要支援や自立で施設に入れないときに使える支援を解説

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要介護の認定を申し込んだのに、返ってきた結果は非該当か要支援でした。特別養護老人ホームに問い合わせたら、申し込みは受け付けられないと言われます。在宅で親を見ている家族は、申し込める先がないまま、次にどこへ相談すればよいのかが分からなくなります。

けれども、申し込めない先があることと、何も使えないことは別です。要介護の認定がなくても使える支援は、いくつも用意されています。

この記事では、認定の結果ごとに使えるものと使えないものを分けて示し、状態が変わったときにどの申請を出すのかまでを、順に説明します。

1. 要介護認定がつかないと申し込めない施設

介護保険の施設のうち、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の3つは、要介護の認定を受けた人だけが対象です。

1-1. 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれます。同法第8条第27項は、この施設を、入所する要介護者に対して介護や機能訓練などを行う施設と定めています。

しかも、入所できる要介護者はその全員ではありません。条文は、入所する要介護者を「厚生労働省令で定める要介護状態区分に該当する状態である者その他居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるもの」に限っています。

対象となる要介護度は、厚生労働省の指針が示しています。指針は、入所判定の対象を要介護3から要介護5までの人と、要介護1または2で特例入所が認められる人としています。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

要介護1・2の人には特例入所という道もありますが、これは要介護の認定を受けている人の話で、非該当や要支援の人には当たりません。

出典: 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針

1-2. 介護老人保健施設と介護医療院

介護老人保健施設は、介護保険法第8条第28項で、心身の機能の維持回復を図って自宅で暮らせるようにする支援が必要な要介護者を対象とする施設と定められています。介護医療院は同条第29項で、主として長期にわたり療養が必要な要介護者を対象とする施設とされています。

どちらも対象は要介護者です。非該当や要支援の段階では、この2つも申し込む先になりません。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

認定の結果によって申し込めなくなるのは、この3つの施設への入所です。介護保険そのものが使えなくなるのではありません。

2. 認定がなくても使える総合事業

市町村には、要介護状態になることを防ぎ、自立した日常生活を支えるための事業を行うことが、介護保険法第115条の45第1項で定められています。これを介護予防・日常生活支援総合事業といい、年齢だけで使える一般介護予防事業と、基本チェックリストで対象者と判断されてから使うサービス・活動事業の2つに分かれます。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

2-1. 65歳以上なら使える一般介護予防事業

一般介護予防事業は、厚生労働省のガイドラインで、高齢者を年齢や心身の状況によって分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させることを目的とする事業とされています。

対象は、第1号被保険者の全ての人と、その支援活動に関わる人です。第1号被保険者は65歳以上の人を指します。認定の結果が非該当でも、要支援でも、対象から外れません。

ガイドラインは、事業対象者に該当しない状態の人については、一般介護予防事業の利用などにつなげていくことが重要だとも述べています。認定がつかなかった人が最初に検討できるのが、この一般介護予防事業です。

出典: 厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン

2-2. 基本チェックリストで受けられる訪問と通所

総合事業のもう一方は、サービス・活動事業と呼ばれます。ガイドラインは、この事業を4つに分けています。

  1. 訪問型サービス(掃除、洗濯等の日常生活上の支援)
  2. 通所型サービス(機能訓練や集いの場など日常生活上の支援)
  3. その他生活支援サービス(栄養改善を目的とした配食や一人暮らし高齢者等への見守り等)
  4. 介護予防ケアマネジメント

掃除、洗濯、通いの場、配食、見守りが並んでいます。いま親に足りていないものがこの4つのどれに当たるかは、市町村の窓口で突き合わせてもらえます。親が一人で過ごす時間が心配なら、見守りは3つ目のその他生活支援サービスに入ります。市町村が独自に行っている事業や、5章で見るサービス付き高齢者向け住宅の状況把握サービスも、同じ心配に当たるものです。親に認知症がある場合に火とお金と薬を外からどこまで補えるかは、別の記事にまとめています。

このサービス・活動事業を使う方法は2つあります。1つは要支援認定を受けることで、もう1つは基本チェックリストを使って対象者かどうかを判断してもらうことです。 ガイドラインは、要支援認定を受けた人を居宅要支援被保険者、基本チェックリストで判断された人を事業対象者として、どちらもサービス・活動事業の対象とすると定めています。

そのうえでガイドラインは、予防給付である介護予防訪問看護や介護予防福祉用具貸与などを使う場合には要支援認定を受ける必要があるとしたうえで、サービス・活動事業だけを使う場合には要支援認定を受けずに利用できると書き分けています。

