【入門編】高齢者向け施設・介護福祉施設の全17種類一覧を一挙紹介!

高齢者向け施設・介護福祉施設の種類は多岐にわたり、介護保険制度との関係も複雑なため、多くの方が選び方に悩まれています。

「サ高住」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「有料老人ホーム」など、様々な施設が存在しますが、それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、高齢者向け施設の種類を介護度別に整理し、それぞれの特徴や費用、選ぶ際のポイントを非常に詳しく解説しています。記事のボリュームが多いため、ブックマークして後から見返せるようにすることをおすすめします。

高齢者向け施設・介護施設の全体像

親の介護施設を探し始めると、多くの方が「施設の種類が多すぎて分からない」と戸惑いを感じます。まずは高齢者向け施設の全体像を把握し、ご家族の状況に合った施設を見つけていきましょう。

まず「介護保険が使えるか使えないか」で理解する

高齢者向け施設は「介護保険サービスが利用できるか、利用できないか」で大きく2つに分類されます。この違いは入居後の介護サービスの受け方と費用負担に直接関わってきます。

「介護保険が利用できる施設」
まず特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院といった介護保険施設があります。これらは介護保険制度に基づいて運営され、施設でのケアにかかる費用の大部分が介護保険でカバーされます。そのため、自己負担は比較的抑えられます。

また有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の中でも、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設では、施設のスタッフから直接介護サービスを受けることができます。医療面では、常勤の医師がいる施設から、訪問診療で対応する施設まで、体制は様々です。

「介護保険が利用できない施設」
入居者は必要に応じて外部の介護サービス事業者と契約を結び、サービスを利用することになります。この場合、施設との契約と介護サービスの契約は別々になるため、サービスを自由に選べる反面、調整の手間は増えます。

施設ごとの比較項目は「費用・医療体制・介護体制」

高齢者向け施設を選ぶ際は、費用面だけでなく、医療体制と介護体制の充実度を総合的に判断することが重要です。

費用面では、「公的な施設」と「民間の施設」で大きな差があります。例えば、特別養護老人ホームは月額10~15万円程度で利用できますが、介護付き有料老人ホームでは月額25~35万円程度が一般的です。ただし、高額な施設ほどサービスは充実しており、プライバシーへの配慮も行き届いています。

医療体制は幅広い選択肢があります。24時間の医療管理が可能な介護医療院から、必要に応じて訪問診療を利用する施設などです。特に、医療依存度の高い方の場合、この医療体制の違いが施設選びの決め手となります。

介護体制では、職員の人数や資格、夜間体制などに注目しましょう。例えば、介護付き有料老人ホームは3:1以上の職員配置が義務付けられていますが、施設によってはより手厚い体制を取っているところもあります。夜間の介護体制も、常時複数の職員が勤務する施設から、最小限の人数で対応する施設まで、様々です。

選択のポイントは、現在の状態だけでなく将来の変化も見据えた総合的な判断です。施設見学の際はこれらの要素を具体的に確認し、ご家族の状況に最も適した施設を選びましょう。

介護度別!高齢者向け・介護施設の全17種類の一覧表

高齢者向け施設の全18種類の一覧表を記載します。介護度別にわけているので、自分にあった施設の概要を知りましょう。

要支援と要介護は見間違えやすいですが、「支援」と「介護」で違うので注意してくださいね。

「自立者(介護認定なし)」向けの施設8種類

介護認定を受けていない方向けの施設です。将来の介護に備えながら、自立した生活を送ることができます。

施設の種類 介護保険 医療体制 介護体制 月額費用 待機
サービス付き高齢者向け住宅(自立型)
▶サ高住の詳細記事
× △(安否確認のみ) 10~15万円 すぐ
住宅型有料老人ホーム
▶住宅型有料老人ホームの詳細記事
× ○(生活支援付) 15~20万円 すぐ
ケアハウス(一般型)
▶ケアハウスの詳細記事
× ○(生活支援付) 10万円以下
シニア向け分譲マンション
▶シニア向け分譲マンションの詳細記事
× △(管理人のみ) 2~3万円 すぐ
養護老人ホーム
▶養護老人ホームの詳細記事
× ○(生活支援付) 5万円程度 要相談
生活支援ハウス
▶生活支援ハウスの詳細記事
× ○(生活支援付) 3~5万円 要相談
軽費老人ホーム(A型)
▶軽費老人ホームの詳細記事
× ○(食事付) 10万円以下
軽費老人ホーム(B型)
▶軽費老人ホームの詳細記事
× △(自炊型) 5~8万円

