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高齢の親がソファから立ち上がれなくなってきた、と感じている方は少なくありません。立ち上がりやすさは座面の高さや肘掛けの構造で大きく変わります。
この記事では、ニトリで買える商品を中心に、高齢者が使いやすい家具の選び方と具体的なチェックポイントを紹介します。
ソファはくつろぎやすい家具ですが、高齢者にとっては立ち上がりが難しくなることがあります。座面の高さやクッションの沈み込み、肘掛けの強度など、構造上の理由がいくつか重なっているためです。
まずはその原因を理解しておくと、家具選びの失敗を防ぎやすくなります。
一般的なソファの座面高は35~40cm前後ですが、実際に座るとクッションが沈み込み、体感の高さはさらに3~5cm下がります。
この「沈み込んだ状態の高さ」が、高齢者の立ち上がりを難しくしている大きな要因です。座面が低くなるほど、立ち上がるときに膝を深く曲げた姿勢から体を持ち上げなければなりません。その際に大きな負荷がかかるのが、太もも前面の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)です。加齢とともにこの筋力は低下しやすく、膝を伸ばす力が弱まることで「立とうとしても体が上がらない」状態が起こりやすくなります。
とくにリビングで使われるソファの中には、座面高が30cm前後のローソファも多く、こうしたタイプはくつろぎやすい反面、高齢者にとっては立ち上がりの負担が大きくなりがちです。座面の見た目の高さだけでなく、座ったときに実際にどこまで沈むかを確認することが重要になります。
立ち上がるとき、多くの方は肘掛けに手をついて上体を押し上げようとしますが、ソファの肘掛けがその力に耐えられないケースがあります。
高齢者が椅子やソファから立ち上がる際、重心を前方に移動させてからお尻を浮かせ、膝を伸ばすという一連の動作が必要です。このとき足腰だけで体重を持ち上げるのが難しい方は、肘掛けや座面の端を支えにして上半身の力を借りながら立とうとします。
ところがソファの肘掛けはデザイン重視のものが多く、クッション性が高い柔らかなタイプだと力を入れても手が沈んでしまい、しっかり踏ん張れません。肘掛け自体の幅が狭い場合や、手を置いてもグラつく構造では、力の支点にならないため体を持ち上げる動作を補助できないのです。高齢者が使うソファを選ぶ際は、肘掛けが硬くて幅があり、体重をかけても安定する構造かどうかを確認しておく必要があります。
人間工学では、座面の高さの目安を「身長×0.25(4分の1)」とする計算式があります。
これは一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)でも紹介されている考え方で、この高さであれば膝がおよそ90度に曲がり、足の裏が床にしっかり着く姿勢をとれます。足裏が安定することで、立ち上がる際にしっかり踏ん張れるようになります。
たとえば身長155cmの方であれば、155×0.25=約39cm。身長160cmの方なら40cmが目安です。高齢の女性で身長150cm前後の方も少なくありませんが、その場合は37~38cm程度が適正値になります。
ただし、この数値はあくまで「靴を履いていない状態での目安」であり、クッションの沈み込みは考慮されていません。ソファの場合は座ったときに数cm沈むことを踏まえ、カタログ上の座面高より実際の体感が低くなる前提で選ぶことが大切です。店舗で試す場合は靴を脱いだ状態で座り、膝の角度と足裏の接地具合をあわせて確認してみてください。
高齢者向けの家具をニトリで探す場合、一般的なソファだけで考えると選択肢が限られることがあります。立ち上がりやすさを優先するなら、「ソファを選ぶ」ではなく「家具のタイプで考える」ほうが失敗しにくくなります。
| 方法 | 主な商品(ニトリ) | 価格目安(税込) | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 起立支援チェア | UM02(電動ソファ) | 69,990円~84,990円 | 膝・腰の負担が大きく、電動で補助がほしい方 |
| 高座椅子 | JC-E02 | 11,990円~14,990円 | 費用を抑えつつ、立ち座りしやすい椅子に替えたい方 |
| 立ち上がりサポーター | KD | 3,990円 | 今の家具を使いながら、まず手軽に改善したい方 |
※価格は記事執筆時点のものです。最新の情報はニトリ公式サイトでご確認ください。
ニトリで検討できる方法は大きく3つあり、体の状態や予算に応じて選び分けるのがポイントです。
膝や腰への負担が大きく、自力での立ち上がりに不安がある方には、座面が電動でせり上がる起立支援チェアが向いています。
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ニトリの「立ち上がりやすい電動1人用ソファ(UM02)」は、ボタン操作で座面の後部が最大22度まで持ち上がり、体を前方へ押し出すようにして立ち上がりを補助してくれます。座面高は約40cmに設定されており、前章で紹介した「身長×0.25」の目安にも近い高さです。
操作はリモコンのボタン2つだけで完結するため、機械操作に不慣れな方でも扱いやすい設計になっています。角度の調整も無段階なので、立ち上がり補助としてだけでなく、くつろぐ際のリクライニングとしても使えるのが利点です。
価格は布張りタイプで69,990円(税込)、合皮タイプで84,990円(税込)。一般的な介護用の電動リフトアップチェアと比較すると手が届きやすい価格帯で、「まだ介護用品を使うほどではないが、立ち座りが少しつらくなってきた」という段階で検討しやすい商品です。
電動機能までは不要だが、ソファより立ち座りを重視したいという場合は、高座椅子が選択肢に入ります。
