※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

在宅で暮らす親が急に歩けなくなって、明日にでも車椅子が1台要ります。その1台をいくらで、どうやって手に入れるのが正しいのか、この記事では値段と時間の両方から見ていきます。
介護保険で車椅子を買うことはできず、借りることしかできません。安い店を探すより先に、親が介護保険で車椅子を借りられるかどうかを確かめてください。借りられるなら毎月の負担は買うより軽くなりますし、確かめながら並行して買い先を見ることもできます。
車椅子に合うテーブルを探している方は、ニトリで車椅子テーブルは買えるかの記事をご覧ください。
ニトリの公式通販には介護とサポートの用品のカテゴリがありますが、そこに移動用の車椅子の本体はありません。店舗について公式のよくあるご質問が案内しているのも、買い物の間だけ使える貸し出しの車椅子です。売り場にあるのは、車椅子と一緒に使う物のほうです。
車椅子は家具の売り場にある物ではなく、福祉用具として扱われる道具です。
ニトリが車椅子まわりで売っているのは、介護とサポートの用品です。公式の通販には「介護・サポート用品」というカテゴリがあり、そこから商品を探せます。
ただし、そのカテゴリにも移動に使う車椅子の本体は入っていません。歩きにくくなった人の暮らしを助ける品は並んでいるのに、移動そのものを担う車椅子だけが扱いの外にあります。
介護の用品があるのだから車椅子もあるだろう、と考えて店へ行くと空振りに終わります。車椅子を探すなら、はじめから別の売り場を見ることになります。
車椅子に合わせて使える福祉テーブルは、家庭用の売り場ではなく法人向けの売り場に並んでいます。「医療福祉用テーブル・介護テーブル」という名前で、オフィス家具と同じ区分に入っています。
車椅子に合う物が施設や事業所向けの売り場にあることは、家庭用の売り場が介護の道具を前提にしていないことを示しています。家庭用の売り場をいくら探しても車椅子まわりの品に行き当たらないなら、探す場所のほうを変えたほうが早く済みます。
店舗にある車椅子は買い物の間だけ借りるもので、家へは持ち帰れません。ニトリの公式のよくあるご質問には、車椅子の貸し出しという項目があります。一部の店舗を除く各店舗に用意があり、空いていれば自由に使えると書かれています。台数にも限りがあるので、貸出中は待つこともあります。
店内で親を座らせてみて座り心地を確かめることはできますが、その車椅子は店の備品です。家で使う1台は、借りるか買うかのどちらかで、別に用意することになります。
介護保険が福祉用具について用意しているのは、福祉用具貸与と特定福祉用具販売の2つです。車椅子が入っているのは貸与のほうだけで、販売のほうには入っていません。
ここから先で断りなく「借りる」と書くときは、在宅で暮らす人が介護保険の福祉用具貸与で借りることを指します。介護保険を使わない場合は、そのつど「自費の貸与」と書きます。
介護保険で車椅子を借りられます。介護保険法は福祉用具貸与を次のように定めています。
この法律において「福祉用具貸与」とは、居宅要介護者について福祉用具(…)のうち厚生労働大臣が定めるものの政令で定めるところにより行われる貸与をいう。
条文の「居宅要介護者」は、自宅で暮らしていて要介護認定を受けた人のことです。施設に入っている場合はこの条文の対象から外れます。
条文は品目を「厚生労働大臣が定めるもの」としか書いていないので、実際にどの品が借りられるかは条文の外で定められています。厚生労働省が公表している一覧には13の品目が並んでおり、その先頭に「車いす」と「車いす付属品」があります。
品目は厚生労働省の一覧で決まっているので、頼んだ事業所しだいで扱いが変わる話ではありません。分かれ目になるのは、親の要介護度のほうです。
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」
介護保険で車椅子を買うことはできません。介護保険法は、買うほうの制度を次のように定めています。
この法律において「特定福祉用具販売」とは、居宅要介護者について福祉用具のうち入浴又は排せつの用に供するものその他の厚生労働大臣が定めるものの政令で定めるところにより行われる販売をいう。
買える品として定められているのは9つで、腰掛便座や入浴補助用具のように、体に直接触れて使う品が並んでいます。この9つに車椅子はありません。
なお、固定用スロープ・歩行器・単点杖・多点杖の4種目は、借りるか買うかを選べる扱いになっています。車椅子はこの4つにも入っていないので、選ぶ余地そのものがありません。
つまり、車椅子について介護保険が用意しているのは借りる道だけです。買う話から入ると、その時点で制度の外へ出ることになります。
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「特定福祉用具販売」