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▶記号の説明 (ここを押して開く)
■介護保険
◎完全対応 ○一部利用可 ×利用不可
■医療体制
◎◎24時間医師常駐 ◎看護師常駐 ○非常勤配置 △必要時訪問
■介護体制
◎24時間専門職 ○日中専門職 △最小限対応
■待機期間
すぐ(1ヶ月以内) 短(~3ヶ月) 中(~6ヶ月) 長(6ヶ月以上)

自立者向けの施設についての章はここを押してジャンプ

「要支援1・2」向けの施設3種類

要支援1・2の認定を受けた方向けの施設です。介護予防に重点を置きながら、必要な支援を受けることができます。

施設の種類 介護保険 医療体制 介護体制 月額費用 待機
サービス付き高齢者向け住宅(介護型)
▶サ高住の詳細記事
○(外部サービス利用) 12~20万円 すぐ
介護付き有料老人ホーム
▶介護付き有料老人ホームの詳細記事
◎(施設スタッフ対応) 25~35万円 すぐ
特定施設ケアハウス
▶ケアハウスの詳細記事
◎(施設スタッフ対応) 12~15万円

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▶記号の説明 (ここを押して開く)
■介護保険
◎完全対応 ○一部利用可 ×利用不可
■医療体制
◎◎24時間医師常駐 ◎看護師常駐 ○非常勤配置 △必要時訪問
■介護体制
◎24時間専門職 ○日中専門職 △最小限対応
■待機期間
すぐ(1ヶ月以内) 短(~3ヶ月) 中(~6ヶ月) 長(6ヶ月以上)

要支援1・2向けの施設についての章はここを押してジャンプ

「要介護1・2」向けの施設3種類

要介護1・2の認定を受けた方向けの施設です。専門的なケアやリハビリテーションを受けることができます。

施設の種類 介護保険 医療体制 介護体制 月額費用 待機
認知症グループホーム
▶グループホームの詳細記事
◎(認知症専門ケア) 15~20万円
介護付き軽費老人ホーム
▶軽費老人ホームの詳細記事
◎(施設スタッフ対応) 13~18万円
介護老人保健施設(老健)
▶老健の詳細記事
◎(リハビリ重視) 8~15万円

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▶記号の説明 (ここを押して開く)
■介護保険
◎完全対応 ○一部利用可 ×利用不可
■医療体制
◎◎24時間医師常駐 ◎看護師常駐 ○非常勤配置 △必要時訪問
■介護体制
◎24時間専門職 ○日中専門職 △最小限対応
■待機期間
すぐ(1ヶ月以内) 短(~3ヶ月) 中(~6ヶ月) 長(6ヶ月以上)

要介護1・2向けの施設についての章はここを押してジャンプ

「要介護3以上」向けの施設3種類

要介護3以上の認定を受けた方向けの施設です。24時間体制の介護と専門的な医療的ケアを受けることができます。

施設の種類 介護保険 医療体制 介護体制 月額費用 待機
特別養護老人ホーム(特養)
▶特養の詳細記事
◎(24時間介護) 8~15万円
介護医療院
▶介護医療院の詳細記事
◎◎ ◎(医療重視) 10~20万円 要相談
介護療養型医療施設(※) ◎◎ ◎(医療重視) 10~20万円

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▶記号の説明 (ここを押して開く)
■介護保険
◎完全対応 ○一部利用可 ×利用不可
■医療体制
◎◎24時間医師常駐 ◎看護師常駐 ○非常勤配置 △必要時訪問
■介護体制
◎24時間専門職 ○日中専門職 △最小限対応
■待機期間
すぐ(1ヶ月以内) 短(~3ヶ月) 中(~6ヶ月) 長(6ヶ月以上)

 ※介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止のため、新規入所の受け入れを終了している施設が多くなっています。

要介護3以上向けの施設についての章はここを押してジャンプ

【自立者(=介護認定なし)】が入居できる施設は8種類

介護の必要がない自立した高齢者であっても、今後への不安から施設入居を考えるケースが増えています。実際、早めの住み替えを決断することで、新しい環境に余裕を持って慣れることができます。

ご本人の意思や希望を十分に確認しながら、将来を見据えた施設選びを進めていきましょう。

  • サービス付き高齢者向け住宅(自立型)
  • 住宅型有料老人ホーム
  • ケアハウス(一般型)
  • シニア向け分譲マンション
  • 養護老人ホーム
  • 生活支援ハウス
  • 軽費老人ホーム(A型)
  • 軽費老人ホーム(B型)

