※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

特別養護老人ホームは順番が来そうにない、介護付有料老人ホームは費用が届かない。そう感じて候補が減っていったところで名前が挙がるのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームです。
「介護施設ではありません」と説明されても、それで何がどう変わるのかまでは、パンフレットに書いてありません。
2つに違いはあります。ただし、移る前に確かめることは、どちらでも同じ2つです。夜そこに誰がいるかと、介護をどの枠から買うか。名前で決めずにこの2つを書面で確かめ、そのうえで契約書の解約条項に目を通してから移ります。
違いは3つあります。根拠になる法律と入口の手続き、居室の広さ、必ず受けられるサービスです。そのうえで、この2つが別々の箱ではないことまで、この章で見ます。
サ高住の根拠は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)です。事業者は、建物ごとに都道府県知事の登録を受けます。登録は5年ごとに更新しなければ効力を失います。
登録の基準は同じ法律の第7条に並んでいます。居室の床面積、設備、入居者の資格、入居契約に書くことまで決められています。基準に合っていれば、知事は登録しなければなりません。
住宅型有料老人ホームの根拠は、老人福祉法です。第29条は、老人を入居させて「入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜」を供与する事業を行う施設を有料老人ホームと呼び、設置しようとする人に、あらかじめ都道府県知事へ届け出ることを求めています。
出典: 老人福祉法 第29条
登録と届出。入口の手続きが違います。
厚生労働省が入居を検討している家族向けに作った冊子が、2つの違いを表にしています。
| 住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | |
|---|---|---|
| 利用形態 | 利用権方式 | 賃貸借方式 |
| 最低居室面積 | 13㎡ | 25㎡(一定の条件を満たせば18㎡以上で可) |
| 受けられるサービス | 食事の提供・介護・家事・健康管理のうち、いずれか1つ以上 | 安否確認と生活相談は必ず受けられる |
出典: 厚生労働省 高齢者向け住まいでの介護保険サービス利用にあたって確認したいポイント
読むのは、いちばん下の「受けられるサービス」の行です。
サ高住は、安否確認と生活相談の2つが必ず付いてきます。ただし、この2つは介護ではありません。様子を見て相談に乗るところまでです。
住宅型は、4つのうちどれか1つ以上、という決まり方です。食事の提供だけの住まいも、介護まで行う住まいも、どちらも住宅型です。何が受けられるかは、住まいごとに違います。
サ高住と有料老人ホームは、別々の箱ではありません。
高齢者住まい法第5条は、登録できる建物を「高齢者向けの賃貸住宅又は老人福祉法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム」と書いています。有料老人ホームでも、基準に合えばサ高住として登録できます。
そして同じ法律の第23条は、サ高住の登録を受けている有料老人ホームには、老人福祉法第29条第1項から第3項までを適用しないと定めています。登録を受けているなら、届出を重ねなくてよい、という意味です。
出典: 高齢者の居住の安定確保に関する法律 第5条・第23条
つまり「サ高住なのか、有料老人ホームなのか」は、二者択一の質問になっていません。目の前の住まいがどちらの名前で呼ばれていても、これから確かめることは変わりません。
介護は、住まいの契約とは別に入ります。厚生労働省の冊子は、この2つを介護保険の上では「自宅」として扱うように書いています。
先ほどの冊子の逐語です。
介護保険サービスの利用にあたって、この2つの住宅は、介護付有料老人ホームや特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどのような施設ではなく、「住宅」=「みなさまのご自宅」であるとお考えください。
出典: 厚生労働省 高齢者向け住まいでの介護保険サービス利用にあたって確認したいポイント
自宅ということは、介護保険の使い方も自宅と同じです。訪問介護、デイサービス、訪問看護を、外から入れます。
介護保険法第41条も同じ組み立てです。居宅で介護を受ける人が、指定居宅サービス事業者からサービスを受けたときに、居宅介護サービス費が支給されます。住まいの運営会社へまとめて払う仕組みではありません。
出典: 介護保険法 第41条