制度の外にも借りる道と買う道はありますが、介護保険からは1円も出ません。介護保険を使わずに福祉用具の事業所から借りることもできますし、店や通販で買うこともできます。介護保険とは別に自治体が独自の助成を持っていることはあり、それは記事の終わりのほうで扱います。
介護保険からの給付が無いので、値段も機種も自分で判断することになります。だからこそ、自費で進める前に、親が借りられるかどうかを先に確かめてください。
介護保険で車椅子を借りられるかどうかは、親が受けている要介護認定の区分で分かれます。要介護2以上なら原則として借りられ、それより軽い区分は原則として対象から外れます。
ただし、軽い区分でも例外として借りられる道が別に用意されています。原則で対象から外れたことと、借りられないことは同じではありません。
親が要介護2以上と認定されていれば、車椅子は原則として借りられます。厚生労働省の一覧には、対象から外れる区分がこう書かれています。
「車いす」「車いす付属品」「特殊寝台」「特殊寝台付属品」「床ずれ防止用具」「体位変換器」「認知症老人徘徊感知器」「移動用リフト」は、要支援1・2、要介護1の人は原則保険給付の対象となりません。
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」
車いすは貸与の13品目に入っており、そのうえで対象から外れると名指しされているのは要支援1・2と要介護1だけです。だから要介護2以上なら原則として対象になります。
親の認定の区分は、介護保険の被保険者証で分かります。そこに要介護2以上と書かれていれば、制度の入口は通っています。
ただし、そこから実際に借りるまでには、ケアマネジャーが車椅子を計画に載せる段階が残っています。ケアマネジャーは、介護保険のサービスをどう組み合わせるかの計画を作る担当者のことです。要介護2以上でも、家族が「借りると決めた」だけでは始まりません。
要支援1・2と要介護1は原則として対象外ですが、例外的に借りられる道があります。厚生労働省の資料「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」は、例外をこう書いています。
ただし、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者については、要介護認定における基本調査結果等に基づく判断があった場合や、または、市町村が医師の所見・ケアマネジメントの判断等を書面等で確認の上、要否を判断した場合には、例外的に給付が可能。
出典: 厚生労働省「要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について」
同じ資料の別表は、車いすについて対象者を2つ挙げています。「(一)日常的に歩行が困難な者」と「(二)日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」です。
(一)は、要介護認定の基本調査で歩行が「3.できない」と出ていれば当てはまります。基本調査とは、認定のときに調査員が親の状態を項目ごとに聞き取る調査のことです。歩行の項目は「つかまらないでできる」「何かにつかまればできる」「できない」の3段階で答える形になっており、その3番目が「3.できない」です。
(二)には、当てはまるかどうかを示す基本調査の項目がありません。そのため同じ資料は、この場合の判断のしかたを別に定めています。
判断の材料は2つです。主治の医師から得た情報と、サービス担当者会議等を通じたケアマネジメントです。サービス担当者会議は、担当のケアマネジャーが医師や福祉用具専門相談員に集まってもらって開く打ち合わせを指します。
この2つをもとに(二)に当たるかどうかを判断するのは、指定居宅介護支援事業者です。これは、そのケアマネジャーが所属している、市区町村の指定を受けた事業所のことです。つまり家族が車椅子の相談をする相手が、そのまま判断する側に立っています。
なお、ここで判断されるのは「(二)に当たるかどうか」までです。給付するかどうかを最後に決めるのは市区町村です(上の逐語の「市町村が…要否を判断した場合には」がそこを指しています)。
さらに、いまの状態だけでは判定しきれない場合の3つの形も挙げられています。
3つに共通しているのは、調査の日にたまたま歩けていた、という理由だけで対象から外されるわけではないという点です。たとえば1つ目のON・OFF現象は、薬が作用している時間帯は動けるのに、切れると急に動けなくなる状態を指します。
今日いま歩けているかどうかだけで判定されるのではなく、これから先の見通しも判断の材料になります。診断名が付いている病気があるなら、それを伝えるところから始めてください。
親がこのどれかに当てはまりそうなら、原則対象外と言われた時点で終わりにしないでください。医師の所見とケアマネジメントの判断が出れば、市区町村が要否を判断するところまで進みます。ただし、例外の道に入れば借りられると約束されているわけではありません。 家族にできるのは、要否を決める人たちへ材料を渡すところまでです。
