老人ホームの費用が払えない?負担を下げる制度と確かめ方を解説

介護のあんしん 記事2044 サムネイル

「介護がつらい…」「近くにどんな施設があるの?」
まずは資料を取り寄せてみよう!

シニアのあんしん相談室


※1999年創業の会社が運営する「シニアのあんしん相談室」よりサービス提供を受けております。

 

見せてもらった月額の紙を見て、「うちには無理だ」と思った方がいます。それきり施設を探すのをやめて、在宅で親の介護を続けながら、そう決めた日から調べ直していません。

その額が下がるかどうかは、家の収入より先に、見せられた見積りがどの住まいのものかで決まります。

当てられる制度を順に当てて、それでも届かなければ、「払えない」は思い込みではなく確かめ終えた結論になります。そこから先は、在宅をどう組み直すかの話になります。

1. 費用が下がるかは住まいの種類で決まる

判定に必要なものは、もう手元にあります。見積りに書かれている住まいの種類の名前を見れば、その額に下がる余地があるかどうかは、誰かに聞かなくても自分で判定できます。

食費と居住費の軽減の対象になる住まいは、6つに限られています。有料老人ホームやサ高住は、そこに入っていません。あわせて、見積りの紙に入っていない費用が住まいの種類でどう分かれるかも確かめます。

1-1. 軽減の対象は特別養護老人ホームなど6つ

食費と居住費の軽減(負担限度額認定)の対象は、介護保険法第51条の3第1項が名前を挙げている次の6つだけです。

  1. 指定介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)
  2. 介護保健施設サービス(介護老人保健施設)
  3. 介護医療院サービス
  4. 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型の特別養護老人ホーム)
  5. 短期入所生活介護(ショートステイ)
  6. 短期入所療養介護

このうち5と6の短期入所は、在宅のまま短期間だけ泊まって使うサービスで、入居先ではありません。

法律が名指しで列挙する形なので、ここに無い住まいは、この軽減の対象に入りません。見積りに書かれている施設の種類がこの6つのどれかに当たるかどうかが、最初の分かれ目になります。

出典: e-Gov 介護保険法

1-2. 有料老人ホームやサ高住は対象外

有料老人ホームやサ高住の見積りを見て「無理だ」と思った方は、ここで1つ目の答えが確定します。その住まいでは、食費と居住費の軽減の対象になりません。

理由は、介護保険法が名前を挙げる6つの列挙にあります。介護付き有料老人ホームと、特定施設の指定を受けたサ高住は、介護保険では「特定施設入居者生活介護」というサービスに当たります。グループホームは「認知症対応型共同生活介護」です。どちらの名前も、第51条の3第1項の6つに入っていません。住宅型有料老人ホームと一般のサービス付き高齢者向け住宅は、そもそも介護保険施設ではありません。

出典: e-Gov 介護保険法

厚生労働省の周知資料は、この軽減の対象にならない場合の食費や居住費について「ご負担いただく額は、施設と利用者の契約により決められています」と書いています。額を決めているのは制度ではなく、施設との契約です。そのため、これらの住まいの食費や居住費について市町村へ負担限度額認定を申請しても、対象になりません。窓口へ行く前に、判定が1つここで終わります。

出典: 介護保険最新情報 Vol.1506

1-3. 見積りに入っていない費用もある

見積りの紙に入っていないものが何かは、住まいの種類で分かれます。どちらの住まいの見積りかで、欠けているものが違います。

特別養護老人ホームなど介護保険施設の見積りは、軽減が引かれる前の額で示されます。指定介護老人福祉施設の運営基準は、施設が受け取る食費や居住費の上限を、負担限度額認定による支給があるかどうかで分けて定めています。認定を申請していない段階の見積りは、基準費用額、つまり軽減が引かれる前の額です。一方、介護保険の1〜3割の自己負担は、同じ運営基準が施設の受け取る利用料として定めているので、こちらの見積りには最初から入っています。介護保険施設の紙は、そこから下がる余地を残した額です。

出典: e-Gov 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準

有料老人ホームとサ高住の見積りは、欠け方が逆です。引かれるはずの軽減はもともと無く、代わりに、介護保険の自己負担が月額利用料の欄に入っていません。厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、重要事項説明書の様式を定めたうえで、「サービス費用のうち介護費用に相当する分について、介護保険の利用者負担分を、設置者が前払金により受け取ることは、利用者負担分が不明確となるので不適当であること」としています。介護保険の自己負担は、月額利用料と別建てにするのが制度の前提です。