サービス付き高齢者向け住宅(自立型)|安否確認・生活相談付きの住まい

自立型の「サービス付き高齢者向け住宅」は、一般の賃貸住宅とは異なり、安否確認と生活相談のサービスが必ず付いている安心の住まいです。日々の生活は自由に送れますが、困ったことがあればいつでも相談できる体制が整っています。

居室は25平米以上が条件で、バリアフリー構造が義務付けられています。ミニキッチンやユニットバス、収納スペースなども備わり、家具や思い出の品々も持ち込めます。毎日の安否確認に加え、緊急時は24時間対応のスタッフが駆けつけてくれるため、一人暮らしの不安も軽減できます。

費用は、家賃と共益費、生活支援サービス費用を合わせて月額10~15万円が一般的です。食事は選択制の施設が多く、必要な時だけ利用することで費用を抑えることもできます。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用しながら、そのまま住み続けることが可能です。

高専賃という言葉を聞いたことがある方は、下記も合わせてご覧ください。
関連記事:高専賃(高齢者専用賃貸住宅)とサ高住の違いは?特徴・費用・サービスを徹底解説

▶詳細記事:【保存版】サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

住宅型有料老人ホーム|将来の介護に備えた施設

「住宅型有料老人ホームの自立者向けプラン」は、食事付きで生活支援サービスが充実しているのが特徴です。サービス付き高齢者向け住宅と比べると、共用スペースが広く、食堂やラウンジ、浴室などの設備が充実しています。

3食の食事提供に加え、掃除や洗濯などの生活支援もあり、日中のレクリエーション活動も豊富です。月額利用料15~20万円には、居室料、食費、共益費のほか、基本的な生活支援サービスが含まれます。入居時に保証金や一時金が必要な施設もありますが、近年は月額払いのみの施設も増えています。

自炊の負担から解放されたい方や、同世代との交流を楽しみたい方に特に人気があります。将来、介護が必要になった場合も、外部の介護サービスを利用することで、住み慣れた環境での生活を継続できます。ただし、施設によってサービス内容や料金体系が大きく異なるため、複数の施設を比較検討することが賢明です。

▶詳細記事:【保存版】住宅型有料老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

ケアハウス(一般型)|自立向けの軽費老人ホーム

「一般型のケアハウス」は、自立した生活が可能な方のための公的な福祉施設です。60歳以上(夫婦の場合はどちらかが60歳以上)を対象とし、収入に応じた料金設定により、比較的低額で入居できます。

居室は20平米程度の個室が基本で、トイレと洗面所は備え付けです。共同の食堂や浴室も整備され、バリアフリー環境で安全に過ごせます。生活援助員が常駐し、日常生活の相談や緊急時の対応を行います。

月額の利用料は、収入に応じて5~10万円程度に設定されており、食費もこれに含まれます。ただし、施設数が限られているため、人気の施設では1年以上の待機期間が発生することもあります。早めの申し込みと、複数施設への並行申し込みを検討する必要があるでしょう。

▶詳細記事:【保存版】ケアハウスとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

シニア向け分譲マンション|自立した生活を送れる方向け

「シニア向け分譲マンション」は、自立度の高い方のための住宅で、一般のマンションと同様の自由な暮らしを送れます。60歳以上を入居条件とする物件が多く、将来を見据えた設備と管理体制が特徴です。

廊下や浴室の手すり、段差の少ない室内、緊急通報装置など、高齢者に配慮した設備が標準装備されています。管理人が常駐し、日々の安否確認や簡単な生活相談にも応じてくれます。共用施設には、入居者同士の交流スペースや趣味のサークル活動に使える多目的室なども備わっています。

価格は都市部では3,000万円を超えることも多く、これに月々の管理費(2~3万円程度)と修繕積立金が必要です。ただし、資産として保有でき、将来売却することも可能です。自己資金に余裕がある方や、自分のペースで自由に暮らしたい方に選ばれています。

▶詳細記事:【保存版】シニア向け分譲マンションとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

養護老人ホーム|低所得者向けの公的施設

「養護老人ホーム」は、環境上や経済的理由により自宅での生活が困難な高齢者のための公的施設です。身体的・精神的に自立している65歳以上の方が対象で、市区町村が入所の要否を判断します。

個室または2人部屋が基本で、食事の提供や日常生活の支援を受けられます。生活指導員や支援員が常駐し、健康管理や生活相談にも応じてくれます。費用は収入に応じて決定され、多くの場合、月額5万円程度と経済的な負担が少ないのが特徴です。

入所を希望する場合は、まず市区町村の福祉課に相談します。入所判定委員会による審査があり、身体状況や生活環境、経済状況などを総合的に評価して入所の可否が決定されます。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することができます。

