を続けたくなかった)」を挙げた人は22.0%にとどまります(n=945・複数回答)。この設問は複数回答なので、この選択肢を選ばなかった人が全員、続けたかったとまでは言えません。それでも、辞めた理由として自分の希望を挙げた人が2割ほどだったことは変わりません。続けたかった人にとって、この67.6%は、辞めると決める前に見ておく数字です。収入の側だけでなく、在宅介護の費用が保険の上限を超えるとどうなるかも、あわせて確かめられます。

この調査はインターネットモニター調査です。全国のすべてを数えた官庁統計ではありません。

出典: 厚生労働省 令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書(労働者アンケート調査結果) 153頁

1-2. 精神面と肉体面の変化

同じ調査は、精神面と肉体面についても尋ねています。

回答(n=945)のうち、精神面は「非常に負担が増した」が35.7%、「負担が増した」が30.5%で、合わせて66.2%です。肉体面は「非常に負担が増した」が26.6%、「負担が増した」が36.6%で、合わせて63.2%です。

負担が減ったほうは、精神面が11.1%、肉体面が11.8%です(n=945)。

介護の手を増やすために辞めるのですから、体は楽になりそうに思えます。この調査で体が楽になったと答えた人は、1割強でした。

出典: 厚生労働省 令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書(労働者アンケート調査結果) 153頁

別の調査でも、同じ結果が出ています。令和5年度の老人保健健康増進等事業として行われた介護離職者への調査(n=1,675)では、経済面で負担が増したと答えた割合が61.4%でした。同じ報告書の本文は「手助・介護を機に仕事を辞めた方の約6割が経済的な負担が増したと回答している」と書いています。こちらもインターネットモニター調査です。

出典: 令和5年度 老人保健健康増進等事業 介護離職者の離職理由の詳細等の調査及び勤労世代の介護離職防止に資する介護保険制度の広報資料等の作成 8頁・167頁

1-3. 辞めた後の1日の過ごし方

令和3年度の調査は、辞めた後の平日の平均的な過ごし方も尋ねています。

介護に使った時間が4.0時間、休息や自分の時間が3.4時間、睡眠時間が5.7時間です。休日は、介護が4.3時間、休息が3.8時間、睡眠が5.8時間です。

辞めた後の睡眠時間は、平日も休日も6時間を下回っています。介護には、1日に4時間台を使っています。

出典: 厚生労働省 令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書(労働者アンケート調査結果) 154頁

2. 会社に制度が無いと言われたときは?

辞めた人が挙げた理由でいちばん多いのは、勤務先に関するものです。そのうち6割を超える人が「制度が整備されていなかった」と答えています。ただし、育児・介護休業法は、勤務先が制度を作っているかどうかとは別に、労働者が申し出られると定めています。この章では、辞めた人が挙げた理由と、申し出を会社が断れるかどうか、そして対象から外れる場合を順に見ます。

2-1. 辞めた人が挙げた勤務先の問題

令和3年度の調査が、離職した945人に辞めた理由を尋ねた結果です(複数回答)。

辞めた理由(n=945・複数回答)割合
(仕事を続けたかったが、)勤務先の両立支援制度の問題や介護休業等を取得しづらい雰囲気等があった43.4%
(仕事を続けたかったが、)介護保険サービスや障害福祉サービス等が利用できなかった、利用方法がわからなかった等があった30.2%
自分の希望(仕事を続けたくなかった)22.0%
(仕事を続けたかったが、)手助・介護が必要な家族、その他家族・親族の希望等があった20.6%

表にある選択肢のうち3つには「仕事を続けたかったが、」という前置きが付いています。選択肢の言葉のうえでは、辞めたくて辞めた人のほうが少なくなっています。

いちばん多い「勤務先の問題」を選んだ410人に、その内訳を尋ねた結果は次のとおりです(複数回答)。

勤務先の問題(n=410・複数回答)割合
勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかった63.7%
勤務先に介護休業制度等の両立支援制度を利用しにくい雰囲気があった35.4%
勤務先の介護休業制度等の両立支援制度の利用要件を満たしていなかった29.8%
代替職員がおらず、介護休業制度等の両立支援制度の利用ができなかった23.2%
職場の労働時間が長い、深夜勤務・シフト勤務があるなど、労働時間に問題があった18.5%

出典: 厚生労働省 令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書(労働者アンケート調査結果) 145〜147頁