出典: 厚生労働省 有料老人ホーム設置運営標準指導指針

実物の重要事項説明書にも、月額利用料の欄の外に「利用者の個別的な選択による生活支援サービス利用料及び介護保険サービスの自己負担額は含みません。」と書かれた例があります。これは1施設の実例であって、相場ではありません。それでも、月額の欄に自己負担が入らない作りは、指針が定める様式のとおりです。

出典: 実物の重要事項説明書

別建てにして示すのは、混ぜると利用者負担分が不明確になるからで、書式として正しい作りです。ただ、その結果として、月額利用料の欄の額に介護保険の自己負担を自分で足さないと、実際の月額にはなりません。見た額で「無理だ」と判断したのは不注意ではなく、書式がそう作られていることの帰結です。

2. 食費と居住費を下げる負担限度額認定

負担限度額認定の対象になったときに下がるのは食費と居住費(滞在費)の2つだけで、介護サービスの自己負担はこの制度では下がりません。

対象になるかどうかは条件で決まり、額は2026年8月に新しくなり、申請は市町村の窓口で行います。どれも、窓口へ行く前に知っておくことです。

2-1. 対象になる条件

入り口は、市町村民税が非課税であることです。ただし、非課税かどうかを見る範囲は、本人だけではありません。

判定に入るのは、住民票の世帯の全員と、世帯を分けている配偶者です。配偶者には、婚姻の届出をしていない事実婚の相手も含まれます。介護保険法施行規則は「その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員並びにその者の配偶者」と、世帯とは別に配偶者を並べて書いています。住民票の世帯を分けていても、配偶者だけは判定から外れない形です。厚生労働省の周知資料も「世帯(世帯を分離している配偶者を含む。以下同じ。)全員が市町村民税非課税」であることを要件として挙げています。

出典: 介護保険最新情報 Vol.1506

預貯金にも要件があります。条文は「当該要介護被保険者及びその者の配偶者が所有する」預貯金等を見る形で、こちらも夫婦で合わせた額で判定されます。

一方で、通常の負担限度額認定の条文には、施設に入って世帯が分かれた場合に同一の世帯とみなす、という規定はありません。判定に使われるのは、いまの住民票の世帯と、配偶者かどうかです。

対象になった後の額は一律ではなく、利用者負担段階で分かれます。

出典: e-Gov 介護保険法施行規則

2-2. 2026年8月からの新しい額

食費と居住費の額は、2026年8月1日に変わりました。ここで額を示すのは食費で、居住費(滞在費)は部屋の類型ごとに額が分かれるため、自分の場合の額は市町村の窓口か改定後の周知資料で確かめてください。根拠は令和8年厚生労働省告示第88号で、施行日が令和8年(2026年)8月1日であることは、厚生労働省老健局の事務連絡に書かれています。

新しい食費の基準費用額は、1日1,545円です。負担限度額認定の対象になると、この食費が段階に応じた負担限度額まで下がります。第1段階が300円、第2段階が390円、第3段階①が680円、第3段階②が1,420円です。居住費(滞在費)のほうは、この改定で上がったのが第3段階②だけで、第3段階①はどの部屋の類型でも据え置かれました。

出典: 介護保険最新情報 Vol.1506

これから額を調べ直すときは、見ているページの日付が2026年8月1日以降のものかどうかを確かめてください。

2-3. 申請の窓口と流れ

申請先は市町村です。介護保険法施行規則第83条の6は、認定を受けようとする要介護被保険者が「申請書を市町村に提出しなければならない」と定めています。申請は、被保険者証を提示して行います。

申請書に書くのは、要件に該当する旨、氏名・生年月日・住所・個人番号、入所している施設の名称と所在地、入所または入院した年月日、被保険者番号、前年に受けている年金の種別です。

申請書には添付書類があります。条文は、申請書に「前条第一号イからホまで又は第四号ロに掲げる事項を市町村が銀行、信託会社その他の機関に確認することの同意書」を添付しなければならないと定めています。預貯金の額を、市町村が金融機関へ確認することへの同意書です。申告した額だけで判定が終わるのではなく、金融機関への確認に同意したうえで申請する形になっています。なお条文にはただし書きがあり、市町村が公簿等で事実を確認できるときは、書類を省略させることができます。