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ニトリの「高座椅子(JC-E02)」は、座面高を35cmと39cmの2段階で調整できるタイプです。背もたれは6段階のリクライニングに対応しており、テレビを見たり読書をしたりと、リビングでの普段使いにも適しています。肘掛けが付いているので、手をついて体を支えながら立ち上がれる点も高齢者には安心材料になるでしょう。
ソファとの大きな違いは、座面が沈み込みにくいことです。ソファはクッションが体重で沈むため実際の座面高が低くなりがちですが、高座椅子はウレタンフォームの座面が比較的しっかりしており、座ったときと立つときの高さの変化が小さく済みます。
価格は11,990円~14,990円(税込)と、起立支援チェアに比べてかなり抑えられます。「できるだけ費用をかけずに、立ち座りしやすい家具に切り替えたい」という方には最も手軽な選択肢です。口コミでも「畳からの立ち上がりが楽になった」「膝が痛い親のために購入した」という声が多く見られます。
家具そのものを買い替えるのではなく、今あるソファをそのまま使いながら改善したい場合は、立ち上がりサポーターを追加する方法があります。
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ニトリの「立ち上がりサポーター(KD)」は、ソファやベッドの横に置いて使う自立式の手すりです。高さの異なる3段のバーが付いており、下のバーから順につかみながら体を引き上げるように立てる仕組みになっています。グリップ部分にはソフト素材が巻かれていて滑りにくく、フレームはスチール製で安定感も確保されています。
この商品の強みは、場所を選ばず使える点です。ソファの横だけでなく、ベッドサイドや仏壇の前、玄関など必要な場所に持ち運んで使えます。組み立ても約10分で済むため、届いたその日から使い始められるでしょう。
価格は3,990円(税込)で、3つの方法のなかで最もコストが低い選択肢です。「まずは手軽に試してみたい」「家具の買い替えはまだ検討段階」という方にとって、最初の一歩になりやすい商品です。ただし、サポーター自体にはキャスターやソファへの固定機構がないため、使用時にずれないよう設置場所の床材や滑り止めの工夫は確認しておきましょう。
家具のタイプが決まっても、商品ごとの細かな仕様によって立ちやすさは大きく変わります。特にソファや高座椅子を検討している場合は、カタログのスペックだけでなく、購入前に確認しておきたいポイントが3つあります。
高齢者が立ち座りしやすいソファの座面高は、40cm前後を基準に考えるのが実用的です。
第1章で紹介した「身長×0.25」の計算式で見ると、身長155~165cmの方はおおよそ39~41cmが適正値になります。日本人の高齢女性の平均身長はおよそ150cm前後ですが、膝に不安がある場合はやや高めの方が立ち上がる際の負担が軽くなるため、40cm前後を目安にするとちょうどよいケースが多いでしょう。
ここで気をつけたいのが、カタログに記載されている座面高と、実際に座ったときの高さは異なるという点です。ソファのクッションは体重で沈み込むため、表記が40cmでも実際には35~37cm程度まで下がることがあります。店舗で試せる場合は、靴を脱いだ状態で座り、足の裏がしっかり床に着くかどうかを確かめてください。ネット通販で購入する場合は、クッションの素材や硬さも合わせてチェックしておくと安心です。
肘掛けは「あるかどうか」だけでなく、「握って体重をかけられるかどうか」で判断する必要があります。
第1章では肘掛けが弱いと立ち上がりの支点にならないことを解説しましたが、購入時のチェックでは具体的に3つの観点を確認するとよいでしょう。まず幅です。手のひら全体を乗せて押し込むように力を入れるため、幅が狭すぎると手が滑りやすくなります。目安として5cm以上の幅があると安定感が出ます。
次に素材の硬さです。クッション性の高い柔らかな肘掛けは、手を置いたときに沈み込んで力が逃げてしまいます。木製フレームや硬質ウレタンで覆われたタイプのほうが、体重をかけたときにしっかり支えてくれます。
最後に高さです。座った状態で肘掛けに手を置いたとき、肘が軽く曲がる程度の高さが理想的です。低すぎると上半身を持ち上げる力がうまく伝わらず、高すぎると肩に余計な力が入ってしまいます。店舗で試す際は、実際に肘掛けに手をついて立ち上がる動作をしてみるのが最も確実な方法です。
座り心地のよさと立ち上がりやすさは、必ずしも両立しません。柔らかいソファほど体が沈み、立ち上がる動作が難しくなります。
ソファのクッションが柔らかすぎると、座ったときにお尻が深く沈み込み、体の重心が後方に残ってしまいます。立ち上がるには重心を前方の足裏に移す動作が必要ですが、沈み込んだ状態ではこの重心移動がスムーズにいきません。結果として、腕の力だけで体を引き上げようとしたり、勢いをつけて立とうとして転倒のリスクが高まることもあります。
高齢者が使うソファを選ぶ際は、「やや硬め」と感じる程度の座面が適しています。具体的には、座ったときにお尻の位置が3cm以上沈まない程度の硬さが一つの目安になります。素材で見ると、ポケットコイルや高密度ウレタンを使用したタイプは体をしっかり支えやすく、沈み込みも抑えられる傾向があります。低反発ウレタンは体へのフィット感は良い反面、沈み込みが深くなりがちなので注意が必要です。
店舗で確認する場合は、座ってからすぐに立ち上がる動作を2~3回繰り返してみてください。くつろぎやすさだけでなく、立つときにストレスを感じないかどうかを体で確かめることが、失敗しない選び方のコツです。
高齢者がソファから立ちにくくなる原因は、座面の低さやクッションの沈み込み、肘掛けの弱さにあります。ニトリで家具を探す場合は、起立支援チェア・高座椅子・立ち上がりサポーターの3つの方法から体の状態に合ったものを選ぶのがポイントです。
どのタイプを選ぶにしても、座面高40cm前後を目安にすること、体重をかけて握れる肘掛けがあること、柔らかすぎない座面であることを購入前に確認しておきましょう。