2-2. 介護休業の申出と会社の義務

育児・介護休業法の第12条第1項は、次のとおり定めています。

事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない。

申し出る側の条文は第11条第1項で、「労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる」となっています。

就業規則に介護休業の定めが書かれていなくても、この条文は適用されます。会社が社内の制度を作っていないことと、労働者が申し出られないことは別のことです。

出典: e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

2-3. 労使協定で対象外になる人

会社と労働者の代表が労使協定を結んでいる場合、一部の労働者を対象から外せます。厚生労働省の資料が例として挙げているのは、次の3つです。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申出の日から93日以内に雇用関係が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

自分の勤務先にこの労使協定があるかどうかは、就業規則や社内の規程を見るか、人事の担当者に尋ねると分かります。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 16頁

2-4. 有期雇用で働いている人の条件

契約社員やパートなど、期間を定めて雇用されている人には、条件が1つ加わります。第11条第1項のただし書は、次のとおりです。

ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、第三項に規定する介護休業開始予定日から起算して九十三日を経過する日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。

休業を始めたい日から93日たった日の、さらに6か月後まで契約が続かないことが「明らかでない」なら、申し出られます。契約が更新される見込みが残っているなら、この条件には当たりません。

出典: e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

3. 介護のために使える制度

介護をしながら働いている雇用者は、2022年(令和4年)の就業構造基本調査で321万9,500人です。このうち介護休業制度を使ったことがある人は5万700人で、1.6%にとどまります。介護休業や介護休暇などのどれかを使った人まで広げても、37万2,300人で11.6%です。使われていないことは、使えないことではありません。

出典: e-Stat 令和4年就業構造基本調査 第212表

介護のために勤務先へ申し出られるものは、介護休業のほかにもあります。休みを取るもの、働く時間を変えるもの、休んだ期間のお金を受け取るものがあります。日数と回数と期限が制度ごとに違うので、1つずつ見ます。

3-1. 介護休業

対象家族1人につき、通算93日まで取れます。3回まで分けて取れます。

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。申出は、休業を始める日の2週間前までに行います。

対象になるのは「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」の家族です。判断は、介護保険の要介護状態区分で要介護2以上であること、または厚生労働省が示す判断基準の表によります。

厚生労働省の資料は、この判断基準について次のとおり書いています。

ただし、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます。

介護休業を申し出たことや取得したことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることは、法第16条で禁じられています。

介護休業は、介護に専念するための休みではありません。厚生労働省は、会社が制度を知らせるときに踏まえるべき趣旨として、次の3つを挙げています。

・介護休業制度は、介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するもの

・介護休暇制度は、介護保険の手続きや要介護状態にある対象家族の通院の付き添いなど、日常的な介護のニーズにスポット的に対応するためのもの

・所定労働時間の短縮等の措置その他の仕事と介護の両立のための柔軟な働き方に関する制度は、日常的な介護のニーズに定期的に対応するためのもの

同じ資料が、労働者へ渡す文面の例として示しているのは「介護休業は介護の体制を構築するための休業です。介護休業の期間中に、復帰後の仕事と介護の両立を見据えて、介護サービス利用等の方針を決定しましょう」という文です。

93日は、介護が終わるまでの日数ではありません。ケアマネジャーを決め、使うサービスを決め、家族の分担を決めるための日数です。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 7頁・8頁・15頁・16頁

3-2. 介護休暇

1年度に5日まで取れます。対象家族が2人以上なら10日までです。時間単位でも取れます。

年度は、会社が別に定めていなければ4月1日から翌年3月31日までです。

2025年(令和7年)4月1日から、労使協定で対象外にできる人から「継続雇用期間6か月未満」が外れました。厚生労働省の資料は、次のとおり書いています。

今回の改正により、「継続雇用期間が6か月未満の労働者」を労使協定によって対象から除外する規定を撤廃しましたので、令和7年4月1日以降は、継続して雇用された期間にかかわらず、介護休暇を利用できるようになります。

入社したばかりでも、介護休暇は使えます。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 25頁

3-3. 残業と深夜業の制限

働く時間を減らす請求が3つあります。

制度請求するとどうなるか
所定外労働の制限(残業の免除)会社は所定労働時間を超えて働かせられなくなります。1回の請求につき1か月以上1年以内の期間を指定します
時間外労働の制限1か月について24時間、1年について150時間を超えて労働時間を延長できなくなります
深夜業の制限午後10時から午前5時までのあいだに働かせられなくなります