認定されると、様式第一号の二の二による認定証が、有効期限を定めて交付されます。要件のどれにも該当しなくなったときと、有効期限が来たときは、認定証を市町村へ返します。

判定に使う市町村民税には、年度の切り替わりがあります。条文は、4月から7月の利用分には前年度分を、8月からはその年度分を使うと定めています。8月をまたぐと、判定に使う年度が切り替わります。

出典: e-Gov 介護保険法施行規則

3. どの住まいでも使える高額介護サービス費

負担限度額認定では対象にならなかった住まいでも、高額介護サービス費は対象に入ります。

第1章の「6つ」という区切りは、食費と居住費の軽減だけのものです。介護保険法第51条が高額介護サービス費の対象に挙げるのは「居宅サービス、地域密着型サービス又は施設サービス」で、住まいの種類では切られていません。介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)は居宅サービスに、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は地域密着型サービスに当たるため、どちらも対象です。同じ「有料老人ホームに入る親」でも、食費と居住費の軽減では対象外、介護サービスの自己負担の上限では対象になります。月々の上限が5段階あることと、この制度が見積りに現れない理由も確かめます。

出典: e-Gov 介護保険法

3-1. 月々の上限額は5段階

1か月の自己負担の上限は、所得に応じた5段階です。月140,100円、93,000円、44,400円、24,600円、15,000円で、所在は介護保険法施行令第22条の2の2にあります。同じ月に払った介護サービスの自己負担がこの上限を超えると、超えた分が高額介護サービス費として戻ります。

出典: e-Gov 介護保険法施行令

どの段階に当たるかを決めているのは、住民票の世帯だけです。別世帯の配偶者は、この区分に入りません。自分の家の段階は、配偶者を足さずに、住民票の世帯の所得で確かめてください。

3-2. 後から戻る形なので見積りには入っていない

高額介護サービス費は、いったん自己負担を支払った後で、上限を超えた分が戻る形(償還払い)の制度です。支払いの前に差し引く制度ではないので、入居前の見積りにこの制度の分が反映される仕組みは、そもそもありません。見積りにこの名前が無いことは、対象外という意味ではありません。

上限の対象にならない費目もあります。居住費・食費・日常生活費は対象の外です。福祉用具の購入費と住宅改修費も入りません。保険で使える量を超えて全額自己負担になった分も、対象になりません。上限の対象は、介護サービスの利用者負担(1〜3割)だけです。

そのため、この上限は手元の見積りと並べて見ることになります。月々の介護サービスの自己負担が世帯の段階の上限額を超えるなら、超えた分は後から戻る側の額です。見積りの数字をそのまま毎月出ていく額として受け止める前に、この上限がどこに当たるかを確かめてください。

4. 世帯分離で下がるもの・下がらないもの

親と住民票の世帯を分ける「世帯分離」は、介護の費用を下げる方法として名前の挙がる手です。ただし、世帯を分けて下がるものと下がらないものは、制度ごとにはっきり分かれています。

下がらないのは、食費と居住費の軽減(負担限度額認定)です。厚生労働省の周知資料は、判定の対象を「世帯(世帯を分離している配偶者を含む。以下同じ。)全員が市町村民税非課税」と書いています。世帯を分けても、配偶者は判定に入ったままです。そのため、夫婦の間で世帯を分けても、食費と居住費の軽減では下がりません。

出典: 介護保険最新情報 Vol.1506

一方で、下がり得るものもあります。高額介護サービス費の月々の上限、介護保険料の段階、利用者負担の割合(1〜3割)の判定に使うのは、住民票の世帯だけです。介護保険法施行令は、高額介護サービス費の区分を、要介護被保険者の属する世帯の第一号被保険者の所得で分けています。世帯の分け方しだいで、こちら側は変わり得ます。

出典: e-Gov 介護保険法施行令

同じ「世帯分離」で結果が分かれるのは、制度ごとに「世帯」の意味が3つに分かれているからです。

「世帯」の意味使われる制度
住民票の世帯+世帯を分離している配偶者(事実婚を含む)食費と居住費の軽減(負担限度額認定)・特例減額措置
住民票の世帯だけ高額介護サービス費・介護保険料の段階・利用者負担の割合(1〜3割)
同じ医療保険の加入者高額医療・高額介護合算制度