▶詳細記事:【保存版】養護老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

生活支援ハウス|地域密着型の支援施設

「生活支援ハウス」は、市区町村が設置する小規模な施設で住み慣れた地域での生活を続けたい方に適しています。60歳以上の一人暮らしや夫婦のみの世帯で、家族による援助を受けることが困難な方が対象です。

居室は20平米程度の個室で、簡易キッチンとトイレ、洗面所が備わっています。生活援助員が日中常駐し、生活相談や緊急時の対応を行います。地域の医療機関や福祉施設との連携も整っており、必要に応じて適切なサービスを紹介してもらえます。

利用料は地域により異なりますが、一般的に月額3~5万円程度です。光熱水費は実費負担となります。地域のコミュニティとのつながりを保ちながら、必要な支援を受けられる点が魅力です。

▶詳細記事:【保存版】生活支援ハウスとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

軽費老人ホーム(A型)|食事等の基本サービスがある低料金施設

「A型の軽費老人ホーム」は、食事の提供と基本的な生活支援を受けられる低料金の施設です。60歳以上の自立した方が対象で、収入に応じた料金設定により、月額10万円以下で利用できます。

個室または2人部屋を基本とし、3食の食事提供と日常生活上の支援が含まれます。浴室やラウンジなどの共用スペースも充実しており、入居者同士の交流も活発です。生活相談員が常駐し、日々の悩みや心配事の相談にも応じてくれます。

▶詳細記事:【保存版】軽費老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

軽費老人ホーム(B型)|自炊型の低料金施設

「B型の軽費老人ホーム」は、自炊を基本とした低料金の施設です。居室には台所が設置されており、より自立的な生活を送ることができます。食事の提供がない分、月額利用料は5~8万円程度とA型より安価です。

ただし、新規開設は行われておらず、多くの施設が介護付きケアハウスへの移行を進めています。入居を検討する場合は、地域の施設状況と将来的な施設の方針をよく確認することが重要です。自炊に不安がある場合は、A型や他の食事付き施設を検討することをお勧めします。

▶詳細記事:【保存版】軽費老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

【要支援1と要支援2】が入れる施設は3種類

要支援1・2の認定を受けた方は、自立した生活を基本としながらも、将来の介護に備えた住まい選びが重要です。

介護予防と生活支援のバランスが取れた施設を選ぶことで、できる限り自立した生活を続けることができます。

  • サービス付き高齢者向け住宅(介護型)
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 特定施設ケアハウス

サービス付き高齢者向け住宅(介護型)|介護サービスが選択可能な住まい

「介護型のサービス付き高齢者向け住宅」は、24時間の見守りに加えて、必要な介護サービスを柔軟に組み合わせて利用できる施設です。基本的な住宅機能は自立型と同じですが、施設と提携している介護サービス事業者による支援を受けられる点が特徴です。

居室はバリアフリー設計で、最低25平米以上が確保されています。キッチンやトイレ、浴室などの設備は、介助が必要になった場合を想定して、十分なスペースが確保されています。毎日の安否確認と24時間対応の緊急通報システムに加え、生活相談員による相談対応も充実しています。

月額費用は、家賃・共益費・生活支援サービス費用で12~18万円程度です。これに介護保険サービスの自己負担分(要支援1・2の場合、月1,200~2,400円程度)が加わります。食事は選択制の場合が多く、必要な時だけ利用することで費用を抑えることができます。

介護サービスは外部の事業者から受けるため、サービスや事業者を自由に選べる点が大きな魅力です。ただし、施設によって提携事業者の質や対応力に差があるため、実際のサービス内容や職員体制をよく確認する必要があります。

▶詳細記事:【保存版】サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

介護付き有料老人ホーム|施設内での介護提供が可能

「介護付き有料老人ホーム」は、特定施設入居者生活介護の指定を受けており、施設のスタッフが直接介護サービスを提供する施設です。生活支援から介護サービスまで、すべてを施設内のスタッフが一貫して提供するため、サービスの連携がスムーズです。

居室は18~25平米程度が標準で、すべての設備が介護対応仕様となっています。24時間体制で介護職員が常駐し、看護師も配置されているため、健康管理も充実。食事は栄養士が献立を管理し、状態に応じた食事形態で提供されます。

月額利用料は25~35万円程度と高めですが、介護保険サービスの自己負担分は料金に含まれています。また、要介護度が上がっても、基本的な月額料金は変わらず、同じ施設で継続して生活できる点が大きな特徴です。