基本チェックリストは、市町村または地域包括支援センターの窓口で、対面で受けます。サービスの利用相談に来た65歳以上の人に対して、その場で用いられます。事業対象者に当たると判断されると、次に介護予防ケアマネジメントを受けて、必要なサービスにつながります。

出典: 厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン

2-3. 市町村ごとに違うところ

総合事業として何が用意されているかは、市町村ごとに違います。

サービスの種類、基準、単価、利用者の負担額は、市町村が地域の実情に応じて定めます。ガイドラインが示している分類は典型例であって、訪問型サービスと通所型サービスとその他生活支援サービスが、どの市町村にも同じ名前と同じ中身で用意されているとは限りません。

ですから、名前を覚えて行くよりも、親の困りごとをそのまま伝えるほうが早く進みます。「掃除ができなくなってきた」「昼に一人で食事をとれていない」「日中ずっと家から出ていない」と伝えてください。そう言えば、その市町村に実際にあるものと突き合わせてもらえます。

出典: 厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン

3. 要支援がついたときに増える介護予防サービス

認定の結果が要支援1または要支援2だった場合は、総合事業に加えて、介護保険の予防給付も使えます。予防給付は要支援の認定を受けた人が対象なので、非該当だった人には当たりません。

3-1. 使える介護予防サービス

介護保険法第8条の2は、介護予防サービスとして次のものを挙げています。介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売です。

同条は地域密着型介護予防サービスも定めており、そちらは介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護の3つです。名前を覚えて選ぶ必要はありません。入浴、通院、夜の不安、用具といった親の困りごとをそのまま伝えれば、この中のどれに当たるかは地域包括支援センターの担当者が突き合わせます。

介護予防短期入所生活介護、いわゆるショートステイが入っています。看護師に来てもらう介護予防訪問看護も入っています。要支援は「介護保険がまだ使えない状態」ではありません。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

3-2. 1か月に使える上限

予防給付には、1か月に使える上限があります。厚生省告示第33号が定める介護予防サービス費等区分支給限度基準額は、要支援1が5,032単位、要支援2が10,531単位です。

これは金額ではなく単位数です。1単位が何円になるかは地域とサービスの種類で変わるため、全国で共通の金額にはなりません。実際にいくらまで使えるかは、ケアプランを作る担当者に、この単位数をもとに出してもらってください。

出典: 厚生労働省 居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額

3-3. 住宅改修に使える限度額

手すりを付ける、段差をなくすといった住宅改修には、上の単位数とは別の限度額があります。厚生省告示第35号は、介護予防住宅改修費支給限度基準額を20万円と定めています。

20万円が現金で渡されるという意味ではありません。対象となる工事の費用のうち20万円までが支給の限度になるという意味で、自己負担の分も、工事の前に申請する手続きも別にあります。

出典: 厚生労働省 居宅介護住宅改修費支給限度基準額及び介護予防住宅改修費支給限度基準額

4. 要支援では使えないサービス

使えるものだけを並べると、窓口で二度目の断りに遭います。要支援では利用できないサービスも、あわせて示します。

4-1. 夜間対応型と定期巡回

介護保険法第8条の2が挙げる地域密着型介護予防サービスは、上に書いた3つだけです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護と、夜間対応型訪問介護は、この中に入っていません。 要支援の段階では、この2つを介護保険で利用できません。

ただし、利用できないのは介護保険のサービスとしての夜間の訪問です。市町村が独自に行っている事業や、介護保険を使わないサービスまで無いという意味ではありません。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

4-2. 借りられない福祉用具

福祉用具の貸与にも、要支援1・2では原則として算定できない種目があります。厚生労働省の留意事項は、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトを挙げています。

ただし、例外があります。 告示が定める状態像に当たる場合のほか、次のいずれかに当たり、医師の医学的所見に基づいてサービス担当者会議などを通じて必要性が判断され、市町村が書面などで確認したときには、借りられます。

  1. 状態が変動しやすく、日や時間帯によって頻繁に必要になる状態
  2. 状態が急速に悪化し、短期間で必要な状態になることが確実に見込まれる場合
  3. 身体への重大な危険性や症状の重篤化を避けるために、医学的な判断から必要な状態

介護用ベッドが要ると感じているなら、「要支援だから借りられない」で止めずに、この例外に当たるかを担当者と医師に確かめてください。

出典: 厚生労働省 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について

5. 要介護認定を条件にしていない住まい

要介護の認定を条件にしていない住まいもあります。サービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホーム、養護老人ホームの3つです。ここで扱うのは申し込み方の違いだけです。軽費老人ホームと養護老人ホームそのものの費用や待ちの長さ、選び方は、別の記事で扱います。

