ケアハウスと特定施設の違いを解説!7つの観点から徹底比較

高齢者向け施設を選ぶとき、ケアハウスと特定施設の違いを理解することは重要です。

この記事では、両施設の特徴と違いを7つの観点から詳しく解説し、ご家族に最適な施設選びをサポートします。

介護の必要度や経済的な面など、多角的な視点から違いを理解することで、より適切な選択が可能になります。

【ケアハウス vs 特定施設】違いの総まとめ

ケアハウスと特定施設の比較表

比較観点 違いの大きさ ケアハウスの特徴 特定施設の特徴
対象者の要件・条件 大きい 自立した生活が可能な高齢者 要支援・要介護高齢者
提供されるサービス内容 大きい 軽度の生活支援が中心 包括的な介護サービス
介護保険の適用範囲 大きい 一部のケアハウスのみ適用 介護保険適用
入居費用と経済的負担 中程度 比較的低価格だが介護が必要になると追加費用 介護保険適用で軽減されるが全体的に高額
居住環境・設備 中程度 バリアフリーだが介護には対応しづらい バリアフリーで介護向けの設備が整っている
運営主体・運営方針 小さい 地方自治体や社会福祉法人が運営、多くは自立生活支援が目的 地方自治体や社会福祉法人が運営、多くは包括的なケアが目的
設置目的 大きい 自立生活が可能な高齢者の支援 要介護者への包括的ケアと生活支援

ケアハウスと特定施設の違いをわかりやすく

ケアハウスと特定施設の違いをわかりやすくお伝えすると、「どれだけサポートが必要か」によって入る施設が変わるのが、大きな違いです。

ケアハウス:
基本的に「自分で生活できる高齢者」が入り、最低限の支援(食事の準備や生活相談など)を受けられる場所。

特定施設:
「介護が必要な高齢者」が入るところで、生活のほぼすべてをサポートしてくれる場所です。

続いて、具体的な事例をお伝えします。

ケアハウスの例

70代の女性Bさんは高齢になり家事が少し大変に感じてきましたが、身の回りのことはまだ自分ででき、特に医療的なサポートも必要ありません。家で一人でいると不安もあるため、最低限のサポートがある「ケアハウス」に入ることにしました。

ケアハウスでは、毎日の食事が提供され、困ったときに相談できるスタッフがいるため安心です。普段は自室で自由に生活できますが、緊急時のサポート体制が整っているので、Bさんもご家族も安心です。

特定施設の例

80代の男性Aさんは認知症が進行し、日中や夜間に一人でいると転倒のリスクがあり、日常生活も一人では難しい状況です。ご家族は仕事があり、常に介護するのは難しいため、「特定施設」に入居することにしました。

特定施設では、24時間体制で介護スタッフが見守り、食事や入浴、トイレのサポートをしてくれます。また、認知症に対するケアも行われているため、安心して生活ができます。

 

1. 対象者の要件・条件

入居できる方の条件は、ケアハウスと特定施設で大きく異なります。自立度や介護の必要性によって、適切な施設を選択する必要があります。

ケアハウスの対象者の要件・条件

ケアハウスは、比較的自立した生活が可能な高齢者が対象です。要介護認定がなくても入居が可能であり、主に軽度の支援を必要とする方が中心です。ただし、ケアハウスが特定施設の認可を受けた「介護型ケアハウス」であれば、介護保険適用の介護サービスを利用できます。

特定施設の対象者の要件・条件

特定施設は、要支援・要介護状態の高齢者が対象です。一般的に自立生活が困難な方や介護サービスが必要な方が入居します。入居の条件は施設の種類により異なり、介護が重度になった場合でも継続して住み続けられることが多いです。

対象者に関する違いのまとめ

違いの大きさ:大きい

  • ケアハウス:比較的自立している高齢者が対象で、軽度な支援が必要な場合が多く、基本的には自立生活が可能な人向け。
  • 特定施設:要支援・要介護状態の高齢者が対象で、介護サービスが必要な方も多く入居しています。