借りたときに毎月払うのは、その事業所が設定した貸与価格の1割です(所得により2割・3割)。その貸与価格は、商品ごとに厚生労働省が公表しています。
ここで気をつけたいのは、公表されている価格と、実際に借りる事業所が付ける価格が別物である点です。1割をかけるのは後者のほうで、この2つを混ぜると月々の額を取り違えます。
車椅子の貸与価格は、商品ごとに厚生労働省が公表しています。次の表は、令和6年4月貸与分から適用されている公表(福祉用具4,243商品ぶん)のうち、車椅子の行を4つ抜き出したものです。表の金額は、平均も上限も1か月あたりです。
| 商品名(法人名) | 型番 | 全国平均貸与価格(月額) | 貸与価格の上限(月額) |
|---|---|---|---|
| アルミ製標準型車いす(ニック株式会社) | NPC-46JD | 2,339円 | 2,730円 |
| セミモジュール介助式車いす(株式会社松永製作所) | AR-900(介助) | 5,216円 | 6,220円 |
| フルリクライニング車椅子(株式会社いうら) | RJ-360 | 11,699円 | 12,530円 |
| 簡易型電動車いす JWアクティブ PLUS+ Pタイプ(ヤマハ発動機株式会社) | JWアクティブ PLUS+ P-ST-Li | 29,545円 | 31,880円 |
同じ「車椅子」でも、機種によって価格はまるで違います。折りたたんで押すだけの標準型と電動で走る型を比べると、上の4つのあいだで10倍以上の開きがあります。どの機種を借りるかで、毎月の負担も同じだけ動きます。
同じ商品であれば、どの事業所から借りても表の上限額を超えません。上限は、その商品の全国平均貸与価格に標準偏差1つ分を足した額で設定されています。標準偏差はばらつきの大きさを表す値で、平均より少し高いところで頭打ちにするために使われています。上の表の1行目でいえば、平均2,339円に対して上限が2,730円です。
貸与された件数が月平均100件に満たない商品は、公表と上限の設定の対象から外れます。親が借りることになった商品がこの一覧に見つからなくても、おかしなことではありません。その場合は、事業所が出す見積りの金額をそのまま見てください。
出典: 厚生労働省「全国平均貸与価格及び貸与価格の上限(過去公表分)」
実際に払うのは、借りる事業所が設定した貸与価格の1割です。厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、福祉用具貸与の説明にこう書いています。
福祉用具の貸与に係る費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)を利用者が負担します。
出典: 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」
ここで間違えやすいのが、上の表の全国平均貸与価格を1割にして計算してしまうことです。払うのは全国平均貸与価格の1割ではなく、実際に借りる事業所が設定した貸与価格の1割です。 ひとつ前の節で見たとおり、全国平均は上限を決めるために公表されている値であって、請求される額そのものではありません。
負担が1割の方であれば、その事業所の貸与価格が月2,400円のとき240円、月5,000円のとき500円になります。所得によって2割・3割になる方は、その分だけ額が上がります。上の表でいちばん高い電動の機種でも、1割なら月3,000円に届きません。買えば一度に大きな額が出ていく車椅子が、借りれば月々この程度で使えます。この差が、店を探す前に借りられるかを確かめてほしい理由です。
ただし、1割で収まらない場合が1つあります。 介護保険には、要介護度ごとに1か月あたりで使えるサービスの合計額に上限があります(区分支給限度基準額といいます)。介護保険法は、その上限を基礎に算定した額を超えては支給しないと定めています。
デイサービスや訪問介護をすでに使っている親の場合、車椅子の貸与を足すとこの上限に届くことがあります。そのときは、超えた分が全額自己負担になります。
逆に、いま介護保険のサービスをほとんど使っていないなら、上で見た1割のままで収まります。いま使っているサービスと合わせていくらになるかは、ケアマネジャーに出してもらってください。
借り始めるまでの道のりは、親が要介護認定を受けているかどうかを確かめるところから始まります。認定の確認、必要なら申請、ケアマネジャーへの相談、機種の決定という順に進みます。
借りられるかどうかを判断するのは、家族ではなく市区町村とケアマネジャーです。 前の章で読んだ例外の説明と同じで、この分担は要介護2以上でも変わりません。家族の仕事は、可否を自分で判定することではありません。親の状態を正確に伝えて、判断する人たちに材料を渡すことです。