もう1つ、届出そのものの決まりがあります。住民基本台帳法上の世帯変更届は、生計が実際に別になっていることが客観的に認められる場合に届け出るものです。糸島市は、給付金の受給や、健康保険や介護保険の保険料の軽減を目的として世帯分離や世帯合併の届出をしたときを、法律違反となる例として示しています。違法になるのは、そうした目的での虚偽の届出です。生計が実際に別であれば、世帯分離そのものが違法になるのではありません。

出典: 糸島市

反映のタイミングも制度ごとに違います。介護保険料の段階は原則としてその年度の4月1日の住民票で固定され、食費と居住費の軽減は8月1日からの1年ごとに更新され、高額介護サービス費は月ごとに判定されます。同じ日に届け出ても、反映される時点はそれぞれ別です。

5. まだ申し込める軽減の制度

全部当て終えたと思った場所の先に、まだ申し込めるものが残っています。

残っているのは、あなたから聞かなければ出てこない軽減や、課税世帯でも申し込める枠です。要件も申し込み先も1つずつ違い、なかには施設を決める前に聞かなければ使えなくなるものや、入口が市町村ではなく福祉事務所にあるものも含まれます。

5-1. 社会福祉法人の軽減

社会福祉法人が運営する施設やサービスには、利用者負担そのものを軽くする制度があります。軽減されるのは利用者負担の4分の1(老齢福祉年金の受給者は2分の1)が原則で、免除は行いません。

対象になるのは、次の要件をすべて満たす人です。

  • 市町村民税の世帯非課税
  • 年間収入が単身で150万円以下(世帯員が1人増えるごとに50万円を加算)
  • 預貯金等が単身で350万円以下(世帯員が1人増えるごとに100万円を加算)
  • 日常生活に使う資産のほかに、活用できる資産がない
  • 負担能力のある親族等に扶養されていない
  • 介護保険料を滞納していない

入口は市町村で、確認証の交付を受けます。ただし、この軽減は社会福祉法人が申出をしていなければ使えません。あなたが要件を満たすかより先に、入る施設を運営する法人が申出をしているかで決まります。施設を決める前に聞かなければ、後から取り返せません。

対象サービスの列挙には、介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護が入っていません。入るのは、特別養護老人ホームや地域密着型の特別養護老人ホーム、ショートステイ、訪問介護、通所介護などです。

出典: 厚生労働省 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度について

5-2. 特例減額措置

課税世帯でも申し込めます。通常の負担限度額認定が非該当だった人が申請する枠で、世帯に課税されている人がいるという理由であきらめる前に、ここを確かめます。

対象になるのは、次の要件を満たす場合です。

  • 世帯員が2人以上いる(別の世帯にいる配偶者も数に含める)
  • 世帯員が介護保険施設等に入所している
  • 収入から施設の負担の年額を引いた残りが82万6,500円以下
  • 預貯金等が450万円以下
  • ほかに活用できる資産がない
  • 介護保険料を滞納していない

この制度だけが、「みなす」規定を持っています。介護保険法施行規則の逐語では「当該世帯主又は世帯員のいずれかについて特定介護サービスを行う介護保険施設又は地域密着型介護老人福祉施設に入所することにより当該者が世帯を異にしても、当該者は、なお同一の世帯に属するものとみなす。以下この号において同じ。」と定められています。入所で住民票の世帯が分かれても、この制度の判定では同じ世帯として数えるという意味です。

末尾の「以下この号において同じ」が、この規定の及ぶ先を特例減額措置の号に限っています。通常の負担限度額認定には、この規定はありません。

出典: e-Gov 介護保険法施行規則

5-3. 市町村独自の助成

市町村が独自に設けている助成や減免は、有無も内容も自治体ごとに違います。介護保険法には保険料の条例減免(第142条)や市町村特別給付(第62条)の仕組みがありますが、設けるかどうかは市町村ごとの判断です。あなたの市町村に助成があるとは限りません。

出典: e-Gov 介護保険法

そして、これらは全国で一覧になっているものではないため、自分の市町村について個別に確かめる必要があります。そのため、軽減を「当て終えた」と言えるのは、市町村の介護保険担当課へ独自の助成の有無を確かめ終えたときです。無いと分かることも、確かめ終えるための材料になります。

5-4. 高額医療・高額介護合算制度

医療と介護の両方に自己負担がある場合は、この制度も確かめます。介護保険法施行令は、毎年8月1日から翌年7月31日までを「計算期間」と定めていて、この1年分で医療と介護の自己負担を合算します。