ケアハウスは「自立生活ができる高齢者」向け、特定施設は「介護が必要な高齢者」向けであり、入居者の介護度に大きな違いがあります。

2. 提供されるサービス内容

両施設で提供されるサービスには明確な違いがあります。日常生活のサポートレベルから専門的な介護まで、それぞれの特徴を把握しましょう。

ケアハウスのサービス内容

ケアハウスは、日常生活の基本的な支援(食事の提供、生活相談、緊急時対応)が主なサービスです。介護が必要になった場合は、特定施設の認可を受けている「介護型ケアハウス」であれば介護サービスを利用できますが、一般的には常に介護が必要なサービスは提供されません。

特定施設のサービス内容

特定施設では、日常生活に必要な介護(食事介助、入浴介助、排泄介助など)や健康管理サービス、機能訓練、レクリエーション活動などが包括的に提供されます。常にスタッフが配置され、24時間体制での支援が可能な体制が整っている施設が多いです。

サービス内容に関する違いのまとめ

違いの大きさ:大きい

  • ケアハウス:主に食事提供や生活相談、緊急時対応など、軽度の生活支援が中心。介護が必要な場合は外部のサービスを利用することが多い。
  • 特定施設:食事、入浴、排泄などの介助、リハビリ、健康管理、24時間体制の介護など、手厚い介護サービスを提供。

ケアハウスは「軽度の生活支援にとどまる」、特定施設は「包括的な介護サービスを提供」のため、サービスの手厚さに大きな違いがあります。

3. 介護保険の適用範囲

介護保険の適用は施設選択の重要なポイントとなります。経済的な負担に大きく影響するため、しっかりと確認が必要です。

ケアハウスの介護保険

一般的なケアハウスは介護保険の対象外ですが、特定施設の認可を受けた「介護型ケアハウス」の場合、要支援や要介護認定を受けている入居者は介護保険の適用を受けられます。そのため、介護が必要になった際に介護保険を利用したケアを受けられるかどうかは施設のタイプによります。

特定施設の介護保険

特定施設は、介護保険の対象となり、入居者は介護保険を利用して介護サービスを受けることができます。これにより、利用者の介護費用の一部は介護保険から補助されるため、介護が必要な方にとって経済的負担が軽減されます。

介護保険に関する違いのまとめ

違いの大きさ:大きい

  • ケアハウス:介護型ケアハウスの場合のみ特定施設としての認可を受け、介護保険適用が可能。それ以外のケアハウスは基本的に介護保険の適用外。
  • 特定施設:介護保険が適用されるため、入居者は介護サービスの一部費用を介護保険でまかなうことができる。

ケアハウスは「特定施設として認定されていなければ介護保険適用外」だが、特定施設は「介護保険が全面適用」となるため、介護保険の適用範囲に大きな違いがあります。

4. 入居にかかる費用と経済的負担

施設での生活には様々な費用が発生します。両施設の費用構造を理解し、長期的な経済計画を立てることが重要です。

ケアハウスの入居費用

ケアハウスは、経済的に困窮している高齢者も利用しやすいように費用が比較的低く設定されています。特に軽費老人ホームとしての補助が受けられるため、居住費・管理費が抑えられているのが特徴です。ただし、介護が必要になった場合の追加費用や医療費などは自己負担となります。

特定施設の入居費用

特定施設の入居費用は施設や地域によって異なりますが、介護サービスが充実している分、居住費・管理費・介護費が合計すると高額になることがあります。介護保険の適用により一部の費用は補助されるものの、生活にかかる自己負担もある程度見込む必要があります。

入居費用に関する違いのまとめ

違いの大きさ:中程度

  • ケアハウス:一般的に低価格で利用できるよう設計されているが、介護サービスが必要になると追加費用がかかる場合がある。
  • 特定施設:介護サービスが充実しているため、費用は比較的高くなる傾向があるが、介護保険適用で負担が軽減される部分もある。

ケアハウスは「比較的低価格だが、介護が必要になると追加費用が発生することもある」、特定施設は「介護保険適用による費用軽減があるが、全体的には高額」という点で、中程度の違いがあります。

5. 居住環境・設備

快適な生活を送るための環境や設備は、施設によって大きく異なります。現在の状態だけでなく、将来の介護ニーズも考慮して検討しましょう。

ケアハウスの居住環境・設備

ケアハウスも高齢者の生活に配慮した設計がなされており、個室やバリアフリー対応、緊急通報設備を備えています。ただし、特定施設と比較すると、重度な介護ニーズには対応しづらい場合が多く、個々の居室に介護設備が整っているわけではありません。