親が要介護認定を受けているかどうかを、まず確かめます。受けているなら、要支援1・2なのか、要介護1〜5のどれなのかまで見てください。
見る書類は介護保険の被保険者証です。介護保険法は、市町村が要介護認定をしたときに該当する要介護状態区分を被保険者証に記載して返すと定めているので、認定を受けていればその1枚に区分が載っています。要介護度の章で分けた2つの話のどちらを自分に当てはめればよいかも、この1枚を見れば分かります。
認定を受けていなければ、市区町村へ要介護認定を申請します。介護保険法は申請先をこう定めています。
要介護認定を受けようとする被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に被保険者証を添付して市町村に申請をしなければならない。
同じ条文は続けて、指定居宅介護支援事業者や地域包括支援センターに申請の手続を代わって行わせることができると定めています。家族が窓口へ出向くところから全部を自分でやらなければならない、というわけではありません。
気になるのは、結果が出るまでどれくらい待つのかでしょう。介護保険法は、申請への処分を申請のあった日から30日以内にしなければならないと定めています。ただし心身の状況の調査に日時を要するなどの特別な理由があるときは、30日以内にその理由と見込みの期間を通知したうえで延期できるとも書かれています。
それでも、申請を急いで出す意味があります。要介護認定の効力は、申請のあった日までさかのぼるからです。
要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。
結果を待ってから動き出す必要はありません。明日から車椅子が要るなら、申請したその足でケアマネジャーに相談しましょう。結果が出る前にサービスを使い始められるかどうかと、その場合の扱いは市区町村とケアマネジャーの運用によります。
どちらにしても、申請を先に出しておくほど、後で選べる幅は広がります。買うかどうかを考えるのは、この2つを窓口で確かめてからでも遅くありません。
ケアマネジャーへ車椅子が要ることを伝えます。車椅子は居宅サービス計画に載せて借りるものなので、家族が事業所を直接探すより先に、この人を通ります。
ケアマネジャーが作るこの計画は、正式には居宅サービス計画といいます。介護保険法は、その計画を作ることを居宅介護支援と呼び、計画に基づくサービスの提供が確保されるよう事業者との連絡調整を行うところまでを同じ条文で定めています。
要支援と認定された場合の計画は、地域包括支援センターの職員か、居宅介護支援を行う事業所の職員のうち厚生労働省令で定める者が作ります。窓口の名前は違いますが、計画を作る人に伝えるという点は変わりません。
出典: e-Gov法令検索 介護保険法 第8条第24項・第8条の2第16項
伝えるときは、どこで使うのか(家の中か、通院や買い物のときか)、誰が押すのか、いつから要るのかを具体的に言ってください。要支援1・2や要介護1で例外の道を目指す場合も、その入口はここです。
計画に載ったら、福祉用具専門相談員と機種を決めて借り始めます。体格や住まいに合う機種を選ぶことも、座面の高さや背もたれの角度を合わせることも、この相談員に相談できます。どの機種が親に合うかは、ここで一緒に決めることになります。
ここまで来れば、毎月払うのは前の章で見たとおり、その機種の貸与価格の1割です。
借りる道が通らなかったときの買い先は4つあり、値段よりも付いてくるものが違います。
分かれ目は、実物を見られるか、体に合わせる調整を頼めるか、買った後の修理と部品をどうするかの3つです。
| 買い先 | 実物を見られるか | 体に合わせる調整を頼めるか | 買った後の修理と部品 |
|---|---|---|---|
| 福祉用具の専門店 | 見られる | 頼める | 頼める |
| 総合通販 | 見られない | 頼めない | 型番と販売元しだい |
| ホームセンター | 見られる | 頼めない | 型番と店しだい |
| 中古を扱う店 | 店なら見られる | 頼めない | 型番しだい |
同じ買い先でも店ごとに扱いは違うので、上の表は買う前に何を確かめるかの目印として読んでください。値段だけを見て決めると、届いてから調整と修理で困ることになります。
福祉用具の専門店では、体に合わせた採寸と調整、その後の修理まで相談できます。介護保険の貸与を扱っている事業所が自費での購入も扱っていることがあり、その場合はケアマネジャーから紹介された事業所が、そのまま買い先になります。
中古を扱っている専門店もあります。専門店で買う中古は採寸と調整を頼めるので、後に出てくる中古の店とは分けて考えてください。
借りる道が通らなかったとき、まず当たってほしいのがこの買い先です。前の章でケアマネジャーに伝えた内容が、そのまま機種選びの材料になります。