▶詳細記事:【保存版】介護付き有料老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

特定施設ケアハウス|介護付きケアハウスの特徴

「特定施設の指定を受けたケアハウス」は、低料金で介護サービスを受けられる公的な施設です。通常のケアハウスと同様に収入に応じた料金設定となりますが、施設内で介護サービスを受けることができ、要支援から要介護まで一貫したケアを提供します。

居室は21.6平米以上が基準で、トイレや洗面所が備え付けられています。介護職員が24時間常駐し、必要な介護サービスを提供。食事は栄養バランスに配慮した献立で、嚥下状態に応じた形態での提供も可能です。

月額利用料は12~15万円程度で、これに介護保険サービスの自己負担分が加わります。介護付き有料老人ホームと比べると費用は大幅に抑えられますが、施設数が限られており、入居までの待機期間が長くなる傾向があります。早めの申し込みと、複数施設への申し込みを検討することをお勧めします。

▶詳細記事:【保存版】ケアハウスとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

【要介護1・要介護2】から入居が望ましい施設は3種類

要介護1・2の方は、自立した生活の部分を残しながらも、専門的なケアやリハビリテーションが必要となってきます。将来的な介護度の変化も視野に入れ、長期的な視点での施設選びが重要です。

  • 介護老人保健施設(老健)
  • 認知症グループホーム
  • 介護付き軽費老人ホーム

要介護1・2の方向けの施設は、それぞれ特徴的な専門性を持っています。認知症の症状がある方、リハビリに重点を置きたい方、長期的な生活の場を探している方など、目的に応じて適切な施設を選択することが大切です。

介護老人保健施設(老健)|リハビリに特化した施設

「介護老人保健施設」は、リハビリテーションに特化した施設で、在宅復帰を目指す方に特に適しています。医師が常駐し、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が、集中的なリハビリテーションを提供します。

具体的なリハビリ内容は、個別機能訓練やグループでのレクリエーション、日常生活動作の訓練など、多岐にわたります。理学療法士による専門的な運動機能訓練や、作業療法士による生活動作の改善訓練なども受けられます。状態に応じて、3~6ヶ月の目標を立て、計画的にリハビリを進めていきます。

居室は4人部屋が基本ですが、近年は個室や2人部屋も増えています。看護師が24時間体制で常駐し、医療的な管理も充実。食事は管理栄養士が献立を作成し、嚥下状態に応じた食事形態で提供されます。

月額利用料は介護保険制度に基づいて設定され、要介護度に応じた自己負担額(4~8万円程度)となります。居住費と食費は所得に応じた負担となり、補足給付制度を利用することで、さらに負担を抑えることができます。

ただし、在宅復帰を目指す施設であるため、長期入所は想定されていません。通常は3~6ヶ月程度の利用となり、その間に在宅での生活に向けた準備を進めます。家族への介護指導も行われ、在宅復帰後の生活に向けたサポートも充実しています。

また、このトピックについて気になる方は下記も合わせてご覧ください
関連記事:老健から老健への移動のガイド!必要な条件と移動の流れを徹底解説

▶詳細記事:【保存版】老健(介護老人保健施設)とは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

認知症グループホーム|認知症の方に特化したケア

「認知症グループホーム」は、認知症の診断を受けた要介護1以上の方を対象とした、少人数制の専門的なケア施設です。9人程度の入居者が1つのユニットとして共同生活を送り、家庭的な雰囲気の中で専門的なケアを受けることができます。

認知症の方の「できること」を大切にしながら、調理や掃除、洗濯などの家事活動にも参加していただきます。このような生活リハビリを通じて、残存機能の維持・向上を図ります。職員は認知症介護の専門研修を受けており、一人ひとりの状態に合わせた支援を提供します。

居室は個室が基本で、馴染みの家具や思い出の品を持ち込むことができます。共用スペースにはリビングやダイニング、台所があり、職員と入居者が一緒に食事を作ったり、お茶を飲んだりしながら、家庭的な時間を過ごします。

月額利用料は15~20万円程度で、これに介護保険サービスの自己負担分が加わります。医療面では、協力医療機関との連携体制が整っており、定期的な往診や緊急時の対応も可能です。ただし、医療的なケアが常時必要な場合は、他の施設を検討する必要があります。

▶詳細記事:【保存版】グループホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

介護付き軽費老人ホーム|費用を抑えて介護を受けられる施設

「介護付き軽費老人ホーム」は、特定施設入居者生活介護の指定を受けた公的な施設で、比較的低料金で介護サービスを受けられる施設です。介護職員が24時間体制で常駐し、食事、入浴、排せつなどの介護サービスを提供します。

居室は21.6平米以上が基準で、プライバシーに配慮された個室となっています。バリアフリー設計で、手すりや緊急通報装置なども完備。共用スペースには食堂や浴室、機能訓練室などがあり、リハビリや日常動作の訓練も行えます。