同じ冊子は、ケアマネジャーの選び方を3つ挙げています。自治体などが出している事業所リストから自分で選ぶ、市町村の窓口(地域包括支援センターなど)に相談して助言をもらってから自分で選ぶ、入居する住まいに相談して助言をもらってから自分で選ぶ、の3つです。
すでに担当のケアマネジャーがいる場合について、冊子はこう答えています。
既に契約しているケアマネジャーがいる場合は、入居後も引き続き担当してもらうことは可能です。
入居前から使っているデイサービスやヘルパーについても、同じ冊子が「利用したい訪問介護事業所やデイサービスがある場合は、そこを選んでいただくことも可能です」と書いています。
出典: 厚生労働省 高齢者向け住まいでの介護保険サービス利用にあたって確認したいポイント
住まいの隣に、同じ会社の訪問介護やデイサービスがあることがあります。案内の場でも、その事業所の説明を一緒に受けます。
その事業所を使うかどうかについて、冊子の答えははっきりしています。
必ず利用しないといけないわけではありません。併設されている訪問介護やデイサービスは選択肢の一つと考えていただければよいと思います。
同じ冊子は、入居者の「サービス事業所やサービス内容をご自身で選び、選択する権利」が侵害されている可能性があるケースも並べています。併設のデイサービスや訪問介護を使うことが入居の条件になっていた。入居前のケアマネジャーに続けてほしかったのに、同じ会社のケアマネジャーに変更させられた。入居前に使っていたデイサービスを続けたかったのに、使えないと言われてあきらめた。どれも、選ぶのは本人だという前提が崩れています。
出典: 厚生労働省 高齢者向け住まいでの介護保険サービス利用にあたって確認したいポイント
案内を受けるときに、1つ聞いておきます。「併設の事業所を使うことが、入居の条件になっていますか」。条件になっていると言われたら、その場でどこに相談できるかも決まります。市町村の窓口か、地域包括支援センターです。
ここまでの形が変わる場合が1つあります。その住まいが、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けているときです。指定があると、介護は外から入れるものではなくなります。
サ高住の登録情報を集計した資料では、令和7年8月末時点で、いずれかの特定施設の指定を受けているのが834件(10.0%)、受けていないのが7,492件(90.0%)でした。母数は登録された住宅8,326件です。
出典: サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和7年8月末時点)
10件のうち9件は指定を受けていません。ただし、残りの1件に当たったときは、介護の入り方も費用の出どころも変わります。
そのため、案内で最初に聞くのは「サ高住ですか、住宅型ですか」ではありません。「特定施設の指定を受けていますか」です。
特定施設入居者生活介護は、介護保険法第8条第11項に定義があります。特定施設サービス計画に基づいて行う介護、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話をまとめて指すものです。
出典: 介護保険法 第8条
職員の数にも決まりがあります。看護職員と介護職員の合計が、要介護の利用者3人につき1人以上(常勤換算)。そのうえで、常に1人以上の介護職員が確保されていることが求められます。
出典: 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第175条
指定には2つの形があります。一般型は、その住まいが自分の職員で介護を行います。外部サービス利用型は、その住まいが計画と手配を受け持ち、実際の介護は委託を受けた事業所が行います。
出典: 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第192条の3
どちらの形でも、介護を組むのはその住まいです。自分で事業所を選んで外から足す形ではなくなります。
ここからは、特定施設の指定を受けていない住まいの話です。夜の体制は、サ高住か住宅型かという名前では決まりません。
サ高住の登録基準を細かく決めているのは、国土交通省と厚生労働省の共同の省令です。その第11条は、状況把握サービスと生活相談サービスの担当者について、こう定めています。
原則として、夜間を除き、サービス付き高齢者向け住宅の敷地又は当該敷地に隣接し、若しくは近接する土地に存する建物に常駐し、状況把握サービス及び生活相談サービスを提供すること
「夜間を除き」と書かれています。夜に人がいることは、登録の基準になっていません。
では夜はどうなるか。同じ条の第4号が答えを持っています。担当者が常駐していない時間は、それぞれの居室に、心身の状況に応じて必要なときに通報する装置を置いて、状況把握サービスを提供します。