特定施設の居住環境・設備

特定施設は、居住者の介護ニーズに応じたバリアフリー設計が施されており、介護がしやすいように各部屋にトイレや緊急通報設備が整備されています。共用スペースには介護がしやすい機能訓練室や食堂、入浴施設などが備わっています。

居住環境・設備に関する違いのまとめ

違いの大きさ:中程度

  • ケアハウス:基本的に高齢者向けのバリアフリー設計だが、重度な介護が必要な方には対応しきれない場合が多い。
  • 特定施設:介護に配慮した設備が整っており、バリアフリーや介護用設備が充実している。

ケアハウスは「自立生活を前提とした設計で、介護には対応しづらい」一方、特定施設は「介護に特化した設計と設備がある」という違いがあり、設備の手厚さに中程度の差があります。

6. 運営主体・運営方針

施設の運営方針は生活の質に直結します。運営主体による違いを理解し、方針に合った施設を選択することが大切です。

ケアハウスの運営主体

地方自治体や社会福祉法人によって運営されることが多く、特に低所得の高齢者の生活を支える目的で運営されています。自立生活を支援しつつ、必要に応じて生活支援を行うことが方針です。

特定施設の運営主体

多くは地方自治体や民間の法人(社会福祉法人や医療法人など)によって運営されています。高齢者に対して包括的なケアを提供し、安全で快適な暮らしを提供することが基本方針です。

運営主体に関する違いのまとめ

違いの大きさ:小さい

  • ケアハウス:主に地方自治体や社会福祉法人が運営し、自立した高齢者の生活支援に重点を置いています。
  • 特定施設:多くは地方自治体や社会福祉法人が運営しており、高齢者の包括的ケアを目的としています。

運営主体はどちらも「地方自治体や社会福祉法人が多い」ため、運営主体や基本的な運営方針にはあまり大きな違いはありません。

7. 施設の設置目的

それぞれの施設が想定している入居者像や提供したいサービスには違いがあります。設置目的を理解することで、より適切な選択が可能になります。

ケアハウスの設置目的

ケアハウスの目的は、主に自立した生活ができる高齢者が安心して生活できる環境を提供することです。経済的に困窮している高齢者が利用しやすい施設として、生活の基盤を支える役割が重視されています。

特定施設の設置目的

特定施設の設置目的は、介護が必要な高齢者に適切な介護サービスを提供し、要介護度が高い方でも安全に生活できるようにすることです。認知症や身体機能の低下に対応するためのサービス提供が重視されています。

設置目的に関する違いのまとめ

違いの大きさ:大きい

  • 特定施設:介護が必要な高齢者に対し、適切な介護サービスと住まいを提供することが目的。
  • ケアハウス:経済的に困窮している自立高齢者に、安心して暮らせる住環境と最低限の生活支援を提供することが目的。

ケアハウスは「自立した生活が可能な高齢者の生活支援」を目的とし、特定施設は「要介護高齢者のための包括的ケア」を提供することを目的とするため、設置目的に大きな違いがあります。

ケアハウスと特定施設に関して知るべき情報

入居前の確認事項

特定施設・ケアハウスともに、入居前に介護サービスの内容や施設の設備を確認しておくことが重要です。特に介護サービスの提供範囲や費用については施設ごとに異なるため、入居者本人や家族が確認しておく必要があります。

重度な介護が必要になった場合

ケアハウスは自立した生活が前提の施設であるため、重度な介護が必要になった場合には、特定施設や特別養護老人ホームなどへの転居を検討する必要があることがあります。

将来的な介護費用の負担

特定施設の場合、介護保険が適用されるため、介護が必要になってもその負担が軽減されることが多いです。しかし、ケアハウスでは基本的に介護費用が自己負担になるため、将来的に必要となる介護費用についても計画を立てることが大切です。

まとめ

ケアハウスと特定施設は、対象者の自立度や提供されるサービスの内容に大きな違いがあります。ケアハウスは比較的自立した高齢者向けの軽度な支援を、特定施設は介護が必要な方への包括的なケアを提供します。

施設選びの際は、現在の状態だけでなく、将来の介護ニーズや経済的な負担も考慮し、慎重に検討することが重要です。ご家族の状況に合わせて、最適な選択ができるよう、この記事で解説した7つの観点を参考にしてください。