合算する相手の範囲は、住民票の世帯ではありません。同じ計算期間の末日(基準日)に、同じ医療保険に加入している人どうしで合算する形が、同じ条文に書かれています。

窓口も2つに分かれています。介護の自己負担の証明書は市町村が出し、申請は基準日に加入している医療保険に対して行います。

出典: e-Gov 介護保険法施行令

5-5. 境界層措置

本来の基準のままでは生活保護が必要になる人でも、より低い基準を当てれば保護を必要としなくなることがあります。境界層措置は、その人のための制度です。

下げる順序は決まっています。厚生労働省の通知は「①から⑤の順に適用することが適当である」と定めています。順に、①給付制限をしない、②居住費・滞在費の負担限度額、③食費の負担限度額、④高額介護サービス費の上限、⑤保険料の段階です。

出典: 厚生労働省 境界層措置の運用の詳細について

入口は市町村ではなく、福祉事務所です。厚生労働省の通知は、福祉事務所長が保護の申請に応じて保護開始時の要否判定を行った結果、境界層該当者であることが明らかになった場合などに証明書を交付すると定めています。証明書の記載事項には「却下に係る申請日」があります。つまり、生活保護を申請し、その要否判定を経なければ、この制度の証明書は出ません。この手前の段差を飛ばして市町村の窓口へ行っても、先へ進めません。

出典: 厚生労働省 境界層該当者の取扱いについて

②と③は食費と居住費の軽減の枠なので、対象になる住まいは限定列挙の6つのままです。一方、④高額介護サービス費の上限と⑤保険料の段階は、住まいの種類で切られていません。有料老人ホームやサ高住の見積りを見ていた場合にも、届く部分が残っています。

6. それでも届かないときに残る選択肢

当てられるものを順に当てて、それでも月額に届かなかった。その事実は、努力が足りなかったのではなく、確かめ終えたことで確定した情報です。

ただし、確定した範囲には限りがあります。「下がらない」と分かったのは、食費と居住費の軽減の話だけです。介護サービスの自己負担の上限は、住まいの種類で切られていませんでした。

在宅を続けても、介護サービスの自己負担には同じ上限が働きます。そのため、「在宅へ切り替える」は、費用の面では「同じ上限が働く場所へ移る」という意味です。「安くなる」という意味ではありません。在宅には、別の上限もあります。保険で使える量に上限があり、超えた分は全額自己負担になります。短期入所にも、続けて使える日数の決まりがあります。在宅にかかる費用がいくらになり、上限を超えた分がどう扱われるかと、短期入所をどこまで続けて使えるかは、それぞれ別の記事で扱います。

在宅を続けたまま使える軽減も残っています。短期入所の食費と滞在費は、施設と同じ軽減(負担限度額認定)の対象です。居住費(滞在費)の補足給付の認定を受けている87.4万人のうち、45.5万人が短期入所生活介護等です(令和5年度末)。制度の上でショートステイも対象に入っていることは、この内訳に表れています。

出典: 厚生労働省 補足給付の現状について

月額の低い住まいの類型としては、ケアハウス(軽費老人ホーム)と養護老人ホームがあります。この2つの入居できる条件と申し込み先の確かめ方は、別の記事にまとめています。

確定したのは、いま見ていた住まいの月額に、制度で下げる余地が残っていないことだけです。施設という選択肢そのものが閉じたのではありません。確かめ終えた条件を持ったまま、月額の低い類型や在宅の組み直しへ進めます。

まとめ

「払えない」という結論は、当てられる軽減を最後まで当てたときに、はじめて確定します。見せられた月額は、下げられるかどうかを確かめる前の額でした。当てて届けば下がります。届かなければ、それは思い込みではなく、確かめ終えた結論です。

次に取る行動は、住んでいる市町村の窓口で、まだ当てられる軽減が残っていないかを聞くことです。ここを飛ばすと、「払えない」が確かめ終えていない結論のまま残り、本当は選べた住まいを候補から外したまま在宅の設計を始めることになります。

自分で確かめて出した答えが、あなたの手元に残ります。

介護のあんしんでは、施設の費用をどこまで下げられるかを確かめ終え、そこから先の暮らしを組み直す方法も含めて、介護に向き合うあなたに信頼できる情報を提供しています。