出典: 国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則 第11条
義務になっているのは、介護職員の夜勤ではありません。安否を確かめることと相談に乗ること、そして人がいない時間の通報の経路です。
制度が求めていないだけで、実際には夜も人がいるのではないか。登録情報の集計に、その答えがあります。
令和7年8月末時点で、状況把握・生活相談サービスの提供時間が「日中・日中以外とも常駐」なのは6,342件(75.9%)。「日中常駐・日中以外は常駐なし」が2,014件(24.1%)でした。この項目の母数は8,356件で、指定の有無を数えた8,326件とは件数が一致していません。
出典: サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(令和7年8月末時点)
4件に1件は、夜に常駐する人がいないものとして登録されています。この集計では、「日中以外」の時間帯の常駐者に人数の記載がないものを「常駐なし」として数えています。
そして、常駐していると登録されている4分の3についても、その人は状況把握と生活相談の担当者です。夜勤の介護職員がいるという意味ではありません。
サ高住という名前から、夜の人数は分かりません。候補の住まいの登録情報を開いて、状況把握・生活相談サービスの提供時間を確かめます。夜も含めて外から介護を入れる形なら、24時間対応の定期巡回を使える条件から確かめられます。
住宅型はどうか。厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、職員の配置についてこう書いています。
入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置すること。
「実態に即し」までで、人数は書かれていません。全国で共通の最低人数は決まっていません。
代わりに、住まいごとの実数を書かせる書類があります。有料老人ホームの重要事項説明書です。職員体制の項目に「(夜勤を行う看護・介護職員の人数)」という欄があり、そこに「夜勤帯の設定時間」と、「平均人数」「最少時人数(休憩者等を除く)」の2つの数字を、「看護職員」「介護職員」それぞれについて書くようになっています。
見学のときに聞くのは「夜勤の職員はいますか」ではありません。この欄の言葉をそのまま使います。「夜勤帯は何時から何時までですか。最少時人数(休憩者等を除く)は、看護職員と介護職員でそれぞれ何人ですか」。
平均人数ではなく最少時人数を聞くのは、いちばん人が少ない時間に何かが起きるからです。
ここも、特定施設の指定を受けていない住まいの話です。住まいの費用と介護の費用は、別の財布から出ます。介護のほうは、自宅にいるときと同じ枠から出ます。指定を受けている住まいでは介護を組むのがその住まいなので、この章はそのまま当てはまりません。
介護保険法第43条は、居宅サービスと地域密着型サービスについて、月を単位にした上限を置いています。これが区分支給限度基準額です。
出典: 介護保険法 第43条
上限は要介護度ごとに決まっていて、単位で示されます。
| 要介護度 | 区分支給限度基準額 |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 10,531単位 |
| 要介護1 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 36,217単位 |
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの現状と課題について(参考資料2)
単位であって円ではありません。1単位あたりいくらになるかは、住んでいる地域とサービスの種類で変わります。円に直した額を知りたいときは、担当のケアマネジャーに、その地域の単価で計算してもらいます。
この枠は、住まいを移しても変わりません。介護付有料老人ホームや特別養護老人ホームのように、介護の費用が住まいの月額の中で決まる仕組みではないからです。
その枠を、実際にどこまで使っているか。サ高住について、事業者5社の実績を集めた図が公表されています。
2023年3月度の実績で、限度額に対する利用割合は、要介護1が51%、要介護2が61%、要介護3が70%、要介護4が73%、要介護5が81%でした。集計の対象は6,887人です。
出典: 厚生労働省 有料老人ホームの現状と課題について(参考資料2)
この数字は5社を集計したもので、調査したのは一般社団法人高齢者住宅協会です。全国のサ高住を代表する数字ではありませんし、住宅型は入っていません。