5-1. サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条にもとづいて、都道府県知事の登録を受けた賃貸住宅または有料老人ホームです。

同法第7条第1項が定める登録の基準では、入居者の資格を「高齢者又は当該高齢者と同居するその配偶者」とし、状況把握サービスと生活相談サービスを提供することを求めています。この登録の基準に、要介護の認定を入居の条件とする定めはありません。

出典: e-Gov法令検索 高齢者の居住の安定確保に関する法律

国土交通省は、登録の基準として、床面積が原則25平方メートル以上であること、バリアフリーであること、前払家賃の返還ルールと保全措置が定められた契約であることなどを示しています。

ただし、全国の登録の基準に認定の条件がないことと、個別の住宅に入居できることは別です。住宅ごとに独自の入居条件があり、都道府県や市町村の計画で追加の基準が設けられている場合もあります。

出典: 国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅

5-2. 軽費老人ホーム

軽費老人ホームは、老人福祉法第20条の6で「無料又は低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設」と定められています。ケアハウスと呼ばれるものも、この軽費老人ホームです。

申し込む相手は施設です。利用する人と施設が直接契約を結びます。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法

5-3. 養護老人ホーム

養護老人ホームは、名前は似ていますが入り方がまったく違います。

老人福祉法第11条第1項第1号は、65歳以上で、環境上の理由および経済的理由により居宅で養護を受けることが困難な人について、市町村が養護老人ホームに入所させ、または入所を委託する措置を採らなければならないと定めています。

つまり、家族が施設へ直接申し込む先ではありません。相談する相手は市町村です。市町村が調査して、措置を採るかどうかを決めます。

出典: e-Gov法令検索 老人福祉法

6. 状態が変わったときに出す申請

いまの認定は、いまの状態に対する判断です。親の状態が変われば、認定も変わります。出す申請は、非該当だった人は認定の申請、要支援の認定を受けている人は区分変更の申請と、分かれます。認定が変わるのを待つあいだに次に確かめ直す日をどう決めるかは、別の記事にまとめています。

6-1. 非該当だったときの申請

認定の結果が非該当だった人は、状態が変わったら、要介護認定または要支援認定の申請をあらためて出します。要介護認定の申請は介護保険法第27条、要支援認定の申請は同法第32条に定められています。

この場合の言葉は「区分変更」ではありません。区分変更は、すでに認定を受けている人が使う言葉です。窓口で「区分変更をお願いします」と言うと、話が噛み合わなくなります。

申請に対する処分は、同法第27条第11項により、申請のあった日から30日以内に行うことと定められています。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

6-2. 要支援がついているときの申請

すでに要支援の認定を受けている人が、支援の必要の程度が変わったと考えるときは、介護保険法第33条の2にもとづいて、要支援状態区分の変更の認定を申請できます。要介護の認定を受けている人の場合は、同法第29条が同じ手続きを定めています。

これが区分変更です。認定の有効期間が切れるのを待つ必要はありません。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

6-3. 相談に持って行く記録

申請の相談は、市町村の窓口のほか、地域包括支援センターでもできます。介護保険法第115条の46第1項は、地域包括支援センターを、地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行う施設と定めています。基本チェックリストを受ける先も、同じ場所です。

出典: e-Gov法令検索 介護保険法

相談に行くときは、前の認定調査のときと比べて何が変わったかを、日付とあわせて書いて持って行ってください。「6月ごろから夜中にトイレで2回起こされるようになった」「7月に台所で転んだ」「先月から週に3日は自分で入浴できていない」と書いておきます。この紙が1枚あると、認定調査の場で思い出そうとしなくて済みます。

まとめ

要介護の認定がつかなかったときに変わるのは、申し込める先と使えるサービスの範囲であって、使えるものが何も無くなるわけではありません。認定なしで使える一般介護予防事業があり、基本チェックリストで受けられる訪問と通所があり、要支援がつけば予防給付が加わります。

次にすることは1つです。市町村の窓口か地域包括支援センターへ行って、親の困りごとをそのまま伝え、いまの認定でどれが使えるかを一覧にしてもらってください。窓口へ相談しないまま状態が悪くなるのを待つと、親の介護を担う家族の負担が先に増えていきます。

あなたの手元には、いま申し込める先と申し込めない先の区別と、状態が変わったときに出す申請の名前が残ります。

介護のあんしんでは、要介護の認定がつかない時期に使える支援と、認定が変わったときに動けるようにしておく方法も含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。