月額利用料は収入に応じて決定され、13~18万円程度です。これに介護保険サービスの自己負担分が加わります。食事は栄養士が管理し、嚥下状態に応じた形態で提供されます。医療面では、協力医療機関による定期的な健康管理と24時間の連絡体制が整っています。

▶詳細記事:【保存版】軽費老人ホームとは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

【要介護3以上】の方向けの施設は3種類

要介護3以上になると、日常生活のほぼすべてに介助が必要となり、24時間体制の介護や専門的な医療的ケアが求められます。そのため、施設選びでは介護・医療体制の充実度が最も重要な判断基準となります。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護医療院
  • 介護療養型医療施設※2024年3月末までの経過措置

入所までの待機期間は重要な検討項目です。特に特別養護老人ホームは待機者が多いため、介護医療院など他の選択肢も並行して検討することをお勧めします。

特別養護老人ホーム(特養)|原則要介護3以上の特徴と入所条件

「特別養護老人ホーム」は、要介護3以上の方を対象とした介護保険施設で、24時間体制の手厚い介護を受けられる施設です。食事、入浴、排せつなどの介護に加え、看護師による医療的ケアも提供されます。

入所の条件として原則要介護3以上が必要ですが、認知症による行動・心理症状が著しい場合や、虐待リスクがある場合など、特別な事情がある方は要介護1・2でも入所できることがあります。入所の判定は、介護の必要度や家族の状況、虐待リスクなどを総合的に評価して行われます。

居室は従来型の4人部屋からユニット型の個室まで、施設によって様々です。ユニット型は10人程度の小規模な生活単位で、家庭的な雰囲気の中でケアが提供されます。一方、従来型は4人部屋が基本ですが、費用は比較的抑えめとなっています。

月額利用料は介護保険制度に基づいて設定され、所得に応じた自己負担額(8~15万円程度)となります。低所得の方は補足給付制度を利用することで、さらに負担を抑えることができます。ただし、費用が比較的安価なため、人気の施設では数年単位の待機が必要となることも少なくありません。

このトピックについて気になる方は下記も合わせてご覧ください
関連記事:特別養護老人ホームの申し込み方法ガイド!申し込み条件や必要書類など全体像を解説

▶詳細記事:【保存版】特養とは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

介護医療院|医療ニーズの高い方向けの施設

「介護医療院」は、医療的ケアと介護を一体的に提供する施設で、長期の医療管理が必要な要介護者に対応します。医師や看護師が手厚く配置され、人工呼吸器や胃ろう、中心静脈栄養などの高度な医療処置にも24時間体制で対応できます。

医療区分と要介護度に応じて、きめ細かなケアプランが作成されます。例えば、喀痰吸引や経管栄養が必要な方には、看護師による専門的なケアが提供されます。また、褥瘡予防や感染症対策なども徹底されており、医療依存度の高い方でも安心して生活を送ることができます。

居室は4人部屋が基本ですが、近年は個室や2人部屋の整備も進んでいます。医療機器や医療ガスの配管が整備され、病院と同等の医療環境が確保されています。リハビリテーション設備も充実しており、状態に応じた機能訓練も受けられます。

月額利用料は医療区分と要介護度に応じて設定され、医療保険と介護保険の自己負担分を合わせて10~20万円程度です。医療の必要性が高い方には、医療保険からの給付も加わります。

▶詳細記事:【保存版】介護医療院とは?基本的な特徴がわかる入門ガイド

介護療養型医療施設|2024年3月末までの経過措置

「介護療養型医療施設」は、2024年3月末で廃止がされている経過的な施設です。現在は介護医療院への移行が積極的に進められており、新規入所の受け入れを終了している施設も多くなっています。

この施設は、従来の療養病床を介護保険施設として転換したもので、医療的ケアが必要な要介護者への対応を行ってきました。サービス内容は介護医療院と類似しており、医師や看護師による24時間の医療管理体制が整備されています。

現在入所中の方は、施設が介護医療院に移行した後もそのまま継続して入所することができます。新たに入所を検討される場合は、介護医療院を中心に検討することをお勧めします。

介護度の状況に応じた施設選びのポイントとは

介護度は施設選びの重要な判断基準となりますが、同じ介護度でも状態は人によって大きく異なります。医療ニーズ、認知症の有無、リハビリの必要性など、個々の状況に応じた適切な施設選びが求められます。ここでは介護度別に、状況に応じた施設選びのポイントを詳しく解説します。