総合通販は、4つの買い先のなかで値段の幅がいちばん広いところです。ごく安い折りたたみ式から、専門店で扱う機種と同じ価格帯のものまで並んでいます。
買う前に確かめてほしいのは3つあります。届くまでに何日かかるか、届いた物が合わなかったときに返品できるか、タイヤやブレーキの部品を後から取り寄せられるかです。この3つは商品ページに書かれていることもあれば、販売元に聞かないと分からないこともあります。
急いでいるときほど、届く日を先に確かめてください。翌日に届くつもりで注文したものが1週間後になれば、その間どうやって親を移動させるかを別に考えることになります。
車椅子を扱っているホームセンターなら、実物を見て大きさと重さを自分の目で確かめられます。ニトリで探していた方にとっては、いちばん足を運びやすい買い先でもあります。ただし店によって扱いがあるかどうかは違うので、出かける前に電話で聞いてください。
車椅子には、家の玄関や廊下を通るか、家族が持ち上げて車のトランクに積めるか、という現物でしか分からない部分があります。カタログの寸法だけでは、廊下の角を曲がれるかどうかまでは分かりません。実物を押してみて、たたんで持ち上げてみてください。この確かめ方は通販ではできません。
一方で、体に合わせる調整は頼めません。買った後の修理と部品の取り寄せは、上の表のとおり型番と店しだいです。買う前にその店で頼めるかを聞いておけば、後で困りません。実物を見る場所として使い、買う場所は別に考えるという使い方もできます。
中古は値段が下がる代わりに、状態の確認を自分で引き受けることになります。ここでいう中古を扱う店とは、中古の福祉用具を専門に扱う店やリサイクル店、それに個人どうしの売買のことです。
車椅子のどこを見るかは、次の4か所です。
この4か所は、現物を前にすればその場で分かります。分からないのは部品のほうで、後から取り寄せられるかどうかは、その車椅子の型番しだいです。
そのうえで当サイトは、親が長く使う前提なら、中古の安さより採寸と調整のほうが後々に響くと考えています。数か月だけしのぐ、または2台目として玄関に用意するといった使い方でなければ、まず専門店を見てから中古を考えるのが順番です。
ここまでは買う話でしたが、買わずに済む場合もあります。使う期間が数か月と決まっているなら、介護保険を使わない自費の貸与という手が残っています。料金は全額自己負担ですが、期間が短いほど買うより安く収まることがあり、体に合わなければ返して替えられます。福祉用具の専門店は自費の貸与も扱っていることがあるので、買う話をする前に聞いてみましょう。
介護保険で借りられなかった人を対象にした助成を、自治体が自分の予算で持っていることがあります。有無も中身も自治体ごとに違うので、住んでいる市区町村を調べないと分かりません。
たとえば愛媛県上島町には、高齢者ハンドル形電動車いす(シニアカー)の購入費補助があります。町のページは対象になる方の要件として、「シニアカーがないと一人での外出が困難な方」と「介護保険法によるシニアカーの貸与を受けることができない方」を挙げています。補助の額は次のとおりです。
シニアカーの購入に要する費用の3分の1以内(千円未満切捨て)とし、10万円を上限とする
出典: 上島町「高齢者ハンドル形電動車いす(シニアカー)購入費補助」
ここで挙げたシニアカーは、本人が自分で運転して移動する乗り物です。家族が押して使う車椅子とは別の物なので、同じ補助が押して使う車椅子にも出るわけではありません。また、これは上島町ひとつの決まりであり、他の自治体の額でも要件でもありません。
この例から持ち帰るものは1つです。対象になる方の要件に「介護保険法によるシニアカーの貸与を受けることができない方」が入っている点です。介護保険で借りられなかった人に向けて、自分の予算で助成を用意している自治体が現にあります。
同じ考え方が、家族が押して使う車椅子や、この記事の費用の章で見た電動の車椅子まで届いているかどうかは、住んでいる自治体を調べないと分かりません。だからこそ、買う店を決めてしまう前に、市区町村の高齢者福祉の担当窓口か地域包括支援センターへ、車椅子に使える助成があるかを聞いてみましょう。無ければ無いと分かるだけで、聞くのに費用はかかりません。買ってから助成を知っても、その買い物に使えるとは限りません。
介護保険で車椅子を買うことはできず、借りることしかできません。だから車椅子が要ることになったら、店を探すより先に、親が借りられるかどうかを確かめるのが順序です。
次にすることは1つです。介護保険の被保険者証を開いて、親の要介護認定の区分を確かめてください。そこから先は、ケアマネジャーか市区町村の窓口へ親の様子を伝えるところから動き出します。これを飛ばして先に買ってしまうと、買った後になって借りられたと分かり、払わずに済んだお金を払うことになります。
介護のあんしんでは、車椅子を借りる道と買い先も含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。