この5社の集計で見えるのは、要介護度が上がるほど枠が埋まっていくことです。要介護5では8割を超えています。枠を超えて使った分は、介護保険から支給されません。
移る前に用意する見積りは、1枚ではなく2枚です。
1枚目は、住まいの月額です。家賃、共益費や管理費、食費、そして安否確認や生活相談などのサービス費。ここに介護保険は関係しません。
2枚目は、介護のケアプランです。訪問介護を週に何回、デイサービスを週に何回入れて、限度額の何割まで使うか。ここは介護保険の枠の話です。
1枚にまとめた総額だけを見て決めると、あとで払えなくなったときに、住まいの費用が重いのか、介護の量が増えたのかが分かりません。分けておくと、親の状態が変わったときに、増えたほうの費用だけを組み直せます。
退去の条件は、2つで決まり方が違います。サ高住は登録の基準に制限が書いてあり、住宅型は入居契約書に書いてあります。
高齢者住まい法第7条第1項第6号ヘは、入居契約の基準の1つとして、事業者が省令で定める理由によって居住部分を変更したり契約を解約したりできないこと、を挙げています。
その省令で定める理由は2つです。入居者の病院への入院と、入居者の心身の状況の変化。
出典: 国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則 第13条
入院したから、状態が重くなったから。この2つだけを理由にして、事業者が居室を移させたり契約を解約したりすることはできません。
ただし、条文にはただし書きが付いています。その理由が生じた後に、入居者と事業者が居室の変更や解約について合意した場合は、この制限は掛かりません。
言い換えると、どんな場合でも住み続けられる、という制度ではありません。入院や状態の変化を理由に、事業者が居室の変更や解約を求められない、という制限です。
住宅型で退去の条件を決めているのは、入居契約書です。移る前に読む場所も決まっています。
重要事項説明書の「契約解除の内容」の項目に、事業主体から解約を求める場合の解約条項と解約予告期間(何か月か)、入居者からの解約予告期間の欄があります。
もう1か所、同じ書類の後ろに「前年度における退去者の状況」があります。生前解約について、施設側の申し出が何人で解約事由の例は何か、入居者側の申し出が何人で解約事由の例は何かを書く欄です。
読むのは「施設側の申し出」の人数と、その解約事由の例です。去年その住まいから出ていった人のうち、住まいから言われて出た人が何人いて、どんな理由だったか。欄が空いていれば、記入して渡してもらうように頼みます。
名前が違っても、確かめることは2つです。どちらも、見学の前に書面で確かめられます。
1つ目は、夜そこに誰がいるかです。サ高住なら、登録情報の状況把握・生活相談サービスの提供時間を見て、「日中以外」に常駐する人がいるかを確かめます。住宅型なら、重要事項説明書の「夜勤帯の設定時間」と「最少時人数(休憩者等を除く)」を見ます。
2つ目は、介護をどの枠から買うかです。まず、特定施設の指定を受けているかを聞きます。受けていなければ、介護は自分で選んだ事業所から、区分支給限度基準額の枠を使って買います。受けていれば、介護を組むのはその住まいです。
認知症があることを理由に行き先を探しているのであれば、認知症の人が少人数で暮らす住まいという選び方もあります。その住まいの入居条件と費用は、別の記事で扱います。
この2つを聞いたうえで、契約書の解約条項と予告期間を読みます。3つ目の質問ではなく、2つの答えが出てから読む書面です。
聞いても答えが返ってこない、書類を見せてもらえない。そのときは、その住まいの説明の姿勢が分かったということです。市町村の窓口や地域包括支援センターに、その住まいの名前を出して相談できます。
サ高住と住宅型有料老人ホームには、根拠になる法律も、居室の広さも、必ず受けられるサービスにも違いがあります。それでも、特定施設の指定を受けていないかぎり、どちらも住まいに外から介護を入れる形です。そのため、移る前に確かめることは名前では変わりません。夜そこに誰がいるかと、介護をどの枠から買うか。この2つです。
次にすることは1つです。候補の住まいに電話をして、「特定施設の指定を受けていますか」と聞いてください。この答えで、残りの質問が決まります。
この1問を飛ばすと、パンフレットに並んだ月額とサービスの名前だけで比べることになります。月額が同じでも、介護を組むのがその住まいなのか、自分で選んだ事業所から区分支給限度基準額の枠を使って買うのかで、見積りの立て方が変わります。
あなたの手元には、夜の人数を確かめる2つの書面と、介護をどの枠から買うかを決める1つの質問が残ります。
介護のあんしんでは、サ高住と住宅型有料老人ホームで移る前に確かめる2つも含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。