【自立者の施設選び】将来の介護を見据えたポイント

自立者の施設選びでは、現在の生活スタイルを維持しながら、将来の介護に備えた環境を整えることが重要です。早めの住み替えを決断することで、新しい環境に余裕を持って順応できます。

特に重視すべきは、将来介護が必要になった際の対応体制です。サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームであれば、外部の介護サービスを利用しながら、住み慣れた環境での生活を続けることができます。介護付き有料老人ホームなら、さらに手厚い介護体制が整っています。

また、施設の立地も重要な検討項目です。通院のしやすさ、買い物などの生活利便性、家族の訪問のしやすさなどを考慮して選択します。特に医療機関との距離は、将来の安心感にも直結します。

【要支援者の施設選び】介護予防と生活支援の視点

要支援者の施設選びでは、自立度を維持・向上させるための介護予防プログラムの充実度が重要な判断基準となります。適切な運動や活動を続けることで、介護度の進行を防ぐことができます。

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、介護予防・日常生活支援総合事業を利用しながら、運動機能の維持向上を図ることができます。介護付き有料老人ホームでは、施設内での介護予防プログラムが充実しており、専門職による指導も受けられます。

生活支援サービスの内容も重要です。掃除や洗濯、買い物支援など、日常生活での困りごとをどの程度サポートしてくれるのか、具体的に確認しましょう。また、趣味活動やレクリエーションなど、心身の活性化につながるプログラムも大切な選択基準となります。

【要介護1・2の施設選び】在宅復帰を目指す選択肢

要介護1・2の方の施設選びでは、リハビリテーションの充実度と在宅復帰への支援体制を重視します。特に、介護老人保健施設は在宅復帰を目指す方に適しており、専門的なリハビリプログラムが提供されます。

状態の改善を目指す場合は、理学療法士や作業療法士が常駐する施設を選びます。認知症のケアが必要な場合は、認知症グループホームも選択肢となります。また、長期的な生活の場として介護付き有料老人ホームを検討する場合は、機能訓練指導員の配置状況や、リハビリプログラムの内容を確認することが大切です。

医療面のサポートも重要な判断基準です。看護師の配置状況、協力医療機関との連携体制、緊急時の対応方針などを確認しましょう。

【要介護3~の施設選び】医療・介護の体制確認

要介護3以上の重度要介護者の施設選びでは、24時間体制の介護提供と医療的ケアの充実度が最重要ポイントとなります。状態像に応じて、特別養護老人ホームか介護医療院かを選択することになります。

医療的ケアの必要性が高い場合は、介護医療院が適しています。人工呼吸器や胃ろうなどの医療処置が必要な方でも、24時間体制で専門的なケアを受けることができます。一方、身体介護を中心とする場合は、特別養護老人ホームでも十分な対応が可能です。

認知症の症状がある場合は、施設のケア方針や職員体制をより詳しく確認する必要があります。ユニットケアを導入している施設では、少人数の生活単位で落ち着いた環境を提供できます。

夜間の介護体制も重要な確認ポイントです。夜勤職員の人数、看護師のオンコール体制、緊急時の対応方針などを具体的に確認しましょう。また、看取りケアへの対応も、長期的な視点では重要な検討項目となります。

高齢者向け施設選びで後悔しないために把握すべき6つの観点

高齢者向け施設を選ぶ際は、現在の状態だけでなく将来的な変化も見据えた総合的な判断が必要です。

  • 観点1:現状の介護度と医療ニーズ
  • 観点2:将来的な介護度の変化を考えておく
  • 観点3:認知症ケアの体制
  • 観点4:入居費用の具体的な計算・シミュレーション
  • 観点5:待機期間の確認と対策
  • 観点6:施設見学時のチェックポイントを知っておく

ここでは、適切な施設選びを実現するための6つの重要な観点について、具体的に解説していきます。

観点1:現状の介護度と医療ニーズ

施設選びの第一歩は、現在の介護度と医療ニーズを正確に把握することです。これにより、入居可能な施設の種類が決まってきます。

まず、介護度の評価では、日常生活での具体的な困りごとを細かく確認します。食事、入浴、排せつ、移動などの基本動作で、どの程度の介助が必要なのかを明確にします。併せて、認知症の症状の有無や程度も重要な判断材料となります。

医療ニーズの評価では、現在受けている医療処置の内容や、定期的な通院の必要性を確認します。例えば、インスリン注射や痰の吸引が必要な場合は、それらに対応できる施設を選ぶ必要があります。また、持病の管理や急変時の対応についても、施設の医療体制を詳しく確認することが大切です。