この3つには「事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」というただし書があります。介護休業を拒めないと定めた第12条第1項に、このただし書はありません。

3つとも、請求したことや制限を受けたことを理由に不利益な取扱いをすることは禁じられています。

出典: e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

3-4. 所定労働時間の短縮等の措置

会社は、要介護状態の家族を介護する労働者のために、働く時間を短くするなどの措置を用意しなければなりません。利用を始めた日から連続する3年以上の期間で、2回以上使えます。

用意する措置は、4つのうちから会社が選びます。厚生労働省の資料は、次のとおり書いています。

事業主は、介護のための所定労働時間の短縮等の措置として、(1)短時間勤務の制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のいずれかを講ずる必要があります。

選ぶのは会社です。労働者が4つの中から選べるものではありません。自分の勤務先がどれを用意しているかは、就業規則を見るか、人事の担当者に確かめます。

この措置にも、労使協定で対象外にできる人があります。入社1年未満の労働者と、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者です。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 12頁・16頁

3-5. 介護休業給付金

介護休業を取ると、雇用保険から介護休業給付金を受け取れます。次の表の上限額は毎年8月1日に見直されるため、いま適用されている額は、申請の前にハローワークで確かめてください。

項目内容
支給額休業開始時賃金日額×支給日数×67%
1か月あたりの上限額366,222円(賃金月額の上限546,600円に対応する額。毎年8月1日に変わります)
限度同じ家族について93日を限度に3回まで
支給要件介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること
申請事業主を経由して申請します(本人が申請することもできます)
申請の期限各介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日まで

出典: ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付(介護休業給付)

4. 会社への伝え方と相談先

2025年(令和7年)4月1日から、会社に新しい義務が加わりました。介護に直面したと申し出た労働者へ制度を知らせ、使うかどうかの意向を確かめる義務です。この章では、その義務の内容と、会社が動かないときの相談先を見ます。

4-1. 2025年4月に増えた会社の義務

2025年(令和7年)4月1日から、労働者が「対象家族の介護が必要になった」と申し出たとき、会社は次の3つを個別に知らせ、制度を使うかどうかの意向を確かめなければなりません。

  • 介護休業に関する制度と、介護両立支援制度等の内容
  • 申出先(人事部など)
  • 介護休業給付に関すること

知らせる方法は、面談(オンラインでも可)、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれかです。FAXと電子メール等は、労働者が希望した場合に限ります。

申し出は口頭でもかまいません。厚生労働省のFAQは、次のとおり書いています。

法令では、申出方法を書面等に限定していないため、事業主において特段の定めがない場合は口頭でも可能です。

会社がこの手続きで取得を控えさせることは、禁じられています。

個別周知と意向確認は、介護休業に関する制度、介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにすることが目的です。取得を控えさせるようなことは行ってはいけません

厚生労働省は「取得を控えさせるようなこと」の例として、取得の申出をしないよう抑制する、申し出た場合の不利益をほのめかす、取得の前例がないことをことさらに強調する、の3つを挙げています。

上司へ口で「親の介護が必要になりました」と伝えるだけで、会社には制度を知らせる義務が生まれます。制度があるかどうかを自分で調べ終えてから相談する必要はありません。

会社には、介護休業の申出が円滑に行われるよう、研修の実施・相談体制の整備・そのほかの措置のいずれかを講じる義務もあります(法第22条第2項)。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 8頁・9頁

4-2. 40歳前後に受け取る情報提供

同じ2025年(令和7年)4月1日から、介護に直面する前の情報提供も義務になりました。

対象になるのは、40歳に達する日(誕生日の前日)の属する年度か、40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間の、どちらかの期間です。知らせる内容は4-1と同じ3つで、介護保険制度についても併せて知らせることが望ましいとされています。

40歳前後にこの案内を受け取っていないなら、勤務先へ尋ねてかまいません。

出典: 厚生労働省 育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説 15頁

4-3. 会社が応じないときの相談先

申し出ても会社が動かないときの相談先は、都道府県労働局です。

育児・介護休業法は、都道府県労働局長が、紛争の当事者の双方または一方から求められたときに、助言・指導・勧告をすることができると定めています(第52条の4第1項)。当事者から調停の申請があり、解決のために必要と認めるときは、紛争調整委員会に調停を行わせるとも定めています(第52条の5第1項)。厚生労働大臣が事業主に対して報告を求め、助言・指導・勧告をすることができる定めもあります(第56条)。