観点2:将来的な介護度の変化を考えておく

入居時は元気でも、将来的な介護度の変化に対応できる施設を選ぶことが、長期的な視点では重要です。施設の移り変わりは本人にとって大きな負担となるため、できるだけ避けたいものです。

特に注意すべきは、介護度が上がった際の対応方針です。例えば、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、外部の介護サービスを利用することで対応可能です。介護付き有料老人ホームでは、施設内のスタッフによる介護提供が可能です。

また、医療依存度が高まった場合の対応体制も確認が必要です。協力医療機関との連携体制や、看護師の配置状況、夜間の医療対応の可否などが重要なポイントとなります。さらに、看取りまでの対応が可能かどうかも、長期的な視点では考慮すべき要素です。

観点3:認知症ケアの体制

認知症の症状がある場合や将来的な発症リスクを考慮する場合、認知症ケアの専門性は特に重要な選択基準となります。施設によって認知症ケアの体制や質に大きな差があります。

まず確認すべきは、認知症ケア専門職の配置状況です。認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修の修了者がどの程度いるのか、具体的な人数を確認します。また、夜間帯の見守り体制や、徘徊への対応方針なども重要です。

環境面では、認知症の方が安心して過ごせる空間づくりがなされているかを確認します。分かりやすい案内表示、適度な刺激がある共用空間、落ち着ける個室など、細かな配慮が重要です。また、認知症予防のためのアクティビティの実施状況も確認しましょう。

観点4:入居費用の具体的な計算・シミュレーション

施設での生活を長期的に継続するためには、月々の費用負担を正確に把握し、家計への影響を見極めることが不可欠です。施設の種類によって費用体系は大きく異なります。

基本料金には、居室料(家賃)や管理費、食費などが含まれます。さらに、介護保険サービスを利用する場合は、その自己負担分が加わります。また、入居時に一時金や保証金が必要な施設もあります。これらの費用を具体的に計算し、長期的な支払いが可能かどうかを慎重に検討する必要があります。

低所得の方向けには、特別養護老人ホームや軽費老人ホームなどの公的な施設があります。また、介護保険の補足給付制度を利用することで、居住費や食費の負担を軽減できる場合もあります。

観点5:待機期間の確認と対策

特別養護老人ホームなどの公的施設では、入居までの待機期間が長期化する傾向にあります。この期間をどう乗り切るかも、施設選びの重要なポイントです。

待機期間への対応策として、まず複数の施設に並行して申し込むことをお勧めします。また、待機期間中は短期入所(ショートステイ)を利用したり、住宅型有料老人ホームなどの待機の少ない施設を一時的に利用したりすることも検討します。

施設によって入所判定の基準は異なりますが、一般的に介護度や世帯状況、虐待リスクなどが考慮されます。これらの基準を確認し、入所の可能性や待機期間を具体的に把握しておくことが重要です。

観点6:施設見学時のチェックポイントを知っておく

実際の施設見学では、パンフレットやホームページだけでは分からない生活環境や雰囲気を確認することが決め手となります。できれば複数回、異なる時間帯に見学することをお勧めします。

特に注意深く観察したいのは、職員の対応や入居者との関わり方です。職員の表情や言葉遣い、入居者への気配りなどから、施設のケアの質を判断することができます。また、入居者の表情や活気も重要な判断材料となります。

居室や共用スペースの様子も詳しくチェックします。清潔さ、採光、温度管理、バリアフリーの状況などをしっかりと確認しましょう。食事の時間帯に合わせて訪問すれば、食事の様子や内容も確認できます。

防災設備やセキュリティ体制も重要です。非常口の場所や避難経路、スプリンクラーの設置状況、防災訓練の実施状況なども確認しましょう。見学時には質問事項を事前に整理し、疑問点を残さないようにすることが大切です。

まとめ

ここまで、高齢者施設の種類と選び方について詳しく解説してきました。施設選びで重要なのは、「現在の状態だけでなく将来的な変化も見据えた総合的な判断」です。以下の3つのステップで、慎重に検討を進めていきましょう。

1. 介護度と医療ニーズの正確な把握
まずは現在の状態を客観的に評価し、どのような施設が利用可能かを確認します。

2. 将来的な変化への備え
介護度の変化や医療ニーズの増加を想定し、長期的な視点で施設を選びます。

3. 具体的な施設の比較検討
複数の施設を見学し、サービス内容や費用、雰囲気を実際に確認します。

施設見学の際は、この記事で解説した各項目を参考に、細かなチェックを行いましょう。また、入居を検討する際は、ケアマネジャーや施設の相談員に相談することもお勧めします。専門家の意見を参考にしながら、ご家族に最適な施設を見つけていただければと思います。