出典: e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

介護そのものの相談先は、地域包括支援センターです。介護保険法第115条の46に基づいて、市町村が設置しています。介護休業の93日のあいだにどの介護サービスを使うかは、ここで相談できます。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

5. それでも辞めるときに確かめること

ここまでを確かめたうえで、それでも辞めると決める人はいます。その場合に手続きや確認が要るものが3つあります。自分の年金、配偶者の年金、そして再就職したときの働き方です。

5-1. 国民年金の手続き

会社を辞めて次の会社に入らないあいだは、国民年金の第1号被保険者になります。日本年金機構は、次のとおり書いています。

健康保険(協会けんぽ)および厚生年金保険に加入している被保険者が適用事業所を退職し、しばらく次の会社に入らない場合や自営業者等になった場合には、その期間は国民年金第1号被保険者の手続きを行い、国民年金保険料を納める必要があります。

届出は、退職日の翌日から14日以内に行います。なお、引用にあるとおり、退職の影響は厚生年金保険だけでなく健康保険にも及びます。退職後の健康保険をどうするかは、勤務先の担当窓口か、住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口で確かめてください。

保険料を納めるのが難しいときは、免除の申請ができます。同機構は、退職(失業等)により納付が困難な場合に特例免除を申請できるとして、納付が難しい場合は免除等の申請を行うよう案内しています。

出典: 日本年金機構 会社を退職したときの国民年金の手続き

5-2. 配偶者の年金

自分の扶養に配偶者が入っている場合、退職の影響は配偶者にも及びます。日本年金機構は、次のとおり書いています。

国民年金第2号被保険者が退職した際、その被保険者に扶養されていた配偶者も同時に国民年金第3号被保険者の資格を喪失するので、国民年金第1号被保険者の手続きをする必要があります。また、国民年金第1号被保険者は国民年金保険料の納付が必要です。

自分の分だけでなく、配偶者の分の保険料も納めることになります。

出典: 日本年金機構 会社を退職したときの国民年金の手続き

5-3. 再就職したときの働き方

令和3年度の調査は、辞めた後に再就職した750人に、働き方がどう変わったかを尋ねています(複数回答)。いちばん多いのは「正規雇用から非正規雇用に変わった」で28.0%です。次が「勤務時間が柔軟な職場に変わった」の22.7%です。

再就職までの期間は「3〜6か月未満」が24.5%でいちばん多く、次が「1〜3か月未満」の20.1%です。6か月未満で再就職した割合は、現在の就業形態別に、正社員が62.3%、無期契約労働者が53.7%、有期契約労働者が37.2%です。

まだ再就職していない人が挙げた理由(n=195・複数回答)は、「仕事と『手助・介護』の両立が可能な職場が見つからない」が34.9%、「『手助・介護』する家族・親族が自分しかいない」が24.6%です。

辞めた人が仕事へ戻れないということではありません。ただ、戻った先で雇用の形が変わった人が3割近くいます。介護を担う人がきょうだいの中で自分に寄っているなら、決める人と費用の出どころを先に決める方法は、別の記事にまとめています。

出典: 厚生労働省 令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書(労働者アンケート調査結果) 155〜159頁

まとめ

介護のために仕事を辞めた人が答えたのは、負担が減ったことではありませんでした。経済面で負担が増したと答えた人は67.6%、肉体面でも63.2%です(n=945)。負担が減ったと答えた人は、経済面で2.7%、肉体面で11.8%にとどまります。

辞めた理由でいちばん多いのは勤務先に関するもので、そのうち63.7%が「制度が整備されていなかった」でした。しかし、勤務先が社内の制度を作っているかどうかと、介護休業を申し出られるかどうかは別のことでした。2025年(令和7年)4月からは、介護が必要になったと申し出れば、会社が制度を知らせて意向を確かめる義務も加わりました。

次にすることは1つです。上司か人事の担当者に、「親の介護が必要になりました。介護休業を取りたいので、制度を教えてください」と口で伝えてください。申し出は口頭でかまいません。

伝えたうえで決めれば、辞めるかどうかの判断は、確かめた事実の上に立ちます。

介護のあんしんでは、仕事を辞める前に確かめられることも含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。